2021年03月28日

選択しないという選択

今回は少し趣を変えたテーマを。


日常生活において、選択しなければならない時に逃避したり先送りしたりすることは大抵の場合いい結果を生まない。

しかし、選択をしなかったがゆえに間口が広がり、結果的に上手くいくという事例も稀にある。


例えば、株式投資においてA銘柄とB銘柄のどちらかを買いたくて迷っていたとする

A銘柄をもし自分が買ったらなんだかとっても下がりそうな気がする。

それだけならいいが、選ばなかったB銘柄が上がったりしたら目もあてられない。

迷った末にその人はそれらが含まれている指数のETF(TOPIX)を買うことにした。

これならばリターンはともかく、どちらかの銘柄の上下に感情を揺さぶられることもなく平穏でいられる。

これなどは「選択しない選択」のいい例ではないだろうか。


将棋の世界では、「手を渡す」という言葉がある。

いかにも攻め筋がたくさんあって攻めの一手を指したくなる局面で、じっと自陣に手を入れる。

相手はこちら側が何かやってくるだろうとその攻め筋を読んでいたところなので、いざ何もやってこないとなると手が広すぎて逆に指し手に困ってしまう。

将棋の世界ではこういうことがしばしばあるという。

厳密には「選択しない」こととは違うが、これを戦略的に用いることができれば精神的に優位に立てるはずである。


このように、「選択しない」ことで柔軟性の猶予を保ち、いい意味で選択の先送りをするという戦略がある。

これは麻雀においても例外ではない。

具体的には、形を決めずに様々なツモに対応できる構えを取ることだ。


元中日監督の落合博満のバッティングフォームは「構えのない構え」と呼ばれていた

すべての球に対応するためには、球種を「読まない」ということであり、来た瞬間に反応するということである。

「選択しない」ことが柔軟な対応を可能にすることの好例ではないだろうか。


シャンテン数に捉われずに、伸びそうな手は思いきって伸ばしてみる。

手牌の間口を広げることが好結果を呼び込むことも麻雀には少なくない。

どんな牌姿がそれに当てはまるのだろうか?

実戦例からご覧いただきたいと思う。



case1
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南2局、24000点持ち3着目の西家。

ラス目の下家とはやや差があるため、気持ち余裕がある。

ドラドラの好手から絶好のカンチャンが埋まったところ。

自風の西がトイツでターツ選択を迫られている。

さて、ここから何を切る?





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西を1枚外した。

いずれかのターツ落としが悪いわけではないが、さすがにこの形だと裏目が痛すぎる。

タンヤオ、ピンフ、三色という手役がつくことに加え、雀頭が極めてできやすい間口の広さがある。

仕掛けまで踏まえるとこちらの方が期待値が高いのではないだろうか。


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ひとつ仕掛けたところ。

ここから何を切る?





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4s切りとした。

通常は8s切りで、やや特殊な切り筋。

これだと受け入れが狭く、ドラが飛び出るリスクもあるが、8sがいかにも山にいそうなのでポンに対応できる構えとした

8sポンなら三色の含みが残って面白い。


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ベストなツモで自力テンパイ。

より危険な4sを先に処理できているというのもひとつの主張だ。


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対面から高目が出て7700。

ここでのトップ目直撃はあまりに大きく、そのままトップでフィニッシュした。

柔軟な西落としが見事にはまった形となった。



case2
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南1局、21700点持ち3着目の親番。

ラス目対面とは400点差という大接戦で、全体的にも僅差。

マンズにくっついてターツオーバーとなってしまった。

さて、何を切る?





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北切りとした。

最近の教科書にはこういう牌姿からはどこかのターツを落とすべき、と書いているだろう。

効率的にはそれが正しい可能性が高い。

しかし、ソーズもピンズも良さそうだし、せっかくくっついたマンズを無碍にするのも…ねえ?

8pを切るぐらいなら北を切る方が柔軟性があっていいんじゃないかと思う。


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こんな風にどこかが重なるだけでも、随分と有効牌は増える。

北を残している場合はこの4pツモで3トイツとなり、それほど進んでいない。

シャンテン数が高い(テンパイまで遠い)時の受け入れ枚数はそれほど重要ではないが、強いターツがひしめいている時は結論を先延ばしにして「間口を広げる」ことが有効となることがある


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4pが暗刻になり、意外な方向に手が伸びてきた。

危険な47pを固められるこの7pは嬉しいツモ。

これで概ね形は決まった。


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8mを引き入れて即リーチ。

序盤のターツ落とし候補筆頭は通常マンズではないだろうか?

ツモの流れに逆らわない、ということも私の中では重要なファクターだ。


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追っかけを食らって冷や冷やするも、無事にロン。

裏は乗らずに2000。

この2sはとても拾えそうだ。



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北落とし以外だとおそらくこの手はアガれない。

そればかりか、対面のハネ満ツモによる親っかぶりが待っていることがわかるだろう(裏裏)。

手牌・状況によって多少のアレンジを加えること、これが本局のポイントになっている。

このアガリからリズムを掴み、トップを捲ることができた。



case3
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東3局、21500点持ち3着目の北家。

好手牌からよだれが出そうな赤5mのツモ。

これにより手牌がギュッと締まったが、さて何を切る?





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北のトイツ落としとした。

タンヤオがあってこの形、さらにこの巡目ならま〜これはマジョリティかもしれない。

8sが暗刻というのも雀頭不在の心配が少なくていい。


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仮にこれがテンパイ逃しとなったとしても全然悔しくない。

むしろ、2分の1でこの幸せな形を逃してしまった時の後悔の方が大きいのではないだろうか。


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二者に仕掛けが入って、8sがカンツになった。

むむっ、これはテンパイチャンスに差が出てくるが…さて、どうしよう?





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カンした。

マンズの形がいいので、ツモを増やして少しでもテンパイスピードを上げたいとの意。

これだと単騎テンパイのリスクもあるが…


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リンシャンから素晴らしいツモをいただいて、これはベストな最終形。

これはもらったでしょう!


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しかし、これがまさかの流局で一人テンパイ。

これ、アガれんか…


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選択の場面。

シャンテン数重視なら、裏目の少ない5s切りが手筋、次巡6pツモでテンパイとなる。

4巡目即リーなら仕掛けが入らずおそらく2000・3900のツモアガリ(裏1)となっている可能性が高い。が、それは結果に過ぎない。

この形なら巡目が多少遅れても、タンヤオの有無による打点差はそこそこ大きいと見る。

焦らずに打点を見る北切りで問題ないだろう。


見てきたように、ターツ選択で迷ったら「選択しない」という選択が正着となることも少なくない。

とかくスピードが求められる時代ではあるが、要所要所で懐深くどっしりと構えること、このタイミングを見極められれば勝ちきるための大きな武器となることだろう。



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2021年03月21日

晒されている牌を見落とさない

今回は麻雀における情報処理について。


ベタオリしている際、晒されている牌を見落として現物以外を切ってしまう。

誰でも一度くらいはやったことがあるのではないだろうか。


四者の捨て牌は卓の中央に集まっているのに対し、鳴きで仕掛けられた牌のみ卓の隅に追いやられてしまう

切り順がわかりづらくなるのはまだいいとして、一目で俯瞰できないという視覚的に多大な影響がある

人間の視野には限界があるため、自身の手牌と河を中心に見ていると、仕掛けられた牌はどうしても視野の外にはみ出てしまう。


また、牌の情報が少ない序盤は見落としが少ないものの、情報量の多い終盤ともなると情報処理に脳みそが追いつかず晒された牌を見落としてしまいがちだ。

これは特に時間制限のあるネット麻雀において顕著であり、実力の差が生まれやすい部分でもあるだろう。


私の場合はどうかというと、私は時間をフルに使うタイプであるため時間に追われて見落とすいうこともしばしば経験してきた。

やはり局面が複雑で自身がピンチの時、つまり考えることが多い時ほど見落としやすいということは言える。

まあこれはこのミスに限った話ではないけれども。


こういう類のミスをなくすためには、脳の容量を増やすか、情報処理を早くするなど、脳の性能UPが必要であり、だからこそ個人差がつきやすい部分なのかなと思うところはある。

そんなことを言われたら元も子もないよ、と思ったあなたにこういうミスを減らすためのアドバイスをするとすれば、

一巡一巡のインプットを大事にすること、この意識が重要かと思う。


今日できることを明日に伸ばしてしまうから、いつまでたっても仕事が先に進まない。

これと同じで、ピンチになってからいっぺんに考えるから頭がパンクしてしまう。

そこで、仕掛けが入ったらボーっとしないでその都度インプットする癖をつけておけば、ピンチの際にそれを確認する労力が省ける。

頭で考える・執着するという感じではなくて、右脳で画像のように焼きつける感じで把握する。

1巡のインプット能力が0.1ミリでも上がると実感できれば、心に余裕ができ、危機にあらかじめ備える心構えができる。

恐怖心に左右されないメンタリティを自分の中でどのように構築するか、そのための工夫として1巡の密度を濃くするわけだ。


1巡を大事にするものは1巡を制す、というわけである。

それでは、実戦例から見ていこう。



case1
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東3局、32900点持ちトップ目の親番。

ブクブクに構えていたところ、2着目下家からリーチが入って一発目

河が強くて情報が少ない。

さて、ここから何を切る?





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7mを抜いた。

よく見ると対面の仕掛けに7mが晒されている。

赤5pが切れないのであれば、特別がんばっても徒労に終わりそうだ。


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7mに気づくことができれば、中スジの4mも割合切りやすい。

結果、下家がツモで700・1300。

被害最小限で切り抜けることができた。



case2
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南2局、26700点持ち2着目の親番。

ゴツゴツした手牌のところに、ラス目下家からリーチが入って一発目

このリーチにだけは絶対に打てないが…さて何を切る?





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8s切りとした。

対面の仕掛けに晒されている5s、さらに8s9sがすべて見えているため8sが当たるパターンがない。

2mあたりに手がかかりそうになるが、冷静に考えると8sが最も安全だとわかる。


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二人テンパイで流局。

伏兵対面が実は高く、6mはリーチにはノーチャンスだけにかなり危なかった。



case3
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南1局、23800点持ち3着目の西家。

トップ目上家からリーチが入って一発目。

こちらも結構なチャンス手だが、持ってきたのはスジ掴まりとなるドラまたぎ。

さて、何を切る?





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ここだけは絶対に切れないと、現物の8sを抜いた。

が、9pは実は対面の仕掛けに晒されている完全安牌だったのだ!

うっかりそれを見落としてしまっていた。

考慮時間の短い上家リーチ直後のポン材は経験上見落としやすさ筆頭。


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結果、チーが入って親の4000オールが炸裂してしまった。

こういう紛れは私自身最も嫌うところで、それが自分のミスでとなればなおさらだ。

みんな、すまん。


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普通に9pをツモ切っておけば三人テンパイ流局の可能性が高かった。

自身がテンパイできた可能性があっただけに痛恨の一局となった。

この半荘は2着。



case4
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南3局1本場、30300点持ち2着目の西家。

対面の親リーチに続いて、北家が追っかけときた。

こちらも好手だが、2件だとさすがに厳しいか。


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何とか凌いできたが、ここにきて安全牌が尽きた。

さて、何を切る?





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8s切りとした。

下家は河が強すぎて、待ちの手掛かりがない。

しかし、上家に晒されている牌を利用することで、親の現物ならびに下家に対する唯一のワンチャンスを導くことができる。

7pも割合安全度は高いだろう。


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結果は下家がツモアガって、裏1の1000・2000となった。



case5
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南1局、23300点持ち2着目の親番。

南家が5万点オーバーのダントツで下位はやや縦長。

ラス目の対面からリーチが入っている。

こちらはドラ2赤1のチャンス手だが、さて何を切る?





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唯一の現物、晒されている5mを抜いてオリた。

この点差だとラス目への放銃だけは許されない。

天鳳なら当然のオリかもしれない。


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結果、対面の一人テンパイで流局となった。


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対面はなんと中単騎のチートイツだった。

5mを見落としていた場合、あるいはここから攻めを選択した場合、いずれも一発放銃は免れなかっただろう

6400からのデバサイは一気に混戦となりラス転落も現実的だった。

非常にスリリングな局面だが、ある意味切れない5sを持ってきたことはベタオリを決断するいい材料となったかもしれない。



見てきたように、晒された牌が盲点となって時にあなたの守備の妨げになることがある。

安牌がなくなっても余裕を持って対処し、晒されている牌を逆に利用するぐらいの心意気で臨みたいものだ。



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2021年03月14日

晒しスキル ドラがスライドできるように晒す

基本的な内容だが、重要なテーマを含んでいるため、ぜひご覧いただきたい。


フーロ時の晒し方には大抵の場合正解がある。

そして、これらはパターン化できるものであり、体系的に学習できる分野でもある。

相手リーチに対して攻め返すかどうかという問いよりも正解が導きやすい分、結果に与える影響もそれほど大きくはないかもしれない。

しかし、微差を積み重ねることの重要性は研鑽しているみなさんが一番ご存知だろう。


私はこの記事を書いていて何かに似ているな、と思った。

それは「スジのどちらを切るか」という私の過去記事と非常にテーマが似通っていると感じたのだ。

現在の危険度と将来の変化を天秤にかけた選択、しかし結果に劇的な影響を与えるわけではない、という地味さがまさに共通項ではないだろうか。

当時反響はあまりなかったが、誰も触れていないテーマであり、画期的な内容だったのではないかと個人的には思っている。


「スジのどちらを切るか」は、毎週毎週やり続けてみなさんに飽きられた感もあったので(笑)、今回の晒しスキルは小出しにしていこうと思う。

実戦例については玉石混淆だが、今見ても参考になると私自身思うものもまだまだたくさんあるし、みなさんの実力に応じて感じ方は様々だと思うので、自分なりの「気づき」を少しでも得ていただければ、と思っている。


晒し方を決める際に重要となる判断基準は以下の通りだ。

@基本:相手に対する危険牌を晒す

二萬三萬五筒六筒六筒七筒八筒一索一索北ポン中中中ドラ五筒出る七筒

上記の手牌で上家から7pが出た。どう晒すか?



二萬三萬六筒七筒八筒一索一索チー五筒六筒七筒ポン中中中ドラ五筒

両面で晒す。

ドラを晒すことで、次にドラをツモってきた際にスライドができる。

基本的には危険牌を晒すことで、次に持ってきた際のスライドも可能になる。

どうするか迷った際は現状の危険牌を晒しておけば間違いが少ない


A応用:将来のスライドを考慮する

二萬三萬五筒六筒六筒七筒八筒一索一索北ポン中中中ドラ四筒出る七筒

先ほどとはドラが変わっている。上家から7pが出てどう晒すか?



二萬三萬五筒六筒七筒一索一索チー七筒六筒八筒ポン中中中ドラ四筒

カンチャンで晒す。

言うまでもなく、ドラツモでスライドできるようにするため。

この場合、手牌を内に寄せているため手牌の危険度自体は上がっている。

例えば、赤5pを持ってきた際に8pではなく二筋にまたがる5pを切らなければならない。

しかし、そのデメリットよりもドラをスライドできるメリットが大きいと考えるわけだ。

このケースのように損得が明らかな場合は迷わないが、差異が不明瞭でどちらが正解か悩ましいケースはごまんとある。

そのような難易度の高い局面も今後紹介していきたいと思う。



以前の記事で「赤は基本晒して鳴く」というのを紹介したが、ドラは4枚あるためなおさらだと言える。

相手への受けに加えて、自身の打点UPに繋がるわけだから、差し引きのプラスが大きいということだ。

そういう意味で、基本的にはドラに寄せて晒していくのが間違いないだろう。

それでは、実戦例から見ていこう。


case1
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東4局、25500点持ち2着目の親番。

親でドラドラのチャンス手だが、25pが薄くなってきた。

と、思っていたら3フーロの上家から5pが切られた。

これを鳴こうと思うが、さてどう晒す?





33744.jpg

両面でチーした。

ピンズを連結させておけば、ドラツモの際にスライドできる。

できるだけ連続形を残すように晒すことがスライドのコツだ。


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上家との競り合いを制し、無事2000オール。

ドラは残り2枚とも山にあったので、ツモる可能性は十分にあった。



case2
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オーラス、31800点持ち2着目の西家。

トップ目の下家とは6400点差となっている。

自風の西をポンして、ピンズの並びもいい。

上家から2pが出たが、これを鳴く?鳴くならどう鳴く?





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カンチャンでチーした。

確実な逆転を目論むのであれば、ツモアガリで捲れないこのテンパイはさほど歓迎できない。

69pからの仕掛けであれば、ドラツモや3pツモでのテンパネで捲れるため、この2pはスルーも考えるところ。

ただ、ラス目の上家からドラが出ることはまずなく、この2pをスルーしてしまうと意外とテンパイに苦労しそうということと、この巡目ならタンヤオ仕掛けのトップ目から9pポロリはありそう(直撃なら3900で捲り)ということで、テンパイスピードを重視することにした。

ドラツモに対応できるように、4pを残した。

わりと気づきづらいカンチャンチーではないだろうか。

さらに…


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チャンタの含みを残せば、このツモでアガらずの選択も可能となる。

これもカンチャンチーのひとつのメリットだろう。

残り巡目が多いので、4p切りから字牌単騎を目論み、逆転形に持ち込むということも可能だ。

さて、アガる?





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アガった。

1000・2000の二確はトップ目を喜ばせることにもなるため微妙だが、親との差もそこそこ近いため天鳳なら妥協するところだろう。

ラス目上家のカンも不気味でzeRoさんだけに雰囲気がある。

アガらないことももちろん考えたが、ここでアガらずを選択するぐらいなら、2pを鳴かずにスルーした方がトップには近い気がする。


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牌山はこうなっていた。

アガらずに南単騎の変化はアガリ目がない。

2pをスルーしてこの9pを上家からチーできたとしても、リーチ棒つき2pツモではギリギリ捲れない。

親の手も早いが、驚いたことに上家が打点の伴ったテンパイを入れている。

アガらないなどという悠長なことを言っている場合ではなかったことがわかる。



case3
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東3局、20700点持ちラス目の南家。

場風の東はまだ場に出ていない。

都合5枚目の47pが上家から打ち出されたところ。

これを鳴こうと思うが、さてどう晒す?





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カンチャンでチーした。

ピンズの下が安いので、6pを晒した方が手牌の安全度は高い。

ただ、それだとドラ表示牌ならびにドラに対応できなくなるため、6pを残した。

上家の仕掛けはペン7p待ちも十分に考えられるため、これに対応できるようにしたい。


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結果、親の2600オールツモとなった。


48437.jpg

ご覧のように対面にはペン7pの受けがあった。

これに対応できる構えを前もって考えておくことは重要だとわかるだろう。


見てきたように、複合形の仕掛けはドラやドラそばをケアできるように晒せば間違いが少ない。

一見単純だが、case2のように死角(仕掛け方が見えづらい牌姿)が存在することもあるため、注意深く見ていく必要がある。



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2021年03月07日

リャンカンの先決めは仕掛け時も効果的

今日は扱いの難しい形、リャンカンについて。


六萬七萬八萬九萬九萬一筒三筒五筒三索四索六索七索八索ツモ二索ドラ七萬

リャンカンがやっかいなのは、両面よりも手牌を1枚圧迫するため安全牌が持てないこと。

そして、最後まで残ってしまうと愚形かつ読まれやすい待ちになってしまうことだ。


モロ引っかけのカン2pを嫌って1pを最終手出しにすると待ちは読まれづらくなるものの、456待ちになってアガリづらい。

赤入りならば赤含みのカン4pもかなりケアされる待ちとなるだろう。


余剰牌を持てない上に、最終手出しが100%関連牌となる融通の利かなさこそが、リャンカンの使い勝手を悪くしているのは間違いないだろう。


手役絡みならばリャンカンを先決めしておくことで、そこが最終形になった際に出アガリがしやすいという生かし方もある。

これは以前の記事で詳解しているので参照していただきたい。

先切り引っかけの戦略【part1】

先切り引っかけの戦略【part2】


さて、仕掛けを入れた際にリャンカンが残っているケースも当然あるだろう。

この場合も同様に使い勝手の悪さはつきまとっているものの、一つメンゼン時と違っている点がある。

上家から出た牌をチーできる、という点だ。

何を当たり前のことを、と思われるかもしれないが、先決めは待ちが出枯れになるリスクを常に孕んでいるため、出た瞬間にチーできるのは大きい。


ターツ選択時にリャンカンの先決めをすることで、時に上家から鳴きたい牌を引き出すことができる。

そればかりか、絞ろうとした上家が「選んで」そのスジ牌を切ってくれることも往々にしてある。

なので、警戒されるべき手であればあるほどリャンカンを先決めしておくことは効果が大きい。


リャンカンは使い勝手が悪いからこそ、その特性を上手く利用することで、相手の読みの裏をかくことができる。

リャンカンならばこんな早い段階で形を決めないだろう、という通常の読みを逆用するわけだ。


仕掛け時に愚形を捌いて一手進むことの価値が非常に大きい事は言うまでもない。

奇襲ではなく正攻法として使いこなせるようになれば、特に上級者相手に効果の大きい戦術だと言える。

それでは、実戦例から見ていこう。


case1
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東2局、原点2着目の親番。

ドラの中がトイツというチャンス手をもらっている。

6mをツモってマンズがゴツゴツしてきた。

さて、ここから何を切る?





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5p切りとした。

単純な受け入れの広さならマンズのどちらかのトイツほぐしで、それが一般的かもしれない。

ピンズの上が安く、7p受けはかなり良く見える。

マンズのこの形は両面変化しやすく、中が鳴けた時に威力を発揮しそう。

ピンズの場況的に、カン2pが最終形になったら面白そうという観点からリャンカンを先決めした。

5p先切りならペン7pを引き出しやすい、という思惑もある。


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予想外に中が早く鳴けた。

ここで何を切るかは難しいが、構想通りマンズの変化を重視して、89p落としとした


34898.jpg

即座に上家から打ち出されたのは2p。

待ってましたとばかりに飛びつく。


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5mツモから36mと47mの選択をミスってしまったが、さらなる変化が。

マンズは持たれてそうなので、ソーズに変更することにした。

見ての通り、他家は完全にベタオリ模様。

もうミスれません…


34900.jpg

今度は捕らえて、4000オール。

親番でこの手をアガれるかアガれないかは大違いにつき、ホッと胸を撫で下ろす。


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ここでマンズに手をかけていると、最終形はペン7pとなっている可能性大。

それ自体は悪くないが、一見不自由そうなこのマンズを残すことも柔軟性という点から一考に値することがわかるだろう


34902.jpg

上家の2pはここから。

通常なら絶対に手をかけないはずの2pを選んで切り出している。

これが5p先切りの効果であり、絞ろうとすればするほど手をかけてしまう2pでもある。

高い手の時ほど絞る意識が働きやすいため、先決めの効果は大きい。

仕掛け前提ならチーして手を進めることができ、作為の優位性が高いとわかるだろう。



case2
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南2局、29600点持ち2着目の南家。

ホンイツ本線だったが、ドラが重なった

ややバラバラだがダブ南トイツでもあり、何とか生かしたい。


34978.jpg

ダブ南がポンできてイーシャンテンとなった。

ここから何を切る?





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6s切りとした。

3sと9sのダブル引っかけ。

8sを切ってしまうとソバの9sが絞られてしまうおそれがある。


34981.jpg

9sがポンでき、首尾よく7700GET。


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6s切りと8s切りが逆だと、9sと3sの出やすさに大きな差がついてしまう。

この場合5sが2枚切れにつき選びやすいが、5sが見えていなくてもこの手順は有効だろう。



case3
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南1局3本場、5100点持ちラス目の北家。

上手いことリャンカンとなる3mを引き込んだ。

ここから何を切る?





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5m先切りとした。

打点が必要な局面につき、123の三色に決めた。

この構えならドラツモにも対応することができる。

マンズが安くカン2mが待ちになったら面白い。


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思ったように手は進まず、2枚目の白を渋々ポンテンに取った。

この場況なら2mはあっさり拾えそう…ごくり。


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結局、上家が宣言牌で親に5800の放銃となった。

2mは一体いずこに…?


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2mは山に3枚で、なんとツモる直前だった。

おそらく誰が掴んでも2mは止まらなかっただろう。

このように、後々仕掛けることになった場合も、メンゼン以上に警戒されない待ちとなるため、テンパイまで漕ぎつけられればかなり効果的となる。


見てきたように、仕掛け時のリャンカン先決めは、上家からチーしやすいという利点がある。

ただでさえ手の内が読まれやすい仕掛けだけに、リャンカンの融通の利かなさを逆手にとることで、それを生かせる局面というのは必ずあるはずだ。

ここぞという場面で、お試しあれ。



ラベル:天鳳 手組
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