2016年03月06日

安牌の続かない手はそれなりにまっすぐ行く

相手の先制リーチに対して、
どの程度攻め返す余地を残すのかというのは麻雀の永遠のテーマだが、
自分の手の打点・あがりやすさだけではなく、
リーチに対する安全牌がどのくらいあるかによっても攻守判断は変わってくる


オリ切れる保証がないのにメンツを中抜いても、
放銃のリスクは低くならないのに自分のあがりの可能性を消してしまうため、
局収支的には大幅に損な選択ともなりかねないからだ。


このへんは経験を積めば感覚的にある程度の正解を導き出せるわけだが、
後手における押し引きの強弱というのは個人差がかなり大きく
和了率・放銃率・局収支といった各数値に影響を与える部分であり、
ひいては、個々人の雀風を司る部分とも言えるのではないだろうか。


本当につまらない手なら安全を考えながら手を進めるのが普通であるため、
中盤以降に安牌に困っている時点でそれなりに攻め返す余地があるとも言える。

ただ、つまらない手だからこそかわす価値も高いのであって、
皆が一様にオリを選択しやすい場面こそ、
実は腕の問われる部分なのではないかと思ったりもする



強者というのは間違いなく、
しぶとい、しつこい、あきらめないという特徴を持っているものであり、
特にラス回避が重要な天鳳だからこそ、
後手に回った際の対応が重要になってくるのだろう。


それでは、具体的に実戦例から見ていこう。


tenhou.8795.jpg

東4局、28800点持ちトップ目の北家。

タンピンの望める整った手牌のところ、ラス目の上家からリーチが入った。

さて、何を切る?





tenhou.8796.jpg

ひとまずお茶を濁す感じで、8p切りとした。

さすがに7pを中抜いても後が続かないため、ある程度まっすぐ行くのだが、
ラス目のリーチである上、一発目に引かされた7mの感触が悪すぎる


567の三色なども見えるが、47mを使い切る最終形が難しく、
ゆくゆくはオリかなあ、という感覚を持っていた。


tenhou.8797.jpg

8pを下家にチーされ、7mが重なったところ。

さて、何を切る?





tenhou.8798.jpg

7s切りと少し迷ったが、2m切りでドまっすぐとした。

これなら懸念していた47mを使い切れるので勝負になる。

次巡、あっさりテンパイが入り、文句なく追っかけに踏み切った。


tenhou.8799.jpg

これを仕留めて、裏なしの3900。

上家の手は、シャンポンのリーチのみ。
ラス目だとしても先制にはこれがある。

だったら行けばよかった、とならないようにギリギリまで攻め余地を残すわけだ。
テンパイまでいけば勝負は五分以上と思っていい。


本局は8pさえ切れればあとは手順に沿ってなのでわりと楽。
7mの重なりに気をよくすることが肝心だ。


tenhou.4350.jpg

別の半荘。
東1局1本場、原点2着目の西家。

連荘中の親から早いリーチが入っている。
さらに、中を仕掛けた下家が6pなど押している。

安牌がありそうでないが、さてどうしよう?





tenhou.4351.jpg

6mのトイツ落としも考えたが、ここではまっすぐに6s切りとした。

こちらもドラ暗刻とはいえ、牌の並び的にはあがりまでは少し厳しい。

ただ、中途半端にオリて放銃するのが一番悔しいので、
ギリギリまであがりを捨てない手順を踏もうと、がんばった。


tenhou.4352.jpg

ここ引くか!という3sツモで一応テンパイしたが、
さてどうしよう?





tenhou.4353.jpg

こうなった以上は、放銃覚悟で勝負するところだろう。

ダマで出あがりも効くし、打点も十分にある。
何より未だに安牌がまったくない。
6sを押した流れから言っても、ここは勢いにまかせたい。


tenhou.4354.jpg

結局、下家が赤をツモって2000・4000。

親は、ドラメンツが完成した上での、69m待ちだった。


tenhou.4355.jpg

6sを押した局面。

ワンチャンス6mトイツ落としでも、スジの3p切りでも大変なことになっている。

日和らないことで回避できる危機というのも確実に存在するのだ。


tenhou.8697.jpg

別の半荘。
東2局、原点の北家。

チャンス手イーシャンテンのところ、
ラス目の親からリーチが入って一発目。

嫌な5sをツモって何を切る?





tenhou.8698.jpg

切りたくない6p固定の7p切りも考えたが、全力の5sツモ切りとした。

場況から36sは良さそうに見えたので、
最終形をそれに寄せるのが最もあがりに近いと読んだ。


tenhou.8699.jpg

赤5mをツモってマンズはフリテン含みだが、
8pが顔を見せたのでここでは7p切りとした。


tenhou.8700.jpg

4sをツモって何を切るか?





tenhou.8701.jpg

やはり36sに寄せる意識で強く4s切りとした。

親の河にはドラの8mも見え、赤やドラが続々と見えている。
親リーチとはいえ、それほど打点はないのではないか。

こちらもチーテン満貫なら十分に勝負になる。


tenhou.8702.jpg

結局、親がダブ東をツモって4000オール。

予想外に高くてちょっと冷やっとした。
先ほどとは逆で、思いのほか高いケースだが、頻度としてはこちらの方が多いような気もする。

放銃に結びつかなかったので、これはこれで良し。


tenhou.10652.jpg

別の半荘。
南1局1本場、19500点持ち3着目の北家。

41000点持ちトップ目の親からリーチが入って、一発目。

3pツモって一手進んだが、さて何を切る?





tenhou.10653.jpg

トップ目の親にだけは打ちたくない点棒状況だが、
やはり3m切っても後が続かないので、1m切り。

これにラグがあり、ぎょっとしたものの、無事通過。


ドラドラなのですんなりテンパイすれば攻め返せるが果たして…


tenhou.10654.jpg

次巡、少しずれて6sツモ。さて、どうしよう?





tenhou.10655.jpg

ツモが縒れた上に、安牌が増えたので、ここでオリる手はあるが、
ギリギリまで粘る意味で2m切りとした。

先ほどの1m切りより遥かに勇気がいる2m切りで、
天鳳的な期待値としては微妙な一打かもしれない。


次巡に9sをツモって更なる押しも考えたが、
ちょっと感触が悪いのでここでマンズ落としとした。

2mを押したことで、今度はマンズを全部落とせるため、
風通しがよく、気分的にはかなり楽になっている。


tenhou.10656.jpg

ラグのあった1mから切ると、上家がポン。


tenhou.10657.jpg

そして、対面が役なしをツモって500・1000。

自分の手はイーシャンテンに復活していてまだまだ粘れる体勢だし、
2mを押したことによって1mポンの猶予を上家に与えたと考えることもでき
結果これが対面のかわし手に結びついたわけだ。


1mを連打していても上家はポンして同じ結果になった可能性もあるが、
ただベタオリして、自分の手牌も死んでいるのと、
1牌押して自分の手牌が生きているのではこの結果に与えるイメージがまるで違う



自分の手牌を生かして場を活性化させ、その上で生まれるいい結果というのは、
麻雀において最もいい循環であり、
それをもたらすのが1牌の押し、気持ちを強く持った押しではないだろうか。


見ているものを熱くさせる麻雀というのは、
押しの部分MAX同士で戦う姿勢を前面に出しつつ、
最後ギリギリのところで引くという絶妙な駆け引きで、
そういう麻雀を打っている時は本当に充実感がある。


天鳳的な期待値としては一見微妙に見える一打だとしても、
実はその押しには様々な付加価値があって、
トータル的にはそれほど悪い結果を生みにくいのではないだろうか。

天鳳位の打牌は、
何気ないところにこういう付加価値を生んだ打牌があるのではないだろうか、と思った次第である。


この半荘は気分のままに2着浮上で終了した。



ラベル:天鳳 攻撃
posted by はぐりん@ at 00:07 | Comment(10) | 攻撃力UP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最終的な到達点(段位や各人の目標)に影響するとても深い内容です。打ち手のセンスの介入部分が大きく、いくら具体例を示しても法則化するのは難しい…。それだけに実力差がつきやすいですし、自分も苦手としているテーマです。押して放銃した際に本当に悔いが残らないか?、最善打か?というのは実践中はよく分かりませんし、まぁそれは切り替えるしかないんでしょう。でも守備型のはぐりんさんが、中抜きをしないでアガリに結びつけるアクションを示すというのは、更なる高みを目指す道筋として万人に共通するものがありそうです。ゴリ押し系雀士が語る内容とは全く質が違うからです。
Posted by S at 2016年03月06日 08:32
この前、リアルで先制されたリーチ(1軒)に全オリしてたら見事にラスったよ。

正解は最後まで分からない、リーチに対してのオリは、俺の中では全オリだけはいけないようだ。
じゃあ、分岐はどこかはオカルト打ちを自負していても判断はつかないけど、全ツッパも全オリもいけないという結論は出ている。

判断がつかないのなら、自分で決めて後悔をしないようにするのがいい、という着地は曖昧かな?
天鳳でのオカルトは分からないけどね。
Posted by ジャム at 2016年03月06日 09:20
安牌が無いか、形が良いか、打点十分か、ツモられるだけで痛いかどうか?
ここら辺がノーテン押しの基本ですよね
一度は押したとしても、巡目が進んだときに上がり目がどれだけ減ったかを意識して、撤退の選択を残すのがいいですね
Posted by アクスケ at 2016年03月07日 04:17
>>Sさん
見識の深い意見ありがとうございます。
天鳳特化型の最善手と、フリー麻雀の最善手というのは違いが生まれるのは当然なんですけど、後手に回った際の対処があまりにベタオリに傾きすぎると、自分の麻雀が細くなってしまうという危惧を持っています。
ルールごとに打牌の差異を自分なりに設けながら、その均衡点がなるべく中心で保たれるように、つまり日和りすぎないように最近は意識しています。
土俵の違いによって振れ幅の少ない麻雀が打てる方が理想的だと考えています。
後は、結果のみで判断しないということなんですけど、これは客観視が大変に難しいのが難です。
難しいからこそ、客観視の努力を怠らない、という点ですかね。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月07日 17:45
>>ジャムさん
客観的な分析が難しいから、正解は最後まで分からない、ということになるよね。
自分の判断基準を用いて、後悔がない打牌っていうのがある意味正解なんだろうね。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月07日 17:49
>>アクスケさん
なんだかんだ言っても巡目ってのは大きいですよね。
すべての条件が整っていても三段目では自分のあがり自体の猶予がわずかですからね。
諦めた後にがっつりあがり逃しすることもよくあって、線引きはとても難しいです。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月07日 17:58
天鳳位のASAPINさんは自著にも書かれていますが、「わずかにこちらの選択が有利」みたいな局面で、冷静な判断ができる確率が高いんでしょうね。こういったケースをすべて理論付けするのはおそらく不可能で、感覚と経験に基づいた結論になっても仕方ないのかなと思います。中には限りなく50-50に近い選択もあるでしょうから、達人と自分の判断が違っていたとしても、あまり気にし過ぎないことも重要なのかもしれません。
Posted by S at 2016年03月08日 09:32
>>Sさん
わずかに有利という判断をする過程において、
その判断基準となる情報の取捨選択、これが大事なんでしょうね。
読みの引き出しが多ければ多いほど、拾う情報も多くなりますから、それだけ何を重視するかの選別が必要となってきます。
仕草などから読むアナログ読みも攻略要素としては十分にありますよね。
またリアルが打ちたくなってきました。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月08日 16:39
8p切りは自分のスタイル的にも好みですが。
安牌が少ない時は自己都合という考え方だけだと、
7m切りそうになってしまいそうでなりませんね。

難しい押し引き基準はどっちでも良いよ的な感じはありますけど、
あまり一つの考え方だけに拘らない方が良いんでしょうね。
一つの考えだけに拘った方が良い場合もありますけど。
Posted by Spacemj at 2016年03月13日 20:25
>>Spacemjさん
ここは行けるけど、ここは行けないっていう線引きは個人差がありますよね。
僕の感覚では、8p7sはギリギリセーフなんだけど、7mはアウトなんですよね。
ただ、実際は通ることの方が圧倒的に多くて、観戦側だと何でいかないの?って思ってしまうんですよね。
そのへんプロの魅せる対局っていうのは難しいだろうなあと思います。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月14日 00:45
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: