あがり→アガリ リー牌→理牌 ワン牌→王牌
できるだけ自然で見やすい表記を心がけていきます。
さて、今回の題目は天鳳打ちにとっては永遠のテーマと言っても過言ではない、
非常に重要な争点を含んでいる。
端的に言うと、
@ラス回避にこだわって、段位制pt効率を重視した打ち方をするか、
Aラス回避にはそれほどこだわらず、平均順位を重視した打ち方をするか、
このどちらに重きを置くかということである。
@が天鳳の形を重視した打ち方、
Aが麻雀の形を重視した打ち方、と言い換えることもできる。
どのパラメーターがラス率に影響を与えやすいかというのは、統計データを見ないと一概には言えないが、
私の感覚としては、ラス率に最も影響を与えるのは放銃率であり、
放銃率を極限まで下げつつ、局収支を最大化する手段として、
危険牌を手の内で使い切りつつ、アガリや形式テンパイを目指すための仕掛けが有効となってくる、
このようなイメージがある。
放銃率と副露率の相関も一概には言えないが、
放銃によるラスのリスク回避に傾斜する代償を、テンパイ料などで補う必要があるため、
放銃率の低い打ち手は副露率も高くなりやすい傾向があるのではないかと私は考えている。
ラスにのみ大きなペナルティが課される天鳳において、
それが麻雀とは別ゲームかどうかという議論はさておき、
とことんラス回避にこだわってpt効率の高い打ち方を模索する@の打ち方は至極当然であり、
むしろこちらの方が天鳳攻略においては理に適っている。
しかし、私が鳳凰卓参戦時に意識していたことは、
「土俵ごとに打ち筋をあまり変えることなく結果の出る打ち方を模索する」ということだった。
つまり、天鳳に限らず、セットでも、フリーでも、東風戦でも、競技でも、すべての土俵で通用する打ち方を天鳳で試してみたい、ということだった。
もちろん、ルールによって打ち方を変える部分はあるが、軸の部分がブレることだけはないように、自分の打ち筋を固めていきたいという信念があった。
同時に、自分の都合しか考えていない鳳凰卓の仕掛けの数々に違和感を感じてもいた。
天鳳としては正しいけれども、麻雀としては間違っているのではないか?
このような理由によって、私は麻雀の形を追究するという目的を持ってAの打ち方を選択することとした。
結果が出ない当初は、何が正しいかの判断ができずに迷宮に迷い込みそうになったが、
それでも私の麻雀が他よりも劣っているとは思わなかった。
そして、試行錯誤を重ねることにより、時間はかかったが結果を出すことに成功した。
まだ道半ばではあるが、結果を出したことによって自身の麻雀が間違いではなかったということを確信できたし、
汎用性のある麻雀を確立するという当初の目的をある程度達成することができたのではないか、と今は感じている。
さて、今回はこのテーマに絡んで、
「天鳳ならばこう打つけれど、麻雀としてはどうなのか」という局面をピックアップした。
天鳳民ならば誰もが抱く葛藤のシーン、あなたはいかなる選択をするだろうか?
case1

東1局1本場。前局は親が4000オールのツモアガリ。
親の先制リーチに、南家が追っかけたところ。
こちらも出アガリの効くテンパイが入っているが、さてどうしよう?

5p切って勝負とした。
天鳳的にはここは4m切りからベタオリとして、トップ目の親と南家がやり合うのを見ていた方が良さそう。
どういう結末になっても自分のラス率が劇的に高まるということはなさそうだからだ。
ただ、かわし損なって親の独走を許す展開になる方が麻雀としては微妙だと思い勝負した。
ちなみに、8pは親にも大体通りそうだが、対面の9p手出しが少し気になり、5pの方を選んだ。

これが一発でロン。よく見ると三暗刻で8000。
鳳凰卓参戦直後につき、現物待ちリーチの発想があまりなかったというのもあり、かなり意外感が強かった。
ただし、リーチによって止まる可能性があった58pだけに、感触としては良くない。

私がオリていたらどうなったかというと、3巡後に対面が親の当たり牌を掴んで放銃。
裏が1枚乗って11600となっていたはずだった。
これが巡り合わせの妙だ。
親がアガっていた場合、天鳳としてはラス候補ができるのでそれでも問題ないかもしれないが、
麻雀としてはトップが独走状態となり、自身のトップ率はかなり低くなることが想定される。
何せ、まだ東の1局なのだ。
放銃して親を流すことでゲームメイクしていくのも自然な放銃であれば問題ないようにも思える。
ただ、満貫の放銃というのは巻き返す上では少々痛いビハインドではあるが。

この半荘の結果がどうなったかというと、3着で終わった。
オーラス親番で慎重にダマに構えてトップ捲りまでありうる点棒状況だった。
東1局の放銃により下家の独走を抑えた結果として、トップが見えるところまでこぎつけている。
天鳳的には悪の放銃が、麻雀的には悪とは限らない。
このように、放銃によって自身の平均順位が上がる可能性というのは意外と少なくないと私は考えている。
対応するためのダマだが、1sは強く押して結果的にはラス回避となっている。
自分としては色々な感触を掴んだ半荘だった。
case2

南1局2本場、25900点持ち2着目の北家。
トップ目の親が49300点とダントツ。
8900点持ちラス目の西家がご覧のように3つ仕掛けてピンズが余っている。
こちらにも高目三色のテンパイが入ったが、さてどうしよう?

構わずリーチとしたが、天鳳的にはどうだろうか?
ツモによってトップ目との差を詰めるチャンス手ではあるが、
3フーロのラス目はわかりやすい満貫手だ。
仮に放銃してしまった場合は、一気に3者横並びとなり、ラスのリスクが激増してしまう。

結果は南家が1000点でかわしてくれた。
ある意味こちらもホッと胸をなでおろすアガリ。

南家にたまたまテンパイが入ったわけだが、
私のリーチによって南家を降ろしてしまうと、
ラス目の上家とガチのめくり合い勝負となってしまう。
麻雀の形として見た場合でも、ここでは順位戦略的にダマが穏当である気がする。

牌山は正直で、次巡の私のツモは赤5p。
これは上家へのハネ満の当たりとなるはずの牌だった。
トップを狙うにしても状況的には少々傲慢なリーチだったということだろう。
case3

オーラス2本場、供託リーチ棒2本。
28000点持ち2着目で迎えた北家。
点棒状況は私から順に28000、20100、15500、34400となっている。
ラス目南家からリーチが入って一発目。さて、何を切る?

強く南切りとした。
これをロンと言われたら、ほぼラス終了となってしまうわけだが、5p抜いても安全牌の保証がないということで、手を崩さない選択とした。
おそらくこのへんは打ち手によって大きく選択が分かれるところだろう。

首尾よくテンパイが入る。
6mはたった今現物となったばかり、ここまで来たら当然3pぐらいは切る。
安目の9mでもトップ捲りだ。

この3pが何とロン、一見安いが…。

2種の裏3でラス転落、これは非常に怖かった。
実際は乗らずに私は2着のまま。アガった南家は痛恨のラス確となってしまった。
オチがなくてすまん。
case4

南3局2本場、供託リーチ棒2本。
点棒状況は西家の私から順に、21800、26600、34400、15200となっている。
2着目の北家からリーチが入って一発目。
3sが3枚切れているのでここは当然の2s切りとした。

次巡、5sツモって好形テンパイとなったが、さてどうしよう?

トップ捲りまで見えると、勇んでリーチに踏み切るとこれがアウト。
裏がなくても7700と打点を伴ったリーチだった。

これによって、ラスに転落してオーラスを迎えることとなる。
自らラスに転落して相手を喜ばせてしまうという、天鳳的には最悪の放銃だ。
この1局で都合よくラス回避ができるほど甘くはない、結局この半荘はラスだった。

現状自分は3着目で順位2UP上昇余地があるというのは、麻雀としては攻める理由になるが、
天鳳としては正当化できるものではない。
実際は薄い6sだったが、ソーズの出方から6sは悪くないという読みがあった。
ただ1巡だけ耐えれば次のツモで下家のツモアガリとなっているはずで、
強いていえば牌の来方が意地悪だなあというところ。
case5

南3局、20500点持ち3着目の北家。
点棒状況は自分から順に、20500、22900、41500、15100となっている。
テンパイが入ったが、さてどうしよう?

これはダマだろう。
リーチでは出にくい河となっているし、トップ目がオーラスの親であることを踏まえても、
ここでアガリを拾えればほぼラスに落ちる心配はないと言える。

ところが、トップ目の対面がおもむろにリーチと来た。
さて、どうしよう?

これはツモ切り追っかけとした。
直撃で一躍トップが見える点棒状況だし、むしろトップ目が隙を見せたと考えるところ。
ドラも切ってて劇的に高い手はなさそうだが、この6sが一発放銃となってしまうのだけは厳しいという懸念があった。

6sはセーフだったが、次巡掴んだ発がアウト。
裏が1枚乗って痛恨の8000放銃となった。
親の現物の発待ちでリーチするんか〜。
南家の手は私ならダマにしそうだが、親を降ろしたいというような意図もあったのだろう。

ダマ押しの場合は5200放銃でもラス転落しない、という点が考慮余地か。
ただ、5sを捕らえて3900では隙を咎めたことにならない。
ここは天鳳でも追っかけに踏み切りたいと私は考える。
case6

オーラス1本場、供託リーチ棒2本。
点棒状況は西家の私から、16300、8900、27900、44900となっている。
5巡目にチートイツのテンパイとなり、ひとまず赤5p単騎のダマに受ける。

ラス目がたった今ツモ切った、白をツモってきたところ。
さて、どうしよう?

少し迷ったがツモ切った。
天鳳的にはラス目の現物、かつ他家が不要な白単騎に振り替えてとりあえずラス回避を目論むというのが正しそうだ。
しかし、麻雀的にはどうだろうか?
一つ上の順位を見るという観点からはこの5p待ちが必然となっている可能性がある。
さらに、対面の親が福地先生だったので、捲ってやろうという遊び心が働いたというのもあった。

結果は終盤の入り口でツモ。

ぴったり2着捲りに成功(^o^)

実際はトップ目上家の手に白が1枚浮いていた。
ラス目リーチが来て右往左往する前に、白単騎に変えておくのが天鳳的には正着となりそうだ。
case7

オーラス供託リーチ棒1本。2着目で迎えた親番。
点棒状況は自分から順に24700、8000、54700、11600。
対面がダントツとなっている。
下家からリーチが入って、さて何を切る?

ここは当然行かない。
下家に満貫放銃で捲られる。上を見る点棒状況でもない。

終盤にトップ目の対面から南が出た。
ここは当然…

取れるテンパイは取る。まだトップはあきらめない。
ラス目のツモ番を増やすことになってしまうが、それによってハネ満をツモられたらその時はその時。

テンパイ流局で御の字だったが、結果はなんとアガリまであった。1000オール。
ダントツトップであぐらをかいている黒服のカイちゃんにはこういうところで牙を見せておくことによって、後々の対戦で効いてくることがあるだろう。
ベタオリでぶら下がりの印象を持たれてしまうのでは勝負としては弱い。

アガった後の点棒状況をなんとなく見てほしい。
ラスのリスクはほぼないまま、トップ狙いはわりと現実的になっている。
下を見る必要のない局面では、トップ狙いをあきらめる必要はないのだ。
ラス回避にこだわり過ぎるとこういう面で視野が狭くなってしまう可能性がある。
この半荘は2着で終了。
(case8は内容がイマイチだったため削除しました)
天鳳の形と麻雀の形は違っている。
私はこれからも麻雀の形を追究していきたいと思う。
けっこうヌルいのもあったかとは思うが、それでも十段にはなれるということだ。