2015年12月20日

前もって予測することの重要性

政府の株の買い支えというのは市場原理に逆らった行為であり、
その金額がどれだけ大きいものであろうと、
結局はその企業が持つ本来の価値へと株価は収斂することになる

この視点だけは常に持っておく必要がある。


これは、10月25日の過去日記、単独トイツは仕掛けて良しにて書いた一文である。

12月18日の株式市場は、日銀の「補完的」緩和策を受けて乱高下し、
上下幅886円という大混乱を経て大幅反落となった。


外国人投資家は、過剰なボラティリティーを好まない傾向にあり、
市場を歪める日銀の介入は、「投資チャンス」というより「リスク」として捉えられてる向きが直近の雰囲気からは感じられた。

そこで私は、後場に高止まったところで、クリスマス用に持っていた買いポジをすべて決済し(損切り含む)、
ドテンで空売りのポジションを入れた。
猛烈に踏みあげられる恐怖を感じながらも、読みはピタリと当たった。


株式市場は反射神経の勝負とも言われるが、
私の場合、決断力・判断力が速いわけでもないし、優れているわけでもない。


それではなぜ上手くいったのか?


それは、あらかじめ展開を予測し、こうなったらこうするという風に決めていたからだ。

もちろん雰囲気的なアドリブというのもないわけではないが、
次の緩和によって日本株は崩れる可能性が高いという予測を持っていたからである。


これは麻雀においても同様であり、
あらかじめ何が来たら何を切る、何が出たら何を鳴く、
と前もって考えておくことは非常に重要だ。

なぜかというと、打牌や仕掛けをスムースに行うことによって、
相手に読みの手がかりを与えないことに繋がるからだ


時間をかけるということは、時間の浪費だけではなくて、様々なチャンスを逃してしまうことにも繋がってしまう。


予測しておくことで、急な事態にも対応でき、
判断力や決断力に欠ける優柔不断な人でもある程度それをカバーすることができる

自分の能力に欠けた部分を補ってくれるという意味で、
予測する力、予測する努力というのは日銀以上の大規模な補完効果を生んでくれる。



日銀の介入に対し、市場は明確にNOを突き付けたわけだが、
ひとつ、確実に言えることは、補完策の内容つまり金額の多寡は株価の下落とまったく関係ないということだ
ETFの買い入れが、3兆ではなくてそれがたとえ10兆だろうと20兆だろうと今回の下落シナリオは避けられなかっただろう。

日銀といえど、買ったETFはいずれは売らなくてはならない。
ボランティアでやっているのではない以上、トレンドに逆らった買い入れは外資のエサになってしまう。


日本の株式市場は手詰まり感が台頭し、短期的には円高方向に振れる可能性が高いと私は考えている。
政府が今後、どのようなウルトラQを放ってくるのか、注目していきたい。


今回は、この予測という内容に絡めて、
打牌をスムースに行うことのメリットについて、実戦例から見ていきたいと思う。


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オーラス、13700点持ちラス目で迎えた親番。
3着目の対面は17300点となっている。

長引いてくれたおかげで、終盤になんとかテンパイが入った。

さて、どうしよう?





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当然の即リーチだが、正解は「ノータイムでリーチをかけること」だ。


4mがドラである以上、打牌候補は1m切りか8m切りの2択だが、
マンズの切り順に特徴があって、
最終手出しが待ちに絡む以上、ここで悩むと完全にマンズがケアされてしまう

時間というキズを残しさえしなければ、
ドラ切りリーチすらそれに勝る選択肢に見えてくる。



実戦では、ほぼノータイムでかけられた。


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しかし、3着目の対面に追っかけられ、赤5pで7700の放銃。

対面は5mを暗刻から1枚はずしており、これはさすがに読めない。
山には7mが1枚残っていた。


いずれにしてもあがれていないわけだが、
麻雀の出来不出来という点から言うと、
選択による残り枚数の多寡よりも、テンパイ時にどれだけ悩まないかという方がよっぽど打てているかどうかのバロメーターになると私は考える。


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別の半荘。
東3局2本場、23500点持ち3着目の西家。

二役を積極的に仕掛けて、4mツモでトイトイが見える。
牌効率的には3p切りだが、二役が生きるトイトイは打点妙味があるため、ここでは6m切りとした。


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4mをポンしてテンパイだが、何を切る?





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どちらを切ってもいいが、絶対に悩んではいけない、これが答えだ。


実戦では、突然14pが猛烈に良く見え、少考してしまった。
4cmで悩んでしまっては、どう考えてもそばは出てこない。


8sは良さそうに見えるので8sポンなら14pに受けようかなと考えていたところ、
出にくい方の4mが突如出たので、少し戸惑ってしまった。

6mを切っている一貫性からは当然の2p切りにも見えるが、
ラス回避がチラと頭によぎった瞬間に何を切ったらいいかわからなくなる。


こんな思考回路は麻雀打ちなら誰でも頭の中を駆け巡っているわけだが、
そんなことは全く関係なく、
この局面では迷った時点であがろうがあがれまいが作戦失敗だと私は考える。



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案の定、トップ目の親からリーチが飛んできて、一発目のツモは6p。

さて、どうしよう?





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ここでは、腹を括って全ツッパすることにした。


感覚的には最上級の危険度と思しき6pである上、
少考した感触の悪さから、よっぽど8sを切って回ろうとも思ったが、
ここで日和って放銃した日にゃ半年は立ち直れない。

ミスの上塗りはせずに、ここは攻めきることで天啓を仰ぐことにした。


打点があるから攻め返すのか、待ちがいいから攻め返すのか、考え方は様々だが、
どちらかというと打点がある方が相手は嫌がるのではないだろうか。


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結局、2人テンパイで流局となった。

覚悟を決めたことが良かったのだろうか、悪い結果にはならなかった。


この半荘は最後まで苦労したが、3着で終えた。
たとえこのトイトイがあがりに結びついても、いまいちな半荘という印象になっていただろう。


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別の半荘。
東3局、12200点持ちラス目の南家。


対面から早い先制リーチが入る。
好手牌のイーシャンテンにつき、これはある程度押し返したい。


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終盤まで何も変わらずに、やっとテンパイ。

何を切るか?
そして、ここでは何を意識するのが大事だろうか?





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ここで最も重要なのは、7s切りに時間をかけないことだ。

今通ったばかりの6sだけに、
この7s切りに時間をかけてしまうと相手に考える隙を与えてしまう。

自然に目立たない着手であれば、
このように合わせ打ちであがりを拾えるチャンスも増える。


実戦では、6s合わせ打ちによるチーの準備をしているため、
一瞬うろたえたり戸惑ったりしてしまいがちで、
口で言うほど速く打つのは簡単ではない。


速すぎることが常にいいわけではないが、
遅すぎることはいいことがほとんどない。


速く、一定のテンポを保つのがベストだ。
これについては雀鬼流に一日の長がある。


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別の半荘。
東2局、原点の親番。

ライジングサンイーシャンテンから、西が重なってテンパイが入った。

しかし、2件リーチのともに一発目。
さて、どうしよう?





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天鳳史上最速で切った2s(つω`*)テヘ



ポイントは対面の中手出しだ。

下家リーチの一発目に切り出している中だけに、トイツ落としの可能性も十分にある。

ここで悩んでしまうと2s切りが目立ってしまうため、
出かかっていた中がカメの首のように引っ込んでしまうかもしれない。


ドキドキしながら、対面の打牌を見守る…


tenhou.11060.jpg

だ〜〜〜っ、残念…(ノω・、) ウゥ・・


すぐに出てこないとなると安牌が増えてオリやすくなってしまう。

これはちょっとピンチか…?


tenhou.11061.jpg

結局上家がツモって3000・6000(´・ω・`)


下家が中トイツかあ(>_<)
上家が現物待ちで追っかけたため、長引いてチャンスは増えたんだがなあ。

対面の中の一巡の後先、こういうところで麻雀の勝負は決まる。


そして、待っていたのは例の格言だった。

→役満をあがれないとラスになる



ラベル:天鳳 予測
posted by はぐりん@ at 18:12 | Comment(4) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月13日

タイトル戦の鳴きの怖さ 十段位決定戦より

今号の近代麻雀(2016・1・1号)の付録のDVDに、
第32期十段位決定戦の最終戦が収録されていた。

今回はそれについての所感を述べていきたいと思う。
ネタバレ含むので、まだ見ていない人はこれを見る前にコンビニにGOだ(`・ω・´)キリッ


最終戦を迎えてトータルポイントは以下の通り。
櫻井秀樹  +48.2
藤崎智   +29.6
柴田吉和  + 5.5
野方祐介  −13.3


見どころは、現ホルダーの櫻井が首位で迎えて連覇なるか、
昨年鳳凰位を獲得してノっている藤崎が最後に捲りきるのか、というところ。

一発・裏ドラなし、沈みウマ方式の連盟Aルールなら、
この二者がかなり有利であるのは間違いない。


個人的には、タイトル最終戦だけに、
この四者がどれくらい平常心で打てるかというところに注目した。

条件戦だけに普段通りではないのだけれど、
焦った着手をしない、という意味での平常心であり、
こういう点では数々の修羅場をくぐってきた藤崎に一日の長があるだろう。


私が上位二人の立場なら、一牌も鳴かなくてもいい、ぐらいのつもりで打つ。
それぐらい仕掛けによるミスは致命的なものになりやすいと思っているからだ。

ベテランの藤崎プロがどのような打ち方をするのか、非常に興味を持って見た。


★東2局 7巡目 北家藤崎

東東東一索四索四索六索七索八索三萬三萬三筒三筒
ドラ
六索

東1局に櫻井が3900の放銃で沈み、顔色が変わった藤崎。
上家から出た3pをここからポン。


「単独トイツは仕掛けて良し」より、このポンは妥当だ。
テンパイに取りつつ、マンズもソーズも好形変化に富んだ形となっている。

次巡、ドラの6sを引き、当然4s切りのカン5sに受ける。

東東東四索六索六索七索八索三萬三萬ポン三筒三筒三筒
ドラ
六索

すぐに、上家から7sが出たが、どうしよう?
(藤崎の捨て牌には9sがある)





私の第一感はこの食い延ばしはスルーなのだが、藤崎は機敏にチー。

東東東四索六索七索八索三萬三萬六索

藤崎はこの順序の牌列から、一番右の6sと右から4番目の8sをつまんでカン7sのチー。

並びを崩している上、ノータイムだったので仕掛けを想定していたというのがわかる。

しかし、打牌が4sということになると、隙間が2ケンずつとなる。

裏裏裏四索裏裏八索裏裏六索

相手から見ると、牌の出どころはこのように見える。

切り出した4sと8sの間が2ケン、チーした6sと8sの間が2ケンであり、
どこからどう見ても、その間のソーズが匂う鳴き方となっている。

しかも4sのトイツ落としであるため、単純な468sからのチーではないという疑問を抱かせる。

藤崎は4sと9sを切っているので、これは58sが100%マークされる仕掛け方だ


この仕掛け自体は正当性があるが、
仕掛けを前提にするなら、もう少し読まれにくい牌の並びにするべきではないかと私は思った。

いわゆる飛ばし鳴きにしてしまうぐらいなら、鳴かない方がいい、そんな直観が働いた。


この仕掛けによって、野方に絶好のカン7sが入り、即リーチ。
14巡目にカン2mをツモって、2000・4000。

三索三索六索七索八索一萬三萬四萬五萬六萬七萬八萬九萬
ドラ
六索ツモ二萬

この結果は藤崎にとってはそれほど悪いものではないが、
私の感触としては、今日の藤崎は出来がいまいちだな、と思った。


★東3局 7巡目 西家藤崎

七索九索東一萬二萬三萬四萬六萬七萬八萬九萬九萬九萬
ドラ北

次局、西家の藤崎がこの牌姿。
7巡目に上家から5mが出たが、さてどうしよう?(東は生牌)





私はこれはスルーする。
カン5mで鳴いてしまうとマンズが分断されて横伸びがしにくくなる。
先にカン8sツモでも一通で十分だし、東の重なりも見られてスルーの方が柔軟に見える。

