2015年04月12日

鳴き総論 デジタルのジレンマ

ひとつ晒せば自分を晒す
ふたつ晒せばすべてを晒す
みっつ晒せば地獄が見える
――見える見える、落ちるさま

『哭きの竜』より、竜のライバル雨宮賢の言葉である。


デジタル麻雀全盛の昨今、
仕掛けの重要性が謳われるようになり、
鳴きの技術というのは近年、飛躍的に進歩した。

バックに形テン、後々づけ、一発消しにツモ飛ばし。

自分のあがり率を最大限に高めつつ、相手の期待値を低くする戦術。
これらは確かに仕掛けの技術を高め、現代麻雀に大きな革命を起こした。


しかし、冒頭の雨宮のセリフはこの麻雀に大きな警鐘を鳴らしている
鳴き全盛の時代にあって、鳴きのメリットは語られるがデメリットはあまり語られることがない。

ファン牌を一鳴きすることは当然だが、スルーするとあたかもあがり放棄のような感覚になる。
愚形でも仕掛けていくのが正義だし、称賛されやすい。
これは、『科学する麻雀』が出版されてからの顕著な傾向だ。

現代麻雀は仕掛けないことに抵抗がある。
ファン牌をポンすることよりスルーすることの方がよっぽど勇気がいる行為なのである。



特上で十段を2回達成した自分の経験から確実に言えることがある。
積極的に仕掛けていく麻雀は、好調時はかなり結果につながるが、
不調時は真逆で、どこまでも墜ちていく。


勢いだけで鯉のように登っていくうちは全て鳴いていっても好結果が出るが、
その仕掛けに逆の目が出始めるとどんどん崩れていって止まらない。
そのうちに自分のスタイルに自信がなくなり、
フォームを崩してガタガタになっていく。


デジタル麻雀を標榜する人は必ず一度はこのスパイラルを体感しているはずだ。
鳴き麻雀は好調時は問題ないが、
一旦不調に陥ると、その体勢を立て直すのが非常に難しいというデメリットがあるのだ。


なぜかというと、鳴きというのは本来メンゼンに比べて不利な行為だからだ。
手狭になる上、打点も安くなりやすく、不調時はそのデメリットをもろに享受しやすくなる


そして、さらに問題なのはデジタルであるその信念だ。
デジタルなら自分に有利な行為と思ったら常に打ち方を変えないのが正しい戦法だ。
それは好調時も不調時も関係がない。


結果が出ないからといって、仕掛けをしないのではそれはデジタルではないし、
不調時でも打ち方を変えないのがベストな選択となるはずだ。
こういう信念が打ち手の感性や危険信号を排除し、フォームを修正できずに大崩れしてしまう。
これがデジタルであるがゆえの悪循環だ。

俺はこれを「デジタルのジレンマ」と名付けた。


★鳴きというのは戦場に自分を晒す行為

鳴くという行為には多大なメリットがあり、
現代麻雀を勝ち抜くうえでその技術を身につけることは必要不可欠だ。

しかし、現代において忘れられている感覚がある。
それは、覚悟である。
敵を斬るのは、斬られる覚悟のある者だけだ、という姿勢だ。


戦場において、自分が有利な時だけ攻撃に参加し、
相手に攻撃された瞬間背中を見せて逃げる。
この戦い方で、勝利を得ることができるだろうか?

その場凌ぎの戦いでは、いざという時に腹が括れないし、
何より敵になめられる。
覚悟が足りないことは隙を見せること、
これは戦場の士気を左右するものであり、麻雀で言えば大局観の部分だ。

肉体的にも精神的にもダメージを最小限にしようとすればするほど、
実はそれに反比例して自分のダメージは増えていく。
なぜなら、敵に与える両者のダメージがまやかし程度のものでしかないからだ。


麻雀において、ひとつ晒すことは、
戦場で待機するか、最前線に飛び込むかぐらいの違いがある


何フーロでも関係ない。
重要なのは、ひとつ、1フーロ目の仕掛けにどれだけ覚悟を持って臨むかだ。


仕掛けの入り方に覚悟が伴っていれば、
リーチに対しておろおろしたり、相手の仕掛けにひよったりすることは格段に減る。
自分の覚悟が相手に伝われば、自ずと相手の反撃をとどまらせることにもつながる。

そして、覚悟が伴っていれば斬られても痛くない。
放銃が痛くない。これは麻雀の大局観において非常に重要なものだと俺は考えている。



麻雀というのは道だ。
そして道というのは全て麻雀に通じている。
武士道と云ふは、死ぬ事と見付けたり。
アカギも似たようなことを言っている。

相手を尊重し、規範に従う。
そして、覚悟を持って鳴く。
これを意識すれば、確実に麻雀のレベルは一段上がることを保証する。


次回以降、「スルースキル」と称して、鳴かない具体例を挙げていく。
そして鳴きが及ぼす作用について詳しく掘り下げていきたいと思う。

最後に、どういう鳴きが良くない鳴きなのか、
そして覚悟がないとどういう結果が待っているのか、
4枚の画像を挙げるのでみなさん自身で考えてみていただきたい。
最終的にラスになった半荘の一場面である。


tenhou.1269.jpg


tenhou.1271.jpg


tenhou.1272.jpg


tenhou.1273.jpg



ラベル:天鳳 精神 鳴き 思想
posted by はぐりん@ at 20:10 | Comment(9) | 思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分が弱いだけでしょ?
7ピンはこの局面ではかなり危ない。
もちろん9ピンも危ないのはおなじ。
なら、期待値が高くなるようにリャンメン待ちにすべき。だからここは9ピンをすてる。
それでロンされても問題ない。7ピンを切ったらロンされなくても、それはミスだ。
Posted by これは at 2016年04月30日 20:55
ルール違反かもだけど、少しだけ。

何を持って期待値が高いというかというのをもう少し考えたほうがいいと思います。
ピンズの上はどうとっても出上がりの望みは薄い。
その点、2pは壁で降り打ちもあるかもしれない。

更にいえば、同じ理由なら打6pの方をお勧めしたい。
赤5pの存在はあるかもしれないが、やはり9pと何かのシャンポンの方が愚形であってもリーチに行きやすい。

もっともこの記事はそういうことを言っているのではないと思いますが・・・
Posted by ちゃんた at 2016年04月30日 21:31
最近はポーカーにはまり、麻雀みたいに考えることが少ないゲームではなく、
奥が深くて読みや勝負勘を鍛えるには良いんですよね。
今度から麻雀の読みや相手との駆け引き的な分野もやってみようとは思いますが。

この局面、高い手であれば待ち関係なくリーチも全然あるんでしょうけど、
ドラの東を切ってまでして愚形待ちではリーチこないだろうという
読みもあるのかも知れませんね。
基本、9p切るのだけど相手によっては7p切る麻雀も、面白いのかも知れません。
Posted by spacemj at 2016年04月30日 21:34
>>これはさん
コメントありがとうございます。
ミスったと自覚しての記事ですから、その通りだと思います。
仕掛けがミスなのか打牌がミスなのか、
その辺は1人1人考えて頂いたら幸いです。
Posted by はぐりん@ at 2016年04月30日 22:51
>>ちゃんたさん
レスへの反応いいですねw
フォローありがとうございます。

6pっていうのは考えたことなかったけど、なるほどですね。
麻雀はまだまだ奥が深いなと思わされました。
Posted by はぐりん@ at 2016年04月30日 22:53
>>spacemjさん
mjさんポーカーやってるんですね。
ポーカーは人間力とか総合力が問われるゲームだと僕は思ってます。

ポーカーは常に期待値を計算してる感じですかね。
麻雀は期待値はあまり考える必要ないですもんね。

この局面は好形の可能性が高いと判断したと思います。
Posted by はぐりん@ at 2016年04月30日 22:58
日曜日だと思って新しい記事を見に来たGWボケなのは秘密w

2p打って(気持ちだけ)降りました。
だとアレだけど・・・
縦の手だし、2p6p悪くないのになとも。

麻雀はほんと、新しい発見が多くって奥が深い。
今はこの仕掛けがアウト派。
けど、先は分からないのが麻雀かもしれないですね。
Posted by ちゃんた at 2016年04月30日 23:17
連投になったらごめんなさい。

日曜日だと思って新しい記事見に来たGWボケなのは内緒w

2p打って降りました。
だとアレだけど・・・
縦よりの手だし2p6pがそこまで悪いとも思えなかったんですよね。

麻雀は奥が深い。いつも新しい発見w
今はこの仕掛けがアウト派だけど、先は分からないかもですね。
Posted by ちゃんた at 2016年04月30日 23:26
>>ちゃんたさん
結構前の実戦での仕掛けなので今はしないですね。
自分で思っている以上雀風っていうのは変化しているのかもしれないですね。


記事とともに強い打ち方を確立していけたらいいなと思っています。

ちなみに今日は実戦なのでもう記事上げてます(笑)
Posted by はぐりん@ at 2016年05月01日 00:12
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