今回は基本戦術として、中盤以降のトイツ落としについて書いていきたい。


HAZさんのブログによると、
麻雀において、7巡目に誰か1人がテンパイしている確率は約50%というデータが出ている。

さらに驚くべきことに、7巡目に誰か1人がイーシャンテンかテンパイである確率は、なんと90%を超えるという。


7巡目というと、まだ手が整っていない印象があるが、
実際には誰かからリーチが飛んでくるべき巡目であるということがわかる。

つまり、中盤以降にトイツ落としをする場合は、
先の危険よりも今現在の危険を考えるべきだと言える。


中盤に危険牌のトイツ落としをする場合、次巡の危険度はさらに高まるため、
2枚目が放銃につながったり、
あるいはリーチが入って切れないまま孤立してしまうということにもなりかねない。


そこで、ここ1〜2巡の安全を買う選択をするわけだが、
危険度の高い方のトイツを手の内に残すことによって、
暗刻になった場合にそれを使い切れるというメリットがある。

字牌は暗刻をミスっても安全牌として機能するが、
中張牌の3枚目引き戻しは切れない上に使えないという状況になっていることが大半だ。

守備のために安全な方を残すという意識は、
想定外の引き戻しで完全に自分の手が死んでしまうため、
回し打ち、テンパイ取りにはそぐわないと考えられる。


このへんは表裏一体だが、
数牌のトイツを残すことで、かわしのあがりが増えるのは間違いないところで、
手の内の安全牌をギリギリの水準で間に合わせるということは、
成績向上において非常に重要なポイントである
と私は考えている。


もう一点、安全な方のトイツを落とすことで、
自分の河が強くなり、待ちが読まれにくくなるというメリットもある。

トイツ落としは大きな情報なので、できるだけ目立たない牌を切ることは、
自分のあがり率を高めることにもつながる。

よって攻撃を最大限見る場合は、序盤から河を強くするトイツ落としを意識していくのがいいだろう。



それでは実戦例から見ていこう。


tenhou.14182.jpg

開局の南家。

ドラ入りリャンカンができて、ピンフ含みのリャンシャンテンになったが、
何を切る?





tenhou.14183.jpg

中盤なので、安全度の高い西を落とした。

マンズは高く、この瞬間にリーチと来られると、7mは切れなくなってしまう。


tenhou.14184.jpg

この時の全員の手牌。

対面がすでにテンパイ。
上家下家もイーシャンテンで、7巡目というのはもう危険な巡目であることがわかる。


tenhou.14185.jpg

ほどなくして、テンパイを果たし、ここで即リーチに踏み切った。


この場合7mのトイツ落としに比べて、河がかなり強い。

相手の対処がより難しくなっているのがわかるだろう。
これも安全な方を落とす一つのメリットだ。


tenhou.14186.jpg

2件追っかけが入るも、下家から出あがり、裏なし2000のあがり。

下家の芸術的な最終形を見てほしい。
危うく東1局で勝負が決まってしまうところだった。


tenhou.3784.jpg

別の半荘。
南2局1本場、2着目の南家。

別段何ともないリャンシャンテンだが、
ラス目の親に対していまいち安牌が少ない。

さて、何を切る?





tenhou.3785.jpg

2s切りもチラと考えたが、ここは白切り。

わざわざピンフを捨てる必要もなく、これは普通の選択だが、
天鳳打ちならつい考えてしまう安全牌残しだ。


ちなみに、こういう場面ではわざわざトイツ落としを強調するメリットがないので、ツモ切りの方がいいだろう。


tenhou.3786.jpg

同巡、下家からリーチが入り、これが見事に258s待ち。

2sのトイツ落としなら完全に手が死んでしまうところだった。
中盤の危険牌トイツ落としにはこれがある。


tenhou.3787.jpg

上手くタンヤオで回ったつもりだったが、
現物になった6mが親に掴まり5800。

テンパイなのでこれは仕方ない。

しかし、この放銃が響いてこの半荘はラスとなってしまった。


tenhou.15044.jpg

別の半荘。
東4局、微差の3着目の南家。

7pツモったところだが、さて何を切る?





tenhou.15045.jpg

7pツモ切りとした。

ここでは1mが3枚見えで23mのターツがあまり強くないので、
4p引きでのドラ受け入れを見ての選択。

対面にもドラが切りにくいだけに、ドラの受け入れは意識しておきたい。


tenhou.15046.jpg

次巡、8pツモったところ。

さて、何を切る?





tenhou.15047.jpg

ここでは安全な北切りとした。

巡目的に58pのスジは危険度が高く、
トイツ落としをする猶予があるかどうか。

ドラの受け入れはなくなってしまうが、
形を決めて攻撃に備える巡目だと判断した。


tenhou.15048.jpg

そして、北落としにはこれがある。

上家のターツ落としでやや58pの安全度は高まっているが、
25pのスジはかなり危険で、58pと切っていたら困ってしまうところだった。


安全度の高いトイツ落としを優先することで、
暗刻になった場合に柔軟な対処が可能になるのも大きなメリットだ。



tenhou.15049.jpg

実は、選択の場面で下家にはこのテンパイが入っていた。

ここで5p切りを選択してしまうと、8pで放銃する可能性が高かった。


上家もこの時点で58p受けのあるイーシャンテン。

やはりここでの58p落としは巡目的に厳しいというのがわかる。


tenhou.15050.jpg

結局、対面が下家から2000点のあがり。

ここでの放銃回避は大きく、最終的にはトップを取ることに成功した。


tenhou.15064.jpg

別の半荘。
南1局2本場、トップ目の親番。

イーシャンテンとなり、いずれかのトイツを落とす場面だが、
さて何を切る?





tenhou.15065.jpg

ここでは1s切りを選んだ。

ポイントは、最終的に待ちにした場合1sと3sのどちらが強いかという部分で、
上家と下家の捨て牌から、1sと3sの強さには大差ないと見た。

3sのシャンポンでも問題なく即リーチに行けるのであれば、
基本通りに安全な1sを落とした方が得だと考えた。


tenhou.15066.jpg

直後、下家のリーチが入った。

宣言牌で南が出たが、これを鳴く?





tenhou.15067.jpg

この場面で1sを切れるのが、1sトイツ落としの大きなメリットだ。

下家の2巡目には2sが切られており、
リーチに対して3sはかなり切りにくい。

3sのトイツ落としで1枚浮いている状態では、
南をスルーする選択も十分にあっただろう。


tenhou.15068.jpg

さらに、仮にこの場面で36sをツモってきたことを想定してほしい。

危険な方を手の内に残していることで、
36sは何枚ツモっても使い切れる格好となっている。


危険牌のトイツを残すことで、
逆に言うと全部使い切れる可能性を見ることができる
というわけだ。


受けの強い人はおそらくこういうことを丁寧に考えているだろう。

中張牌のトイツが残っている方が、
牌の伸びに発展性があるため、タンヤオなども絡みやすく、
あがり率、流局テンパイ率はいずれも上昇する可能性が高い。

一方で、受けが効かないため、その代償として放銃率は上がることが考えられる。


tenhou.15069.jpg

過程と結果は別物で、まんまとドラのカンチャンをツモられてしまった。

しかも裏3ときてハネマンの親っかぶりだと。


手順としては問題なかったが、
下家からのポンはツモを増やしてしまうという点、この点は常に留意すべきだろう。

ミスを犯したわけではないので、
下家の親番は少し慎重に対処するぐらいで、この半荘はトップで終えられた。


ちなみに、選択の場面では1sも3sも全山だった。