藤崎の選択は、チー。

七索九索東一萬二萬三萬七萬八萬九萬九萬九萬
チー
五萬四萬六萬ドラ北

そしてここから、打7sとした。

一通で局をかわす選択肢を見ずに、一直線にマンズの染めへ。

テンパイに取りつつ、チンイツに渡れるため、普通は東を切りたくなるところだが、
なるほどこの辺は藤崎らしい。

打点が見込める局面ではきちんと手筋を追うということか。

ドラが北なので相手に対応させるということや、
一発・裏ドラのないルールであるということも考慮にあるのだろう。

ただ、いつもの藤崎より仕掛けるのが一手早いかな、という印象がある。


東東一萬二萬三萬七萬八萬九萬九萬九萬チー五萬四萬六萬
ツモ
東ドラ北

この局は、残した東が重なり、藤崎が15巡目に2000・3900のツモあがり。

中途半端にテンパイを取らなかったのが見事で、最高の結果を生んだ。

これは藤崎としてもかなり手応えのあるあがりだったに違いない。
このあがりで現状、藤崎がトータルトップへ。


★南2局2本場 4巡目 北家藤崎

三索七索八索三筒四筒八筒八筒八筒六萬西中白白
ドラ
一索

柴田の連荘で迎えた2本場、藤崎は33700点で浮きの2着をキープしている。

4巡目、対面から白が出たが、さてどうしよう?





親のツモを増やす北家の仕掛け、かつ河に1pを被っていて、かなり怖いところだが、藤崎はポン。
8p周りが雀頭として機能しそうだし、
一発・裏ドラのない連盟ルールでは安手リーチが隙になることも踏まえると、
この白ポンは妥当な仕掛けだろう。


ただし、白をポンしたからには絶対にあがり切る覚悟で鳴くわけで、
腹を括っていくという意味では仕掛けも安手メンゼンも変わりない。

この局面ですらスルーの選択もあると私は思う。


七索八索西西二筒三筒四筒八筒八筒八筒ポン白白白ツモ六索ドラ一索

この仕掛けが奏功し、あっという間にテンパイが入った藤崎、
12巡目に6sツモで300・500。

これは非常に上手くいったパターン。

柴田の愚形リーチが2テンポぐらい遅かったのにも助けられた。

テンパイ即リーチなら、藤崎は4sを掴んでどうしたのかを見たかったが、
おそらくこの局はゼンツでぶつけるような気がする。


★南3局 西家藤崎 9巡目

一筒二筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒二萬二萬五索七索七索
ドラ
二索

いよいよトップ目にたった藤崎、9巡目に上家から出た4pで考えている。

これは・・・?





一筒三筒三筒四筒四筒五筒二萬二萬五索七索七索
チー
四筒二筒三筒


えっ、なにこれ…?(;^ω^)



なんと藤崎はここから23を晒してチー。しかも5sを切った。


あまりに衝撃的で、何が起こっているのか一瞬わからなかったが、
これは、単なる食い替えということなのか。

連盟Aルールは、現物以外の食い替えありなので、まっすぐなら1p切りでいいはず。
それなのに、効率を犠牲にして5s切り???

それだったら、ピンフテンパイになるカン6sの受けを残して仕掛けない方がよっぽどマシだ。
場況からは6sも7sも良く見えるので、ここの受け入れを狭める理由が見当たらない。


しかもだ、1pを切らないということは食い替えを見せたくないということなのだが、
それならば、カン4pでチーして1pを切るべきだろう。

二筒三筒三筒四筒四筒二萬二萬五索七索七索チー四筒三筒五筒

カン4pでチーすれば食い替えを見せずにタンヤオに渡れる。


これは、私の勝手な想像だが、
藤崎ほどの打ち手が少考してカン4pチーに気づかないとは思えない

おそらく、藤崎は先ほどのカン7sチーのような、飛ばし鳴きになるのを嫌ったのではないか。

考えての2ケン飛ばしカン4pチーでは、25pが透けてしまうので、
咄嗟に23pを晒す手順に変更した、と。

しかし、やはり1p切りでは食い替えが透けてしまうので、5sを切った、と。
これなら少考からの思考過程に納得がいく。


普通に考えれば、この手順の仕掛けは効率的にロスが大きすぎて、
鳴かない方が得だったというのは藤崎もすぐに把握したはずだ。

ただ、止まってしまってからの一連の行為というのは、
藤崎クラスでもタイトル戦の決勝というのがいかに平常心を保てない場なのかということを表している


そして、それを生んだのは何かというと、
藤崎の今までの仕掛けに、何か引っかかる部分があったからに違いない。

振り返った時にピンと来るのがやはりあのカン7sの鳴き方で、あそこに伏線があったのではないか、と私には思えるのだ。


この仕掛けによって、11巡目、まず親の野方にテンパイが入る。

一索二索三索三索四索一筒二筒一萬二萬三萬五萬六萬七萬
ツモ
三索ドラ二索

三色が確定する急所の3sツモで、野方は即リーチ。


仮に4pをチーしていなければ、この同巡に6sをツモって藤崎、以下の先制テンパイが入っている。

一筒二筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒五索六索七索二萬二萬
ドラ
二索

さらに、13巡目に、南家の櫻井もテンパイ。

四筒五筒六筒七筒八筒九筒三萬四萬二索二索三索四索南
ツモ
五萬ドラ二索

当然の追っかけリーチに踏み切る。


四筒五筒六筒七筒八筒九筒二索二索三索四索三萬四萬五萬
ツモ
五索ドラ二索

結果はなんとなんと、櫻井が一発ツモ(一発はつかないが)。

ラス目の櫻井が満貫をツモあがったことにより、藤崎は一気に同ポイントにまで並ばれてしまう。


藤崎の仕掛けがどのように作用するのかに注目が集まったが、
麻雀の神様は非情で、最も咎められたくない相手に咎められてしまった。


「くだらない鳴き、必然性のない鳴きは自分以外の他家に利する」
これは鳴きのデメリットの項目で私が主張してきたが、
タイトル戦決勝クラスではこういうミスは致命的になりやすい。


藤崎は体勢論者でもあり、仕掛け倒れを大変に嫌う打ち手だと私は認識している。

それは、仕掛けの怖さを知っているということであり、
よもや藤崎がこのような仕掛けをするとは思わなかった。

それは同時に、タイトル最終戦というもののプレッシャーがどれくらい重いものかというのを如実に物語っている。

さらに言うと、仕掛けのリズムが藤崎のペースではなかったからこそ、
最後の最後に間違えてしまった、ということもあるのだろう。

普段通りに打つ、ということはかくも難しいことなのだ。


★南4局 西家柴田 13巡目

東東南西北白發中一萬九萬一筒一索九索
ツモ
九筒ドラ五筒

そして、生まれた柴田の劇的な国士。


藤崎の仕掛けに、オーラス櫻井の手組。

このヒューマンエラーが重なって生まれた大逆転劇で、
勝負の結末としては、非常に面白く、興味深いものとなった。

国士のバラバラな手牌にあって、東南西北と整然と並べられた最後のあがり形は、
藤崎・櫻井両者の乱れた心情と、柴田の澄み切った心情のコントラストにも映り、
この半荘を象徴しているかのようだった。


五十嵐毅プロをして、最強の打ち手と言わしめる藤崎プロ。
ただで終わる男ではない。今後の奮起に私は期待しています。



ラベル:評論 鳴き
posted by はぐりん@ at 13:16 | Comment(0) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月06日

カンツ含みの手牌の捌き(複雑形)

今回は、より複雑な形のカンツ含みの手牌について紹介していく。

中張牌のカンツ含みの手牌は牌理的に難解な選択になることも多く、
特に一色手の4枚使いは上級者でも混乱することがあるだろう。


上手く捌くコツとしては、
カンツ含みの7枚形や10枚形のパターンを類型化して覚えておき、
パッと見である程度の受け入れを把握できるように訓練すること
だ。


一種の牌は4枚しかないため、組み合わせは無限にあるわけではない。
つまり、複雑な牌理については鍛錬によってかなりの部分を補うことができる

手っ取り早い方法としては、同じ牌種のみツモって切るを繰り返す、メンチンの練習がある。
この場合、カンツ含みの複合形が頻繁に現れるので、牌理を磨くにはうってつけとなる。



4枚使いの複雑形をもらった時に、考える重要ポイントは以下の順番となる。


@まず、自分の手牌を最大限あがりに結びつけるための牌効率を考える

その場でカンするか否かという部分まで考える必要があるため、
選択肢が多く難解となりやすいが、
中張牌の場合はカンしない方が牌効率的に有利であることが多い。
あがりなくして勝利なし、まずは最大限自分のあがりのために活用することを考える。


A次に、相手に対する危険度とその牌を使い切れる可能性を勘案する

前回も書いたように、4枚使いの牌は将来的に危険度が高い。
最終的にカンして勝負にいける形なのか、
あるいは切り出すタイミングでドンピシャにならないか、などを総合的に考え、
先に処理するか残すかを決めなければならない。
この辺のバランスを上手くとれるかどうかというのが、「センス」だ。


今回はそれほど難解な形ではないので、身構えずにご覧いただきたい。


tenhou.3113.jpg

東4局、22800点持ちラス目の南家。
全員が30000点未満とじりじりした展開となっている。

9pカンツのイーシャンテン形から1pをツモって、さてどうしよう?





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手拍子でツモ切ったが、実はこういう部分に大きな選択肢が潜んでいる。


将来的に9pをカンするケースというのを論理的に考えているかどうか?
1pツモはこれを問うているのだ。



この手から1pを切った場合、最終的に9pカンしてリーチにいくことが確定しているのは8pツモの2枚だ。

5pツモなら9p切りリーチで2587pと、7pの受けが残るし、
2pツモなら9p切りリーチで587pとやはり7pの受けが残る。


5pツモった際に、9p切りリーチと行くことが確定している人は、
この1pツモ時に9pを切った方が若干得のような気がする。

なぜかというと、1pを残すことで25pツモ時には一通のテンパイに組めるからであり、
1pが序盤に切られている場況からは2pは非常に山にありそうに見える。
同様にスジの5pも山にいることが多い。


先に7pをツモった場合のイーペーコー確定形があるため、
期待値的には難しいところだが、
9pをカンしないなら打点妙味のある一通含みを残すのはこの場況も含めて十分考慮に値する


俺の場合、このケースでは一通のことなどまるで考えずに手拍子で切ったわけだが、
切った後にあれ?となった。

これだと5pツモ時に9pカンしないと割に合わないなという結論になる。


切った後にこのことを考えるのではなく、1pツモ時にすべてを決めておかなくてはならないのだ。
これがカンツ含みの手牌の難しさであると言える。



tenhou.3115.jpg

次巡ツモったのは、2p。

さて、どうしよう?





tenhou.3116.jpg

正直、どっへー、である。

2pツモだと7pの受け3枚を減らす9pカンはかなりしづらく、
これは仕方なしとばかりに9p切りリーチに踏み切った。


1pツモのところで9pを1枚はずしておけば、

四萬五萬六萬一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒

この一通のテンパイに組めたわけだ。


まあ、なんというか、完全に裏目だ。


tenhou.3117.jpg

長引いたが、5pをツモって、500・1000。

一通逃しとも思える5pツモだが、先に4pをツモっているので、
一通はいずれにせよ成就していない。

一通のテンパイにも組めず、カンせずに58pツモで裏も乗らずと、
この手材料をゴットーで終わらせてしまうのでは勝てないという印象で、
予感に漏れずにこの半荘はラスで終了した。


個人的にはこの手からはチンイツには行きにくいのだが、
あそこから1メンツ落とす打ち方もロマンがあっていいと思う。

佐々木寿人プロならノータイムではずすのかな。


tenhou.468.jpg

別の半荘。
東2局1本場、24000点持ちの親番。

タンヤオのチャンス手だが、3pがカンツになった。
さて、どうしよう?





tenhou.469.jpg

ここでは3pをツモ切った。

これは人によってかなり意見が割れるのではないだろうか?

雀頭があるので3pの横伸びは期待できるのだが、
下に伸びても今度はタンヤオが不確定となるため、いまいち歓迎できない。

単純牌効率から言っても、かなりめんどくさい感じなのだが、
タンヤオにいまいちなりにくいなら危険度との勘案からもう切っちゃおうという感覚だ。


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7pをツモってきた。これなら8pを残した意味があるので、嬉しいツモ。

しかしまた難しい。何を切るか?





tenhou.471.jpg

ドラ部分を使い切りたい4m切り。

牌効率的にはいまいちという感じもするが、
3pのカンツを1枚はずしている手前、
ピンズの部分で雀頭を作るという構想上、トイツ部分はほぐしても問題ないという感覚からだ。


tenhou.472.jpg

8pツモで予定通りの展開。ここで4s切りとした。

仮にここで4pツモの場合、3p9pがフリテン受けとなるため、
マンズの待ち取りには気をつけなければならない。


カンツ部分を先に捌くと常にフリテンになる危険性を孕んでいるのでその点は注意が必要だ。


tenhou.474.jpg

8pをポンして、最速のテンパイ。

ドラを使い切れる最終形となると、受け入れが限定されるので、
ポン材は急所と見て捌いていくのが実戦的だろう。


3pを1枚はずした構想上、どちらかというと打点よりもスピードを重視しているため、
あの手から5800クラスのテンパイに組めればそれなりに捌けたという実感がある。


tenhou.475.jpg

しかし、下家がピンフのツモあがりで決着となった。

3pカンしなくて良かったと思えるケースだ。


tenhou.9415.jpg

別の半荘。
東4局、35800点持ち、トップ目の北家。

とりあえず白を切って、カンを保留。

カンをしないデメリットは、36mチーテン時に、
固めて持っている147mを切り出さなくてはならないこと
だ。

しかし、トップ目につき自重。
南家の捨て牌も煮詰まっている。


tenhou.9416.jpg

対面からリーチが入った一発目。

さらに1mをツモってなんだこりゃ(笑)

さて、どうしよう?





tenhou.9417.jpg

4枚チートイありなら6m切りだが、ここでは西のトイツ落としでチンイツへ。

カンせずに147mを使い切る手順を考えた場合に、
25mを切ってしまうと、36mツモ時にどうしても147mが出ていく。


それならば、受けは狭いが147mを絶対に使い切る手組にしてやろうという西切りだ。


ですよね〜という感じで対面の一発ツモは4m。
裏1の2000・3900が炸裂した。


tenhou.3360.jpg

別の半荘。
東4局、20100点持ち微差のラス目の西家。

こ、これはもしや、カンツ場…?

新ドラの5mがカンツになって、
嬉しいのか嬉しくないのかわけわからない状況だが、
さて、どうしよう?





tenhou.3361.jpg

ここでは7m切りとした。

白のポンテンを残しつつ、テンパイチャンスを広げる手順を見るという意味で、
5mカンではカン4mの受けがなくなってしまう。

この打点なら白ポンでのドラ5m切りを厭わない。


感覚的には3m切りの方がテンパイチャンスは広いかなと思ったのだが、
実際は7m切りも3m切りも変わらないようだ(場に出ている牌は考慮せず)。


tenhou.3362.jpg

2mをツモってここで5mをアンカン。

これは自然な手順でカンできる。


tenhou.3364.jpg

7sをツモって、さらに悩ましい選択となった。

さて、どうしよう?





tenhou.3365.jpg

3mを切った。

ここではソーズの選択を裏目るのが最悪で、
ソーズのテンパイチャンスを狭めないのが重要だと考えた。

局面の急所はソーズで、ソーズさえ埋まればあがりが見込みやすく、
3mが1枚切られたことも根拠とした。


一方、この受け方は白のポンテンに取れないというデメリットがあり、
素直な着手はどちらかというと3sカンの方だろう。

手順で三暗刻や白という役を逃してしまう可能性があるため、
カン6sに身を委ねられれば3sカンの方が役ありになりやすい。


tenhou.3366.jpg

やっちまいました〜という感じで、ド裏目の白ツモ。

さて、どうしよう?





tenhou.3367.jpg

ここでカンするんかい!


ちぐはぐなのは間違いないが、
下家の仕掛けに対して最も切りたくない3sだけは固定し、
リーチも辞さずという感じで構えることにした。

あがり率を高める一貫性という部分では、
ここは本来3s切りの一手で、最後まで迷った
のだが、
本ドラの4枚使いまたぎということで、どうしても切りきれなかった。


8s引き戻しの好形変化で、ここでは成り行きにまかせる、5s切り。


tenhou.3368.jpg

9sツモって待望のテンパイが入る。

さて、どうしよう?





tenhou.3369.jpg

ここでは2m単騎のダマテンに受けた。

14mもかなり良く見えるが、
白切りでリーチした場合、14mの出に期待できるだろうか?

カン2発でさすがに情報がありすぎるし、
ドラ5確定リーチには誰も向かってこない可能性が高い。

そう考えると、今切られたばかりでラグのない2m単騎はダマテンなら絶好だ。
上家のトイツ落としまであるかも?


tenhou.3370.jpg

狙い通り、対面からすぐに出た。
三暗刻がついてきれいに倍満。

選択が裏目になったが、なんとか取り返すことができてホッとした。


このように、カンツ複数ともなると捌きはかなりの難易度を誇るが、
慌てずに自分なりのビジョンを持って捌いていくことが肝要だ



ラベル:槓子 天鳳 牌理
posted by はぐりん@ at 23:49 | Comment(11) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする