
南1局、33900点持ち2着目の親番。
対面がツモ切った1pにラグがかかる。

4sをツモって何を切るか?

ここでは何も考えずに1pを合わせたい。
ドラまたぎの14pはこの時点で超急所。
ラス目がドラターツを持っていることが濃厚であることから、
真っ先に処理しておきたい。
もちろん牌効率的には1p残しが有利なのだが、
自分の手はピンズの形が重く、
下手に引っ張っても危険度が高まるだけで、
ラグが1pを切るタイミングを与えてくれたと考えることもできる。
実際、上家の手には23pのターツがあった。
このように、19牌のラグは、複合形がそれ以上、それ以下に伸びないため、
牌理上、最終的に待ちとして残りやすいという特徴がある。
さらに、端牌は出あがりしやすいという意味で待ちとして優秀であるため、
その点からも積極的に払われるターツとなりづらい。
牌理、あがりやすさ両面から端牌受けは残りやすいという性質があるので、
端牌ラグについては特に意識して覚えておく必要がある。

別の半荘。
南3局1本場、12000点持ち3着目の南家。
上家の親が僅差のラス目で勝負所を迎えている。
9巡目、対面の1pにラグがかかる。

次巡、2mをツモってどうするか?

かなり悩んだが、ここでの決断は1p合わせだった。
これは賛否両論あるだろう。
親を積極的に流さなければならない自分の立場なのに、
効率を犠牲にしてあがり率を低めている。
これでドラの3pでもツモろうものなら大悪手となる可能性がある。
しかし、巡目を勘案した際に、親には1pが、他家には25pがとにかく危険すぎて、
ここで1p切りなり2p切りなり形を決めてしまわないと手遅れになると考えた。
対面の両面ターツ落としからの赤5m切りなど、
テンパイでもおかしくないレベルだと考えている。
そういう意味で、25pを固めて出ないようにしつつ、親の危険牌を先切りした。
悠々と構えている猶予などないと、感性がそう告げたのである。

実際にはこのような感じで、
対面の手を買いかぶりすぎていた。
親は両面両面のイーシャンテンで、
ラグのままに14p受けもあった。

この局はラッキーなことに、ツモあがりとなった。
親にあがれない2pを切られてあがりを諦めていた直後だった。
例えば、4sポンなど他にかわしの手筋もあったが、
身をじっと潜めてジタバタしないスルースキルが結果的には奏功した。
このあがりが大きく、この半荘は3着で終了した。

別の半荘。
南1局17200点持ちの北家、下三者が大接戦の現状2着目だ。
大トップ目の親からリーチが入って、対応していたが、
自分の捨て牌に注目してほしい。
9pを切れば、あと2回のツモで流し満貫が成立する可能性があるが、さてどうしよう?

流し満貫が確定している状況ならまだしも、
ここでの9p切らずは天鳳なら当然だろう。
この点棒状況ならなおさらなのだが、
9pを切れないもっと大きな理由がある。

この9pにラグがあったのだ。
自分の目からすでに5枚見えている69pだけに、
ここは下家の急所となるであろうことは、この時点で意識していた。
このように、急所となりそうな端牌ラグについては覚えておいて損はない。

結局、2人テンパイで流局。
4巡目両面テンパイの対面があがれないのもなかなか興味深い。

別の半荘。
南3局、7300点持ちラス目の北家。
好手牌をもらって鼻息も荒い。
1mのトイツ落としに入ったところ、この1mにラグがかかる。

脳汁が出る、最強のツモだが、さて何を切る?

当然1mを切る。
マンズが高く、前巡のラグを見ている以上、
この1mだけは切り遅れるわけにはいかない。

ところが、次巡に切った4pが間に合わず、5800の放銃となった。
手出しを見てわかるように、今テン。
マウスを放り投げたくなるような悔しい一手違いだ。

ご覧のように下家は147mと47p受けのあるイーシャンテン。
どちらかが先に入ればどちらかが待ちになるわけで、
ラグのある1mを先切りしたのは間違いではなく、むしろ正しい。
しかし、その情報を活用したことでかえって裏目の結果を招いてしまった。
過程が正しいからといって、最善の結果をもたらすわけではないのが麻雀のおもしろいところだ。

別の半荘。
東3局西家、23500点持ちの僅差。
親がダブ東をポンしている。
タンヤオのイーシャンテンから9mをツモ切ると、これにラグがかかる。

直後に下家からリーチが入り、こちらも7pツモでテンパイ。
テンパイに取るかかなり迷ったが、
先ほどの9mラグを見ている上、
ドラの8sに比重の高い最終形だ。
ダブ東ポンの親の切り出しがかなり派手で、
ドラドラぐらいはあってもおかしくはなく、
6m切りの勝負はリスクが高すぎると判断、4m切ってオリることにした。

ほどなくして、ドラをツモってしまう。
内心穏やかでないが、こうなったら6mが当たりであることを願うばかりだ。

それどころではなかった。
意外に安牌が増えずに、どう考えても安全そうな6pにロンの声。
4mがノーチャンスだが、親に対して23mは切りにくい。
裏は乗らずの2600だったが、
この局の失敗が大きく、この半荘はラスを引いた。
あがりを逃したばかりか、オリ打ちという最悪の結果をもたらしたのは、
何気ない9mラグに重きを置きすぎたからだ。
ラグ情報は勝つために有益な情報となりうるが、
使い方を誤ると逆に自分の首を絞めることにもなりかねない。
盲信したり、捉われすぎたりすることは、
自分自身の打牌に勝手に制限を設けることに繋がり、
伸び伸びと打てなくなってしまう。
相手が何をするわけでもなく、
考えすぎることによって、墓穴を掘ってしまうわけで、
繊細に考えすぎても上手くいかないところにラグ読みの難しさがある。

下家の69mは出来メンツで、特別鳴く必要のない手だった。
ラグ情報の取捨選択が上手くできないと、
このような自滅に繋がる可能性があることに注意が必要だ。
はぐりん殺すにゃ刃物はいらぬ、ラグの3つもあればいい