点棒に余裕のある優勢時は、気持ちにも余裕があるので、
自分の為すべきことを比較的冷静に選択できる。
リードを意識して過度に日和すぎてもなかなかいい結果には結びつかないが、
それでも自ら大崩れする方向に傾かないのは、
何といっても心の余裕の面が大きい。
一方で、劣勢時は点棒を取り返したいという気持ちの焦りから、
通常より仕掛けが遅くなったり、早すぎたりして、
自分の求める方向性と乖離が生まれやすい。
いわゆる、ちぐはぐになるというやつで、
平常心を失った状態であればあるほど、大局観を見失いやすい。
俺が劣勢時において最も重要だと考えることは、
劣勢時でもできるだけ自然な手順であがりを取りに行くことであり、
例えそれが着順上昇に結びつかなかったとしても、
離されずについていくことによって、何かが起こりやすい。
無理な手順は自分のあがり率を下げることによって、
自分の放銃率、相手のあがり率を上げてしまうため、
次の相手の加点がますます自分を劣勢に追い込むことにもなりかねないからだ。
どんなに焦ったところであがり率は上昇しないのだから、
まずはきちんとあがりに寄せる手組を意識することが最重要となる。
それを踏まえた上で、
天鳳の場合、焦りからラグに鳴かされるというケースが往々にして生まれやすい。
天鳳では特に、ラス目の攻撃に対しては慎重に対処される傾向にあるので、
劣勢時の仕掛けが無理であればあるほどそれが成就する可能性も低くなる。
劣勢時だからこそ、仕掛けも慌てずに、あがりに寄せる工夫が必要となってくる。

東2局3本場、11100点持ちラス目の西家。
開局から親連荘の割を食い、早くも劣勢に立たされている。
ホンイツも見込める配牌のところ、親の第一打で南が出た。
オタ風だが、これを鳴く?

ラグありでスルーした。
発からなら自然にポンするつもりだったが、
オタ風から仕掛けても打点や待ちの面からいまいちいい結果になるイメージが湧かない。
上家の南合わせでさらに選択を強いられたが、
同巡オタ風2鳴きで鳴かされるイメージが強いため、
「迷ったら鳴かない」に従ってスルーした。

手順で南のトイツを払っていったところ、
ドラと赤5mを引き込み、まだまだ遅いものの、それなりに打点も伴ってきた。
ドラターツを決める4s切り。

ピンズの急所をズバズバ引いて、
ポンテンに取れるタイミングで発が出てきた。
数巡前なら悩ましい発ポンだけに、
ベストタイミングで鳴けた幸運を噛みしめる。

テンパイの入っていた下家から出て、3900は4800のあがり。
最終的には、ホンイツと遜色のない打点に仕上がった。
南ポンからだと発は絞られる可能性もそれなりにある。
この手の場合、初巡の南ポンは不自然ではないため、
積極的に仕掛けていく手も十分にある。
一方で、本意でない仕掛けなら、慌てずにチャンスを待つことで、
このケースのように、より納得のいく決着を見ることもできる。
この半荘は結局2着で終えられた。

別の半荘。
東4局、残り1000点と絶体絶命の北家。
タンヤオの好手牌をもらって、鼻息も荒い。
ところが、58mが一巡の間に3枚も切られてしまった。
一刻の猶予もないが、上家の8mを鳴くか?

さすがに一瞬迷うも、歯を食いしばってスルー。
これを鳴いても34sのシャンポン形がいまいちあがりにくいし、
ピンズの伸びなど手牌の形に融通が利くので、58mに拘らなくてもなんとかなりそうだ。
飛ばない状態にしておくことももちろん大事だが、
これだけの手をもらった以上は、メンゼンで満貫クラスの手を見たいというのが本音だ。
スルーした結果、まさかの8mツモでちょっとびっくり。
5200テンパイなら並びシャンポンでも十分勝負になるため、即リーチに踏み切った。

勝負手のテンパイが入っていた親から討ち取り、裏は乗らずの5200。
スルースキルが上手くはまって、会心のあがりとなった。
スルーがはまった時のリーチというのは、かくのごとく強い。
反撃の狼煙を上げたが、善戦むなしくラスで終了した。

別の半荘。
南2局1本場、18400点持ちラス目の南家。
対面が20200点の3着目で差はわずか。
中がトイツのところ、親の第一打で切られた。
供託リーチ棒が1本あり、あがればとりあえず3着浮上となる。
さて、どうしよう?

鳴き無しでスルーした。
この点棒状況なら、このぐらいバラバラでもとりあえずポンしておいて、
徐々にあがりに寄せていく、そちらの方が得だと考える人も多いだろう。
それはそれで正しい。
王牌に中が死んでしまうようなケースでは著しくあがり率が下がってしまうが、
こういうケースで慌てて鳴いてもなかなか結果に結びつかないというのも確かで、
トータル的にはスルーでも十分に戦えるというのが俺の感覚だ。

スルーした結果、白が重なった。
この白重なりはあがりを見る上で非常に大きい。
いつの間にか小三元やチートイツまで見込める手にもなっており、
メンゼンの魅力は数巡のツモで劇的に融通の利く手になるというところだ。

白をポンして、4sをツモったところ。
さて、何を切る?

この辺が現実の手との折り合いをつけるところで、打9mとした。
大三元、トイトイ、ホンイツと突っ走りたくなるが、
この局のテーマは、打点よりもあがりを取ることであり、
4sは牌効率的に残すべき牌と判断した。
スルーの感触に気をよくして、
この局の本旨を見失わないことがポイントだ。

4sに上手くくっつき、これではっきりとあがりの見える形となった。

親リーチが入って、戦々恐々となったが、
この中が鳴けたなら、こちらも実質リーチみたいなものだ。

首尾よく親から討ち取って、値千金の3900。
慌てない中のスルーが奏功し、一気に2着浮上となった。
結局この半荘は3着で終えた。

別の半荘。
南3局、13800点持ちラス目で迎えた北家。
上家の西家が19100点の3着目となっている。
ホンイツも視野に97sのカンチャンターツを払ったところ、
裏目の8sをツモってしまった。
対面から1枚目の白が出たが、どうしよう?

これはスルーした。
白ポンからピンズに染めたいのは山々だが、
ピンズの枚数的に若干無理スジだし、
ピンズに染めないとなると打点的に不満だ。
ソーズのしくりもいまいち感触が悪く、
ここはワンスルーから様子を見ることにした。

上手くカン7mが埋まり、イーシャンテンに。
上家の仕掛けに対してかなり危険だが、4pを勝負。
これは無事に通過した。

7pにくっつき、難しい選択となった。
さて、何を切る?

何を切っても一局だが、ここでは白切りとした。
上家の仕掛けにマンズの下が切りにくいというのもあるが、
白のポンテンにいまいち魅力がないなら、
MAXのピンフを見ての白切りだ。
東切りは白を生かすことも考えた折衷案で、
そちらの方が柔軟性はあるものの、
トイツ一組からではなかなか白のコーツが生きる展開にはなりにくい。

1mも勝負する展開となり、狙い通りにピンフのテンパイとなった。
文句なく即リーチに踏み切る。

しかし、残念ながら一人テンパイで流局となった。
3巡目の白ポン時と手牌を比較してみると、
慌てずのスルーによって、より勝負できる形になっていると言える。
上家はカン7pテンパイから、赤5pを掴んでオリ。
ダマテンなら捉えていた可能性が高いが、これについては後悔はない。

この4p切りも、やはりギリギリのところ。
余りそうな7pを使い切って反撃できたあたり、
自分としては出来のいい1局だった。
結局、この半荘はラスで終了した。

別の半荘。
東2局、19800点持ちラス目の西家。
対面から1枚目の白が出たが、さてどうしよう?

鳴き無しでスルーした。
安いし、形がいまいちで、
ピンズの染めかどうかも方針がはっきりしていない。

ツモが噛み合い、メンゼンで仕上がった。
安いが、ツモで点パネするし、これは即リーチで問題ないだろう。

終盤にツモ。
裏ドラ1枚乗れ〜〜〜!

失礼、3枚でした。
こういうラッキーを単なるラッキーと相手に思わせることも一つの腕である。
自分のスタイルを貫いて点棒を失うのはどうってことないですが、
打ってて分かるのが、そのような事を完璧に打つことの難しさですね。
自分がミスと分かっててのミスで点棒を失ったりとか、そういう局面はどうしても出てきます。
それに、ネットでは時間が限られてるので、リアルの麻雀よりも即断が求められ、
鳴きは牌が止まってくれるのでその時に判断できるのでと思ってますがw
不用意に攻めたり守ったり、手を広げたり手を狭めたりとか細かいミスはやはりあるように感じますね。
ただ、完璧に打って完璧な結果を残すってのは、
何か自分の目的意識が違ってることに気付きました。
ちゃんとミスがミスとさえ分かってさえいれば多少の失敗しても良いじゃないかと。
あくまで自分の求めてることは結果ではなく、より完璧な手順で打つ姿勢だろうと。
自分のコンディションやモチベーションとかに気をつけながら打てば、
より完璧に打てると思いますし、結果は残せると思います、
しかし、結果だけを求める麻雀ってのもそこまで重要に思えないですね。
それは短期的な結果においてもですが、長期的な結果においてもです。
ちょっと負け犬ぽいですがw どうですかね?
つか、それくらい楽観的に考えられなくて、どうやってメンタル持たせてるのかとも思いますが。
何か深いこと考えてらっしゃいますね。
麻雀はゲームですから、本質的には結果を求めるべきものだと思います。
けれども、麻雀は哲学的要素も含んでいるので、自分で納得のいく麻雀を打つ、ということはとても大事なことだと思っています。
目的意識は人それぞれであっても、成立するのが麻雀の自由度の高さであり、万人を受け入れてくれる偉大なところだと思います。
最近僕が考えることは、コンディションがいい時に勝つことよりも、50%の状態でいかに80%の力を出せるかということです。
万全な状態じゃなくてもある程度の打牌精度を維持し続けられるかということで、最善でなくても悪手を打たなければ次善ぐらいでもいいわけです。
実戦では万全な状態ってなかなかないと思うので、ネット麻雀でその辺も意識しながらトレーニングするのもいいんじゃないかと思っています。