2016年08月14日

スルースキル 北家は鳴かずに親をケア

今回は久々に登場、スルースキルだ。


科学的麻雀観が台頭して以来、
牌効率やベタオリなど局収支にかかわる項目が重要視されるようになった。

結果として、東家、南家、西家、北家、という各家の役割については、
議論されることがほとんどなくなった。

最近の戦術本を読んで麻雀が上達した人の中には、
親はともかく子方の差異についてはほとんど意識したことのない人も多いのではないだろうか?


あるいは、意識しても無駄だという印象を持っている人も多いのではないだろうか。


誰かにとって不利な打牌というのは誰かにとって有利な打牌なわけで、
それならば自己の利益最大化を目指して好きなように打つというのが現代流だろう。

これは間違いではない。


ただ、各家の役割をきちんと理解し、各々が分を弁えて打つ、ということは、
長期的に安定した成績を残す上で私は非常に重要なことだと思っている


また、そうすることが麻雀の勝負の質を高める、
決して無味乾燥としていない、白熱した戦いにするための必要条件であるとも思っている。

天鳳においても、戦略として各家の役割を意識しながら打つことで、
ラス回避の可能性を高めることができる。

このブログでは、超最新戦術から皆が忘れかけていたアナログな戦術まで、
様々な角度からヒントを与えていきたいと思っている。



さて、本題に戻って北家の仕掛けについてだ。

北家の仕掛けは1局単位で親のツモが増えやすい行為であり、
序盤での北家の鳴き、特にポンは即座に親のツモを増やしてしまう。

仕掛け自体がデメリットのある行為であるのに、
北家のポンは子方のツモを飛ばして子方のあがり目を少なくするばかりか、
親のツモを増やして親の先制テンパイのチャンスを増やしてしまう。


親番を流すというのは麻雀の一つのテーマであり、
この意識が共有できているかどうかで、
麻雀というのは展開が大きく変わってくる。

天鳳においても、特にラス目が親番の時の北家の対応は重要であり、
ゲーム回しの鍵を握るキーマンと言っても過言ではない。


状況によっては、分を弁えて謙虚に親に対応することが、
北家の一つの役割である。


ただ、自己犠牲的にまで献身する必要はなく、
やりすぎない、ほどほどのバランスで対応していくのがベストだと思っている。

これは、アシストやサシコミなんかもそうで、やりすぎないことというのは大事だと思っている。


それでは、実戦例から見ていこう。



case1
tenhou.19737.jpg

南1局、23000点持ち3着目の北家。
比較的僅差で、下家の親が現状ラス目となっている。

親の第一打で自風の北が出たが、さてどうしよう?





tenhou.19738.jpg

スルーした(鳴き無し)。

自分の手はさほど悪いとも言えないが、
雀頭不在でまとまるには少し時間がかかりそうだ。

北ポンで手詰まりになりやすい牌形でもあるので、
ラス目が親であることからもひとまず様子見とした。


私の感覚ではこの親の第一打は鉄スルーに近い。
親のツモを増やして、親の現物を2枚消費する上、
3568の対象形はいかにも放銃しやすい牌姿に映る。


tenhou.19739.jpg

メンゼンで進めた結果、テンパイまでこぎつけた。

親のリーチ一発目だが、切り出さなければならないのはドラの中。

さて、どうしよう?





これは、ドラ切りで追っかけリーチに踏み切った

ポイントは最終形の強さで、どのくらいあがり目があるかで判断している。

この147mは鉄板と言ってもいいのではないだろうか。

「スルーして入ったテンパイ即リーチ」 この基準を加味してもいい。


tenhou.19740.jpg

親にツモられ、裏なしの2600オールとなった。

なんと親もオナテンの14mだった。

鉄板vs鉄板のツモり合いだったというわけだ。

北家の役割を全うして入ったテンパイにつき、
メンゼン好形テンパイなら基本勝負の姿勢でいいだろう。



case2
tenhou.20702.jpg

南3局、38000点持ちトップ目の北家。

親の北は例によってスルーするとして、
上家から即2枚目が出たが、さてどうしよう?





tenhou.20703.jpg

スルーした(鳴き無し)。

この2枚目は牌姿によってはポンするところだが、
ターツ不足で少し厳しい形なのでスルーとした。

これによって直ちにあがりが遠のくわけではないが、
北ポンに比してあがり率自体は低下するだろう。

こうした以上は当然、親の動きには対応する構えだ。


tenhou.20704.jpg

発が重なり、1枚目の発が対面から出たところ。

さて、どうしよう?





tenhou.20705.jpg

スルーした(ラグあり)。

形的にこれは鳴いてもいいと思ったが、
北家であることを踏まえると、序盤で親のツモを増やしたくなかった

スルーしたところ絶好の発暗刻で、これで完全に攻撃の態勢が整った。
5m切りで広く受ける。


tenhou.20706.jpg

ほどなくして親の仕掛け、さらに上家のリーチが入る。

上家に先制リーチが入ったのも、発をポンしてツモを減らさなかった一つの効果だ。

リーチに対して対応する手牌の余裕もあるし、
まさに理想的な展開と言える。

ここで北のトイツ落とし。


tenhou.20707.jpg

結局、親が5200の放銃となった。

自分にダメージがなく親が流れてくれればこの局の目的は果たしたも同然。
対応の余地を残すためのスルーで、この半荘はトップで終了した。



case3
tenhou.4649.jpg

東2局、24000点持ちラス目の北家。
ほぼ持ち点に差のない状況となっている。

対面から1枚目の東が出たところだが、さてどうしよう?





tenhou.4650.jpg

スルーした(鳴き無し)。

鳴いても形が厳しいし、親の捨て牌からは速度がありそう。

親に対応する構えを取り、南家のかわしに期待する。
南家の段位が七段ということもあり、この辺は仕掛けの精度に信頼がおける。

スルーした結果、カン8mの好牌をツモったので、
ある程度攻め返すことも考慮に入れている。


tenhou.4651.jpg

早速東のトイツ落としで対応に入ったが、
ここは8sトイツ落としぐらいの方がバランスはいいかもしれない。


tenhou.4652.jpg

結局南家が親から2000のあがり。

この展開なら御の字で、丁寧に対応した甲斐があったというもの。

この局面では鳴かれる牌をほとんど持っていなかったが、
仕掛けの5800クラスを簡単にあがらせないことは重要だと思っている。



case4
tenhou.6390.jpg

南3局、28400点持ち2着目の北家。
下家の親が17100点持ちのラス目となっている。

親に対する現物が1枚もないため、ここで生牌の南を放したところ、親がポン。


tenhou.6392.jpg

直後に対面から白が出たが、さてどうしよう?





tenhou.6393.jpg

スルーした(鳴き無し)。

ドラのペン7m残りでは苦しいし、
白を鳴いてしまうと親に対応する余地が減ってしまう。

本意でない南切りで親に鳴かせてしまった以上、
ここからは(責任を持って)、親に対応していきたい。



tenhou.6394.jpg

2枚目の白でポンテンに取れるが、どうしよう?





tenhou.6395.jpg

スルーした(鳴き無し)。

テンパイにつきポンテンに取るというのは確かにあるが、
この7mのあがり目がそれほどあるとは思えない。

それならば一貫性を持って対応しようというものだ。


スルーした結果、メンゼンでテンパイが入ったが、どうしよう?





tenhou.6396.jpg

白切りでテンパイ取らずとした。

これはスルーして入ったメンゼンテンパイなので、
リーチはしないまでもテンパイに取るかどうかは迷った。

ただ、切り出す2pは急所でもあり、
対面と上家が仕掛けてかわす姿勢を見せている

やはり一貫性を持って対応を継続した。


tenhou.6397.jpg

次巡、まさかのドラツモでたじろぐも、
258pのテンパイなのでこれはこれで良し。

「スルーして入ったテンパイ即リーチ」はこういう裏目としてよく現れる。


tenhou.6398.jpg

結局、親から赤5pが出て3900のあがりとなった。

ご覧のように親の最終形がすごいことになっていた。

まず、私が2枚目の白をポンしていると、7mが親に流れて6000オールとなっていた。

さらに、私が5pを捕らえていないと、対面が5pチーして親に18000の放銃となっていた。


丁寧に回して、上手くあがりを拾えたので結果としては満足だが、
これは同時に対面を助けた捌きであったというのがわかるだろう


tenhou.6400.jpg

次局、助かった対面が18000で大捲りのトップ。


実戦中は目に見えない部分が、因果としてはっきり表れている。

前局ファーストテンパイなら即ツモあがりだったペン7mが私の最終形となっているところも、
対比として面白い。

前局エネルギーを使いすぎてしまったという感じ。



case5
tenhou.9537.jpg

東4局、20400点持ち3着目の北家。
ラス目の親が2フーロ晒している。

その親から1枚目の東が出たところ、さてどうしよう?





tenhou.9538.jpg

スルーした(鳴き無し)。

親の仕掛けは白バックが本命だが、
789の三色やピンズの一通もあり待ちが絞りきれない。

私の手は急所のカン6sが残っている上、鳴いてもイーシャンテン。

ここから親のツモを増やす仕掛けは得策とは思えない。


直後に上家から2枚目の東が出たが、これもスルー。
2mの裏目に、1m3枚目が出た直後の東というのも感触が悪く、鳴く気にならない。


tenhou.9539.jpg

3pツモって、東を切り出していく。

なんとなく手牌が生き返ったように見えないだろうか?

ファン牌スルーがあがりを放棄する行為では決してないのだ。


tenhou.9540.jpg

南家が700・1300のツモあがりとなった。

北家が仕掛けを我慢し、南家が仕掛けて親をかわす。

ラス目の親に対する対処としてはこれが理想的なパターンだ。



case6
tenhou.20729.jpg

南1局、25500点持ち2着目の北家。

バラバラな手から北をスルー(鳴き無し)すると、2mが重なった。
メンホンチートイを視野に手を進めていく。


tenhou.19798.jpg

メンホンのリャンシャンテンまで伸びたところ、親から9mが出た。

さて、どうしよう?





tenhou.19799.jpg

スルーした(鳴き無し)。

ドラが中であることから、ブラフ気味のポンも考えられるが、
巡目としては少し早い。

有効牌を切望しているこの巡目で親のツモを増やすのは、危険性が高いと考えてのスルーだ。


tenhou.19800.jpg

12巡目まで進み、再び親から9mが出たが、どうしよう?





tenhou.19801.jpg

これはポンした。

9mスルーはさすがに自分のテンパイの可能性が下がるし、
ドラも見えていないので相手の対応も難しいはずだ。

この巡目のポンなら、残り巡目が限定的であることから、親のツモを増やすデメリットは若干薄まる。

即リーチと来られても、親のあがり率は劇的には上がらないし、
こちらの対応も巡目的に限定的となり、対応しやすくなるからだ。


tenhou.19802.jpg

あっさり中を切られたが、上家からリーチが入って対応することに。

ここで北のトイツ落とし。


tenhou.19803.jpg

リーチ者の一人テンパイで流局となった。

2着維持のまま親が流れたので、展開としては上々。

北家の場合、自分のあがり目がどれぐらいあるかを勘案し、
苦しい仕掛けならなるべく早い巡目はスルーするのがポイントだ。




case7
tenhou.4124.jpg

東2局3本場、供託1本、29700点持ちトップ目の北家。

下家の親がホンイツ風味の仕掛けを入れている。

自風の北が暗刻のところ、上家から8sが出た。

さて、どうしよう?





tenhou.4125.jpg

スルーした(ラグあり)。

危険牌を使い切って迂回できる可能性があるため、
これは仕掛ける人も多いだろう。

ただ、ここから仕掛けて4sと中を切らずにあがり切れる可能性はどれほどあるというのか?

危険牌1牌なら仕掛けもありだが、2牌なら私は仕掛けない。


トップ目の北家は野球で言うならキャッチャーのようなものだ。

どんと構えて親にはきちんと対応するから、
南家、西家安心してくれ、と。

ここから北家が789で晒すと、南家西家は対応の種が増える。

それによって変な紛れを起こさないように、
北家の仕掛けはあがり目を十分に精査しつつ仕掛けるというのが私の考えだ


tenhou.4126.jpg

最終的には、南家が西家から3900のあがりとなった。

北家が親に対応し、西家がメンゼンでテンパイを入れ、南家が仕掛けてかわす。

各々が役割を果たしてこその結果であり、
8sスルーに意味が残ったと言えよう。


自分の家の役割を考えながらするスルー判断、
この積み重ねが正しいかどうかというのが大局観であり、
一瞬の期待値判断が長期的な成績に寄与するかどうかはまた別問題だと私は考えている。

こういう8sスルーがまさにその例で、
この半荘トップで終えられたのも、この判断が間違っていなかったという一つの証左であろう。


次回はこの記事に関連して、北家の鳴きを利用する戦略、
さらには自身の仕掛けの失敗例を紹介したい。



ラベル:天鳳 不鳴
posted by はぐりん@ at 21:01 | Comment(8) | スルースキル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
1、スルー
曲げ 実戦では北いきそうですが、このルールなら曲げた方が良いと思いますね。

2、スルー
雀頭のない形では基本2枚目でも鳴かないですね。
これは北も安牌で相当安定性が高いので鳴いても良いと思いますね。

3、スルー
雀頭ありますが、形が悪いのでスルーですね。

4、両方スルーですね。
下のは聴牌ですが、待ちが悪く、7pを切りたくないというのが理由ですね。
面前聴牌で、2pの安全度も高そうなので立直でも良いと思いますね。

5、微妙ですね。
というのも、面前だとキツイので逆に鳴いた方が良いような気もしますね。
ラス目の親なので和了に向った方が良いように思えるんで。
ただ、3m2mと切ったほうが良いかな、234というよりか789かバックぽいんで、3枚見えの1mより2pの方が若干鳴き易いでしょう。

6、スルー
鳴いてしまいそうな感じもしますが、冷静に考えるとこれはスルーが良いような気がしますね。
2枚目もスルーしてオリかな。

7、スルー
様子見で鳴いても良いですが、4sか中を勝負する形にはしたくないかな。
ただ、これをスルーすると和了はなさそうな気もしますね。
Posted by spacemj at 2016年08月15日 22:43
>>spacemjさん
1、リアルでもリーチに行っちゃいそうです。

2、そうですね、鳴いてもいいと思います。

3、わかりやすく形が悪いですもんね。

4、確かに7p切りたくないというのはありました。
ペン7mリーチ行きますか?これはかなり行きづらいのではないでしょうか。リーチによって仕掛けがオリてしまうのはかなり痛い気がします。

5、なるほど。安全度でも23m切り優位ですかね。
苦しいターツ選択を強いられるというのが嫌なんですよね。

6、2枚目もスルーですか。マンズは一応伸びがありますもんね。

7、鳴いた方が流局時のテンパイ率も遥かに上がりますよね。それも含めて直観でどうするかという感じです。
Posted by はぐりん@ at 2016年08月16日 01:02
ふと、感じたのですが南家ならば積極的にポンして親のツモを飛ばしにいくこともあるんですか?北家の役割の理屈から考えると、そうしても不思議ではないですが。
Posted by アクスケ at 2016年08月16日 16:46
>>アクスケさん
ポン材は急所牌なので、具体的に狙って、というのは基本的にはないです。
ただ、北家に比べて南家の方がどこからでも鳴きやすいというのはあります。
北家の場合は、下家・対面からポンするのは若干抵抗があって、南家の場合はその逆ですから、必然的に仕掛けやすいということになります。
親からは不要牌が出てきやすいですしね。
Posted by はぐりん@ at 2016年08月16日 22:06
今回のケース
ポンしたら半分くらい上がってる件、
オカルト乙
Posted by 天鳳位赤犬さん at 2016年08月17日 15:56
>>天鳳位赤犬さん
コメントありがとうございます。
Posted by はぐりん@ at 2016年08月17日 18:46
ペン7mリーチは微妙と言えば微妙か。出和了はほとんどないですからね。
実戦ならリーチに思えましたが、実戦でもダマはあるか。
私はどちらかというとリーチ寄りだったんで意外でしたね。
このルールなら尚更ダマが良いのかな。

4mが鳴き辛いと見ての3m2m切りでしょうね。
筒子のの下が安そうだし、1mが3枚切れてるってのが塔子選択としては良い理由に思えます。

スタイルに寄りますよ。
より堅実な麻雀目指すなら鳴かない方が良いような気もしますね。
字牌だけのツモに頼る上に、待ちも悪いしリスクが高い気もするんで。
北が2枚あるんで安全度は高いでしょうけど、下家からリーチが入ったら損にも思えますから。
見方によってはほとんどベタオリの手にも見えますね。実戦でも同じような感覚です。
Posted by spacemj at 2016年08月18日 01:48
>>spacemjさん
元々あがりに行く姿勢なら白は鳴いてますからね。
この局のテーマを考えたらリーチはかなりしにくいと思います。

3枚目の1mチーなら手順の東ポンなんですけど、それを見送った以上鳴きにくいタイミングに見えました。その分23mのターツははずしやすいですね。

放銃のリスク自体は高くないですけど、あがりが見えるかといったら見えないですね。ただ、9m鳴かないとノーテン流局の可能性も高まるので、この巡目ならバランス的にポンでもいいかなと思いました。これは実戦の方がスルー寄りですね。
Posted by はぐりん@ at 2016年08月18日 16:14
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