
七段降段した。
七段まで落ちるのは実に一年ぶりのこと。
何人乗っても大丈夫、なんて物置のCMよろしく、私にとっては何戦打っても大丈夫、というのが七段降段ラインだったが、ついに決壊した。
不調の要因としては、めくり合いに負ける、交通事故に遭う、といった不調イベントが重なったというのはあるが、
新しく試みた戦術がイマイチ噛み合わなかったこと、
それから表題のとおり、押し引きの部分で天鳳的には損な選択に寄ったことが、ラス率の上昇に繋がってしまった。
一日の最初の5戦ぐらいは非常によく打てていると思うのだが、
それ以降は徐々に集中力が低下してミスが増える傾向にある。
打ちたい気持ちとの折り合いをどのようにつけるか、というのが今後の課題だ。
降段直後の肩書は気恥ずかしいという気持ちでいっぱいだが、
八段底辺にいるのも七段原点に居るのも事実上は変わらない。
変に肩書を気にして麻雀が崩れる方が実害が大きいだろう。
降段の事実を受け止めた上で、気持ちを切り替えて、自分の麻雀を打てるように努めたいと思う。
さて、今回私はどのような押し引きでの失敗があったのだろうか。
実戦でも似たような場面は確実におとずれる。
成績に影響する押し引きの場面、みなさんも一緒に考えていただきたい。
case1

(FRASH版の画像ですが鳳凰卓です)
東3局1本場、供託リーチ棒が1本。ほぼ点棒に動きなしの北家。
イーシャンテンのところ、上家から3mが出た。
バックのテンパイに取れるが、これを鳴く?

チーテンに取った。
メンゼンで進めても打点が伴わなそうなので、ここがすんなり鳴けるなら、と。
巡目的に白を1枚抱えている他家からすぐにこぼれてもおかしくない。
供託に釣られたわけではないが、おまけとしてついてくるならなかなかに魅力的だ。
これがテンパイでなければ私は仕掛けない。

ところが対面から早いリーチが入って一発目、引かされたのはドラそのもの。
さて、どうしよう?

これを勝負するも、アウト。裏は乗らずも一発つきで8000。
通っていないスジも多く、ドラが特別危険というわけではないが、当たってしまうと確実に高いのがこの場合の難。
とはいえ、この巡目から白のトイツ落としでアガリ放棄というのも気が進まない。
アガリに望みをつなぐとすれば9p切りだが、後が続かない。
そもそも、リーチに対して簡単にオリるつもりでペン3mを仕掛けたわけじゃない。
ある程度勝負をして、中盤から終盤にかけて危険度が見えてきたところでオリるかどうか選択する、というのがベストのように私は思う。
つまり、仕掛けた以上は私の中ではこの勝負は必然で、放銃に対する後悔はまったくない。
この局にミスがあったとすれば、それは安易にバックの仕掛けに取ったことであり、安直な仕掛けの怖さというのが見て取れるのではないだろうか。
ちなみに、牌山を開けてみたところ、白は山の奥深くに眠っていた。
絞られても苦しく、不確定要素が大きいバックは使いどころがなかなか難しい。
case2

東2局1本場の親番。
1枚目の白をふかし、手の形が整ったところで2枚目をポン。
これはベストに近いタイミングで鳴けた。

上家から出てきた7pをチーテンに取る。
河からも見え見えの47pが先に鳴けたのは大きい。
しかも三色の高目につき、感触も十分。

ところが、対面からリーチの声。

5mはスライドできるな、と思っていると2mの方をツモ。
さて、どうしよう?

これを押すと、当たり。裏1の8000と言われる。
ピンズが分断されていて、危険スジはそこそこ絞れている状況。
待ちはソーズか、69pか、25m36mかといった感じ。
ドラまたぎで残っているのは25mしかなく、ここで打つとほぼ確実に打点がついてくるのが嫌なところ。
私はこの局を一つの勝負所と見ていたため、ゼンツレベルで突っ張る覚悟だった。
47sも山にはいそうだし、十分にアガリ目があると見ての勝負だ。
私はこの放銃に悔いはないが、天鳳的にはここでヤメるというのも十分にあるだろう。
8m連打できるので、放銃を回避しながら場合によってはテンパイ復帰も見込めるからだ。

実際にはこの通り。
47sも25mも都合2枚ずつと、47sが特別強いわけではなかったし、ツモ筋に47sはいなかった。
この2mを止めていれば対面にアガリはなく、流局となっていた可能性が高い。
5mなら回れるだけに、このスジだけは止めるという考えもあるだろう。
case3

東1局、下家が6000オールを引きアガり、1本場。
さらに親がリーチで畳み掛けてきたところ。

回っていたら切れない3mが重なり、上手くポンテンに取れた。

最後の最後に持ってきたのは2s。
さて、どうしよう?

さすがにこれはヤメた。
親の河からは危険スジが見えやすく、この2sは相当に危険度が高い。
親以外の三者は横並びにつき、がむしゃらにテンパイ料を取りに行く場面でもない。
ここの判断は比較的わかりやすいだろう。

2sは当たりではなかった。むむっ。
親の待ちは58mでドラが雀頭だった。
case4

東4局、28800点持ちトップ目の北家。
ラス目の親から先制リーチが入ったところ。
こちらの手は形になっておらず、はい撤退撤退。

ところが、赤やドラを続々と引き込み、まさかのハネ満テンパイに。
こうなれば5sぐらいは勝負する。

4pを持ってきて、好形変化だが、巡目は残りわずか。
さて、どうしよう?

4pをツモ切るとロンで5800。
親の河は手なりで、待ちはなんでもあるところだが、最終手出しの1pをどう見るかというところ。
私の手に赤5pがあるのでカン4pに受ける要素はそれほど強くない。
ピンズの下も周辺がそこそこ見えていて、1p周りの危険度はそこまで高くなさそうに見える。
私が考慮したのは、この巡目ならアガリやすさよりも安全度で、5pの方が愚形含めてやや危険度が高そうに見えた。
ほら、5pとか対面が持ってそうだから、実質ワンチャンスぐらいかな、と。
両面でもシャンポンでもこの巡目ならアガりやすさに大差はないと思ったからだ。

親の入り目は、この形からペン3pだった。
1p最終手出しは手牌に十分に関連していた。

んで、その後を見るとこう。
5pを切っていると、放銃を免れたばかりか直後に3pでハネ満のアガリがあった。
行って来いでどれだけの得失点差なんだ。これがあまりにも痛く、この半荘はラス。
「危険度が微差の場合は広く受けて最大限アガリを見る」
痛恨のラスと引き換えにこの教訓を得られた放銃だった。
case5

東4局、微差ラス目の親番。
対面が白を切った直後に白が重なり、この手牌。
打点は約束されているので、上家から出たドラまたぎから仕掛けていく。

上家からリーチが入るも、やや薄い47pが捌けた。
これなら勝負になる。

最終盤に持ってきたのは、ドラそのもの。
さて、どうしよう?

えいや!と押すもアウト。裏は乗らずも8000。
こちらも打点があるとはいえ、さすがに危険度も放銃時打点も高すぎたか。
暴牌のそしりを免れないが、3巡前ならむしろ止まったかも。
この巡目だとドラにくっつけての復活テンパイの可能性がかなり低くなってしまうからだ。

当然他家からは出ないのでアガリの確率は低いが、白はまだ山にいた。
ここで回ってもテンパイ復活は無理だった。
これは天鳳的には押しすぎで、勇み足だった感も否めない。
この半荘はこれが響いてラス。
case6

東2局、27000点持ち微差トップ目の親番。
上手く5800のテンパイを入れたところ、下家からリーチが。

6mを持ってきて、どうするか?

押した。
カン6mも含めて、結構な危険度だが勝負した。これは無事通過。

次巡持ってきたのは、5s…に色がついている。
さて、どうしよう?

これを押すと、はい当たり。裏が1枚で6400。
これは2無スジなら押さない。8sが通っているのでギリ押した。
2mはわりと拾えそうと思っていたので、それも押しの要素となっている。
よく見たらリーチのみじゃないか!赤なんか、嫌いだ〜。
裏なしの3200でもまあいいか、となるところ。

2mは下家が掴むはずだったが、対面の巧妙なチーで食い取られていた。
動きがなければ逆に5800のアガリだった。
2mが悪くないという感覚は間違いではなかった。

イマイチだとすればこの仕掛けか。
打点は上がるがドラ表示牌の苦しい受けが残ってしまう。
上家はドラ切りなら2mも切るでしょ、という意図だが、ドラ切り者には往々にしてそれ相応の手が入っている。
成績が悪い時はこのように目先の利益に釣られた焦った仕掛けが多い。
case7

同半荘、放銃の次々局。
親がオタ風から2フーロ後、下家からリーチが入る。

上家から出た都合5枚目の58mをチーしてテンパイに取った。
周辺が切られて7mの安全度が高くなったタイミング。取るならここでしょう。

すぐさま持ってきたのは、6s。
さて、どうするか?

いやいや、これは切っちゃダメでしょ。
親に刺さって7700。
リーチには通りやすいとはいえ、ホンイツ仕掛けの親には2分の1ぐらいで当たるスジ。
たまたまカン6sだったが、36sでの12000まで十分に考えられるところ。
実はこの試合、降段戦で、先ほどの赤5s放銃から完全に冷静さを失っていた。
普段通りの麻雀が打てない降段戦のプレッシャー、おかしなバランスで打っているプレーヤーはそれと対峙している可能性がある。
この半荘はオーラス起死回生のハネ満ツモで辛くも3着だった。

8mチー自体に問題はないだろう。
直後の6sでテンパイの誘惑に負けずに冷静に対処できるか、というところである。
麻雀において、「仕掛けてテンパイに取ったらオリるな!」という金言がある。
仕掛けても勝負の姿勢を忘れず、覚悟を持って捌く、ということだが、
最近の私は仕掛けテンパイからのゼンツ傾向が強く、それが天鳳においてはマイナス方向に作用している。
勝負の姿勢を持った上で、天鳳によりマッチした押し引きバランス、そのへんを修正していきたいと考えている。