2016年03月27日

スルースキル トップ目の親は余裕を持って【ラス前編】

前回に引き続き、トップ目・親番の打ち方がテーマ。

今回はラス前(南3局)に題材を絞った。


ラス前に限った話ではないが、トップ目の親番でまず考えることは、
「仕掛けてあがることにどれだけ意味があるか」ということだ。


高い手なら決定打になりうるため、問題はないが、
仕掛けの安手で連荘することは、
見方を変えれば下位者に対していたずらに挽回のチャンスを与えているとも考えられ、
順位戦略として得とは言えないケースも多いからだ。

ましてや、局回しの重要なラス前ともなればなおさらだ。


仕掛けること自体、手狭にして守備力を低くする行為であるのに、
その目的であるあがりを得ても、相手が喜んでしまうというのでは、
リスクとリターンが見合わず、そもそも仕掛けない方がいいというのは少し考えればわかる。


あがることが勝つための必要条件なのに、
あがることが常に勝つために必要なわけではない
というところは、
何とも不思議な命題を内包しているが、
結局のところ、順位戦略としてその仕掛けは最適ではないということである。


天鳳ではあがりを取りに行くより放銃を回避することの方が重要な場面が多く、
一見、普通に見える仕掛けが最適解ではないことも多いと私は認識している。


ともかく、トップ目の親番こそが、
仕掛けによる「あがりの意味」を超真剣に考えるべき場面であり、
迷ったら、メンゼン主眼にどっしりと構えるぐらいでちょうどいいだろう


それでは、具体的に実戦例から見ていこう。



@安い
tenhou.3597.jpg

南3局2本場供託1本、37300点持ちトップ目の親番。

2着目は25000点の南家で、3着目・ラス目が18400・18300と拮抗している。

トイツ4組のところ、下家から白が出た。
さて、どうしよう?





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鳴き無しでスルーした。

供託リーチ棒があるとは言っても、この局面で安手の連荘はあまり意味がない。

メンツが一つもないため、鳴いてもさほどスピード感のある手ではなく、
特に注意すべきなのは拮抗している3着目とラス目への放銃だ。

いずれかに満貫クラスを放銃してしまうと、オーラス見事に三つ巴となり、
トップを取るどころか、ラス転落が現実的に見えてきてしまう。


下との点差を考えたら、安手であがるより流局でも親が流れてくれた方が嬉しい。

3着目と4着目はこの点差のまま、オーラスはラス争いをしてもらった方が、自分にとっては都合がいいのだ。


tenhou.3599.jpg

ラス目の上家が中を大ミンカンして、ドラドラになった上、光速のチートイテンパイ。

スルーから数巡でまさかの勝負手に育った。

下家の2pを上家はポンしていないので、2p待ちに取る。
この2pは感触あり。


tenhou.3600.jpg

首尾よくツモって4000オール。

これはできすぎの結果ではあるが、
4トイツぐらいなら鳴かずともトイツ手が高速で仕上がることも多い

ドラに寄せることも可能なチートイツは、攻守両面においてやはり魅力だ。



Aライバルが仕掛けている
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南3局、38500点持ちトップ目で迎えた親番。

2着目は24000点の南家、ラス目は13900点の西家となっている。

上家から中が出たところ。
さて、どうしよう?





tenhou.2722.jpg

鳴き無しでスルーした。

ドラ1あって、愚形とはいえペン3sは場況的には悪くないのでポンする手もあるが、
ここでのポイントはライバル下家が先に仕掛けていることだ


下家の仕掛けは9pのリャンメンチーだが、ピンズの染め手でもなく、
パッと見高そうには見えない。

2着キープ主眼でかわしを念頭に置いた仕掛けの可能性が高いなら、
相手にスピードを合わせる必要はない

余裕のスルーでさらに形が整ってから仕掛けてもいいし、
あるいは南家にそのままあがってももらっても構わない。


tenhou.2723.jpg

ラス目対面の仕掛けも入り、上家から3pが出たところ。

この3pは場に4枚目の36pだが、さてこれを鳴く?





