2021年10月31日

壁を利用したリーチ

麻雀における「壁」というと定義は曖昧だが、
私自身はノーチャンスのみならず、ワンチャンスも含まれると解している。

「ダブルワンチャンス」と言うのでは長いので、
「壁」というと一言で済む、そんな感覚ではないだろうか。


4枚見えが場に現出してからそれを利用するのは、ある意味当たり前ではあるが、
それが現出しやすいプロセスというのはある程度自分自身で作ることができる

例えば、899から8を早目に切ってシャンポン形を固定することで、
先切りの効果とリーチ後に8が出やすくなることで出アガリがしやすくなる。


シャンポン形の出アガリ率が高いのは、壁が現出しやすいという理由のみならず、
そのプロセスを構想に描きやすいからに他ならない。



通常のメンツ手で効率を犠牲にする先切りはためらわれるが、
効率と出アガリ率はトレードオフの関係にあるため、
最終形を先に決めつつ効率を犠牲にしない手順を模索したり、
あるいは思いきって効率を犠牲にしてしまうという局面があってもいい


このへんの、「将来の壁」をイメージしながら即リーチに有利な手組みをすることは、
守備の技術が高い昨今においては何気に重要なのではないかと思う。

そびえたつ壁の陰に隠れて獲物を狙撃する、スナイパーのようなイメージで、
手順に一つ二つアクセントを入れてみると面白い結果が待っているだろう。


それでは、実戦例をどうぞ。


case1
51869.jpg

南1局、23500点持ち2着目の西家。

イーシャンテンから3pを持ってきたところ。

さて、何を切る?





51870.jpg

ツモ切りとした。

ピンズの下は悪くないので、2pの受けを残すのも一考。

ただしこの手の本命はマンズの一通につき、雀頭不在にならない手組みにした。

5sを浮かせて好形変化を見つつ、8p即埋まりなら即リーチに旨みがあると判断した


51872.jpg

狙い通りに一通が完成し、テンパイ。

下家の2pカンが新ドラモロ乗りとなり、場はひりつき始めた。

さて、どうしよう?





51873.jpg

シャンポンでリーチした。

1pが1枚減っているのが難だが、だからこそ盲点になる。

それから、地味に3pを先切りしているのが後々効いてきそう。


51874.jpg

対面から難なく出て、8000。

親は6000オールのテンパイにつき、あまり関係なかった。

カン8pでも出ていただろうから、たまたま上手くいった感じ。


51875.jpg

受け間違えていると、親が3巡後に3sをツモって6000オールが炸裂する。

このへんに麻雀の怖さが垣間見える。

2pカンがなかったとしても、現物の3pがパタパタと出る未来は想像に難くない。


case2
61321.jpg

南2局、21600点持ち3着目の親番。

赤含みチートイツのテンパイが入った。

さて、どうしよう?





61322.jpg

赤5sを切ってダマにした。

上家の両面ターツ落としがポイントで、ソーズの染めが濃厚につき、先処理とした。

4mは今ならさらっと拾えそうで、4800の加点はそれならそれで悪くない。


61323.jpg

次巡、持ってきたのは9s。

さて、どうしよう?





61324.jpg

4m切ってリーチした。

1枚9sが出た直後につき、タイミング的にはイマイチにも見える。

が、9sがポンされていないというところがポイントで、固まっていなければこれほど狙い目の待ちはない。

ポンされている7sも私が切ってるしね。


61325.jpg

これがホンイツの上家から出てくるのだから面白い。9600。

上家自身が4枚目の7sを持っているのだから、私の河的にもこれが当たるとは思わないだろう。

赤5sを先処理したのもチートイツの読みを外す一端となっているはずで、会心のアガリとなった。


case3
70899.jpg

南1局、24400点持ち2着目の北家。

ピンズ12枚赤含みという大チャンス手が入っている。

対面から4枚目の8pが出たが、これを鳴く?





70900.jpg

ポンした。

ドラ周辺は急所につき、これを鳴けばグッとアガリに近づく。

南は3枚切れにつき、ここは当然ドラ残し。


70901.jpg

しかし、3着目の親から7p宣言牌のリーチが入る。

うーん…ドラが浮いていてタイミングが悪い。


70902.jpg

上家から合わせ打たれる7pを待ってましたとばかりにチー。

1pは現物だが、さてどう受ける?





70903.jpg

こんなんドラ勝負に決まってんべ…もダメ(汗)

痛恨の12000放銃となってしまった。

これが最後まで響いてラス終了と相成った。


70904.jpg

下家は47pに受けずにドラ単騎を選んだ。

先ほどの私と同じで、上家のドラが鳴かれていないことも判断基準としてあっただろう。

上家のドラに合わせ打ちするという手もあったが、残す3sが安全なわけでもない。

トップ目が攻めっ気につきそれに備えるという意味もあるし。


70905.jpg

ここで現物の1pを切る手もあったが、さすがに勝負所と判断した。

147pが山に4枚あったのなら後悔はなし。

ただ、じっと1p切りで耐えた場合は上家のタンヤオツモの方が速いというのがにんともかんとも…。

自身の8pポンによって絡め取られるという後味の悪い結果となってしまった。



このように、少しの手順の工夫でリーチの出アガリ率はグッと上がる。

見えない壁が見えるようになった時、あなたの才能は覚醒するかもしれない(もしくは病院を勧められるかもしれない)。



ラベル:天鳳 迷彩
posted by はぐりん@ at 00:00 | Comment(0) | 攻撃力UP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月24日

スジのどちらを切るか 将来のスライドに備える【新ネタ】

さて、久々にこのテーマだ。

スジ切るは過去に連載したが、その後の実戦でサンプルも集まったので取り扱ってみた。


過去記事:スジのどちらを切るか【将来のスライドを考える】

3年ぶりに上の記事を見てみると、こう書いてある。

研究のテーマとしては奥が深く、
掘り下げて考える機会をまた作りたいと思っている。


私は思っているだけじゃなくてやる男なんですよ。

どこかの政治家とは違うんですよー!(謎の熱弁)


今回は簡潔に行きましょう。

将来のスライドに備える際に重要なポイントは一点。

相手の危険スジを把握し、そのスジをスライドできるように前もって動かしておく、ということだ。

手広く受けられるように構えることはもちろんだが、それよりも相手の危険スジをツモった際の想定が大事。

安全なスジをスライドできてもそれは何の意味もなさないからだ。


シャンポン想定など、例外的に難易度の高い局面もあるがそれはレアケースにつき、両面・三面張という基本の危険スジを動かせるように構えることが重要ということ

本記事ではそこに焦点を当ててお送りしたい。

それでは実戦例を、どうぞ。


case1
60854.jpg

東1局1本場の北家。

対面の南家からリーチが入って一発目。

こちらも7700テンパイだが…さて、何を切る?





60855.jpg

現物ではないが1s切りとした。

対面の待ちはどのあたりが危険だと推測できるだろうか?

これを考えておくことで、どのような手構えが最善であるかをざっくり把握できる。

この河でチートイツということもあるめぇ。


60856.jpg

このツモだ。

対面の河は58sが危険で、9sと2sの危険度としては同じワンチャンスだが先切りの4sがある分2sの方がやや安全

さらに、現物の4sが河に現れる(ノーチャンスとなる)可能性があることを考えると、さらに2sのスライドが有利となる。

今回はたまたま2sが現物となっているが、この2sスライドという選択肢を残せることが1s切りのメリットだ。


60858.jpg

結果、二人テンパイで流局。

南家の待ちはズバリ58sで、一発目にブンと8sを押していたらアウトだった。

ソーズの上が危険というのは一目瞭然につき、下にシフトできる構えにすることで、スライドが生きる。

横に連携できる形を重視するのが守備力の高い構えであることがわかる。


case2
67743.jpg

開局の西家。

上家の南家からリーチが入っている。

こちらは手広いイーシャンテンからやっとこテンパイが入ったところ。

さて、どうしよう?





67744.jpg

5s切りとした。こちらの方が間口が広いという判断からだ。

が、実はここでの正解は8s切りなのだ。

なぜ8sが正解なのかわかるだろうか?

これは難問につき、瞬時に分かった方は上級者かもしれない。

答えは次のコマで。


67746.jpg

まず、私の選んだ5s切りは9sツモでのスライドが可能だが、9sは上家リーチの現物

36sは危険につき、9sツモからはスライドのメリットがない。

逆に147sはいずれも危険につき、これはスライドの余地がある。

上家の河には赤5sが光っているものの、23sがダブルワンチャンスにつき単純牌理からは14sより47sの方が危険となる

すなわち、7sツモ時にスライドの選択肢が生まれる分、147sを流動的にする8s切りが正解となるわけだ。

上家の待ちはまんまと47sにつき、これはわかりやすい。


なんとなく受けを広くするという意識だけだと5sに手がかかってしまいがちだが、リーチ者の危険スジに照準を絞ることで、147sを動かす打牌選択が有効と分かる。

このように、スライドの考慮はマーク者の危険スジをスライドできるように構えるのが有効となる

待ち読みと牌理の複合した分野が絡んでくるゆえ、難易度が高くなるのも頷ける。


67745.jpg

結果、二人テンパイで流局となった。

1sが通っているだけに私のツモ筋に7sがあったならこれは手痛いミスとなるところだった。

また、下家が8sをチーしていないのも興味深い。

これをチーして現物のドラ切りとすれば私にドスンだが、スジの2s切りとすらしていないところに腰の重さを感じる(しかもノーテン!)。

このへんからも黎明期とのフーロ率の変化を感じることができる。


case3
68621.jpg

南3局3本場の南家。(他家視点、対面が私)

熾烈なラス争いで、3着目の西家とは2400点差という状況。

その3着目下家からリーチが入っている。

6mが浮いていてテンパイ取りもやや厳しいというところ。

6sをツモってきたが、さてどうしよう?





68622.jpg

ツモ切りとした。

9sは生牌につき、これはまあ妥当というところ。


68623.jpg

が、次巡持ってきたのは相当に厳しい5s。

これでテンパイは厳しくなった、かに思われたが…


68624.jpg

最終的にテンパイが入り5sを切る羽目に。

これが三色のド高目に当たりで、12000。

気合いの押しではあったが、完全なる致命傷を負ってしまった。


68625.jpg

ターニングポイントはもちろんここ。

下家の危険スジとして当然25sは視野に入っているわけだが、6mが切れない状況で生牌の9sを押す価値があるかどうかは難しい

が、全力で回し打ちすることを考えるのであれば、5sツモに備えるという視野は持っておいてもいい。

14sが通っていないとかならまだしも、ソーズの危険スジがあまりにも鮮明だからだ。

結果論という見方もあるが、このへんの捌きに大きな実力差が生まれてくることもまた確かだろう。


このテーマに非常にマッチした失敗例だと思い、僭越ながら匿名で採用させていただいた。


case study
73597.jpg

東4局、17800点持ち微差3着目の西家。

絶好の4sが埋まり、タンピン赤ドラのダマテンに構える。


73598.jpg

次巡8sをツモってきた。

さて、何を切る?





73599.jpg

2s切りとした。

他家の危険スジに注目すると、14sは安全度が高く、69sは危険度が高い。

そこで、69sを受け入れられる形を重視する。

逆に14sが危険な場合は7sとのスライドに備えて、8sを切るのが正解となる。

裏目の1sがキズにならないというところがポイント。

複合形からは他家の危険牌によって切る牌が変わってくることがわかる。


73600.jpg

親リーチの現物をGETして、7700。

親リーチの待ちはまんまと69sが含まれていた。


caseゲス男
71603.jpg

オーラス1本場供託1本、17400点持ち3着目の南家。

2着目の親と2200点差、ラス目の下家と10000点強の差となっている。

テンパイしたが、さてどうしよう?





71604.jpg

5p切りとした。

アガリ2着につき、イーペーコーはいらない。

こうしておけば25pツモ時と14pツモ時に選択の余地が残る。

例えば、2p切りとした場合、次回5pツモ時に下家や対面の58pに刺さる可能性がある。


71605.jpg

即下家から出て、終了。


71606.jpg

スライド?上家を100点差で捲る精神攻撃でゲスよ。ゲヘ、ゲヘ、ゲヘ。



(小っせえ…なんてちっさい男なんだ…)



ラベル:天鳳 スジ
posted by はぐりん@ at 00:00 | Comment(0) | 牌理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月17日

暗刻からの字牌空切りはまたぎ待ちで効果的

今回は空切りの小技について。

労力は低い割に、実戦でもそこそこ効果が期待できるネタとなっているので、是非ご覧いただきたい。


端的に言うと、字牌が雀頭のテンパイの際に、その字牌が暗刻になったら空切りをするというだけ。

最終手出しをぼかせる上に、字牌手出しの意味合いを相手に考えさせることができる。


ここで字牌が出てきたけどどういうことだろう?

もしかして今までテンパイしていなかった?

親のリーチに対してトイツ落としで回ったんかな?


このように考えさせることで、ミスリードを誘うことができる。

なぜなら、数牌と違って字牌はスライドが効かず、トイツや暗刻という特殊な状況でしか機能しないからだ。

相手は疑心暗鬼ながらも、その字牌が1枚のみ持たれていた可能性を頭の片隅に置いてしまう。

麻雀は考えさせたもの勝ち、とはよく言ったもので効果的な空切りにはそういう性質がある。


グダグダと説明するよりも実戦例を見てもらうのがわかりやすいと思うので、それではどうぞ。



case1
52680.jpg

開局の南家。

東2枚目をポンして、電光石火のホンイツテンパイしたところ。


52681.jpg

これがやたら長引き、最終盤までもつれ込む。

自身最後のツモは、暗刻となる北のツモ。

さて、どうしよう?





52682.jpg

うーん、と唸って空切りした。

少しだけ間を持たせて、手出しを見せるくらいがちょうどいい。


52683.jpg

河底で親から出てきたのは、まさかの2m。

僥倖の7700GET。

親の勢い的にはどちらでも変わらなかったかもしれないが、ひとつ細工をしたことで押すきっかけを与えたのは紛れもないだろう



case2
77435.jpg

南2局、15200点持ちラス目の北家。

ドラの発をポンしている。

上家から7sが出て、これをチーテンに取る。

受けはもちろん…


77436.jpg

枚数重視の25p。

が、裏目の中の方を持ってきてしまった。

さて、どうしよう?





77437.jpg

空切りした。

これで4p周りがボケると考えるのは虫のいい話だが、この中手出しは一体…?と考えさせることができる。


77438.jpg

これが出てきて、7700。

3着目の下家はラス争いのプレッシャーがあったのだろう。

しかし、こうしてみると他家は対処に迷っている節が見受けられる。

25pは切れないというところから、効率を犠牲にした中残しは何?というところが引っ掛かるのだと思われる。

本ケースのように最終手出しのまたぎが待ちになっている場合は、この手出しの有無でかなりの差が生まれることがわかるだろう。



case3
68399.jpg

南1局1本場、21800点持ち3着目の北家。

自風をポンして、イーシャンテンとなっている。

対面の南家に注目していただきたい。

ダブ南と白ポンで脅威の仕掛けだが、前巡のドラ切りの後1枚切れの東が手出しで出てきた


68400.jpg

ほどなくして、こちらにもテンパイが入る。

6sを合わせてステルス気味だが、カン3mはアガれる気がしない。


68401.jpg

直後に持ってきたのは、暗刻スジとなる6p。

ここだけは勘弁というような持ち方だが、さて何を切る?





68402.jpg

5sのトイツ落としをしたところ、これが当たりの大当たりで7700。

やむなしという感じで迂回したつもりが、まさかの放銃となってしまった。


68403.jpg

対面はドラ切りでテンパイ直後、東の暗刻からこれを空切りしていた。

やはりこの空切りの威力が非常に大きいと実感できる。

例えば、3sが薄くなったことから浮き牌のドラを安牌の東と入れ替えて、東切りでテンパイ、というようなシナリオも考えられるからだ。

通常満貫あるなら効率を犠牲にしないだろうと考えるがゆえに、先切りのまたぎが盲点になりやすいというのは間違いない。


先ほどは攻め手側の空切りだったが、受け手側から見てみると案外やっかいな空切りに見えてこないだろうか

こういう点を踏まえると、空切りの効果は思いの外大きいということが朧ろげながら見えてくる。


68404.jpg

ひとつ言えることは、ドラポンなど高い手が確定している手では効率を犠牲にする打ち手は少ないということだ。

つまり、高い手なのに手順がおかしい、効率を犠牲にしていると感じる時は、逆に何か罠が潜んでいる可能性が高い

その際にこの数牌→字牌という逆順が出現したら、前回手出し周辺を警戒することができる。

字牌が何枚場に見えているか、ということも合わせて考えると精度は増すだろう。


このパターンが出現した際、なぜ先切りの手出しまたぎを警戒すべきなのか。

純粋な無スジの場合はいずれにせよ警戒されるから字牌空切りの意味合いがそこまで強くない。

ただし、またぎの場合は空切りの効果が大きく、上級者は確実に空切りをしてくるからだ。

つまり、下手をすると待ちが一点で読まれる(読める)可能性があるということ。

例えば、case2の私のチーテンからの字牌手出しが一点読みの類だ。


このように思考を深めていくと、裏の裏のそのまた裏があり、単純にメリットだけではないということに気づかされる。

このへんの読みを深めていく楽しさというのも麻雀の醍醐味ではないだろうか。

総合的には空切りした方がお得だという私の結論をもってこの記事を締めさせていただきたい。



ラベル:天鳳 空切
posted by はぐりん@ at 00:00 | Comment(0) | 小技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月10日

赤に釣られた鳴きは上手くいかない

今回は赤の仕掛けについて。


天鳳創生期、何でも鳴いていくスタイルが流行っていた頃、天鳳では「赤が出たらとりあえず鳴く」という風潮があった

食い替えは当たり前、ツモを放棄しても1ハンを高くすることが至上とされていた。

そもそもネット麻雀にはご祝儀というものがないため、鳴きにより赤の恩恵が目減りしずらいというのはある。

さらに仕掛けの技術がピックアップされていた時代につき、赤鳴きムーブは最高潮に達していった。


メンゼン派の私はそれをどちらかというと白い目で見ていた。

当時の私は今よりもフーロ率は高かったが、麻雀において目先の利益に捉われることの危うさを何となく感じていたからだ。

鳴くべきでない手を鳴くことは、自分にとってマイナスであり、その分ミスをしていない他家が有利になるはずだ、と。

ナイフみたいに尖っていた私は「鳴きのデメリットとスルーの極意」という記事で鳴き麻雀への疑問を呈したものだった。


「自分が鳴くとなぜか悪いことが起こる」とは今Mリーグで超メンゼン派として活躍している黒沢プロの言だ。

多かれ少なかれ、安易な仕掛けが結果に悪影響を及ばしやすいという印象を持っている人は少なくないのではないだろうか?

しかし、仕掛け全盛の当時はとにかく皆がピーチクパーチク鳴くもんだから、どの仕掛けがどう影響を与えたかが非常にわかり辛く、仕掛けの±が非常に判定しづらかった。

その中にあって鳳凰卓の精鋭たちは手牌が短いにも関わらず当たり牌を使い切ってテンパイに持ち込むというウルトラCをやってのけた。

このへんを見るに、私が考えているよりも正確な仕掛けが天鳳という土壌にマッチしやすい、ということも徐々に理解できたことだった。


さて、話を戻して赤5の鳴きについて。

リアルでは鳴き祝儀があるかどうかで大きく変わってくるため、ルールによって最適戦略は変わってくる。

私が昔通っていた「さかえ」というフリー雀荘チェーン店では、赤5pが祝儀のみならず1ハンの手役(!)として採用されている

他とは一線を画していて、赤というジョーカーを持っている人が仕掛けてアガるゲームとなる。

ピンズだけ重要度が高すぎだろ!とか突っ込みどころは多いが、勝ち方を研究してみるのも面白いかもしれない。



さて、赤に釣られた鳴きにはどういう結末が待っているのだろうか。

実戦例から見ていきたいと思う。



case1
tenhou.23296.jpg

東4局、21500点持ちラス目の西家。

ドラドラのチャンス手が入っているところ、上家から赤5pが出た。

さて、これを鳴く?





tenhou.23297.jpg

チーした。

赤に釣られて鳴いたが、マンズの形が苦しい。


tenhou.23298.jpg

このチーにより下家に4mが流れた。


tenhou.23299.jpg

さらに6mを流したばかりか、下家にトイトイのテンパイを入れてしまう。


tenhou.23300.jpg

鳴いていなければ対面がツモっていた2pを捕らえることができたはず。

タンピン赤ドラドラの8000。

仕掛けにより対面の親リーチも誘発してしまった。


tenhou.23302.jpg

結局、私の一人ノーテンで流局となった。

アガリを逃したばかりか、他家の後押しをしている。

ドラに溺れて、急所ではない25pから仕掛けたところに本局の綻びがあった

赤5pを鳴こうが鳴くまいが、仕掛けて打点は変わらないことを考えれば、これは赤に鳴かされた鳴きであったことがわかるだろう



case2
43373.jpg

東3局4本場、16900点持ちラス目の北家。

発をスルーして、現在イーシャンテンとなっている。

上家から唐突に赤5mが放たれた。さてこれを鳴く?





43374.jpg

ポンした。

さて、何を切る?





43375.jpg

4mを切ってバックのテンパイに取った。

ん?赤を鳴いたとしてもせいぜい2600でかなりアガりづらい。

アガるだけなら1枚目の発を鳴いた方が良かったはず。

どうせ鳴くんなら打点効率的にトイトイに向かうのもありだったのでは?


43376.jpg

対面のリーチを誘発してしまう。

この待ちでは戦えない。


43377.jpg

対面から4mが出る。

せめてトイトイに受けてゼンツならリスクに見合うリターンがあった。


43378.jpg

結果、トップ目と私以外の二人テンパイで流局となった。

3着目が遠くなり、展開としては最悪。。。


43379.jpg

鳴いていなければ、自力で5mを引き込み、ツモり三暗刻のリーチが打てていた。

上下の動向により流動的だが、最終盤に眠っている発を捕らえられる可能性は十分にあった。

少なくとも、一人ノーテンより悪い結果にはならないはず。

この半荘は本局の結果が響き、ラスで終わった。



case3
53025.jpg

東4局4本場、8700点持ちラス目の南家。

親がダントツで他が熾烈なラス争い。

親が7sポンして赤5m切り、さてこれを鳴く?





53026.jpg

チーテンに取った。

親はターツ落としにつき狙いは不明だが、打点がついていることだけは間違いない。

ここでの1000点加点は大きいと考え、仕掛けた。


53027.jpg

親はこの時点でノーテン。

ホンイツなら3s切りが謎だが、7山の47pが負けるということがあるのだろうか?


53028.jpg

あるんです。

フィニッシュの赤まで流し、8000オールを仕上げさせてしまった。

好調者の無理鳴きに不調者が呼応して、仕上がってしまうやつ。

結果論と言ってしまえばそれまでだが…


53029.jpg

不思議なことに仕掛けた後の私のツモと上家のツモに47pは一枚もない。

スルーしていれば4pツモからの即リーチで、なんと親が一発で5mを掴んでいた。

偶然では説明できないぐらい真逆の結果が待っている。

こういうチーが当たり前のチーなのか疑ってみる必要があるということ。

この半荘はラスだったが、これをスルーしていれば当時十段の自分は天鳳位になれていたかもしれない(タラレバ定食)。



case4
74945.jpg

東3局1本場、22300点持ち3着目の西家。

白スルーからカン6mが埋まったところで仕掛け始める。

8sトイツ落としで赤5pとピンズの流動性も見た。


74946.jpg

赤5mが出たが、これを鳴く?





74947.jpg

チーして、3m切りとした。

いわゆる食い替えというやつ。

他家から見れば次に5mが出てくるので一目瞭然だ。


74949.jpg

ドラを恐る恐るツモ切ると、許されず。

3900だが、僅差のラス争いにつき痛い。

普段はやらない落ち着きのない仕掛けで、墓穴を掘った格好だ。


74950.jpg

上家の仕掛けはネックが多く、苦しい形が残っている。

この赤チーにより急所のペンカン3pを流した挙句、ドラをプレゼントしているのだからいかに上家を助けているかがわかる。


74952.jpg

このチーがなければどうなっていただろう?

下家が9sツモでテンパイが入りおそらく赤5p切り即リーチ。

私が赤5pポンしてカン4s待ちという進行になる。

少なくとも、私が放銃する展開にはなりえないということがわかる。

こういったただ打点を上げるための食い替えは紛れの元となり、結果が出にくいという印象を私は持っている。

自身の手が進まないというのもその一因だが、リスクを伴わない鳴きだけにリターンを得ることも難しい、というゼロサムゲームの本質に基づいたものではないかと思う。


赤5を鳴くかどうかの判断基準は、

・黒5であっても鳴きたい手であるなら、赤5は鳴くべき

・赤5により鳴かされる鳴きであるなら、それはスルーすべき

あくまで自然に仕掛けられるか、そういう判断基準に依るべきだと考える。

ちなみに、テンパイから待ちの変わらない赤鳴きは状況によっては可というぐらいだが、ノーテン時よりは遙かにマシだと思う。



case おまけ
53894.jpg

東1局、原点の親番。

絶好の赤引きで当然の即リーチに踏み切る。


53895.jpg

一発目に持ってきた赤5pを下家がカンチャンで仕掛けた。


53896.jpg

さらに、間髪入れずに持ってきた赤5mもチー。

やめて…


53897.jpg

5mが出てきて、食い替えを悟る。


53898.jpg

ちょぉ、ちょぉ、ちょぉの2000・3900で親っ被り。

これは上手く打たれた感がある。


53899.jpg

見て驚くなかれ、下家のチーはなんとここから。

4sも2枚枯れだし、あまりアガる意思を感じないが…


53900.jpg

これがこうなり、


53901.jpg

よくわからんが、こうなった。

仕掛けにより4sも引き込んでおり、これはかなりのミラクルプレーだと言える。


こういうケースもあるのご参考までに。

おそらく、上手くいかないケースの方が多いはずだ。



ラベル:天鳳 赤5 鳴き
posted by はぐりん@ at 00:00 | Comment(2) | 鳴き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月03日

迷彩トラップに注意!【決まりやすい迷彩とは】

今回はどういう待ちにすればアガリ牌を引き出せるのか?→出アガリのしやすい迷彩について考察してみた。


昨今の麻雀は守備の技術が上がり、単純に両面でリーチしてもアガれる気がしないと思うことが増えた。

かといって、脅しの愚形リーチをしたところで上手に攻め返されてアガリをかっさらわれてしまう。

先手を取ることは今でも十分に有効だが、一昔前よりはその優位性は失われていると言えるのではないだろうか。

鳳凰卓では単純な棒攻めでは相手に待ちを読まれやすく、牌効率をやや犠牲にしつつ先切りなどの布石を打ってくる打ち手が増えたという印象もある。

守備力を高める過程で仕掛けにおいてもスリムな先切りが当たり牌を引き出すことにも繋がりやすい。


守備力が極限に高まった昨今だからこそ、見直すべき戦略がある。

それが、「迷彩トラップ打法」だ。


同じ相手と長く打つ場合、どのような雀風の打ち手かということをインプットしておくことは、押し引きを加味する上で重要だ。

しかし、常に一定で同じリズムの手組みをしていると自然に待ちが透けやすくなってしまう。

これはパンパンにして仕掛ける人の待ちが読みやすいのと同義である。

ポーカーでブラフがあるように、麻雀でもブラフをところどころに織り交ぜることが新時代の戦略となってくるだろう

非合理を組み入れることにより、相手を攪乱させるという作戦だ。



例えば、手役狙いの5回に1回は先決めして出やすい待ちに固定する。

例えば、バラ手の10回に1回はアガリに向かわない鳴き(亜空間殺法)をする。

そのタイミングは非常に難しいが、ただ漫然と打っていてもそこに差異は生まれないので、相手の印象を操作する、攪乱するための工夫が後の布石となる、そういうアカギ並みのハイレベルな戦略が必要な時代になってきた


一発当てることができれば、そのインパクトにより相手の押し引きに迷いが生じる。

長期戦ではいかにインパクトを演出して相手を萎縮させるか、こういうところに実は勝利への道筋がある。


そこで、決まりやすい迷彩のトラップにはどんなものがあるかを探してみた。

@最序盤に切っている牌のスジ引っかけ

Aドラ引きを拒否する先切りスジ引っかけ

Bカンチャンもシャンポンもないスジ引っかけの単騎待ち

以上を順番に実戦例から見ていきたいと思う。



case1
49706.jpg

東4局、36900点持ちトップ目の西家。

親からリーチが入って一発目。

こちらは本来なら嬉しいドラ引きだが、いかんせん手が遅い。

さて、何を切る?





49707.jpg

8mを切るとまさかのロンの声。

あんた、7mも切ってるやんけ…これ、当たるんか?


49708.jpg

なんとこれが一通で、12000。

トップ目があまりに痛い親満の放銃となってしまった。


49709.jpg

対面は第二打でこの5m切り。

なるほど一通と三色の含みを残した懐の深い一打となっている。

この後手出しが多ければ多いほどカン8mは警戒の外となるため、カン8mになりそうな場合は空切りを多用するのも手だ


49710.jpg

ここまで進めば基本は一直線。

36mになっても割とアガリやすそうでワクワク感がある。

この半荘は何とか持ち直し、私がトップを獲り返している。

引きずってラスになりそうな放銃だけに、意外だった。



case2
50068.jpg

南1局、39800点持ちトップ目の北家。

ラス目の上家からリーチが入っている。

自身の手は割とバラバラだが、困ったことに安牌がない。

さて、どう凌ぐ?





50069.jpg

3m切りとした。

246mから6m先切りは5mがドラだけにさすがにないやろ〜。


50070.jpg

が、これがペン3mに当たりでドラドラ三色の8000。

ここまでビュリフォーに決められると、降参です…


50071.jpg

ドラ固定して三色とくっつきの両天秤だった。

これが見事な布石となって絡め取られた。

引っかけはたまたまだが、仮に三色じゃなくても3mが通常より出やすいとわかっていれば手組み自体を工夫することができるはず

この半荘はトップを捲られ2着で終了した。



case3
50212.jpg

南2局、24300点持ち3着目の北家。

ラス目下家の親からリーチが入っている。

上家から薄い47pが切り出され、これをチーすることもできる。

手牌的にはもう少し粘れそうだが、さてどうしよう?





50213.jpg

これをチーした。

9sは切れないとして9sにくっつけばギリギリ2s勝負もありか。

切るのは当然…


50214.jpg

2mを切ったら、これがまさかのロン。12000。

135mって切って2m単騎なんてありますか?奥さん。

こんなの劇画でしか見たことないですよ?


50215.jpg

下家はカンチャン落としからの単騎コロコロだった。

これはマンズの巡り合わせが良かったというのはあるが、躊躇なくリーチに行けるかどうかというのは打ち手の準備や思い切りなど資質によるものが大きい

これがノータイムリーチだったからこそこちらもハマってしまったというのは間違いなくあるだろう。


50216.jpg

上家の仕掛けに釣られたというのはあるが、私らしくない軽い仕掛けでこれは良くなかった。

粘る姿勢は重要だが、使いどころを誤ってしまった感がある。

この放銃が響いて、そのままラスで終了した。



今回のケースは、いずれも作為迷彩というよりは自然迷彩の類であったかとは思う。

しかし、どのような迷彩が効果的かというのを事前に把握しておくことで、手組み自体やリーチの踏み切りやすさが変わってくるはずである。

例えばcase3の2m単騎は実戦では一瞬迷ったり考えたりするのではないだろうか。

こういう迷いをなくすためにも有効な迷彩というのを把握しておくことは意味があると思う。

これにブラフを組み合わせて、相手に迷いを与え、主導権を握っていく、そういった戦略を組み入れてみるのも一興ではないだろうか。



posted by はぐりん@ at 00:00 | Comment(4) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする