今回は、中スジを警戒すべき河についてまとめていきたいと思う。
具体的に、中スジといえば、以下のパターンがある。
(1)





(2)





(3)





(4)





(5)





(6)





以上の6パターンがあるわけだが、これらにはある共通点がある。
それは何だろうか?
そう、全てのパターンでど真ん中の5が絡んでいるという点である。
これはつまり、赤5を生かした待ち取りになりやすい、ということである。
Mリーグにも赤が導入されているように、昨今の麻雀は赤入りが全盛となっている。
赤が1枚あればリーチによる打点効率が十分となるだけでなく、フリー雀荘では祝儀がつくということもあり、収支的には赤をいかに上手く使うかが重要となってくるのは今さら言うまでもないだろう。
赤5は手牌の中で孤立牌としてくっつき待ちの対象となりやすく、3や7がくっついての愚形待ちは、スジ関係なく警戒すべきだと言える。
また、








それでは、リーチにおいて中スジを警戒すべき河にはどのようなパターンがあるかを以下で解説していきたい。
@単純中引っかけ 頻度A 危険度C







待ちの形


オーソドックスな中引っかけは頻度も多く警戒しやすい。
同色の赤が見えている場合は中スジでも割と押しやすい。
待ちのパターンが多く、リーチをかける側とすれば打点がなければ引っかけでもカン6待ちには抵抗があるからだ。
ただし、わざわざ無スジ方面でカンチャン選択をすることはまずないため、その分危険度は上がってくる。
A離れトイツ落とし 頻度B 危険度A







待ちの形


中スジを特に警戒すべき河は、これだ。
離れトイツ落としが宣言牌の場合、それが周辺の両面待ちに絡んでいるケースは少ない。これは以前の記事で述べたとおり。
宣言牌の3pが待ちに絡んでいるとすれば、危険度が特に増すのは2ケン隣のシャンポン(1p、5p)と中スジの6pとなる。
逆に言えばこの河の場合は2pの安全度がかなり高まる。
B多面張 頻度D 危険度D







待ちの形




やっかいなのがこれ。
多面張における中スジ待ちはかなり警戒しづらい。
丁寧にオリていても打ってしまうこともままある。
特に4pが場にたくさん見えていると逆に放銃してしまいやすい。
場に高い色の中スジは警戒の度合いを高めたい。
C手役絡みの先決め 頻度E 危険度D







待ちの形








これもB同様、見抜くのが難しい。
単純牌効率でリャンカンを先決めする場合は基本外側に寄せられやすいが、手役絡みだと中スジ先固定がある。
関連となる2pの手出しが直近となりやすいので、そのへんを判断材料に組み込む。
D場況絡みの先決め 頻度C 危険度B







(6pがポンされた直後に7pが出てきた)
待ちの形


特に腕が問われるケースがこれだ。
場に薄くなった待ちは必然的に嫌われやすい。
そこで、薄くなっていく中張牌に対応して他家がどのような手出しをするか時系列的に見ることで、中スジを絞る過程が掴めることがある。
場に出ている枚数によって中スジの危険度が全然変わってくるため、場況の変化を具に観察することが重要になってくる。
これらのケースが、実戦でどのように表れてくるかを以下で見ていきたいと思う。
順不同で様々なパターンを用意したのでみなさんも一緒に考えていただきたい。
それではどうぞ!
case1

東1局1本場。
対面の南家からリーチが入って一発目。
こちらはブクブクに構えていたが、さて何を切る?

3s切りで、受け気味とした。
中スジが匂う河というのはこういうのではないだろうか。
赤5mも見えていないので、一発目で打つのは気持ち悪い6m。
特に6m3枚見えということは、マンズの急所となっており、その分危険度も若干上がっていると考えられるからだ。

8sは高目一発ツモで、2000・4000。
中スジなんて全然関係ないやん!と思ったあなた、正解です。

対面はくっつき+αの形。
くっつきテンパイの時は、宣言牌がフェイクになることが多く、待ち読みが難しくなる傾向がある。
case2

東2局、原点の西家。
上家からリーチが入っているが、ここから何を切るか?

8s切ってオリた。
危険度の高い25mのスジ掴まりはヤメ時のサインか。
1枚切ってる9sをなぜ引っ張ったのだろう?と考えることが大事な場面。

手の入っていた対面が中スジで放銃し、5200。
ソーズを切るなら5sからの方が良かっただろう。
この場合、宣言牌前のツモ切り牌が脂っこい3pと6mなので、9sが単純なトイツ落としかどうかというのは分かりかねるが、安全牌を挟んでの9s手出しだった場合は、さらに6sの危険度は高まる。
通常9sが最終手出しの場合、7sや8sの危険度は高まるが、8sが通った上に4枚見えているので、周辺の愚形待ちがかなり限定されている。
かつ、私の目から6sが3枚見えているので、6sはソーズの急所であり、9sが待ちに絡んでいるとすると、6sの危険度は跳ね上がっていることがわかるだろう。
中スジ待ちを警戒する時は、その色の急所がどこなのか、場にたくさん見えている牌がなんなのかを合わせて考えると危険度がより鮮明に見えてくる。

8sが2枚見えた瞬間というのもポイント。
この場合は赤があるから必然にも見えるが、789変化も見ていたものと思われる。
直前に切られたのが仮に6sだとしたら、場況からカン8sリーチも十分に考えられる。
宣言牌がどれぐらい手牌に関連しているのか、これを読み解くことが重要だとわかるだろう。
case3

東3局、トップ目の親番。
上家からリーチが入って一発目。
現物は1枚もないが、さて何を切る?

2p切りとした。
離れトイツ落としにつき、チートイツがほぼないのが救いで、2pの安全度が高いと読める。

次巡、8pを持ってきて手詰まり継続。
さて、何を切るか?

1pが通ったので、対面にも安全な4pを切ると、これが当たりで2600。
赤も見えたので油断したが、リーチに対してのみ考えるならば明らかに8pの方が安全だった。
この場況で69p受けを嫌う理由がないので。
1枚切っている7pを引っ張った理由を考えると、カン4pと9pシャンポンの可能性は見たいところ。
ただ、場況的にはトイツ場なので、生牌の8pで打ったらコーツ系の大物手ということはありそう。実戦ではそういうのが少し見えたのかもしれない。

345も見ながらの選択ということで、ピンズは横受けを重視したようだ。
このように、離れトイツ落としが宣言牌の場合は、手牌に関連していることも多く、中スジは特に警戒すべき待ちとなる。
しばしば赤絡みの追っかけリーチでも見られるので、注意していただきたい。
case4

東4局、2着目の親番。
上家から先制リーチが入っている。
こちらもチートイツのイーシャンテンだが、さて何を切るか?

穏やかに東切りとした。
中スジの5sを切って、最大限アガリを見ることも考えたが、ネックの7pを引いたので。
5s自体は場に1枚見えている上、6sも3枚見えているのでかなり安全そうに見える。

…と思っていると、下家が5sで放銃。ドラが暗刻で8000。
まさかまさかの三面張で5sは完全に盲点となっていた。
強気でいかなくても私が放銃していたかもしれないと思うと、ホッとした。
このように、変則多面張時に不意に中スジに刺さることがある。
こればっかりは注意しても回避が難しいことが多い印象だ。
通常厚く持たれているところが危険だが、本ケースではソーズも結構場に見えてるしね。
case5

南2局、トップ目の西家。
3着目の親からリーチが入って一発目。
困ったことに安全牌は1枚もない。しかも下家が切った9sにラグがかかっている。
さて、何を切る?

ノータイムで4pを切ると、これが当たり(;´Д`)12000でのけぞる。
カン4p先固定って、んなアホな、と思うでしょ。

親のイーシャンテン形がこれ。
超十分形から345三色の含みがあって、7p切りは完全に必然。
こういう必然の先固定は迷わなくていいやね。

この9sラグを見てしまうとどうしても9sは切れなくなる。
へんな9s残しちまったなあと思っていた。
カン4pチーを見ていたのだろう。
case6

東4局、僅差3着目の北家。
終盤に2着目の親からリーチが入る。
宣言牌は7m。

自身最後のツモでマンズの選択となった。
どちらを切る?それともオリる?

これは自信を持って2m切りとした。
親の宣言牌7mは危険度が高いこともあるが、手牌に関連している可能性が高い。
マンズのスジは全体的に36mの危険度が高く、それを使い切る手組みにしている可能性が高い。
778から7を引っ張っているというより、感覚的には愚形絡みで7mを引っ張っていると読む方が、この終盤のリーチからもしっくりくる。
例えば357mのリャンカンからならどちらかというと3m切りを嫌って7m切りにしたということは十分に考えられる。
かつ、私の目から4mが3枚見えているので、愚形待ちなら4mはド急所となる。
7mが関連牌である可能性が高いと踏まえると、同じワンチャンスでも2m切りの方がかなり安全度は高いと考えられるだろう。

結果は下家が最後のツモでツモアガって、裏1の6000オール。
ご覧のように、単純なリャンカンではなく、複合形の変則待ちだった。

親はカン6mテンパイから、私の当たり牌である3mを使い切ってのリーチだった。
私の待ちが3mだったこともあるが、感覚的に36mは使い切られてるな、ということがわかった。
その上で、この終盤のリーチは役なしかつ十分形ということで、7m周辺の複合形になっている可能性が高いと読めるわけだ。
場の危険スジが36mであることから、36mを放出しない手順の裏読みとして、カン4mという中スジ待ちが浮上してくる。
例えば、35666mであったり、本ケースのように3335mであったりと。
お互いの待ちを読み合った上で、一歩も引かない応酬を繰り広げている、なかなかレベルの高い攻防と言えるのではないだろうか。
case7

東2局、トップ目の北家。
ラス目下家の親からリーチが入る。

こちらも攻め返せそうなチャンス手だが。
さて、ここから何を切る?

2p切りとした。
本来は4p切りとしたいところが、時系列で見ると4pにはある懸念があった(後述)。
切りづらいソーズの上を持ってきたし、2pなら確実に2巡凌げるというのもある。

3pチーしようとしたら、長らく止まって邪魔ポンされてしまった。
く〜、これは痛い。

結果、私はテンパイできずに二人テンパイで流局。
OH!4pアタッテ〜ルヨ!

ポイントはここでの7p手出しだ。
6pが2枚場に切れているので、中スジ固定するにはいいタイミングに見えた。
私が4pに感じた一抹の不安というのはこういうところにあった。
中スジを見抜くポイントとして、周辺牌の切れ具合に注目していくと先決めが匂う手出しというのをある程度感じることができる。

ここで自然に4p切りでも全然おかしくはないと思う。
が、それだと裏3と言われてこの半荘自体が危うくなっていた。
細かいところだが、7p手出しに何を感じるか、それによって本局の結果が大きく変わっていたのではないかと思う。

ちなみに、3pがチーできていれば、逆に私が8000のアガリとなっていた。
わずかな選択の違いによって結果が大きく変わる麻雀の醍醐味が本局に表れていると言えよう。
く〜、やりますなあ。