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ラグありでスルーした。

ドラを仕掛けていない対面の仕掛けはそれほど脅威ではなく、
仕掛けてテンパイに取る手もあるが、
バックの2900にする必要性もさほどない。

メンゼンで融通の利いた構えのまま、
やはり仕掛け者にはあがってもらっても構わない。


我慢したところご褒美の赤5pツモ。
これでぐっと手がグレードアップした。
5800なら、一転してあがりを取りに行く価値は高まる。


tenhou.2725.jpg

ほどなくして出た中をポンしてテンパイ。

切られすぎた36p待ちを回避しているのも好感触だ。


tenhou.2726.jpg

間髪入れずにツモって、2000オールのダメ押し。

とにかくスルーを尽くして入れたテンパイというのは好結果に結びつきやすい。

文学的に言うと、対面の勝ち運まで食い取った、こんな感じか。

やはり2900と5800の差は大きく、
5800クラスの加点であれば十分に決定打になりうる。

トップ目の親番で仕掛ける基準は5800からを意識するのがいいだろう。



B遠い
tenhou.8905.jpg

南3局1本場、50200点持ちダントツトップ目の親番。

点棒状況は自分から順に、50200、28400、12800、8600となっている。

コーツ手風の手牌から自風の東が出たところ。
さて、どうしよう?





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鳴き無しでスルーした。

鳴いてイーシャンテン、手牌的には遅いというわけではないが、
カン7mのノミ手であがることにはあまり意味がないし、
鳴いてからトイトイ、ホンイツを見込むのも少し遠い。

それならばツモの様子を見ながらメンゼンで手組みをし、
トイツ手等の可能性も見た方がいいと考えた。


スルーしたところ、ベストと言える東ツモ。
この局で終了させるに十分な、楽しみな手牌に育ってきた。


tenhou.8907.jpg

ソーズのホンイツ主眼の手組みにしたところ、上家から2sが出た。

さて、これを鳴く?





tenhou.8908.jpg

ラグありでスルーした。

コーツ手構成の手牌をチーから入るのはスジが悪い。

これは今後も扱うテーマだが、
トイツ手はポン、シュンツ手はチー、
トイツ場はポン、シュンツ場はチーから入るのが基本だ



この牌姿の場合、3s9sはポンだが、2sはチーしないということになる。
点棒状況的にはスッタンまで意識してもいい場面だろう。

スルーした結果、赤5sツモ。


tenhou.8909.jpg

ズバッとカン4sをツモって、出来た!という感じのテンパイ。

手変わりもあるのでダマテンに構える。


tenhou.8910.jpg

対面が仕掛けていた南と中を連続加カン。

場に緊張が走る。


tenhou.8911.jpg

このタイミングで、リーチをかける?かけない?





tenhou.8912.jpg

ツモ切りでリーチに踏み切った。

ここでは1sが表示牌に死んだ上、18000になったため、ダマでも対面は飛ぶのでリーチをかける意味があまりない。
それ以上のデメリットとして、6sツモによる変化が効かないというのもある。


ここでのリーチはひとえに、仕掛けのカンを咎めるリーチだ。

対面は3着目であり、点棒状況的にはカンのメリットがあまりない。
放銃の最も嫌なはずの対面のカンは、少し勇み足にも映る。

蛮勇のカンであれば、ここが最善のリーチのタイミングだと判断した。


tenhou.8913.jpg

結局対面から出て、裏はまったく乗らずに、18000で終了となった。

対面がカンをしていなければ、飛ばずにギリギリ耐えられたはずで、
咎めることに成功したと言える。



C仕掛けるのは急所から
tenhou.10848.jpg

南3局、36400点持ちトップ目の親番。

2着目が29600点の南家、ラス目が16600点の北家となっている。

678の三色のイーシャンテンだが、カンチャンが2つ残っている。
上家から7sが出たが、さてどうしよう?





tenhou.10849.jpg

ラグありでスルーした。

この場面、ドラの7pなら仕掛けるが、7sはスルーすると決めていた。

場況からソーズの上は安く、7sはこの局面の急所ではなく、
何より7sチーしたところで、ドラ待ちではあがりにくい。

2900という打点もドラ待ちのあがりにくさに見合わない。


tenhou.10850.jpg

ほどなくしてドラツモのテンパイ。

仮に7sをチーしていると、下家にド急所のペン7pが流れて、テンパイを入れられるところだった。
(前巡の9m手出しは6mとのスライド)


tenhou.10851.jpg

ダマテンのままツモって、会心の3900オール。

前巡の5s切りもこの場況なら普通だろう。


このように、急所牌を的確に見極められれば、
スルーによって悪い結果を誘発する仕掛けを減らすことができる


これはトップ目であろうとラス目であろうと変わらないわけだが、
点棒に余裕のあるトップ目だからこそ、目先のテンパイに捉われず、
大局を持ったスルー判断を心掛けたい
ものだ。



ラベル:天鳳 不鳴
posted by はぐりん@ at 00:28 | Comment(12) | スルースキル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶりにコメントします。


>天鳳ではあがりを取りに行くより放銃を回避することの方が重要な場面が多く、
一見、普通に見える仕掛けが最適解ではないことも多いと私は認識している。

ソウズ模様のやつの東スルーなんてまさにそんな感じですね。流れがどうこうではないですがあの点数状況なら、仕掛けないほうが不自然って感じがして更に点数積み重ねられそうなんて思っちゃいます。
スルーして1発で終わらせちゃうところはさすがですがw

対面が4sを仕掛けている局ですが、4sポンする割に6sは早くいささか不自然に思えます。
点数状況的にも、8sも無いですし、ドラ持ちの仕掛けというよりは白トイトイとか場に見えてないサンショクドウコーは結構ありそうで4pってかなりまずい牌じゃないかなぁと思ったりします。
そう考えると4p処理する3pチーは結構ありかも・・?
天鳳だし、オーラス満ツモ圏内に耐えるために鳴いたとかいうのも無くはないのかもしれませんが・・・
新人には分かりませんw


天鳳ほったらかしてたら・・垢が消えてる憂き目にあいました><w
Posted by ちゃんた at 2016年03月27日 10:04
私みたいなあまりリスク追って貯金するタイプじゃなく、
先行逃げ切り型だとラス前は慎重になる気がしますね。

Q1、私もスルー
多分2枚目も鳴かないだろう、七対子狙いか。
途中、中は切らず打5sとかしそうですけど。

Q2、これは平場でもスルーの形、
下家に満貫とかアガられてもオーラス勝負なんで良いと踏むでしょうね。
上家と対面に振り込むのがキツイですし、門前リーチもありますからね。
ただし、その後の3pは下家もドラ切ってるしリーチ打ちたくないんで
3pをスルーできるか微妙だ、、、
捨て牌見すぎると鳴きたくなりますが、36pで張っても曲げなきゃ良いだけだし、
5mも通ってない訳だから、スルーの方がスマートなんでしょうかね。

Q3、この東はスルーしそうですね、
平場とかなら鳴いてホンイツも見据えるでしょうが、、、2着目の上家ですからね。
このリーチはラス回避ルールなら結構、有効なんですかね。
カンドラのスジでの放銃があるのと(カン3s待ちはありますが)、
上家と対面の二正面作戦になったら嫌だと一瞬感じましたが、、、
でも、ここら辺の読みは奥が深くて、上家は対面と親が本手同士なら、
つか、親が本手でなかったら曲げることはないんで、逆に降りることもあるのかも知れませんね。
Posted by spacemj at 2016年03月27日 17:53
ラス親二着目のマンツモに耐えられる、16000点差をつけられればベストなんですけど、そこに拘り過ぎるとかえって点差を縮められることってありますよね。
自分はこういう局面のとき、上がりより、オーラスで下位3者が出来るだけだんご状態になってくれることを重要視します。
オーラスの点差が二着目親と8000程度でも下三人の点差が拮抗してると、3,4着目が早上がり競争してくれたり親が牌を伏せてくれるパターンが結構出てくれるので、見かけの点差以上に安心出来るんですよね。
Posted by アクスケ at 2016年03月27日 18:28
Q3の場合で意外なのは、やっぱりリーチですよね。
天鳳なら自分は東切って降ります。フリーなら降りることはないでしょうけど、それでも曲げないですね。点数的にお腹一杯に近いので。攻撃型の自分が迷いなく守備に回り、守備型のはぐりんさんが攻撃に回るとはなんとも不思議な気がします。
Posted by アクスケ at 2016年03月27日 18:56
>>ちゃんたさん
おお、お久しぶりですね、見ないからちょっと心配してましたよ!
なるほど、4pが危ないから処理する3pチーですか。それはありだと思います。
三色同刻はさすがにレアすぎてイメージできないですけど、トイトイはケアすべき場面ですね。

アカウントってほっとくと消えちゃうんでしたっけ?
天鳳…シビアだなあ。
あ、ちゃんたさんブログの更新楽しみに待ってます(笑)
Posted by はぐりん@ at 2016年03月28日 00:02
>>spacemjさん
コメントありがとうございます。
Q2なんかは手拍子でポンと言ってもおかしくないですけど、フラットな局面でも鳴かないんですね。
Q3は鳴く人の方が圧倒的に多いと推測しているんですが、スルーする人は意志が強い人かなと思います。
リーチの件は一昔前なら迷ってダマにしてた気がしますね。もう少し差が小さければダマのような気もします。
こういう場面でのリーチ判断は難しいですね。結果によって考えを変えてしまいそうですけど、いずれにせよリーチが間違いだという結論にはならない気がしています。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月28日 00:14
>>アクスケさん
下位者が僅差かどうかというのは上位キープのために本当に重要ですよね。
3900条件ぐらいでも仕掛けたらなかなかできないですからね。
そういう意味では下位者をダンゴ状態にする工夫っていうのも大事な戦略かもしれませんね。

Q3でオリる人がいるとはちょっと考えませんでした。
リーチはともかくとして、満貫ぐらい打つリスクがあったとしても、対面や上家から出たら即トップ終了ですからオリるのは損な気がしますね。
オリてこのまま下家にラス親をやらせる方が捲られる率は高まる気がします。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月28日 00:33
Q3の場合、対面がマンツモしても以前16000点差は二着目と離れてるし、二着目と三着目の差が縮まれば、親が伏せるパターンも増えるから降りてもいいかなー、という考え方ですね。
ちなみに、自分は最初の東をポンしてホンイツかトイトイに的を絞って仕掛けてるのであの手がメンホンに育つことはなかったです。
Posted by アクスケ at 2016年03月28日 01:53
>>アクスケさん
下家のラス親はラス目との点差がそれなりにあるので、伏せるイメージは僕はあまりないですね。それよりオリて6000オールで捲られるのがかなり嫌です。

なるほど、東ポンですね。そちらの方が普通の選択というか、多くの人が選ぶ選択だと思います。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月28日 17:25
チートイツの何が嫌いかって? そんなの普段より河を凝視しなくちゃならないからかなぁ。 被った時の精神的ダメージ、シュンツ手と両にらみしてる時のイライラ感、頭の切り替え、チートイツ好きな人って本当にいるんでしょうかね? シュンツ手にも裏目はありますけどチートイツほどのダメージは受けないしね オーラス前のトップ目の親? そんなの泣きっ面にインパチに決まってるでしょ(笑)
Posted by イーピン at 2016年03月29日 13:48
>>イーピンさん
僕はチートイツ好きですよ。めちゃくちゃ楽しい役だと思います。
チートイツはいずれ特集を組む予定です。
Posted by はぐりん@ at 2016年03月29日 17:33
自分もチートイツは嫌いじゃないです。やっぱりリャンハン手は決まったときの打点が魅力的なんで。
まあでも、シュンツ手との天秤をしているときのイライラはよくわかります。タンピン系の配牌で、ツモの正解はチートイツでした〜。みたいなパターンだとついつい強打してしまうぐらいにムカつきますねw
Posted by アクスケ at 2016年04月01日 05:18
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