





今回はこの形から3pを切るメリットについて。
イーペーコー形を見て6pを切るのも普通だが、
イーペーコーを捨ててもここから3pを切るメリットというのは少なくない。
上級者になればなるほど3pを切る手筋が多く見られる。
それでは具体的にどのようなメリットがあるのだろうか?
実戦例から見た方がわかりやすいと思うので、文章での説明は簡潔にしておく。
@受け入れの増加
最も大きなメリットはこれ。
仕掛けている時はイーペーコーがつかないので差は顕著になる。
A受けに強い
@に付随して、横に伸ばすことにより、スライドできる種類が増える。
相手の攻撃に対して受けやすくなるメリットがある。
B危険度の勘案
ケースバイケース。
Cドラが6の時
イーペーコーもドラも同じ1ハンなのでドラを優先する。
例外:チートイツ・トイトイを見る時
チートイツ等、縦の手役を見る場合は、イーペーコー形を固定するのがいい。
これは場況によって判断していく。
それでは、具体的に実戦例から見ていこう。
@受け入れの増加 case1

何を切るか?

これが基本のパターン。
8pツモで三面張になるし、9pツモでも受け入れが増加する。
9pツモならソーズのカンチャンをどちらか固定して、好形リーチを目指すのが手筋。

難しい方が先に埋まって文句なしの即リーチ。

対面から出て裏なしの3900。
4p切りが上手いこと迷彩となったが、自然な手順なので理想的だ。
case2

何を切るか?

何気ないが、こういう牌姿は腕の見せ所。
ドラが7sだけに、トイツ手の保険よりもドラ受けを重視する。
発はポンテンに取るつもりで、ピンズの中ぶくれを生かしてのタンピンも視野に入れた。
3sを切っておけば発ポンテン時にもドラ受けが残るのが大きなメリットだ。

4pを引き入れ、こうなれば手順でタンピンへ。
ピンズは絶好で、ソーズ先埋まりならアガリは固い。

これだ。
これを想定しての3s切り。
ここではMAXに南切りとした。

上家の1000・2000ツモとなった。
case3

ドラが中。何を切るか?

1s3枚切れで、2sが良さそうなので少し迷うが、2s切りとした。
14sの比重は高いが、裏目がほぼない。

狙い通りに7sを引き込み、即リーチに踏み切った。
上家がカン4sを仕掛けている。
ここで考える点は、上家の元々のツモ筋に4sがいる可能性がある、ということ。
つまり、仕掛けが真っ当なものでなければ私にチャンスが巡ってきている。
仕掛けの正誤というのはこういう点から因果関係を考えていく。
仕掛けでツモってきた牌は意味があるので、できるだけ活用するようにする。
これについてはまた触れる機会があるだろう。

2sを切るメリットにこのツモがある。
仮に5sを切っていると、この6sに対応できない。

海底でツモって裏7sの3000・6000となった。
基本的に上家の仕掛けで入ったテンパイは強いと考えていい。
仕掛けてすぐにオリているようならチャンスと考えるべし。
case4

ドラが9mで浮いていて、下家の親がダブ東を仕掛けている。
さて、何を切る?

ドラはまだ切らずに7sを切った。
なかなかに複雑な形だが、2sを切ってしまうと3sの受けがなくなる。
ドラを切って鳴かせてしまうと打牌にかなりの制約となるので、ギリギリまで絞りたい。

このツモならドラ勝負に値する。
対面がドラを切っていて、ポンの声はかかっていない。
幸いにもチーされず。

狙い通りの3sツモで即リーチに踏み切る。
イーペーコーを犠牲にしてもこの3sの受け入れは大きい。

しかし、対面の500・1000にかわされてしまった。
What a day!(なんて日だ!)
case5

南家リーチに対して何を切るか?

これは自然と3mに手がかかる。

何を切るか?
かなり難しいが、ここでは3pを切った。
ドラまたぎの4pだけは打たない構えの完全イーシャンテンに受けた。

3mを切っておくメリットとして、このツモがある。
6mを切っていると、このツモで7mの受け入れが増えない。
さて、何を切る?

25mが強そうなので、全力MAXの6s切りとした。
一時凌ぎの3m切りは、意外とこの後の打牌に困るし、アガリ逃しの可能性が出てくる。

狙い通りの2mツモで勝負と行ったが、さすがにこれはアウト。
裏なしの2000で済んだとなれば御の字だろう。
ちなみに対面のCheさんがまだ六段だったころの貴重な画像。
このブログでは鳳凰民の歴史も学ぶことができる。
case6

何を切るか?

1m切りとした。
純チャンになりそうで意外となりにくい牌姿。
4m切りはペン3m依存が強すぎる。
三色主眼であれば、5mツモの変化は決して侮れない。

3sのチーテンに取った。かわし手の認識。
3sチーからなら、仕掛け後にも5mツモ等の変化に対応できる。
何気ないがこういうところで差が生まれる。

対面から出て1000点となった。
case7

他家視点。
2フーロのホンイツ仕掛けだが、下家の親から早いリーチが入っている。
さて、どうしよう?

4sツモ切り。
さて、この4s切りにはどんなメリットがあるだろうか?
すぐに浮かぶのは8sツモでの三面張変化。
その場合はシャンポンに取ることも考えられるが、ともかく8sツモの対応が可能となる。

中が出たが、さてどうしよう?

ポンしての4s切り。
7sを切っているとトイトイにはなるが、この58sに受けられない。
親のツモを増やすポンだけに、これはどちらもあるが、
58sが強いと見れば仕掛ける手はある。

狙い通りに2000・4000ツモ。お見事。

仮に7s切りなら中ポンで6s切りのトイトイに受けることになるが、
6s切りなら親に9600からの放銃となっていた。
選択ひとつで結果は180度変わっていることがわかるだろう。
58sに対応しつつ、最終形を強くすることに成功している。
このように、イーペーコーがつかない仕掛け時は、横に伸ばすメリットの方が大きい。
A受けに強い case8

下家リーチ一発目。
大トップ目だが、さてどうしよう?

7p切りとしたが、これは4p切りの方がいいだろう。
理由は、赤5pを持っていることより下家に対しては7pの方が危険であること、
さらに7pを残すことによって、7pツモ時に69p受けの選択肢が増えること、
そして連続形にしておくことで58pツモ時に柔軟な対応が可能となるからだ。
7pを残すことで、再度47pツモ時にスライドの選択が可能という利点もある。

6pの方をツモって1300・2600となった。
点棒はいらない状況なので、受けに強い形を選ぶべきだろう。
B危険度の勘案 case9

上家が3フーロ。さて、どうしよう?

8m切ってダマとした。
上家がホンイツでなければ25mはかなりの危険スジ。
ダマなら拾えるマンズだけに、ラス目の上家と直対になるのは避けたい。
この場合は3mを切ってるので4mツモのメリットはないけれども。

すぐに出て、2000でかわすことに成功。
上家はトイトイ付きの本手だった。このかわしは大きい。
case10

ラス目の親からリーチが入っているが、何を切るか?

ここは丁寧に5mを切るところ。
手役よりも安全度を重視する。2mはシャンポンがあるかもしれない。

ズバリ6sが埋まったが、さてどうしよう?

7pはかなり切りにくいが、このツモなら押せる。
36mはまだ山にいそう。

即ツモで2000・4000。
私の7pは強いが、例えば上家の手から6mがこぼれる可能性もあっただろう。
Cドラが6 case11

何を切るか?

縦横混合で難しいが3p切り。
上家が回戦落ちなので…

仕掛けの受け入れを多くするのが有効となりやすい局面。

500・1000ツモで親流しに成功した。
例外:チートイツを見る case12

何を切るか?

6p切りとした。
対面と下家の河が変則的なことに気づくだろう。
258s、258p、58mと、同種のスジ牌が河に多く見られる。
これはトイツ場によく見られる傾向だ。
なので、トイツ手の含みも残した6p切りだ。

ズバリドラ引き。下家の河からこのドラは山にいそうな感じもあった。
さて、何を切るか?

トイツ場の基本は両面ターツにこだわらず、場に見えている牌をどんどん切っていく。
場に見えていない69mは固まっている可能性もある。

ドラポンから仕掛けて…

ちゃっかり南を暗刻に。
これはアガれちゃんじゃないの?

そうは問屋が卸さず。上家の2000で決着となった。

なんとなく縦系の場であることは伝わるだろうか?
上家は北のトイツ落としをしているにもかかわらず、手がトイツに寄っている。
河から兆候を捉えて、トイツ手に寄せる工夫をした一局。
最後にテストだ。張り切っていこう。
case study

バックで急所のカン4sを仕掛けている。
さて、何を切る?

これは一見7mを切りたくなるが、1m切り。
発依存の手なので、カン2mの受け入れよりも、367mのポン材の方が重要。
このへんは仕掛けとメンゼンで分けて考えていく必要がある。

発をポンできたが、何を切る?
対面からはリーチが入っている。

ここは基本通りに7mを切る。
4mを残すことで、25mへの変化を見ることができるし、
36mツモでフリテン超好形変化や、連続形で36mを使い切る可能性など、
変化に柔軟なメリットがある。

下家が1300の放銃となった。
このように、334456から3を切ることで、柔軟な変化を見ることが可能となる。
点数が特別必要のない局面では、横に広い形を重視した方が得なことが多いだろう。
ええ。麻雀も投資も似たようなもんですからね。
危ないと思ったらベタオリですわ。
思っているよりも、有効な受け入れが多いなというのは書きながら私も感じました。
特上時代と打ち筋が若干変わった部分もあるんですが、こういう普遍的な牌理は時代に関係なく使えるので重宝しますね。