タイトルだけ見るとわかりにくく感じるかもしれないので、端的に説明すると、
@仕掛け者の手出し牌ってめちゃくちゃ重要ですよね?
A仕掛け者が先に切っている牌の周りが安全だと思って切るじゃないですか
Bすると突然ポンの発声があったんですよ、えっ?って思うじゃないですか
Cその時に出てくる手出しが待ちに関連している可能性が高いんですよ
例えば、














ドラをポンしているこの手牌。
仮に3pが出たらどうするだろう?
喜んでポンする人が多いはずだ。
しかし、手順上河には2pや4pなどの周辺牌が並んでいることも多く、実際は少し違和感のあるポンに映る。
この際の手出し1mが待ちに関連している可能性が極めて高い、というわけである。
ポンの場合は、この例のように待ちを増やす目的だったり、愚形待ちから一旦単騎待ちに変化させて柔軟な構えにする目的でなされることが多い。
厚い部分を先切りするということは、ターツ候補が充足しているということを表しているため、その状態から一手進むことで速度が保証され、かつ弱い部分(つまり厚く持っている部分)周辺が手出しで出てきやすいため、待ちに関連している可能性が高いと読み解くことができるわけだ。
それでは、実戦例から見ていこう。
case1

東1局、開局の親番。
上家が3pを両面でチーしたところ。
上家は3巡目にして早くもドラ切り。
ドラを先切りして両面固定しているわけだから、誰もがおっ?と思うはずだ。

注目の手出しは7m。
58mがとにかく切りづらい河になっている。
マンズを厚く構えるならドラを温存しそうなものだが、7700以上が確定しているならドラ先切りもありえるか。
778mや788mだったら6mはチーしてそうだな、などと考えると待ちの形は絞られるかもしれない。

と思ったら、最も危険な5mが色つきで放られた。
一体上家は何をしているのだろうか?
7mは手牌に関連していない?

こちらも慎重に打ち回し、海底間際で形式テンパイに取ることに成功。
7pは上家にはさすがに当たらないだろう。
下家への放銃リスクがなくなり、切りやすくなった。

最後の最後に当たり牌が出てきて、僥倖の1500GET。
河底のみ。

注目の上家は…345の三色でカン4m待ちだった。
3pチーからなら役が確定して仕掛けやすく、なるほどと思わされる。

ドラ切りはここから。
7700以上が確定していれば、ドラは惜しみなく切りやすい。
三色含み・リャンカン含みということで、両面固定はむしろセオリー通り。
強い部分は固定する、弱い部分は厚く持つの典型的な形で、最終手出しの7mはやはり待ちに関連していた。

むう、と呻(うな)らされるのがこの赤5mツモ切り。
これにより一気にマンズの印象が安くなり、すんなりと4mを拾える河を作っている。
たまたま私の手に4mは暗刻だったわけだが、見習うべきおとり赤切りの一例だろう。
リャンカン形は手牌構成上先切りが起こりやすい形につき、先切り周辺の仕掛けにおいては特に警戒すべき待ちのパターンとなる。
case2

南1局1本場、32400点持ちトップ目の北家。
ここから6sをツモ切ったところ…

下家のチーが入る。
予期に反して678でのチー。

ここで出てくる手出しがポイントとなる。
8sを先切りしているわけだから、この9mが手牌に無関係とは考えづらい。
直前の8mがポンされていないし、7mが自身の手から3枚見えていて、組み合わせ的にはかなり限定されているように見えるが…

実際の下家の手牌はこう。
9mが手牌に関連しているとわかれば、カン6m待ちを想定することはたやすい。
しかし、9mを無関係だと考えてしまうと待ちの候補はグッと増えてしまう。
これを判定する根拠として、先切りで受け入れを狭めているのはなぜか?という思考に辿りつけば答えを導きやすい。
牌効率的に先切りは必要に迫られてやっていることが多いため、通常よりも最終手出しが待ちに絡んでいる可能性が格段に上がるのである。
9mが先に切ってある白よりも危険度が高いことも、それを裏付けるものとなる。

本局は上家がかわして、300・500のツモ。
下家の打点を見ると決して軽視できない仕掛けであったことがわかるだろう。
case3

南3局1本場、22700点持ち3着目の南家。
9pポンしてチンイツのテンパイに。
待ち的にもアガれそうに見える、かなりのチャンス手だ。

親が自風の東をポンして、このあと手出し6p。

2pをツモってきて、何を切るか?

7p切りとした。
アガリだけで見るとそのままシャンポンの方が優秀だが、親に対して14p、25pはいずれも結構危険に見えた。
親は東ポン出しの6pにつき、通常は6p周辺で雀頭ができていることが多く、14p25pに比して7pは若干安全度が高いと踏んだ。5p6pが3枚ずつ見えているというのもある。
しかし、この7pにポンの声がかかる。違和感のある仕掛けだが…

手出しは7m。
これは確実に手牌に関連しているだろう。
上家の手はどのような形が想定できるだろうか?

結論から言うとこう。
ピンズは出来メンツで、カン8mからドラ単騎への移行だった。
打点が上昇するのと同時に、単騎待ちにしておけば受けに強みがある。

結果、上家と私の二人テンパイで流局となった。
4pをツモったことで、テンパイ維持のためにいずれかのスジを切らざるをえなくなった。
1pの方が危険だが、2p切りはフリテン受けになってしまうため、1p切りを選択した。

ポンの結果、手順で上家はホンイツに移行していったが、なんと私のアガリ牌である3pをピンポイントで食い取られてしまった。
無邪気に1pを切っていれば、すんなりツモアガリがあったわけだ。

さらに、下家の3mチーによって、ラストの3pが下家に流れてしまった。
なんという巡り合わせ、なんたる不遇。
下家は3pを掴んでオリに回った。当然と言えば当然だが、さすがと言えばさすが。

狙いの48pは山に3枚もあった。
下手に受けずにこの形のまま突っ張っていたらアガリは硬かっただろう。
それよりも、この場面における対面の手をご覧いただきたい。
愚形待ちとはいえ、赤3ドラ1のテンパイが既に入っている。
何かを察知した対面はここから躊躇なくオリる。
結果、放銃を回避した形となっている。
あなたにはこれができるだろうか?鳳凰卓ではこのような高度な駆け引きが常に行われているのである。
ちなみにこの対面は、ASAPINの実兄のゆーせいさんである。麻雀においても血は争えないことを思い知らされる1コマであろう。
最終手出しの隣牌がポンされるケースでは、超好形変化か、このような愚形からの単騎移行が散見される。
覚えておいて損はないだろう。
ちなみに、本局悔しい流局となった私だが、この半荘はトップ捲りで終えることができた。
case4

南2局、19900点持ち3着目の西家。
ラス目の南家が2sをポンしたところ。
おやおや?3s切っておいて2sポンとな。

注目の手出しは8p。
7p6p5pあたりをマーク。

直後に持ってきたのは西。
これは生牌だが、さてどうするか?

ドラも見えているからと押したところ、これが当たりで想像より高い。8000。
上家の河的にこれは押してはいけないやつだった。

上家の3s切りはこの形から。
両面否定トイツ固定からのポンが明白なので、こういうケースではトイトイを警戒する必要がある。
一鳴き目がトイツ固定からのポンだと、トイトイの可能性はグッと上がるだろう。

そういう観点でいくと、最終手出し8pの周辺生牌である7pは待ちの筆頭候補となる。
ラス目が効率を犠牲にしている以上、しっかりと警戒すべき局面であった。
片割れの特定は難しいが、生牌は警戒してしかるべきだろう。
このように、先切り牌周辺の仕掛けは速度が伴っており、最終手出しから待ち読みのヒントになることが多いため、特に注意して見ておくといいだろう。