2020年06月28日

放銃で相手の心を折る

みなさんは放銃にどのようなイメージを持っているだろうか?


おそらく、大抵の人は放銃にいいイメージを持っていないだろう。

「放銃率」が平均順位に占める影響が大きく、ラス率に直結するファクターであることからも、その感覚は当然のものであると言える。


ところが、長いこと麻雀を打っていると、他家の放銃によって自身のチャンス手が潰され、放銃者以上に自分がダメージを受けるという局面があるだろう。

そればかりか、自身が他家からアガリを得ているにもかかわらず、あまり嬉しくない、なんとなくチャンスを潰されたような気になる、ということが稀にある。

これは主に、ツモアガリ濃厚の多面張でアガリ牌を打たれたとか、高目安目の差が大きい手でド安目が先に打たれたというようなケースで起こりうる。

俗に言う、「アガらされた」アガリであり、自身のアガリがなんとなく微妙だなと思える半荘は、大概最終的に好結果にはならないという印象を私は持っている。

なぜなら、半荘に得られるチャンスは限られているからである。


私は放銃には良い放銃と悪い放銃があると思っている。

場況とか局収支だとか状況に左右される部分はもちろんあるが、
基本的には、真っすぐ打っての放銃は良い放銃で、オリに窮しての放銃は悪い放銃だ。

なぜかというと、ベタオリからの放銃は、確実にメンタルに悪影響を及ぼすものだからだ。


前回記事で触れたように、相手のメンタルを揺らすには、一見非合理的な部分、アナログな部分にそのカギがある

そして、良い放銃というカテゴリには、放銃した自身よりもメンタルにダメージを負った他家が含まれていることを意味する

私の感覚では、これは期待値で考える数学的なものというより、動物的な閃きや直観によってなされる性質のものであることが多い。

わかりやすい例でいうと、リーチ宣言牌をチーして前進、テンパイでもないのに食い取った一発目の牌を平然とツモ切り、これが放銃牌だった。

一発ツモを逃したリーチ者はなまじそれが見えるためになぜかダメージを受ける。

これを計算ではなく感覚でやってのける者が強いのだ。


天鳳においても、ベタオリが正確すぎるゆえに、なまじラス目の親にチャンスが回ってしまい、想定外の大逆転を食らう、なんてことが散見される。

ラフに打っていた方がお互いに良い結果になっていたという半荘を何度見てきたことか。

そういう意味では、ネガティブに捉えられがちな放銃の中にも、実は相手のメンタルを削っていくことができる要素が含まれていると考えることができる。


麻雀の上手い人は例外なく放銃も上手い。

自身の意図しないところで実は相手の心を折っているかもしれない。

放銃による相手のメンタルの変化を観察できるようになれば、それはあなたの成績を向上させる一助になるだろう。

それでは、具体的にはどのようなケースがあるのだろうか?

実戦例から見ていきたいと思う。



case1
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南2局、25500点持ち2着目の西家。

13000点持ちラス目の上家からリーチが入っている。

安全牌がなくなり、手詰まり気味になった局面。

ここから何を切るか?





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4pのトイツ落としで回った。

一応チートイツのイーシャンテンだが、7sも切りづらく、ここから全ツするのでは厳しい。

一旦迂回とした。


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ピンズを根こそぎ落として対応していくと、最終盤にテンパイが入った。

残りツモは海底の1回、現物は6mと3sがあるが、さてどうしよう?





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8mを勝負するとロンの声。

かなり危険な宣言牌またぎだが、対応した結果のテンパイ、ドラが使い切れるということで見合うと判断した。

ラス目への放銃は最悪だが…


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幸いなことに2000で済んだ。

この放銃をみなさんはどう思うだろうか?

現状2着目だから無理する必要ないとか、裏が乗っていたらひどいとか、色々あるだろう。

この時私は内心、良しと思っていた。

これをアガったラス目の上家はどのように感じるだろうか?

全員が対応しているように見える河、一人テンパイでも十分なのにアガった結果がテンパイ料より少ないのである。

私が上家の立場だったら決していい気分はしない。むしろやられたと感じるような気がする。


私は真っすぐ打った結果の放銃、しかしアガった上家の心情的には微妙。こういうケースではアガった方の浮上が難しい。

逆に放銃して良しと思えた私は、そのメンタルのままにこの半荘はトップを捲り切ることに成功した



case2
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東2局、23700点持ち同点2着目の親番。

5巡目にして絶好のテンパイが入り、即リーチ。

場況を見るとソーズの下が安く、2sが鉄板級。

これはかなりの確率でアガれそうだ。


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対面から唐突に8sが出てロン。

裏が乗れば十分だが…


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裏はなし、ピンフもつかない方で、3900。

3900なら及第点とも思えるが、実戦心理はまるで逆。

これはやられたという印象が強かった。


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山を開けてみるとこう。

狙いの2sは全山で、2巡後にツモる算段だった。

3900と2600オールでは全然違う。

この微妙なアガリの感触が暗示していたかのように、私は3着で終わった。

放銃した対面が2着だったということからも、この8sは良い放銃だったと言えよう。



case3
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南2局、18400点持ち3着目の親番。

ここから何を切るか?





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678と789の三色天秤ということで、7s切りとした。

マンズ部分が雀頭になった場合に344sの好形が生きやすい。


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狙い通りに雀頭をシフトさせることに成功。

これで形は決まった。


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サクサクと有効牌を引いて上手くテンパった。

6p引きアガリで6000オールよろしく。


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8p先切りで懸念していたが、まるで嬉しくない9pが出て渋々倒す

裏1、裏1でいいんや…


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しかし乗らずに2900止まり。

山を開けて叫んだことには、6000オールのツモが2回待っていた。

裏ドラがその高目というのもなんという皮肉か。

下家の手を見ていただきたいのだが、回ろうと思えば4mのトイツ落としで余裕で回れる。

ある程度攻めの姿勢を貫いたからこそ出てきた9pで、これにまんまとアガらされてしまったのが私だ。

驚くなかれ、この後私はラスまで転落する。振り返って悲鳴を上げたのは言うまでもないだろう。



case4
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東4局、14900点持ちラス目の親番。

3着目の対面から早いリーチが入る。

一発目にワンチャンスになった9mを押したところ。


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数巡経過し、こちらもイーシャンテンになっている。

しかし、持ってきたのはドラソバの2mと厳しい。

1sは通っているが、さて何を切る?





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7m切ってるので回ってられんとばかりに6m勝負するも、アウト。

ドラ受けのドラじゃない方は安目で、裏なしの2600。

2暗刻からもこれは得した気分。


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仮に1sのトイツ落としで回っているとどうなるか?

2巡後にドラをツモられ2000・3900となってしまう。

放銃の方が安く、ベタオリだと1.5倍の支払いを強いられる不思議。

対面が首をひねっている姿がネット越しに見えた。

このように、親番はツモられ損から押し得になるケースが多いので、ガンガン押して他家の心を折ってしまおう。



case5
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南3局、19600点持ち3着目の親番。

このバラバラの手から、8mを切ると下家が手役不明のチー。

そして出てきたのがドラの8p。


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何を切るか?





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すかさず生牌の白を打つと、これが当たりで1000点。

1000点なら御の字とほくそ笑む。

こちらの手牌がどうしようもない以上、一刻も早く下家にアガってもらうことを考えるのは当然だろう。

ドラを打ってくれたのもありがたいサインだ。


ここで、対面と上家の手を見ていただきたい。

対面にはファン牌カンツ含みのトップ捲り手、上家にはタンピン三色含みのラス回避手が入っていた。いずれもイーシャンテン。

私が親番であることから長引くといいことはひとつもない。

少なくともこのアシストはラス目の心を折るに十分だっただろう。



このように、損得微妙な押しによる放銃が、放銃者より他者にダメージを与えているケースがあることがわかるだろう。

case5はともかく、リーチに対して押しているケースでは本人にそれなりの覚悟がなければ成立しない。

ある程度のリスクを伴うからこそ、その覚悟によって相手のメンタルを揺らすことが可能となるわけだ。


ひとつ、気をつけてほしいのは、この放銃が成立する局面の出現頻度はそれほど多くはないということ。

相手の心を折るつもりが、ただのヌルいゼンツ野郎になってしまわないように、使いどころを吟味していただきたい。



ラベル:天鳳 放銃
posted by はぐりん@ at 23:59 | Comment(0) | 攻撃力UP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする