パオとは、役満を確定させた者の責任払いのことで、大三元、四喜和、四槓子に適用される。
四喜和のパオは裸単騎になってしまうし、四槓子はそもそも出現率激低につき、パオと言えば大三元に適用されるのがほとんどだ。
個人的には四槓子のパオ則は、責任の度合いが他に比べて低く、なくてもいいんじゃないかと思う。
三槓子のフーロ者に対して、生牌が一切切れないというのはいかにも酷な状況だからだ。
とはいえ、三槓子自体、リアルネット含めて私は見た記憶がないので、出現率的には杞憂かもしれない。
天鳳においてもパオは設けられており、点数的な罰則もリアルと同様だ。
天鳳含めてネット麻雀ではパオになろうがなるまいが、金銭的に損得が発生するわけではないため、リアルよりも自由に打ちたいと思う人は多いかもしれない。
一昔前は、白・発と晒されていたら中は切ってはいけない、ということがあたかも信仰のように膾炙していた。
ところが、科学的麻雀観が台頭してからというもの、自分の都合で切り飛ばすことが局収支的にそこまで悪くない、ということが証明され、状況に応じて切り飛ばしていく猛者も増えていった。
確かに、白ポン・発ポンの相手に対して中を切った際、それがポンされる可能性がどのくらいあるか、過去の記憶を遡ってもポンされないケースの方が圧倒的に多い。
だからといって、無造作に中を飛ばしている人を見ると、私は少し違和感を覚えてしまう。
白・発を晒している人に中を止めるのは、「信号が青になったら渡る」というのと同じことだと私は考えているからだ。
時には黄色信号で急がなきゃならないこともあるが、そんな大した手でもないのに無理やり渡らなくてもいいじゃん、という人が最近は多くなってきている気がする。
このへんは私の考え方が古いだけかもしれないが、みんなで共有する安心感・暗黙の了解であってほしいと思っている。
さて、「パオ」。
天鳳でも実戦例は極めて稀だ。
最近起こったのも含めて、紹介したいと思う。
case1

オーラス、28000点持ち2着目の南家。
3着目の北家が早い巡目に、白・中とポン。

それに対して、トップ目の親が発を切ると、何とこれもポン。
おいおい、トップ目がパオになったら、一気にラス落ちが現実的でっせ。
トップ目の言い分としては、ノーテン罰符で西入になりやすい点棒状況につき、先に切り飛ばしたかった、そんなところか。

この状況で対面に放銃すると、トップ目の親と折半。つまり私はラス落ちとなる。
当然のことながら中抜きでベタオリ開始だ。

結果、対面のツモアガリ。
天鳳のパオ画面は上記のようになる。私のブログでも初お目見えではないだろうか。

ツモアガリなのに、上家のみが点棒を支払っている。
なかなか珍しい光景だ。

上家の手はバラバラもいいところだった。
何を思って発を切ったか。
この状況、ラス目の西家の対処がなかなかに難しそうだ。ツモってほしいが放銃は許されない、みたいな。
case2

南2局、24000点持ち2着目の北家。
トップ目の仕掛けにつき、早目に三元牌を処理すると、発もポンされる。

親が即座に白を切ると、これもポン。
この場合の親はラス目につき、気持ちはよくわかる。

こうなった以上はベタオリせざるをえない。
残り巡目が多すぎて、オリるのも一苦労だ。発を鳴かせた責任は私にもあるが、完全順位制ならこの状況はそこまで悪くない。

結局、パオの親が責任を取って、放銃を請け負ってくれた。
終盤につき、ここでオリるというのもありか。

直接の放銃につき、パオ関係なし。

やはり、鳴かせた親の手はバラバラだった。
これが現代麻雀の風潮なのだろうか。
case3

東2局、18600点持ちラス目の南家。
親の切った白にトップ目の対面がポン。

追随して仕掛けた親が発をツモ切ると、これもポン。
素っ裸のパオ確定だ。

こちらもチートイツでテンパイしたが、さてどうしよう?

さすがに行ききれず、8mを落とした。
対面は23m落としで単騎を待ち変えしたばかり。
北は特に待ち頃だし、2pもなかなかに当たりそうだ。

ところが、パオに無関係の3着目が突如ツモ切りリーチを敢行してきた。
裸なら勝算あり、ということだろうか。

こちらも回っている内に、上手くピンフで張り返した。
浮いている北はたった今通ったばかり、さてどうするか?

ええい知らんと、こちらも追っかけに踏み切った。
どうせパオなんだから、放銃しても痛み分けだ。
裸単騎に負ける待ちでもあるまい、と。現状私はラスなのだ。

結果は、下家がド高めの赤をツモって裏は乗らずも3000・6000。
滑稽なことに私と下家がオナテン、さらに対面も5p単騎だった。
親が5p切ったらパオの三家和というわけわからんことになってたな。

25pはというと、私のリーチ時点で山に5枚。
ここはひとつ、対面さんが2pを掴んでダブロンというのが面白かったか。

親は5800テンパイからだが、待ちの7pは2切れと弱め。
対面の河の感じから大三元まではないと踏んだか。
しかし本局、誰が一番損したかというと間違いなく、私だ。
本来パオにした親と対面の直対という形になるのが普通で、脇はそれを見守る立場。
2着目の親がパオで咎められるべきなのに、裸単騎ではやや弱い。
それをついて抜け出ようとする3着目にラス目の私も追随。放銃が折半なので確かに裸単騎には勝負になる。
親っ被りの親だが、パオは免れてまあいいかというところ。
パオも適用されず、オナテンもツモられ抜けたラスになった私が浮上できるはずもなく、そのままラスで終了した。
パオからの全員参加は初めての経験だったが、なかなかに白熱して楽しかった。
case4

東4局、3900点持ちダンラス目の北家。
対面が上家から2つポン。

なんと、無造作に白を切ってこれもポンされる。

当然のことながら私はオリる。
対面がツモアガってくれれば、上家が飛んで私は奇跡的にラス回避となる。
頼む、対面、アガってくれ…

私の願いは叶わず、上家がツモ(;´Д`)
新ドラも乗って、これが3000・6000。うーむ。

上家は積極的に前に出た結果、当たり牌となる9sを私に流していた。
(上家が5sチーして私のツモが9s)
かつ、対面の当たり牌となる6sを食い取ってのアガリ。
針の穴を通すようなアガリで、パオもなんのその、大物手を成就させた。
要は、パオになっても自身がアガリ切れば何の問題もないということ。
逆に言えば、ダンラスであっても、突然パオが発生して32000点差をひっくり返す可能性があるということ。諦めてはいけない。
case5

逆に、大三元をケアしないのはどんな時だろうか?
オーラス、11100点持ちラス目の親番。
発・白と北家に鳴かれているが、ここで持ってきたのは中。
さて、どうするか?

ラグに震えるも、ポンの声は下家だった。
失うものがないオーラスのラス目は、パオになっても仕方ない。完全順位制ならなおさらだ。

残念、イーシャンテン止まりだった。
case6

東4局、2着目の北家。
早い5200テンパイ、ここで白を切ると下家がポン。

中を持ってきたが、どうするか?

さすがにこれは切った。
すでに1枚出ているのでリスクが低いというのと、こちらもテンパイなので。
中が生牌でもこの手なら切る価値はあるだろう。

上手く打ちまわして、この絶好の変化。即リーチ。

高めいただいて、3900。
精神的収入は8000点ぐらい。
case7

南2局、3着目の親番。
仕掛けても11600という絶好手。これは是が非でもものにしたいところ。

対面が発を切る。下家がポン。

対面が中を切る。下家がポン。
おいおい、ちょっと待ってくれ。

どうするか?

さすがにこの時ばかりは即座に白を切った。
引っ張って重ねられる方がリスクが高いと踏んだからだ。
幸いにも?上家のポンで済んだ。

しかし、残した2sにもポンが入った挙句、2mロンで3900の放銃。
慌てて白を切ったのが災いし、手順でアガられてしまった。

2sから切っていると、上家のポンが入らないかもしれない。
それだと次巡、私に絶好の9pが入るが、36mが深く、私にアガリはなさそう。
密かに手の早かった対面か、下家のアガリになる可能性が高い。
このように、状況によってはパオになる可能性のある牌を切ることもある。
ラグにおののいても、実際は第三者がポンするというケースも多い。
重要なのは、覚悟を持って切り出しているかどうか、である。