2019年10月20日

鳳凰卓の妙手

今回は、鳳凰卓の妙手を集めてみた。


妙手とは、意外性のある気づきにくい着手のことで、一見善悪の判断が難しいが、どちらかというと好手に分類される選択のことを言う(と私は思っている)。

鳳凰卓ぐらいレベルの高い卓になると、打牌や仕掛けの意味が最先端を行きすぎてよくわからない、といったこともよくある。

強者はデジタルアナログといった概念を超えて、引き出しをたくさん持っているので、一見無意味のように思える行為に、深い思考が伴っている


麻雀は結果がすべてなので、相手の高いリーチに対して何が何でもアガらせない、そのために自分が何をすればいいかを皆が日々研究している。

極端な話、相手リーチのツモ筋に当たり牌がいるならチーをしてずらせばいいし、当たり牌がいないのなら絶対に鳴かずに流局を待てばいい。

相手の当たり牌より先に自分のアガリ牌があるなら仕掛けて先にアガリを取ればいい。

極論すれば、麻雀で勝つために磨くのは、技術などではなく、透視能力である。


しかし、人間には見えない。見えないからこそ、見えない部分を自身の経験によって補うわけだ。

見えるもので判断するデジタルでは麻雀の雌雄は決しない。

それがわかっているから、深い部分で闘おうとして、つんのめったり、バランスを崩したりして振り出しに戻ってしまうというわけだ。


「アカギ」にあれほどの魅力があるのはなぜか?

それは、無謀とも思える誰もが思いつかない打牌に、勝利へと繋がる深い意味を内包しているからだ。

天才アカギだからこそ成し得る、奇想天外の着手、これこそ「妙手」というにふさわしいのではないだろうか。


最近は、戦術論も多く、ややお堅い記事を連載していた本ブログだが、息抜きという感じでご覧いただきたい。

こういう打ち方もあるのか、と刺激になること請け合いである。

もしかしたらあなたの一打が紹介されているかも?

それではどうぞ。(すべての局面は私視点で展開されています)



case1
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miya13さん(上家)

南1局、23400点持ち3着目の北家。

2着目の対面から先制リーチが入っている。

私にも絶好の三面張が入り、この待ちならと追っかけを敢行する。


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宣言牌でドラを打ち出すと、このドラにラグが。

少考の後、このドラはスルー。リーチに刺さったかと思ったぜ。


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結果、トップ目の上家から一発で1mが出て、裏は乗らずの3900となった。

ご覧のように、ドラの発は親が雀頭で、好形テンパイだった。


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それよりも、見ていただきたいのは、上家は安全牌の北があるのに1mを一発で切っている、というところである。

上家の立場からは、発のラグが親のポンラグであることが明白なので、親は打点がある。

上家の手牌からは三者にケアする牌が現状北しかないが、トイツ落としの1mは親の手出しが入った瞬間に切れなくなってしまう、という意図だろう。

今なら親には確実に通る1mを先処理して、安全牌の北を温存する。

つまり、私のリーチのケアよりも親の高打点をケアした選択というわけだ。

なるほど親は発にラグをかけているので、テンパイでない可能性も高く、その場合は形の決まった好形イーシャンテンが濃厚となる。

親がラス目だけになおさら先ケアに比重を置いた選択だ。


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ちなみに、上家の放銃がなければ私のツモアガリが濃厚。

先に北を切った場合は、次巡に上家の2000放銃があるかもしれない。

結果はやや裏目となったが、九段の選択となるとなるほどと思えてこないだろうか。



case2
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さん(下家)

オーラス1本場、20500点持ち3着目の北家。

トップ目の親が30900点、2着目の西家が29600点、ラス目の南家が19000点と、上位と下位がそれぞれ僅差。

私もノーテンが許されない状況で、最終盤になんとかテンパイが入る。


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4mを切り出すと、これに結構長いラグがかかった上で、親のチーが入る。

ロンでなくて良かった。ホッと胸をなでおろす私。


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結果は、上家と私の二人テンパイで終局。

件の親はノーテンだった。


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この4mチー、なんと出来メンツからのチーだ。

受けを狭めて8p切り。

この意図が何か、みなさんはお分かりになるだろうか?


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チーで自身に海底を回すことにより、私の打牌でチーテンが取れるという意図だ。

アサピンの著書にもあったが、この戦術は近年になってピックアップされたもので、10年前には語られていなかった。

海底のリスクを負ったとしても4mで放銃するということはほぼない。


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場況的に1sが良さそうに見えるので、7pの受け入れを放棄して、1sのチーに賭けよう、と。

実際1sは2枚山で、少しずれれば狙い通りにテンパイが取れていた。

7pも山に1枚いたが、47pのスジは相対的に場に出づらく、自身の7pツモにより安全ではない4pが飛び出る形につき、あまり歓迎できる受け入れではない。

テンパイが必須の状況で、テンパイチャンスを減らす鳴き、というのはなかなか考慮できるものではない。

ほぼ確実に切られる1sに照準を絞った、気づきにくいが実戦的な鳴きではないだろうか。



case3
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zoo1964さん(上家)

南3局、33400点持ちトップ目の南家。

ラス目が上家の親だが、やや僅差。

対面の切った5sにかなり長めのラグが入る。

も、スルー。ソーズが複雑な形なのだろうか?


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ほどなくして親からリーチが入る。

ありゃ、完全に赤5s切れなくなったべ。


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終盤に親がツモって、2000オール。

ラグの25s待ちって…わかりやす!


