
東1局、開局の親番。
下家から1枚目の中が出たが、さてどうしよう?

これは鳴き無しでスルーした。
さすがにバラバラだし、急所のドラのペン7sが残っている。
構想としてはホンイツ主眼だが、ツモによっては上の三色もある。
急所含み愚形だらけなので、慌てて鳴かずにツモによって方針を決めようというわけだ。
スルーしたところ5pがくっつき、これでホンイツの線は薄くなった。
9m切り。

ピンズのメンツが完成し、急所の3sが埋まった。
これによってぐっと引き締まった。
どちらのターツを外すか?
これはどちらもあるが、ここでは打点よりもあがりやすさの方を選んで、9s切りとした。
すぐにドラを引いたら69sのフリテンに取る選択肢も残した。

下家から2枚目の中が出て、これをポンテンに取る。
メンゼンテンパイならリーチも視野にいれていたが、
あがりに寄せている以上、このポンテンは当然取る。
1枚切れのカン8pの感触も十分だ。
ちなみに、ここから6pチーの食い延ばしはしない。
テンパイからの食い延ばしのあがり率は見た目より高くならない。
感覚的には、それによってあがりを逃すケースの方が多い印象だ。
この場合は、カン8pがそこそこいいと見ているのでしないわけだが、
愚形からの好形変化でも、少しでも迷ったら食い延ばしはしない方がいい。
上級者相手なら下手すると待ちを1点で読まれるし、
場況が良さそうにも見える食い延ばしが罠であることも往々にしてある。
テンパイからの食い延ばしはとにかく細心の注意が必要だ。
これについてはまた改めて触れよう。

上家のリーチ宣言牌を捕えることに成功。1500。
対面にもチャンス手が入っており、間一髪かわすことに成功した。
この局の捌きが効いて、この半荘は2着で終了した。

別の半荘。
南1局1本場。21300点持ち3着目の西家。
2着目とは200点差と、下が拮抗している。
1巡目に場風の南が出たが、さてどうしよう?

これも鳴き無しでスルーした。
さすがにこのぐらい形が悪いとスルーする人も多いだろう。
少し抜けたトップ目が親番ということで、
点棒状況的にも鳴きが不利になりやすい。
ちなみに、10年前の俺ならここからでもポンしていただろう。
この鳴きがデジタルかどうかは微妙だが、
当時の俺はファン牌は一鳴きが当然のことだと考えていたからである。
今号の近代麻雀の佐々木寿人プロのコラム、「不動の牌心」にも同じことが書かれているが、
時を経て経験を積むと、雀風というものは徐々にではあるが確実に変化する。
食べ物の嗜好だって昔と今では違うし、
着る服の趣味だって歳とともに変化する。
それと同じで、雀風の変化はごく自然のことだ。
ただ、ひとつ言えることは、
その選択が損得とか勝ち負けを別にして、
深みが増している打牌であることは間違いない。
これはおそらく将棋の棋風など、
他の種目でも同じようなことが言えるだろう。
若いうちは、ただがむしゃらに勝ちに拘って邁進する。それでいい。
年とともに他者と喜怒哀楽を分かち、他者との折り合いを考えるようになる。
そして打牌にも、より人間味が溢れるようになる。
話が大幅に逸れたが、
ともかくここからの南ポンは今の俺から見たら、
逆に新鮮で興味深いポンとなろう。

すぐに2枚目の南が親から出たが、これも当然鳴き無しだ。
むしろ、親の受けゴマとして大事に取っておく。

ドラが重なり、見られる手恰好になってきた。
あがりはともかくとして、打点的には十分になった。

ピンズが伸びて、よもやというところまでいったが、
ラス目上家のリーチに対して、この8mで撤退。

結局、上家に海底でツモられ、裏なしの2000・4000。
こちらがまっすぐに打っていればメンホンチートイドラドラのテンパイになっていた。
南スルーがあがり放棄となるばかりか、
このぐらいのチャンス手に伸びることもある。
スルーには無限の可能性が潜んでいるのだ。

別の半荘。開局の西家。
対面から1枚目の西が出たが、さてどうしよう?

これも鳴き無しのスルー。
スルーしたところ、スジトイツ完成となる4mツモでいかにもな牌姿になってきた。
スルーしてのこういうツモはわりと感触がある。

狙い通りにチートイツに仕上げて、東待ちで即リーチ。
仕掛けるよりよっぽど速い。

あっさりと出て、3200。
東も2mも待ちとしては完璧だった。
スジの目立つ、3トイツぐらいの配牌なら、
ファン牌をスルーしてトイツ手を目指した方が速いことが多い。
今局の配牌を振り返っていただきたい。

別の半荘。
オーラスの親番。トップ目と2400点差の2着目。
愚形だらけで頭がないが、前巡に中をポン。
バラバラからでも仕掛けるケースとして、
あがりトップや、ラス目の親番などが挙げられる。

完璧に捌いたが、トップ目にあがられてしまった。
くやしい〜(>_<)