仕掛け高打点のテンパイにおいて、両面とシャンポンの選択があるとする。
この場合、枚数重視で両面を選ぶのはごくごく自然であり、間違いということはない。
一方、相手の仕掛けが高打点とわかった場合、あなたはどういう対応をするだろうか?
見えている高打点に打つことほどバカバカしいことはない。
その仕掛けにだけは放銃しないように引き気味に構えることがほとんどだろう。
鳳凰卓のような相手のレベルが非常に高い卓で長期間打っていると、気づくことがある。
それは、見え見えの両面待ちは出アガリできる確率が極端に下がる、ということだ。
バッチバチの殴り合いならともかく、守備重視の卓では高打点が確定した仕掛けに対して無スジというのはほとんど出てこない。
だからこそ、枚数重視に受けるのだ、というのも一理あるが、正攻法ばかりでは相手の対応が楽になってしまう、という一面もある。
シャンポンにしていたらアガれていたかも?というケースは結構あるのではないだろうか。
シャンポンの出アガリ率が高まる理由は、2種の待ちに脈絡がなく、スジにかかりやすいからである。
仕掛けにおいても無スジよりスジが切られやすく、手順で否定された中スジなども出やすい傾向にある。
つまり、
@両面の待ち8枚のツモ率+1%の出アガリ率
Aシャンポンの待ち4枚のツモ率+10%の出アガリ率
期待値が@=Aになるような状況において、シャンポン待ちを仕掛けるのが一つのタイミングだ。
例えば、両面の出アガリ率が限りなく0%になる相手なら、シャンポンの選択率をやや高める。
両面待ちが相手に持たれている要素があるなら、シャンポンの選択率を高める。
シャンポンが出やすい要素が多いならシャンポンの選択率を高める。
同じメンツと長時間打つことが確定しているなら、シャンポンの選択率を高める、などである。
正攻法ばかりでは攻撃のパターンが一定化して、相手も受けやすくなってしまう。
戦略的にシャンポンを使用することはこちらは期待値との兼ね合いで選ぶものだが、放銃した相手方にとっては奇襲攻撃にやられた、というネガティブイメージを植え付けられてしまうものである。
これを1回見せておけば、相手は疑心暗鬼になってメンタルを攪乱でき、これが長時間打つ相手にはジャブのように効いてくる。
それからこれはあまり語られていないことだが、
仕掛けにおけるシャンポンの選択はメンゼンリーチにおけるシャンポンの選択よりも有利だ。
なぜなら、リーチには裏ドラがあるからだ。
リーチの際に広く受けることは裏ドラの相乗効果があるため、特にチップ麻雀においては必須となるが、仕掛けにはこの効果がない。
なので、トラップ的に仕掛けるとすれば鳴いている時の方が有効に働きやすい。
手が狭くなればなるほど相手に手牌を読まれやすいという、仕掛けのデメリットを補う効果もある。
口で言うのはたやすいが、実際に手牌をもらうとシャンポン待ちを選択するタイミングは極めて難しい。
高打点だけに大事にいきたいという思考が邪魔をするからだ。
これを打破するために、自分なりに工夫する必要がある。
トータルで見ればシャンポン待ちも悪くない、という状況は確かにあると私は思っている。
今回は実戦例をいくつか挙げるので、それをヒントにアレンジしていただきたい。
それではどうぞ。
case1

南3局1本場、13200点持ちラス目の西家。
9sチーして2000のテンパイを入れたところ。
供託リーチ棒が1本あるため、これをアガればひとまず上家と同点まで追いつける。
同点では座順でラスのままにつき、ぜひともツモアガリが欲しい。

待望の白ツモで、加カン。
これで点パネとなり、出アガリでも捲れる打点となった。

表示牌には中がめくれ、ドラ4追加の臨時ボーナス。
卓上がざわざわし始めた。

5mをツモってきたが、何を切るか?

ここで私は賭けに出た。シャンポンへの待ち変えだ。
他家の動向を見ると、上家と対面は明確にオリに転じた。上家は露骨に9pの暗刻落としだ。
しかし、9pは通っているわけではない、上家は安牌に窮している可能性が高い。
唯一攻め気を見せている下家は直前に生牌の南を切っている。
この南は安全牌として切られる可能性が高い。
また、マンズが安くなれば中スジの5mも狙い目だ。
この河では待ちが絞れないと考え、安全策で出る牌を狙いに行った。

ビンゴ!安牌に窮した上家から5mの方を捕らえて、12000の直撃。
直対相手からこの直撃はあまりに大きく、ラス回避に成功した。
安全度としては3mの方が上だが、両面からシャンポンに変えないでしょ、っていうところで5mが選ばれた可能性が高い。

山を開けてみると次の私のツモはズバリ南だった。
これは結果に過ぎないが、仮に上家が南を掴んでいても出ていたかもしれない。47mは出ることはないだろう。

この時点で47mは山に4枚、対して5m南は山にたった1枚。
ドラ4を見せたことで100%47mは出ないことを踏まえると、出アガリ期待のシャンポンはギャンブルだがそれほど悪くない。
上家が手詰まり風味、かつ私の河が強いことも加味したシャンポン受けが功を奏した。

こういう南を鳴き無しでスルーしておけば、シャンポン変化の際に奇襲として使える。
天鳳打ちは覚えておいて損はないだろう。
case2

東2局、12200点持ちラス目の西家。
対面からドラをポンしてテンパイ。
ここから何を切る?

マンズが安いので4m受けでもいいが、片アガリに不安があるのでシャンポン受けは普通か。
ただ、あまりアガれる気がしない待ち。

終盤に3sをツモって両面変化となった。
さて、どうしよう?

この段階で、4s手出しをしても25sは100%出てこない。
他家は受けつつマンズが劇的に安くなってきたので、2mのポロリがあるかもしれないと考えた。
また、対面の3s切りがやや強く、対面に4sをケアする意味もある。

自身最後のツモでドラをツモってきて加カンすると…

リンシャンにはまさかの4sがこんにちは。
僥倖の3000・6000に仕上がる。
天鳳ではこの場合、新ドラは乗らない。ちょっと前の記事参照。

この時点で25sは山に1枚、4s2mは山に2枚だった。
25sがこれだけ薄いのはちょっと読み切れない。
ツモアガリなので結果はたまたまだが、安易な両面変化にとらなかったことが奏功した。
ドラを切り出した親にはさすがに手が入っていて、赤3。これは脅威だった。
最終手出しが4sだった場合、親が海底で2sをツモったとしてもオリを選択する公算が高い。
このように、シャンポンの方が山に多ければ、出アガリ含めて期待値が高い選択をしたといえる。
枚数を正確に読むことは困難であるが、こういう状況で狙うことができれば優位性があるということである。
case3

南2局2本場、21600点持ち3着目の北家。
自風の北をポンテンに取ったところ。
5200と打点も十分で、この手を確実にアガりたいところ。
トップ目とは10000点差で圏内だが、ラス目とも6000点差と予断を許さない。

ほどなくしてドラをツモってきた。
さて、どうしよう?

ドラとのシャンポンにした。
これは上級者でも迷いどころではないだろうか。
5200でも確実に加点できればラス転落はなさそうだからだ。
私が考えたのは、片割れの9sの出やすさと、二者の仕掛けにより持ってきたドラという点だ。

これがズバリ嵌って、対面から8000の奪取に成功。
タンヤオ風味の仕掛けから、スジを追っての放銃だった。
出来メンツからの放銃となれば対面も感触が悪かっただろう。
このアガリで2着捲り、最終的にも2着で終了した。

この時点で25mは山に4枚、3m9sは山に1枚だけだった。
トータルで見れば枚数重視の両面受けは無難であることがわかる。
ドラまたぎの25mは場に現れることなく、先に9sでのアガリがあった。
このケースでは、場況含めて9sという端牌が使いづらいというところに優位性があった。
このあたりも判断材料に含めると、よりシャンポン待ちが利用しやすい場況を見つけやすくなるだろう。
天鳳の鳳凰卓で打ったことはあるでしょうか?
この状態から手出し赤5mとしたとしても47mはまず出てきません。
それなら打点を下げる赤切りは悪手に近いと考えられますよね。
ドラ4が見えている状態で小細工は通常効きづらいのと、鳳凰卓という土俵ですね。
1回鳳凰卓で打ってみるとこの意味がわかるかと思います。