危険牌や懸賞牌を積極的に晒すことで、状況の変化に対応しやすい、受けに強い形を残すことができる。
そういう意味でも、赤を晒すのは仕掛けの基本と言える。
それでは、逆に赤を晒さない方がいいケースはあるだろうか?















真っ先に思い浮かぶのはこういう手だろう。
仕掛けて満貫ぐらいあって、高さがバレていない時。
赤を晒してしまうと、打点の匂いが醸し出てしまうので、黒5の方を晒すと。
しかもこの場合は赤がスライドで出ていきづらいので、なおさら赤を晒さなくても良さそうだ。
ドラが何枚か見えていたら、ますます匂いを消したくなるかもしれない。
チーテンの時点でほぼオリないため、赤を晒す必要は常にないように見えるが、















例えばこういう手なら、5mツモ時のスライドを考慮して赤含みでチー、手牌を外側に寄せておく方が失敗は少ないだろう。
ただしそのメリットは微細につき、どちらが得かの判断は土俵や他家の雀風によっても変わってくるかもしれない。
このように、自身の打点の影を見せたくない、警戒させたくない時に赤5を晒さないことは時に大きな効果を発揮することがある。
また、仕掛ける形によっては赤5を晒すことがさほどメリットにならない形もある。
それでは実戦例から見ていこう。
case1

開局の西家。
マンズに寄った手牌だが、ここから何を切る?

1pのトイツ落としとした。
チートイツ好きの私でもこれはホンイツ、行くよね〜。

上手く北を重ねてホンイツイーシャンテンまで漕ぎつけた。
上家から4mが出たところ。
これを鳴く?鳴くならどう鳴く?

赤含まずの56mで晒した。
これを23mで晒してしまうと、











次に5mを持ってきた際に2mとスライドできずに不自由な形が残ってしまう。
複合形でも慌てずに、危険牌を晒すことを心がけたい。
コツとしては、連続形ができるだけ横伸びになるように仕掛けると、スライドや待ち変えに柔軟な形が残りやすい。
4mが4枚見えていて、マンズの下の安全度が高いため、ここを積極的に残すようにする。

あっさり北が出てきて、3900GET。
5mが出ていかないという点に加え、明らかにマンズの高い河につき、赤を晒してしまうと警戒される恐れがあった。
実際赤を晒していたら北は止められていたかもしれない。
複合形が多く打点が伴いやすい染め手では、赤を晒さない工夫がしやすいと言える。
case2

東4局1本場、35600点持ちトップ目の親番。
上家から中トイツ落としのリーチが入っている。
直後に出てきたのはここしかないドラ。
さて、どう晒す?

黒5で晒した。
対面が8pを通しているので、スライドにメリットがない。
それならば打点を見せない方がプレッシャーは少ないと考えた。
複合形でも1通りしか鳴きパターンがないカンチャン形は、スライドのメリットが小さい。
スライドする場所を選べないので。

なかなかアガれずに終盤持ってきたのは一個ずれた4s。
残りツモは3回だが、さてどうしよう?

3s切りとした。
この場況で25sが1枚も場に見えていない。大概こういうケースでは25sは固まっているもの。
この巡目なら、感覚的には両面もシャンポンもアガリ率に差はなく、危険度も踏まえると安全な3s切りが優位に見える。
終盤がまるまるあるなら枚数重視に受けたかもしれない。

これが上手くハマって、3900オールに。
25sは固まっていて、両面もシャンポンも山に2枚ずつだった。
赤を晒していた場合、対面はもう少し堅く打つことが想定できるので、リーチと直対になる可能性が高まっただろう。
自身のアガリを最大限見たいなら、赤はできるだけ晒さない方がいい。
case3

東3局1本場、23500点持ち3着目の西家。
ホンイツイーシャンテンのところ、上家から4sが出た。
これを鳴く?鳴くならどう鳴く?

黒で晒した。
河がやや派手とはいえ、一鳴きホンイツテンパイとまではバレにくい状況。
こちらの手は7700確定につき、できるだけ打点の匂いを消したい。
スライドに優位性はないものの、赤を晒すメリットとしては東ツモにおける変化時に、69sのノベタンを選択できる。
このメリットはそこそこ大きいのではないかと思う。

すぐに出てきて思惑通りの7700。
これが簡単そうに見えるが、鳳凰卓ではアガリ切るまでが本当に大変なのだ。
特に私はフーロ率が低いタイプということで一つでも仕掛けると警戒されやすい。
ということで、変化よりも警戒されない黒フーロを優先した。
さすがのzeRoさんでも止められなかったことから、作戦は成功したと言えよう。
case4

開局の北家。
親からリーチが入っていて、合わせ打ちで6pが出てきた。
これを鳴こうと思うが、さてどう晒す?

赤含まずの45pで晒した。
5pがもう1枚あるので、スライドすることになっても赤が出ていかない。
当たり牌の36pが現物で、ドラがタンヤオ牌の4mにつき、赤を晒してしまうとこちらも過度に警戒される恐れがあると考えた。
赤を晒しても基本的に問題はないが、状況的に他家を警戒させない方が親を流しやすいだろう。
それでは、カン6pではなく両面で晒した意図はどういうところにあるのだろうか?

このツモだ。
4pをツモってきた際に、4pと7pの選択ができること。これが7pを残した一つのメリットだ。
44556pの形が残っていると、47pの選択が効かないことがわかるだろう(その場合は現物の6pを切って凌げるが)。
基本的には横伸びの形を残しておいた方が、スライドが効きやすく、柔軟なテンパイ維持が可能になりやすい。
さて、ここから何を切る?

4pツモ切りとした。
4pはダブルワンチャンスで愚形にも当たりにくい。
7pはカンチャン、ペンチャンと多様な待ちのパターンが残っている。
結局、7pの方が危険で切れないので結果は一緒じゃん、と思われがちだが…

最後に持ってきた8p、これを使い切れることが大きいのだ。
7pを含んだチーをしてしまうと、この8pをツモって右往左往してしまう。
トータル的には最も安全度の高い凌ぎの手順を遂行できたはずである。
これを為すために一つの晒し方がいかに重要かということがわかるだろう。
アガりやすさを得るために赤を晒さないという判断をし、かつ後々凌ぎやすくなるように晒し方を工夫する。
何気ない一つのチーだが、様々なエッセンスが含まれている本局となった。
このように、打点で警戒させないために赤を晒さない手法は、ある程度感覚や裁量で行っても問題ないだろう。
長引いた際に、凌ぎやすい形にしておくことの方が重要なので、それを意識しておきたい。