2016年12月11日

後のない親番はテンパイ効率を重視する

今回は、点棒の沈んだ状態で迎えた南場の親番における手牌の捌きだ。


具体的な点棒状況にもよるが、
ダンラスで迎えた場合の親番はとにかく牌効率を優先し、
先制リーチを打つことのみを考える


これは言い換えると、緩手を打たない、ということである。


後のない親番で何が最悪かと言ったら、
放銃することではなく、ノーテン流局で親が流れることだ。

牌効率を重視することは、この最悪の事態を防ぐことにもつながる。


牌効率を重視するというのは、
具体的には孤立字牌よりも孤立数牌を優先させるということであり、
1や9といった老頭牌は有効牌が1・2・3の11枚なのに対し、
西は残り3枚しかない。単純枚数でも雲泥の差だ。


この場合の優劣は、老頭牌(1・9牌)>>>>>オタ風  であり、
重なりに価値の高いファン牌ですら、老頭牌>ファン牌  ぐらいの認識でいいだろう。

ある程度形が決まってからは判断に差が生まれないことが多く、
重要なのは最序盤の第一打、第二打をいかに丁寧に選べるか、だ。

このへんは、強者を観戦してみるとわかるが、
かなりバラバラな配牌からも丁寧に字牌を選んでいることが多い。


後のない親番には、「手役」というものは存在しない、と考え、
がむしゃらにリーチを放つことのみを考えた手組みを意識するのがいいだろう。


それでは、実戦例から見ていこう。



@後のない親番に三色というものは存在しない case1
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オーラス、20300点持ち3着目の親番。

後がないというほどではないが、下家のラス目とは3900点差。
ノーテンが許されない状況だ。

急所のカン4sが埋まって、なかなかの感触。

789三色の形がはっきりと見えているが、さて何を切る?





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後のない親番に三色というものは存在しない。

789の三色になれば仕掛けも効くと考えると、
南単騎待ちも視野に残したくなるが、
有効牌が限定されるため、緩手になる可能性が高い


南単騎リーチは状況的に若干かけにくいものの、
南の重なりを見つつ、内に寄せる。不自由な三色は見ない。


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待望の雀頭ができ、ここで1p切り。

手広く構えられるくっつきテンパイは先制リーチに持ってこいだ。


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絶好の赤5mツモでテンパイ。

即リーチに踏み切る。


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一発ツモ(裏1)の6000オールでラスト!

三色に拘っていると赤5mのターツが河に並んでいた可能性もあった。



A後のない親番は字牌より老頭牌を優先させる case2
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オーラス2700点持ちダンラス目の親番。
正真正銘、後のない親番だ。

整っているとは言えない配牌だが、さて何を切る?





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ソーズのホンイツが十分に見込めると考え、9p切りとした。

一見何事もないように見えるが、これは実は緩手だ。

ダンラスという点棒状況から打点も見込める選択を取りがちだが、
悪い状態からはステップを踏んで回復していかなければならない
一撃で取り返そうというのは虫のいい話だ。


テンパイ効率という観点から言えば、ここはオタ風の西を切るべきだった。


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手なりで字牌を切っていくうちに序盤にして早くもフリテンができてしまった

これが字牌残しの弊害であり、
東場であれば何ら問題ない手順だが、
後のない親番でこのフリテンを作っているようではいけないのである


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5sをツモってタンピン含みのイーシャンテンとなったところ。

69pはフリテンだが、カン5mも場に2枚見えている。

対面がマンズのホンイツ模様だが、さて何を切る?





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フリテンターツを残して4m切りとした。

4m6mは対面に対して厳しい2スジだが、
最終形が残り2枚のカン5mとなってはあがりが期待できない。

69pは場況からまだ山にいそうなので、引き戻しを期待して残した。


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これ引くか!と言わんばかりの5m裏目引き。

痛恨すぎる裏目だが、さてどうしよう?





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ここで7p切りとし、今度はマンズのフリテンを残した。

ここを残せば危険度の高い6mを切らずに済む上、ドラにも対応できる。

苦渋の選択だが、受けつつ活路を見出すことにした。


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言葉の出ない、さらなる裏目。

天を仰ぐというか、いったい何をやっているんだと茫然自失になっている瞬間だ。


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さすがにこのレベルのミスが重なっては間に合わない。

リーチの下家が対面に8000の放銃で終了となった。


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何気なく切った9pの代償はあまりに大きかった。

このように、後のない親番のターニングポイントは最序盤にあると知るべきである。


ちなみに、この後極度の不調に陥り、七段に降段することになる。
不調はこういう何気ないミスから始まることも少なくない。
今見てもクラクラするような一局だ。



case3
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南2局1本場、8700点持ちダンラス目の親番。

3着目の上家とは親満程度の差がある。

配牌は8種でバラバラ感が漂うが、さて何を切る?





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丁寧にオタ風の北切りとした。

前回の失敗を踏まえ、こういう場面ではかなり慎重に第一打を選んでいる。

ホンイツに決めることが悪いわけではなく、状況を踏まえた打牌ということである。


tenhou.22171.jpg

白が重なって何を切るか?





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これぐらいの手恰好であれば、ホンイツを見ながらでもいいだろう。

愚形ターツをいくら増やしてもあがりに近づいていないし、
仕掛け前提なので、打点が高くなる受け入れを増やしたい。

このへんは理論というより閃きの領域だが、
ツモの感じや手の伸び方などから判断したい。


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白をポンしてまだまだ時間はかかりそうだが、3着目の上家からリーチが入る。

チーしてもあまり進んではいないが、
鳴いた方がマシと考えこれをチー。


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ツモが上手く効いて、テンパイが入る。

構想通りの最終形に仕上がった。
ピンズの上はかなり出にくいところだが。


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テンパイの入った下家から出て5800となった。

結局この半荘はこのあがりが効いて3着フィニッシュとなった。


失敗したcase2と今回では何が違うかというと、
ホンイツの判断巡目を遅らせて、メンツ手の伸びに柔軟に対応できるように構えていることだ

これによって、打点的な妙味は減るが、
致命的な裏目を回避することができる。

後のない親番では保険を掛けつつ手を進めることが重要だということだ。



B後のない親番に国士というものは存在しない case4
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南2局、4800点持ちラス目の親番。

下家が6400点と競ってはいるが、後のない親番には変わりない。

8種とかなり厳しい配牌をもらったが、さて何を切る?





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スジが被っているので9s切りとした。

こういうケースでは効率が犠牲にならないのでファン牌を優先させるわけだが、
マンズ、ピンズは一通になる可能性を考慮した。

ドラ受けのターツがあるので、国士は見ない。
というか、国士の河は隙になるので、親番ではよっぽどの場合を除いて狙わないのが基本だ

この場合は競っているのでまだしもだが、
ダンラスの場合は好き放題に仕掛けられる上、流局ノーテンが大半となってしまうからだ。


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異種の字牌しかツモらない。

狙っていれば現在イーシャンテン。


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国士ツモぉ!

河と合わせて国士が出来上がってしまった。
実戦中もそれについては意識していたが、
それと同時に流し満貫は少し厳しいかなと考えている。


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結局、下家の一人テンパイで流局。


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実際は途中で下家の当たり牌を掴んでいた。

よかったよかった。

この半荘は結局ラスだった。

よくねーし!



C後のない親番でチートイツの決め打ちはしない case5
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オーラス1本場、15100点持ち3着目の親番。

上家とは現状2500点差で、絶対にノーテンが許されない局面。

トイツの多い手牌から、5mをツモって捌きが難しい。
さて、何を切る?





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5mツモ切りとした。

この手は感覚的にはトイツ手が最速なのだが、
8mをトイツで残すことでタンヤオの渡りやすさを見た。

8mツモや8mポンによるタンヤオ移行を見たのと、
裏目の6mツモが全く痛くないことから5mを切った。


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チートイイーシャンテンとなったところ、東を持ってきた。

この東は待ちになった時に狙い頃だが、さてどうしよう?





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ツモ切った。

東場なら6p切りで決め打ちするのも全然ありだが、
メンツ手のロスがある以上、なるべく手牌の形を壊さない選択をしたい。

絶対にノーテンが許されない局面であることを踏まえると、
形テンの可能性を低める東残しは、ここでは緩手だ。



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8pが重なり、テンパイ。

ドラ待ちのダマテンに構える。

上家からリーチが入ったら4pのサシコミも考えている。


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上家からリーチが入るも、宣言牌が7pでこれに声がかからず。

サシコミが効かず、仕方ないので当分押すことになる。


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終盤になり、対面からも追っかけリーチが入る。

さて、どうしよう?





tenhou.27545.jpg

9m切ってオリた。

上家からリーチ棒が出て、上家との現状の差は3500点となっている。

下家は明確にオリているので、
ここでオリられる条件は、二者テンパイが確定すること=つまり対面がリーチすること、で可能となる

このへんの逆転計算は非常に緻密な状況判断が求められる。
これについてはまた他の記事で触れたいと思う。


tenhou.27546.jpg

しかし、無念にも上家がツモ。裏1で2000・3900となった。

ドラは依然として山に2枚眠っていて、私が勝つ可能性も十分にあった。


このように、ノーテンが許されない局面ではチートイツの決め打ちはできるだけ避ける
渋々メンツ手との天秤に受けるのが正解だ。



D後のない親番では形テンは少し早めに取る case6
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南3局1本場、13100点持ちラス目の親番。

下家が明らかなマンズのホンイツ仕掛け。

8m手出しにここしかないという9mを持ってきた。
さて、どうしよう?





tenhou.27100.jpg

押した。

ここで我慢して次局に行っても逆転までの点差が厳しすぎる。

後のない親番だけにここは勝負もやむを得ない場面だろう。

5割ぐらいは当たるイメージだったが、幸いにもポンで済んだ。


tenhou.27101.jpg

下家から西がツモ切られたが、さてどうしよう?





tenhou.27102.jpg

これはポンするに妥当な巡目だろう。

これより若干早くてもポンだが、
これをスルーはテンパイ取りが危ういし、早すぎても隙になる

形テンのばれる仕掛けはできるだけ終盤に取るのが基本で、
後のない親番はそれよりも若干早めていい。

具体的には終盤の入り口、12巡目ぐらいで形テンに取っていいだろう。


tenhou.27103.jpg

この局は、なんと海底で下家が上家に8000の放銃。

この結果を見るに、形テンを入れるタイミングとしては絶妙だったようだ。

これで下家とは4000点差以内に肉薄。

オーラスは5200をあがり切り、奇跡の3着捲りは成った。



ラベル:天鳳 定跡
posted by はぐりん@ at 21:14 | Comment(2) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
1、9m、南と切りますね。
バッタだと、結構厳しい待ちに見えます。

2、9pしかないですね。
順子手志向な人は残す人もいるんでしょうけどね、これは私なら全く気にしませんね。
7pが来る順番的ってどうだったのか分からないですが、
もしかしたら、カン8pとカン5mとソーズを伸ばすか選択になるので、
結果的にも同じことになってるのかも知れません。
他の面子が出来る前に789と来ないといけないんで、9pを生かせるケースってレアかなと。
それに、ペン3sがネックになると面前だと厳しそうですが、
1s2sは割と仕掛け易い所なので、混一は見ておきたいです。
西もいらないといえば要らないでしょうけど、9pもそこまで重要とも思えないですね。
萬子もそんな良い形でもないし、後は2pが浮いてるだけですからね、、、

3、字牌から行きます。
あわよくば染めますが、字牌だらけなんで数牌生かして大抵、手なりでしょうね。

4、これは9sかな。9mでもいいですが。

5、8m切りそうになりましたが5mですね。
8pは捉えきれないな、あそこで8p切りですね。私なら。
3mは押さないと思います。

6、これは押さないと仕方ないです。
下家のツモ回数増やすのが嫌ですが、面前で張っても和了目はなさそうなんで、これはもう鳴きますね。
Posted by spacemj at 2016年12月11日 23:32
>>spacemjさん
1、2pツモは迷路にはまりそうなので、雀頭固定が好みです。

2、実戦ではmjさんと同じ思考で12sポンのホンイツが早いと直感的に思ったんですが、字牌が全部孤立である以上、9p切りはロスが大きいと思います。
もちろん、結果的に同じ牌姿になることは多々ありますが、捉えられないメンツではなかったため、状況に鑑みるとやはり西切りが正着だったと考えています。

5、4s切りは下家へのアシストも兼ねてという感じです。

6、仕掛けが多めに入っているのでまだ意外と山は残っているんですよね。なので少し考えました。
Posted by はぐりん@ at 2016年12月12日 18:17
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