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どういうことかというと、この5sは見逃しだった。

アガるかどうするかを考えている間合いで、まだ巡目的にチャンスありと見て見逃した、と。

2000アガっても親はラスのままだが、出所がよく極めて僅差になるので通常はアガることから考えるだろう。

ソーズの好形変化は1sがフリテン含みにつき微妙だが、ピンズの好形変化まで含めると、なるほど十分なアガリ率が期待できそうだ。

4pカンツから1枚切っている手前、2000でアガるのではこの手に顔が立たない、と考えたのかもしれない。


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それより危なかったのは私の赤5sだ。

親の河は十分煮詰まっており、いつリーチが来てもおかしくない上に、待ちになってもおかしくない5sのラグ。

ここらへんでパッと合わせるということも考えられたため、それだと喜んでロンをかけられていただろう。


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その後、見事に3sをツモって十分形になったと。

5sを見逃した手前、私なら8pツモのところで4sを切りたいと考えるが、それだと3sツモでてんこしゃんこになってしまう。

このあたりの感覚が優れているからこそ、長期で成績を残せるのだろう。

zooさんとの対戦経験は多いが、一言でいうと「曲者」という感じで、簡単に倒れないしぶとさがある。

安定強者に共通している点が、守備力が高い、ということ。これだけは確実に言える。



case4
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ロッソさん(上家)ご存知木原浩一プロだ。

開局の西家。

北家が発ポン、中ポンと驚異の2フーロ。


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この仕掛けに対し、ノータイムで白を飛ばす木原プロ。

これにラグがかかって場に緊張が走るが…


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親のポンだった。

いきなりパオになったら、それはそれで面白かったが。


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結果、素っ裸になった下家が親から12000。

確かに、4sで待つなら8sで待つ気もするので割合通しやすいが、ここは使い勝手で選んだか。

木原プロの強気が全員に伝染したかのような結果となった。


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ドラが浮いた形で、打点はないが、木原プロはここからの白切りは「見合う」と考えているわけだ。

とてもじゃないが私にはここから白は選べない。

いきなりの両面ターツ落としに白トイツの可能性が低い、と読んだとしてもである。

過去の雀王決定戦においても、木原プロが大三元のパオになった牌譜を見たことがある気がする。

こういう通常の感覚では踏み込めないところを踏み込んでいくところに木原プロの強みがあるのだろう。

パオを恐れない打牌の先駆となったのが木原プロではないかと個人的には思っている。



case5
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シロクロさん(上家)

オーラス2本場、6100点持ち3着目の北家。

4100点持ちラス目の下家が親番だが、回線落ちして戻ってこない。

私はこの局を何とかして凌ぎたい。


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親が戻ってくる気配がないので、私は危険牌を先に飛ばして攻撃に備える構えとした。

下手に手を組んでも放銃すると大体ラスになってしまうので。


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対面が仕掛けてアガる意思を見せたので、私はもうここからはオリに徹する。

気になるのは上家の動向。

大トップ目につき自由に打てるはずだが、さっきからツモ切りが続いてないか?


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やはり上家はツモ切りが続いている。

まさかもうすでにテンパイが入っている?いやいやそんなことはあるまい。


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このへんまで来るとはっきりする。

つまり、上家はオールツモ切りにするつもりなのだ。


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結果、全員ノーテンで終局。

私は目論見通り3着を死守することができた。


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上家は一打目から、意図してのツモ切り。

つまり、ラス争いに影響を与える打牌がないように、無作為な打牌にします、ということだろう。

ただ単に時間の無駄と考えただけかもしれないが、潔くスマートな選択に思える。

勝ちが確定しているからこそ、その幕引きをどうするか、という問いに、選択しないという選択をしたということである。

思い出されるのは雀王決定戦最終局で鈴木たろうプロが全牌ツモ切りをしたあのシーンだ。

「ツモ切り」モードを選択できるぐらいのリード持って打ちたい、と思った今日この頃。



case7
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かぶきものさん(下家)

南3局、27500点持ち2着目の北家。

1p暗カンからトップ捲りを目論んでいると、この上ない赤5sがインしてテンパイ即リーチ。


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宣言牌の7sに少考が入り、チー。

あなた前巡にそれ切ってますやん!


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んで手の内から7sが出てくる。

明らかな一発消しだ。


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結果、私の一人テンパイで流局。


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親はこの形から出来メンツをチー。

ドラドラの好手で、自身のアガリ目も十分にある形からの一発消しだった。

なんとこの鳴きにより、一発ツモだったはずの6sが食い流れてしまった。

裏ドラが4pで、3000・6000がチーの一声で消し飛んだ。

私が下家なら確実に一発ツモを許して、ほぞを噛んでいるだろう。

最終的には下家はトップ、私は2着だった。

勝てば官軍とはよく言ったものだが、結果が出る鳴きが正しいのだ、と言われたような気がした。



case8
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youalphaさん(対面)

オーラス12600点持ちラス目の西家。

3着目の下家とは800点差と大僅差。

手恰好的には厳しいが、私はこの手をなんとかしてアガリに結びつけなければならない。

下家もノーテンが許されないのでまっすぐ。下家の切り出したドラを親がポンする。


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親がドラを加カン、トップ目も2フーロでアガリに向かい、沸騰している局面。

私にも待望のテンパイが入って即リーチ。

2枚切れのカン8sと苦しいが、全員がオリない状況につき、見た目よりもアガリ率は悪くないはず。


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トップ目はサシコミ気味に親の現物かつ私への危険牌を放ってくれたが、ヒットせず。

即リーチのメリットはこの点にもある。

が、まごついているうちに、3着目に追いつかれてしまった。堂々の追っかけリーチ。


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待ちの弱い私は観念していたが、下家が親からアガりきって値千金の1300。

ラス争いは下家に軍配が上がった。


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牌譜を見返してみると、なんと下家の切った7pを親は見逃していた。

親とトップ目の差は14000点ジャスト。

ツモか直撃で一撃トップだが脇からの出アガリではもう1局となる。

巡目的余裕、山越しのかけやすさ、順位転落のリスクがないことを勘案して、なるほどと思える。


ただこの場合は、トップ目の南家が仕掛けてアガリに向かっているため、山越し狙いの効果は通常より大分下がる。それも踏まえてどうか。

さらに、3着目とラス目が突っ込んできやすい点棒状況につき、対応してくれる他家が少ないというのはウイークポイントだろう。

また、穿った思考だと十段をラスらせてもいいか、などと考えてロンすることもあるかもしれない。

私などは通常でもアガリを得ること自体が大変に難しいと考えているため、これを見逃すなんてとんでもないと思ってしまう。


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使いどころの47pはこの時点で山に2枚。これを多いと見るか少ないと見るか。

全体像で見ると、やはり見逃して条件成就のアガリを得ることは相当に難しいことがわかる。

ただ、それを狙うだけの価値がある局面だと判断して見逃す選択肢があること自体が素晴らしいとは思わないだろうか。

5mを加カンした時点で出アガリも可能となっているし、十分に狙いは成立する可能性はあった。

最終的には「見逃されたやつはツく」の格言通り、当たり牌を掴まされているところもまた面白い。



case9
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katerinaさん(上家)

オーラス14200点持ちラス目の西家。

3着目の下家とは9000点差というところ、なんとかテンパイが入ってリーチまで漕ぎ着ける。

ドラが3pにつき、通常4p切り先固定するのが手順だが、上家が切った6pと3pともにポンラグがあったため、その部分を決めきれなかった。

結果、上手く4pを暗刻にしてテンパイを入れることができたわけだ。

この巡目なら親から出た場合のみ見逃し、それ以外は裏ドラ期待でアガる。


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私のツモ番がなくなり、絶望していたところ、対面の親が合わせ打った5pにラグがかかっている。

ん、このラグは長いぞ?鳴け!鳴くんだジョー!


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なんと、上家はこれをチーして、海底を私に回してくれた。

これは…?


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グッジョブ!

私に回って来たのはなんとアガリ牌の3s。

裏1で千載一遇の捲りとなるが…


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残念!乗らず(ノω・、) ウゥ・・

最近こういうの乗った試しがないわ。

上家はどうして海底を回してくれたのだろうか?


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下家の一発目の2s、これが明らかに強い。

つまり、下家はテンパイが濃厚と読める。

2着目の上家と下家の差は1200点。ということはテンパイノーテンでひっくり返ってしまう。


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そこで、私に海底を回せば、もしかしたらアガってもらえるかもしれない、と。

しかも、上家と私の差は11200点差、リー棒込みでも満貫ツモまでなら2着は死守できる。

ご覧のように、下家はテンパイ、しかもツモり四暗刻というおまけつきだった。


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これが実って、見事に上家は2着を死守することに成功した。

何もしなければ流局で捲られていたわけだから、狙いは見事にハマった。

海底ツモの瞬間は、歓喜の私と怒号の下家という対極の感情が渦巻いたが、私だけがハッピーにはならなかった。

海底ツモを許すと、結構な確率でハネ満にもなるため、目の粗い戦略であり、下家の恨みを買いかねないため難しいところだが、感情論抜きで順位戦略としてみれば十分に成立するだろう。

何も考えなければ、何も生まれない。

他家を利用して自分が優位に立つという戦略は、4人で打つという性質を生かしたものであり、このあたりに将棋とは違う麻雀の醍醐味がある。

強者は例外なく、他家操作が上手であり、このへんは戦国時代の軍師にも通じるものがある。


いかがだっただろうか。

セオリーが浸透している麻雀においても、まだまだ気づきにくい好手というのは存在している。

常識に捉われずに、思考を継続すること。

妙手の閃きがあなたの麻雀に革命を起こすかもしれない。



ラベル:天鳳 鳳凰 妙手
posted by はぐりん@ at 00:00 | Comment(12) | 鳳凰卓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月13日

ツモを放棄する鳴き【他家への影響を考える】

引き続き、ツモ放棄の鳴きについて。


前回見てきたように、海底間際のツモ放棄は自身の放銃リスクを回避しながら確実にテンパイを取る手法で、上手く使えば効果は覿面であると言える。

しかし、この手法にもデメリットが存在し、「確実に他家のツモを一牌増やす」というのがそれに当たる。

鳴かなければなんら影響がなかったのに、ふっと鳴いたことにより、リーチに海底を回してツモられるとか、親のツモを増やしてテンパイを入れさせる、などといった自身にとって不都合な二次的影響を与えてしまうことがある。


「鳴き」というのは局面に変化を与えるものであり、その鳴きが不必要であればあるほど、本来なかったはずのアガリが発生するなど、局面に紛れが生じやすくなるというのはみなさんよくご存知だろう。

今回は、他家に与える影響を考慮しながら、そのツモ放棄が本当に有効であるかどうかを考察していきたいと思う。


それでは、ツモ放棄に際して以下に考慮するポイントを挙げたい。

@自身のアガリ目がどのくらいあるか

自身がツモることによりアガリ目がどのくらいあるかを考える。
好形でアガリ目が十分にある場合は、自身のアガリで局を決めるという方が有利だろう。

愚形待ちでもツモでアガれるというのであれば、ツモ放棄をしないことが間違いということはない。

ただし、愚形安手の場合は局収支的にツモ放棄の価値が高まる。

また、愚形高打点でも山に自分の待ち牌がないと推測できる場合はツモ放棄することもある。

要は、打点よりもアガリ確率が重要であり、ツモ放棄の基準はアガリ枚数の多寡で判断していいと言える。


自身が形式テンパイである場合、アガリ目がないのでツモ放棄は必然となる。(ただし、形式テンパイに向かう過程の良し悪しが問われる)

自身がフリテンである場合、出アガリが見込めないのでツモ放棄の比重は高まる。

仕掛けても出アガリが効く手であれば、アガリを消す鳴きよりはツモ放棄の価値は高まる。

結論としては、自身のアガリ目が低ければ低いほど、ツモ放棄の意味は大きいと言えるだろう。


A鳴きによって誰のツモを増やしてしまうか

ツモが増える対象が誰になるかを考える。

リーチ者のツモを増やす場合は、大きな損失を被ると同時に同卓者から顰蹙を買うことにもなりかねない。

鳴きで親のツモが増えると、テンパイを入れさせて、なかったはずの連荘に突入するということもある。

鳴きでラス目のツモが増えると、ツモアガリがラス転落の可能性を高める。

解りやすい基準としては、リーチ者と高い仕掛けにだけはツモを増やさないように工夫する。この点を重視するのが明快だろう。


@の自身のアガリ目とツモを増やす影響を勘案して状況ごとにツモ放棄するかどうかを決める。

例えば、出アガリ含めて役ありの場合はリーチにツモを回す仕掛けは自重し、自身のアガリ目を見る。

自身が形式テンパイの場合はごめんなさいと言いながらツモを放棄する。

リーチが下家の場合は役ありならツモ放棄してもアガリ逃しが発生しづらい。

東場ならツモ放棄しないが、南場なら巻き返しにくくなるので安定性を考えてツモ放棄する、など。



私の経験上、感覚的にはツモ放棄が損になる局面というのは少ない。

特にラス回避の重要な天鳳では無駄な放銃が回避できるという面から効果は大きいと見ている。

海底間際のツモ放棄はできる時にやっておくというのでもそれほど間違いはないかもしれない。

ただし、自分中心が過ぎるといずれ大きなしっぺ返しが来るというのが鳴きの怖さでもある。

麻雀は4人でやるということを弁え、結果に大きな影響を与えるような鳴きは慎むことを考慮に入れたい


それでは、以上の基準を踏まえつつ、実戦例から見ていこう。



case1
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オーラス、23200点持ち3着目の南家。

三者が仕掛けているが、注目はラス目の親の仕掛けか。3m加カンで不退転の構え。

こちらもテンパイが入るが、69m6枚見えにつきダマに。

親の待ちは何だ?


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残り3枚というところ、親から6mが出たが当たれない。

さて、どうしよう?





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チーして安全な西を切った。

これによって、@ラス目の親に海底ツモを回してしまうが、

A69mが残り1枚と自身のツモアガリの可能性が低く、

Bオーラスにつき放銃が順位に占める割合が大きいため、リスク回避のツモ放棄とした。


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結果は下家が3pを親に放銃し、2900。

下家はツモってきた6pを3pとスライドしての放銃だった。

これによって私は2着浮上、そのまま2着で終了した。

ツモ放棄による紛れがいい結果と出たが、これによって親の連荘が止まらなくなるなんてこともあるため、単なる結果に過ぎない。

オーラスに近づけは近づくほど、不確定要素を減らす選択を取るのは致し方ないところ。

3着目の選択としては69m待ちのリーチもありか。



case2
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南1局2本場、12500点持ちラス目の南家。

白ポンから25s待ちテンパイのところ、最終盤に赤5mが出た。

さて、これを鳴くか?





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スルーした。

@自身のツモアガリが十分に期待でき、

A3着目へ海底を回すことでプレッシャーをかけよう、という意図だ。


しかし、ツモアガリとはならず、このツモ。

さて、どうしよう?





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ホンイツ仕掛けの親に対して、どちらかを選べず、ここでオリに回った。


あれ、こんなはずじゃ…


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結果、親と下家の二人テンパイで流局。

下家の最終手出しは8p、ということは最終ツモでテンパイが入ったということか。

ふんだりけったりだ。


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この局面。

現状下家のテンパイの可能性はそれほど高くなく、対面も明らかに回っている。

ここは、食い替えチーして8m切りすべきだった。

@安手のツモアガリよりもテンパイ流局の方が順位戦略的に上回り、

A対面に海底ツモを回すことに大した影響がなく、

B親にソーズが切れないことがはっきりしている

赤で打点を上げるというよりも、流局テンパイが本局の目的ということが理解できていれば、リスク回避できた局面だった。

実は、赤に釣られて鳴いたという印象を持たれたくないというノイズが入って、スルーした結果が最悪のものとなった。

実戦中は様々な思考が入り乱れるが、何が重要かというその優先順位を間違えてしまった失敗例だ。

幸いにもこの半荘は3着だった。上品なスルーと神様は評価してくれたか。



case3
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南1局1本場、23900点持ち2着目の南家。(王牌が開いているがこれは見ないことにして)

3着目の親からリーチが入っている。

海底間際に3sが出たが、さてどうするか?(7sは下家が通している)





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チーして7s切りとした。

@親に海底が回ることはなく、

Aカン6sにさほどの感触がないため仕掛けたが、

B自身が赤赤とそこそこの打点があるのが悩ましいところ。

南場の親リーチということもあり、放銃の影響が大きいと判断した。


31921.jpg

結果は三人テンパイで流局。


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実際には6sは山に2枚と、十分にアガリ目のある待ちだった。

仮にツモ放棄してアガリ逃しがあった場合は、順位にそれなりに影響を与えるアガリ逃しとなろう。


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これは本局の途中経過だ。

タンヤオ赤赤だが、まっすぐ行かずに迂回してリーチに対応する構えを取っている。

対応する構えでテンパイが入っている以上、テンパイ維持の仕掛けは一貫性があると考えることもできる。

このへんの過程をツモ放棄の判断に加えても良さそうだ。



case4
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南3局、23600点持ち2着目の南家。

ラス目の対面がリーチだが、宣言牌がツモ切りだったので私と下家はブンブン押しているところ。

私にメンホンのテンパイが、下家が3フーロでテンパイ濃厚、トップ目の親はベタオリの構え。


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残りツモ1枚というところ、親が現物の赤を切ってきた。

さて、これを鳴くか?





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チーして食い替えの8s切りとした。

@この巡目の発中は持ち持ちもしくは親の手に止められている可能性が高く、アガリ目が薄い。

Aラス目のリーチに対して海底だけは勝負に行きづらい。

B下家の待ちは47mの可能性が高く、掴んだらオリざるを得ない。海底を回したとしてもラス率に影響はない。

海底だけは、という感じでツモ放棄のメリットが大きいと判断した。


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結果は三人テンパイで流局。

対面リーチはチートイツ、下家は予想通り47m待ちだった。


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スルーしても大勢に影響はなかった。

が、私の待ちは山にないのに対し、9sと47mはともに1枚ずつ。

アガリ目がないのであればツモ放棄は正解だと言えるだろう。

ただ、これによってなかったはずのアガリが生まれる可能性があるのが仕掛けの難。

9sツモなら私は6sとスライドできるわけだしね。



case5
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オーラス、42000点持ちトップ目の南家。

10400点持ち3着目の親からリーチが入っている。

親と3着目は競り。

2pを仕掛けてテンパイに取れるが、さてどうしよう?





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スルーした(ラグあり)。

形テンに取る巡目としてはまだ早い。

トップ目としては余裕を持ってギリギリまでアガリを見たいところ。

スルーが生きて、赤5pをツモ。テンパイだが、対応の結果6mがフリテンになっている。


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残り5枚というところ、親から5mが出た。

さて、どうしよう?





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スルーした(ラグあり)。

@海底を放棄し、1s切りで4sツモというアガリ目もあるが、

A2着目のツモを増やして海底を回すというデメリットがある。

6mが切れるならともかく、6m連打ができないのであれば、仕掛けるメリットはそれほどなさそう。

それならば、B自身のツモを減らさず、ひょっこり56mツモに期待しても良さそう。


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残り1枚で、7mが出たが、さてどうしよう?





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チーしてさっき通った5m切りとした。

@海底のリスクを回避しつつ、自身のテンパイが確定する。

A自身のツモアガリ確率は低い。

B下家にテンパイ気配がなく、ツモを回しても大丈夫そう。


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結果、三人テンパイで流局となった。


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仮に5mポンしていると、次の7mツモで困ることになる。

このように、ツモ放棄および形式テンパイは、不確定要素を排除した海底間際でするのが効果的だとわかる。



case6
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オーラス1本場、21500点持ち微差ながらラス目の親番。

2着目からリーチが入って絶体絶命。

ここでは全力の6s切りを選択した。


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巡目的にもやむなしの形テンに。

ひとまずテンパイに向かうしかない。


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終盤になんとかテンパイが入って、上家が通した3m切り。

トップ目が3mを切るということは、上家もテンパイだろう。


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残り2枚というところ、上家から9mが出た。

さて、どうしよう?





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スルーした(ラグあり)。

これは結構迷った。

@ツモを放棄して安全にテンパイに取れるが、

A仕掛けることでリーチに海底を回すことに躊躇いがあった。

海底ツモを許したら一生後悔する、そんなことを考えていたわけだが、持ってきたのは超危険な7s。


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賢明な読者はお分かりの通り、この7sが上家に刺さって12000。

無駄に高いことはさておき、痛恨のラスを喫してしまった。


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9mを仕掛けていても無風で、下家に7sを流すことができていた。

下家は単騎を振り替えられる構えで、7s単騎のテンパイ。四人テンパイの流局に逃げ込むことが可能だった。

残り山を見てもらえばわかるように、当たり牌がうようよしていた。47sは3枚、58mは2枚。

つまり海底を回すことでツモられるリスクは確かにあった。

しかし、この局面で考えるべきはそれよりも、

@自身のアガリ目がゼロなのでツモにメリットがない。

A対面のみならず上家もテンパイ確定なので、放銃リスクが2倍ある。

この2点がBリーチに海底を回すことのデメリットを遥かに凌駕している。

さらに、C対面が海底で上家か私の当たり牌を掴むかもしれない、ということが海底を回すリスクを相殺している。

何が重要かの判断を誤った失敗例だが、一つ言えることは、自身にアガリ目がない場合はツモ放棄のメリットは相対的に大きい、ということだ。



case7
73508.jpg

南3局、21400点持ち3着目の南家。

下家のリーチに対応していると、テンパイが入った。

さて、どうするか?





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赤5mを勝負してテンパイに取り、ダマにした。

放銃確率はそれほど高くないと思ったので。


73510.jpg

ところが、下家が4p暗カンすると当たれない西が出てきた。

さて、これを鳴く?





73511.jpg

スルーした(ラグあり)。

@鳴くことで安全にテンパイを取れるが、

Aリーチのツモを増やしてしまうことになる。

海底ツモでのリスクを負うことになるが、リーチをしていたらロンできている牌。

アガリを逃してこういうのを仕掛けるのは紛れの要素になると判断した。


直後に親から西が合わせ打ちされる。

さて、どうするか?





73512.jpg

ポンした。

@下家に海底つきでツモをプレゼントすることになるが、

A西を切られたことで、自身のアガリ目がかなり薄くなったことを判断基準とした。

ツモられたら最悪だが、それが自身のラス率の低下に結びつくわけではない。


73513.jpg

結果、リーチと私の二人テンパイで流局となった。

下家はドラ単騎リーチという難しい待ちだった。


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私がリーチをしていたとしても、裏は乗らずに2600。

勢いリーチというのもあるが、流局した際のリーチ棒が意外とラス目にとって大きかったりもする。

意外にもドラは山に2枚と強かった。

5pはもう山になく、自身のアガリ目がないのであればこのツモ放棄は妥当だと言えるだろう。



case8
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東2局、23000点持ち3着目の南家。

ラス目の対面が終盤にリーチ。

こちらも役なしダマに構えていたところ、上家から4sが出た。

さて、どうするか?





68293.jpg

チーして、何を切るか?





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海底のリスクを負うので、安全度の高い雀頭のトイツ落としとした。

不安定な部分を捌いて、やや安全なところを勝負する手法。

これが脇への放銃になったらひどいが、このへんは打牌テンポなどから判断していく。


68295.jpg

無事、流局二人テンパイ。

このへんは形テンの取り方にも通じるトピック。


68296.jpg

4sスルーでも無風だった。

@4s3枚切れだけに、自身のツモアガリの可能性が低く、

Aそれだけに不確定なツモを放棄する工夫が必要となってくる。



case9
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南2局2本場、31300点持ちトップ目の南家。

タンヤオのテンパイを入れていたところ、持ってきたのはドラ。

さて、どうするか?





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4pの方がやや安全と見て、スライドするとこれをポンされる。

むむっ。


72358.jpg

残り1枚というところ、上家から4sが出たが、さてどうするか?





72359.jpg

チーして2s切りとした。

@自身のアガリよりも放銃のダメージが大きいので、アガリ目にかかわらず海底のリスクを回避するところか。

放銃で確実に30000点を割ってしまうのが痛いし、A脇のアガリで親が流れることにも期待。


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結果は三人テンパイで流局。


72361.jpg

鳴かずとも無風で、ソーズの変化も安全に凌ぎやすい牌姿。

海底ツモを下家に回しても、河底ロンの可能性は消えていないというのがポイントか。

実際下家の3mは飛び出る可能性があった(待ちは変わった直後だが)。

ただ、これによって親がアガったりするとひどいことになる。



case10
72479.jpg

南1局、16800点持ちラス目の北家。

テンパイが入ってどうするか?





72480.jpg

9s切ってダマにした。

マンズの変化はあるが、この巡目に369mのスジは切りにくいので、36mは切らない前提で。


72481.jpg

親から6mが出たが、これをポンするか?





72482.jpg

スルーした(ラグあり)。

@ほぼ確実にテンパイである親のツモを増やす鳴きである割に、自身の安全度は確保できていない。

Aワンチャンスとはいえ、8sは上家対面に通っていない。

こういうのを鳴くのは、スジが悪い、という。


残り3枚というところ、上家から4枚目の7sが出たが、さてどうするか?





72483.jpg

これを鳴く。

@自身のアガリ目がなくなり、かつ6mが完全なる安全牌に昇格。

先ほどと状況はわずかに変わっただけだが、不確定要素を排除したツモ放棄こそ、「必然の」鳴きとなる。


72484.jpg

二人テンパイで流局。

意外にも親はノーテンだった。


以上のように、判断基準が錯綜しても目的に照らして確かな正着というのはある。

メリットデメリットを天秤にかけてタイミングを見極めたツモ放棄をすることで、自ずと結果はついてくるだろう。



ラベル:戦術 鳴き 天鳳
posted by はぐりん@ at 23:55 | Comment(2) | 鳴き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月06日

ツモを放棄する鳴き【海底間際のリスク回避】

今回は、自身のツモを放棄する鳴きについて。

麻雀は、トランプの大富豪のように「パス」をすることができない。

必ず自分の番になったらツモ牌を持ってきて、手の内から1枚切らなければならない。

相手リーチの一発目に「パス」ができたら、どんなに楽だろうと思ったことはないだろうか?


そんなあなたに覚えていただきたい技術が、自身のツモを放棄する鳴きだ。

上家の切った牌を仕掛けてしまえば、不確定なツモをめくることなく、下家にツモ番を回すことができる。

これは特に、自身のテンパイが確定している海底間際で効果を発揮する。

手段としては、一般的に言うところの「食い替え」や、役なしアガリ形から仕掛けての安全牌切りがあり、後者の方がやや多いイメージだ。

これは相手リーチの一発消しにも応用することができる(これについては後日)。


麻雀において点棒の収入を得る方法は、自身がアガること、そして流局時にテンパイ料を得ること、この2つしかない

逆に言えばアガらずに点棒を得るという手段が麻雀にはあるということであり、この技術によって大きく成績に差がつく。

一人テンパイで得られる収入は1000点オール。3000点の収入というと、子方でリーチドラ1をアガるよりも多い。

必死こいてリスクを負って愚形リーチをアガったものの、裏ドラ乗らずに2600で、イマイチ割に合わないと思ったことはないだろうか?

このように考えていくと、流局時のテンパイ料というのは、リスクをあまり取らずに、リターンを得ることができる、重要な機会であることがわかるだろう。


微差が重要な天鳳では言わずもがな、テンパイ取りの上手さが成績にそのまま直結すると言っても過言ではない。

いかにリスクを負わずにリターンを得るか、ということで放銃を徹底的に避けつつ、仕掛けを多用する打ち手も多い。

しかし誤ったやり方を用いると、リーチ者のツモを増やしていたずらにアガらせてしまうなどといった弊害も出やすい。

リスクを負わずに勝とうなどという虫のいいは話は麻雀においては存在しない。

しかし、リスクを負わずにラスだけを回避するという方法論は天鳳界には存在する可能性もあり、これは麻雀とは別のゲームという捉え方が必要となってくる。


前置きが長くなってしまったが、ツモ放棄の鳴き。

今回は純粋にどのような場面でそれが成立するのか、あなたなら仕掛けるのかどうか、を考えていただきたい。

次回は少し踏み込んで、他家に与える影響も考慮しながら、考察を深めていきたい。

それではどうぞ。



case1
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開局の南家。

上家の親からリーチが入っている。

無理やりテンパイを入れていたところ、海底2個前で親から4mが切られた。

さて、どうしよう?





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チーして、1m切りとした。

ご存知、スライドの食い替えだ。

影響は小さいが、この場合、タンヤオが付加され出アガリも可能となる。

親リーチは通っているスジがあまり多くなく、相対的にツモ牌が危険牌となる可能性が高いため、効果的なツモ放棄であると言えるだろう。


tenhou.16226.jpg

下家以外の3人テンパイで流局となった。

たまたま4sは親リーチの当たり牌だった。



case2
tenhou.5184.jpg

東3局、19800点持ちラス目の北家。

西家に手役不明のドラポン仕掛けが入っている。

こちらもテンパイが入って、6m切り。ドラポンにはトイトイがあるので、少し怖いが。


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海底2個前、上家から8pが出た。

さて、どうしよう?





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チーして4p切りとした。

全体にピンズは安全度が高く、特にドラポンには現物となっている。

私の36pは7枚見えでアガリ率も打点も低く、仕掛けてもアガリ目は消えていない。

変な牌で上家に打ち込むリスクの方が遥かに嫌だ。


tenhou.5187.jpg

結果、3人テンパイで流局となった。

上家はバック崩れの形テンだったが、仮に最後の発を持ってきたらオリざるをえない状況につき、この仕掛けは妥当だろう



case3 追記あり
tenhou.4098.jpg

東3局、トップ目の南家。

上家リーチ一発目に何を切るか?





tenhou.4099.jpg

4mのノーチャンスにつき、2m切りとした。

58mを切れば147m待ちとなるが、58mは通っていないので。

終盤につき安全度を重視。これでも7mが出ればアガることができる。


tenhou.4100.jpg

海底1コ手前で、上家から6mが出た。

さて、これを鳴く?鳴くならどう鳴く?





tenhou.4101.jpg

678でチーして、3m切りとした。

4mノーチャンスの3mは安全度がかなり高いので、海底で7mが出た時にアガれる構えとした。

パッと思い浮かぶのは456でチーして9m切りのタンヤオカン4m受けの方だろう。

ただ、この場合は4mが無くてアガリ目がゼロ。意味はほぼ同じだが、カン4mが場枯れでない場合、その方がいいだろう。


仮にスルーした場合、海底に7mがいれば私のアガリではあるが、打点があるわけでもなく、見た目にも残り枚数は1枚。

親リーチの危険牌を掴む確率の方が高いので、ツモの放棄は妥当だろう。



tenhou.4102.jpg

結果は3人テンパイで流局となった。


tenhou.4103.jpg

下家が海底で掴んだ牌は、何とリーチの当たり牌の8pだった。

さすがに特上七段レベルだとこれがしっかり止まる。

何はともあれ、掴んでいたはずの当たり牌を流すことに成功した

河底で打っていると11600からで、オリたとしても3000点の支出。これはなかなかに大きい。

結果に正の影響を与えることができた仕掛けとなった。


【追記】
コメントで、カン6mで鳴いて9mを切るのがいいのではないか、という指摘を頂きました。

確かにカン7mでタンヤオの出アガリが効くのでこれがベストですね。

このように、複合形からの鳴きは場況込みで難易度が高いことが多いです。


case4
45546.jpg

南1局、19600点持ち3着目の北家。

6pを仕掛けて、タンヤオ赤1のテンパイに取る。


45547.jpg

残り2枚という状況で、上家から5mが出た。

さて、どうしよう?





45548.jpg

これをポンして…


45549.jpg

親の現物の2m切りとした。

微差2着目の上家が西の暗刻落としでオリ気味なので、この状況では自身のアガリよりも放銃回避の価値が高いと判断した。

上家がノーテンならばノーテン罰符で順位が入れ替わるからだ。

さらに、ラス目の親の海底ツモをずらす効果もある。この場合の親は手役不明のため、なおさら。


45550.jpg

結果は親と私の2人テンパイで流局となった。

親は発暗刻の赤1だった。

仮に海底牌に7pが寝ていたら最悪だし、仕掛けて7pをツモられたとしても自身の放銃よりはマシだと考えられるため、仕掛けは妥当だろう。

この場合ツモアガリの価値が高い場合に限り、仕掛けないということはある。

自身のアガリ牌を親に流してアガられた場合は最悪だが、親に流れてもそのまま切られる可能性も高く、その場合はアガリ逃しにならない。

自身のアガリ目が消えていないツモ放棄の場合、そのデメリットは小さいと言えるだろう。



case5
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南1局、26100点持ち2着目の親番。

対面が合わせ打った7pをポンしてドラ切りのテンパイに取ったところ。


47997.jpg

上家から当たり牌の5mが出た…が、これはフリテンで当たれない。

さて、どうしよう?





47998.jpg

これをチーして、もういっちょドラ切りとした。

この場合、特に上家の南カンに対して危険牌を切りたくなかったので。

この5mがツモ切られた以上、私のアガリはないと考えるのが普通だろう。

ただ、少し仕掛けがうるさく、上家に海底ツモを回してしまうという意味もあり、ガチャ鳴きという感も否めない。

誰かにツモアガリが発生すると後悔する仕掛けとなりそう。


47999.jpg

結果は3人テンパイで無事流局となった。

上家は生牌の中が切りきれない恰好だった。


48000.jpg

チーを入れていなければ、次の私のツモはその中だった。

止めると親が流れるし、ツモ切ると上家に3200の放銃となっているところ。

打っている最中の感触はイマイチだったが、結果的には当たり牌を流すことに成功していた。

最終的にはこの半荘は3着だった。



case6
56843.jpg

南1局、27600点持ち2着目の北家。

終盤にさしかかったところ、役なしだがこちらもテンパイとなった。

さて、どうするか?





56844.jpg

ピンズは高くて怖いが、ここは6p切りでテンパイに取った。

47pのスジだけは使い切るという意図。


56845.jpg

ところが、ラス目の対面がしれっと47pを切ってきた。

残りツモは2枚のところ、7pが出たが、さてどうしよう?





56846.jpg

ポンして西切りとした。

これは海底ツモ回避のポンだ。

自身の手の価値は低く、海底でツモってもたかが知れている。

それよりも海底で変な牌を引いて放銃した時がひどい、もしくは変な牌を引いてオリたくない。

親にツモを回してしまうので微妙は微妙だが、影響はさほど大きくはないだろう。

直対の親と対面にツモを回せば、対面がアガって親が流れるかもしれない。


56847.jpg

結果は3人テンパイで流局となった。

残り2枚のツモにより大勢に影響はなかった。

親は形テンにつき、海底のみアガリの権利があった。つまり、海底を回避したのは一定の効果があったと言えよう。

終盤は形式テンパイの仕掛けも多く、それゆえ海底ツモ者のリスクが高くなりやすい。天鳳では間違いなくそういう傾向があるだろう。



case7
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南2局、3000点持ちダンラス目の西家。

2着目の上家からリーチが入ったところ。

ポンテンに取れるが、さてこれを鳴く?





63116.jpg

スルーした。

これは迷ったが、放銃が即飛び終了に結びつきやすい状況につき、安易なテンパイ取りは命取りになると判断した。

宣言牌3sにつき、ワンチャンスとはいえ2sは出にくく、5mも同様。

ゼンツできない待ちならば、取らずに安全牌として機能させようという肚。

早速持ってきたのはドラで、これにて迂回が確定。


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回りながらも、終盤にどうにかこうにかテンパイが入る。

やったぜ、父ちゃん。


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残りツモ2枚というところで、上家から切られたのは4p。

5200のロンですといいたいところだが、無情にもフリテン。

さて、どうしよう?





63120.jpg

フリテンならば当然のチーだ。

残り1枚の4pツモに賭けるよりも、上家リーチへの放銃リスクを回避する。


63121.jpg

2人テンパイで流局となった。

なんとかこの局を無傷で乗り切ることに成功した。


63122.jpg

仕掛けなくとも無風だった。

上家の待ちは強烈な四面張。下手に仕掛けていたらツモアガリが発生していた可能性も十分にある。

上手く凌げたと感じられた一局。



case8
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オーラス2本場、16400点持ち微差の3着目。

上家との差は僅か500点で、トップ目が親なので実質1局勝負。

上家にアガられずに流局テンパイを果たさなければならないという難しい一局。

天鳳において一番痺れる局面ではないだろうか。

決していいとは言えない配牌、これをどう捌いていくか。


69350.jpg

上家が手役不明の仕掛けを入れる。

明らかにファン牌のアシストを狙っている仕掛け。

親や南家がすぐにアシストしてくる場合もあるが、これは打ち手のタイプにもよる。

私のことが嫌いでラスらせたい、というのであれば上家に有利に打たせるということもあろうが、とにかく私はアシストがないことを願うのみ。


69351.jpg

冷や汗をかきながら、なんとかギリギリでテンパイが入る。

よかった、間に合った。

ここで勇んでリーチ!と言ったらリーチ棒で負けてしまうので要注意。


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リーチしてたら一発だったやん!

冗談はさておき、この8m、さてどうしよう?





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チーして1p切りとした。

これはつまり、放銃リスク回避のツモ放棄だ。

自身のアガリにまったく意味がなく、上家への放銃だけを避ければいい状況なので。

上家はファン牌バックとなれば、片アガリが河底に突き刺さるということだってあるのだ。

ここは36mなど、マンズで鳴ける牌は何でも鳴いて、海底ツモを回避したいところ。


69354.jpg

2人テンパイで終局となった。

まるで万里の長城のように長く感じられた18巡だった。

発を止めてくれた親と対面に感謝。

本人同士の直対に任せてもらえるというのは、勝負の格調が高くなる気がする。



このように、終盤のツモ放棄の恩恵は意外と大きかったりもする。

一発消しにいそしむくらいなら、このツモ放棄を極めた方が効果は大きいかもしれない。

次回は、失敗例も交えて考察を深めたいと思う。



posted by はぐりん@ at 23:58 | Comment(6) | 鳴き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする