
ノーホーラで迎えた東3局。
トップ目下家のリーチを受けた直後に、絶好のカン2mドラが埋まった。
さてどうするか?
下家の捨て牌にマンズはポツンと宣言牌7mのみで、
2筋にまたがる5mは超危険牌といえる。
ドラ筋の25mはともかく58mに刺さりたくない。
そうはいってもこちらの待ちはシャンポンとはいえ悪くなく、
打点的にも十分。
リーチ者がトップ目の子であるというのも天鳳的には行きやすい状況ではある。
呻吟の末、俺が選んだのは9pのトイツ落としだった。
片割れのトイツが安牌というのが、なんとなく光明のように見えたのだ。
これが一発目でなければ5m切りリーチといっただろう。

2巡後に中をツモってさてどうする?
5mを勝負していれば本来あがりとなったはずの牌である。
この時点で感触は非常によろしくない。
唯一5mが放銃になる場合のみ、救われるケースであるが、
こういう場合は大抵5mはあたりじゃないと経験が教えてくれる。

全然気は進まないものの、
ギリギリ勝負になる巡目&打点と見て5s切りリーチ。
リーチ直前に処理している5sを勝負しなきゃならないというのもなんだかなあという感じ。
リーチ後の心境としては、自分のあがりうんぬんではなく、
とにかく5mがあたりであってくれと願うのみ。
判断ミスによるあがり逃しの後に待っているのはどんな結果か、
嫌というほど今まで思い知らされてきたからだ。

8p、3m、4p、6sという強烈な無スジを掴まされつづけるも、刺さらない。
これはもしや5mオナテンかもなと思い始めたところで4枚目の中が来る。
これとて一瞬考えてしまうぐらい、気が進まないカンである。
海底牌を引かずに済むなと思っていると、リンシャンから引いてきた7pを上家がポン。
ツモは増えるが、嫌な予感しかしない。

直後に引いた6pで上家に2000点の放銃。
これだけ無スジが通れば、他家もかわしやすい状況が生まれるものだが、
予感は嘘をつかずに放銃という結果が待っていた。
むしろ、安くてホッとしたという感覚だろうか。
牌図のとおり、結果的には下家は25m待ちであり、
勝負感性としては間違っていなかった。
ところが、上家への放銃で局が終わったため、
下家の手が開けられることはなく、
実戦ではあがり逃しだったのかどうかがわからないままなのだ。
これが流局で終わっていれば、まだいける、という感覚になっていたかもしれないが、
放銃で終わったという結果も踏まえると、
あがり逃しだったのかなというモヤモヤ感しか残らなかった。
自分の勝負感覚が正しかったかどうかという一番重要な情報が伏せられたままになった上、
この局一番得したのがおそらくノーテンだったであろうラス目の対面ということも踏まえると、
もうこの半荘の自分はダメである。
自分の感覚が卓上に乗っているのかいないのかの羅針盤を失っている状態だから、
この先はなるべく頭を低くして、ラスにならないようにしよう、と思っていた。
俺は決して流れ論者ではないが、
あがり逃しというものがいかに勝負において重大な結果を招くかということを、
かなり意識して打っているということなのだろう。
予感の通り、途中まで対面との壮絶なラス争いを演じていたが、
驚くことなかれ、南3局に対面に18000を打ち上げた下家がこの半荘ラスに。
俺は最後まで気の抜けない3着残りだった。
局中には雲に隠れて見ることができなかった5m止めの判断が、
結果としてこのような形で表れるのだから、麻雀の因果というものは奥深い。
ラベル:天鳳