2016年11月20日

リャンカンは好形にあらず スマートに捌く

今回はリャンカン形について。

二筒四筒六筒というリャンカン形と三筒四筒というリャンメン形。
両者の受け入れは8枚と変わらないが、牌機能的にはリャンカン形が大きく劣る


以下の牌姿を比較してみよう。

(1)二萬三萬四萬五萬六萬七萬二筒四筒六筒三索三索六索七索

(2)二萬三萬四萬五萬六萬七萬三筒四筒三索三索六索七索西


(1)はリャンカン、(2)はリャンメンを含んだイーシャンテン形だが、
リャンカン形は手牌3枚使うのに対し、リャンメン形は2枚で済むので、
リャンカン形を含んだイーシャンテンは必然的に余剰牌がなくなる。


リャンメン形のイーシャンテンが安全牌を抱えたり、
完全イーシャンテン形などさらに受け入れを広げる選択ができるのに対し、
リャンカン形のイーシャンテンは形が決まってしまい、手牌に融通性がなくなる。
たった1枚の差だが、この1枚を自由にできるかどうかというのは大きい。
シャンテン数が進めば進むほど、1枚差が手牌を圧迫する要因となってくる


さらに、リャンカン形は他方が先に埋まると、待ち取りに迷うばかりか、
宣言牌が手牌にもろに関係する引っかけとなってしまい、
現代麻雀においては警戒されてかなりあがりにくい

ピンフが複合しないという点で、打点的にもいまいちとなることも多い。


手牌に融通が利かない上、最後まで残ってしまうとあがりにくいという点で、
リャンカンはどちらかというと愚形寄りの認識を持ってもいいだろう。


タンピン形の手牌であれば、リャンカンが残ってしまうのは仕方ないが、
ホンイツやトイツ手、コーツ手が狙える手であれば思い切って外しにかかるという手もある

リャンカンは外すのが遅ければ遅いほど、攻守において手牌を圧迫する要因ともなるため、
外すのであれば序盤の方が有利に働くことが多い。

リャンカンはリャンメンと違って、二筒四筒六筒から二筒を切っても、
受け入れがただちに0になるわけではなく、五筒4枚の受けが残るというところに特徴がある。

この特性を生かし、リャンカンを外しつつ好形変化を見ることで最終形を強くするという工夫がある。

例えば、三索四索五索六索の4連形や、四索五索五索六索の中ぶくれのような好形を残してリャンカン形をはずすことで、
イーシャンテンの受け入れは狭まるものの、他の伸びを見ることで最終形を強くすることが可能となる。


あがりに寄せるために、いかに上手くリャンカンを捌くか。

デメリットの多いリャンカンということを理解しておけば、
スマートにリャンカンを払っていくことで、あがりやすさのみならず、打点が大幅に上昇するケースも少なくない

このへんは形に捉われない、柔軟な構想力が必要となってくるだろう。


それでは、具体的に実戦例から見ていこう。



@リャンカン形がある場合、常に好形変化の可能性を見る case1
tenhou.15025.jpg

東4局、12000点のラス目で迎えた親番。

イーシャンテンとなり手は悪くないが、
リャンカン含みで少し重い。

さて、何を切る?





tenhou.15026.jpg

手なりでイーシャンテンに取る3m切りとしたが、これはどうか?

リャンカン形が先に埋まれば絶好の南待ちとなるが、
ここが埋まらずに南が先に切られるようなことになると、
相当この手牌はあがりが厳しくなる。


リャンカンが愚形であるという認識を持てば、
この手はリャンカン&1枚切れ字牌シャンポンのイーシャンテンで、受け入れが厳しすぎる。


南が1枚切れ、しかもこの巡目であれば、
ここでは焦らずに南を1枚払ってマンズの伸びを見るのが正しい応手だっただろう。


仮に南を払ってからリャンカンが埋まったとしても、
即リーチに劣らない十分形のイーシャンテンに構えられる。


tenhou.15027.jpg

形に捉われて、イーシャンテンに取ってしまったため、
窮屈な受け入れのまま身動きがとれなくなった。

3mを切った手前、河に並んだマンズの好形が寂しそうにこちらを見ている。


もっと言うと、形に捉われなければ
五萬六萬八筒八筒一索二索三索四索赤五索六索七索八索九索
こんなテンパイに取れていた可能性さえある。


tenhou.15028.jpg

結局、下家のリーチに回らざるを得ず、ツモられる。

裏ドラが1pモロ乗りで3000・6000の親っかぶり。

手組みの悪さを咎められるかのような結果となってしまった。


このように、リャンカン形は場合によっては手牌を大きく圧迫する要因ともなるため
ラス目だからといって焦らず、柔軟な形に持っていく心構えが重要だ。



case2
tenhou.20363.jpg

南2局、4700点持ちダンラス目の西家。

かなり苦しい展開となっているが、手牌は悪くない。

目下イーシャンテンだが、打点がないのが気にかかる。

4sをツモって、さてどうしよう?





tenhou.20364.jpg

5p切りとした。

ソーズの伸びを見つつ、5pの先切りでカン8pの最終形を強くする狙い

タンヤオがあるなら9p切りだが、
マンズ先埋まりのテンパイ取らずが、劇的な打点上昇につながるわけではないため、
58m先埋まりならカン8p即リーチを見込んでの5p切りだ。


リャンカンを払っていくケースでは、
最終形を決めに行くのか、内の伸びを見るのかの判断はかなり重要だ。

これは難解なケースも多いが、
シャンテン数が悪い(手が遅い)場合は、赤ツモも想定して内に寄せるのが基本で、
シャンテン数が良い(テンパイが近い)場合は、フィニッシュ想定の外寄せが効果的となる



tenhou.20365.jpg

4m暗刻から、ソーズが伸びてリャンカン形を解消。

タンヤオも見込め、こちらの方がグッとあがりやすくなった感がある。


tenhou.20366.jpg

手順でタンヤオに変化し、さらにドラツモ後にテンパイ。
25mは薄いが、文句なく即リーチに踏み切る。


手牌を圧迫していたリャンカン形の重しが取れ、
無理なく安牌を抱えつつテンパイへと持ち込んでいる。



tenhou.20367.jpg

難なくツモって裏は乗らずに2000・4000。

払ったリャンカンが裏目になることもなく、
会心の一局となったが、この半荘はラスのままだった。



A手役狙い時リャンカン払いの構想 case3
tenhou.21519.jpg

東4局1本場、27200点持ち2着目の北家。

かなりのチャンス手となってはいるが、
ゴツゴツしていて少し捌きの難しい手。

さて、何を切る?





tenhou.21520.jpg

ホンイツやコーツ手を視野に、3sを切った。

場況から単純に受けとしてはカン6sよりカン4sの方が良いが、
ドラの8s受けが残ることと、コーツ手なら場に見えていない方を残すという意識から、
7sではなく3s切りとした。

現状で発が出たら、ポンしてテンパイに取る。


tenhou.21521.jpg

次巡、嬉しい6mツモでソーズを払っていく。

どちらを先に切るか?





危険度としては赤5sも7sも大差ないが、
こういう場面では狙いを悟られないように、
赤はギリギリまで引っ張るのが基本だ


赤を先切りした河は弱くなるし、
ホンイツなどの手役狙いが読まれやすくなる
ため、
怖くても赤は引っ張りたい。

ただ、次の安全牌ツモではさすがに赤切りとする。


tenhou.21522.jpg

上家からすぐに7mが出て、ポンテンに取る。

第一打9mによって、それほどホンイツには見えない河となっている。


tenhou.21523.jpg

下家から安目が出て、8000となった。

全員の手を見ると、明らかなコーツ場況。

見込んでいたホンイツとコーツ手の両者が複合し、
捌きの方向性としては正しかったことがわかる。



case4
tenhou.20058.jpg

東4局、22000点持ち微差のラス目の南家。

メンツが一つもないところから4sが重なった。

さて、何を切る?





tenhou.20059.jpg

5p切りとした。

牌効率で赤5mを切るには少し早すぎる。
赤5mを使い切れる手組みを見ながら、
トイツ手やコーツ手を見てのピンズの外寄せだ。



ここではピンズを内に寄せる9p切りという手もあるだろう。
ただ、1メンツもないので、攻守の面からこちらの方が手っ取り早いと思った。


tenhou.20060.jpg

次巡、赤5mに6mがくっついた。
このターツができたのであれば、どちらかというとメンツ手寄り。

これで完全にピンズのターツを払っていく。7p切り。


tenhou.20061.jpg

白を一鳴き。

この牌形では守備に一抹の不安もあるが、
赤5mがターツである以上、トイツ系の手組みには不向きだ。


一方で、ツモによってはトイトイになるとも考えている。


tenhou.20062.jpg

牌効率で鳴きやすい方に寄せていって、テンパイ。

こういう手はテンパイまで苦労するイメージもあるが、
意外と労せずにテンパイを果たしたという印象だ。


tenhou.20063.jpg

あっさりツモって500・1000となった。

結果的にはピンズのリャンカンを残すよりもこちらの方が速かった。

手牌を圧迫するリャンカンを先に払ったことで、
ポンにも対応しやすい柔軟な構えを取ることができた。




case5
tenhou.19998.jpg

南2局、1300点持ちの飛び寸、絶体絶命で迎えた親番。

この親番だけは何が何でもしがみつかなければならない。

配牌はかなり整っていて、ファン牌の南が暗刻でビルトイン。

さて、何を切る?





tenhou.19999.jpg

これはかなり難しかったが、8s切りとしてみた。

効率を犠牲にするので最速テンパイを逃す可能性はあるが、
トイツの北を生かす手組みを考えた場合、
ピンズのホンイツも見ながらリャンカンを払って柔軟に構えた方がいい気がした



当然ながらこういう序盤では、赤5s引きや3s引きを見て外側から払う。


tenhou.20000.jpg

2pを引いて手牌が引き締まった。

先の手から9p、2pと引いただけだが、
リャンカンが残っている場合と比較してどうだろう?
こちらの方が魅力的に見えてこないだろうか?

どうせ残しても急所のリャンカンは仕掛けることになるのだから、
それならば打点の伴う仕掛けの可能性を残した方がいい。

しかし、下家がドラの中をポンしていて、
なかなかにやりづらい場ともなっている。


tenhou.20001.jpg

こうなれば文句なくホンイツでいい。

構想通りに北を仕掛けられる手牌に育った。

下家により鳴かれにくい3m切りとした。


tenhou.20002.jpg

しかし、速度で優った下家が上家から7700のあがりとなった。

この1pはチャンタの急所なのでチーするつもりだった。

この局の感触としては悪くなく、
3着目の上家の放銃によりラス回避も現実的に見えてきた。


が、そのままラスに沈んでしまった。



Bリャンカンより字牌の浮き牌を優先することもある case6
tenhou.16503.jpg

東4局、24300点持ち3着目の親番。

イーシャンテンのところ、中をツモってきた。

さて、何を切る?





tenhou.16504.jpg

ここでピンズのリャンカンを払った。

テンパイ至上主義の人にはこの選択はあまりないかもしれない。

場況からソーズは絶好で、8sは遅かれ早かれチーできる。
そうなると、手順で仕掛けていくだけでお手軽の満貫ができる。

リャンカンが先に埋まるより、中が重なる方がこの手には圧倒的に嬉しい。


tenhou.16505.jpg

この南も待ちとして強いので、残すわけだが、さて何を切るか?





こういうケースでは赤5ツモを考える。

赤5pツモによって発ポンで5800の打点となるので、ホンイツにならなくても十分。
そこで、3pから切る。


tenhou.16506.jpg

ソーズが伸びて、メンゼンテンパイ。

場況から絶好のカン8sとなり、ダマテンに構える。


tenhou.16507.jpg

対面から出て親満となった。

対面は暗刻からの切り出しということは、やはり8sは安全度が高いと見たのだろう。


リャンカンが先に埋まるよりも、ずっと魅力的な最終形に仕上がっている。



case7
tenhou.21622.jpg

南2局、27300点持ち3着目の西家。

上位三者が接戦となっている。

1sが暗刻になって手牌もグッと引き締まったが、さて何を切る?





tenhou.21623.jpg

リャンカンを払う2m切りとした。

中を切ったところで何が入っても苦しいテンパイとなってしまう。
それならばカン4sなどを仕掛けられる手牌にするためにホンイツが有効だとわかるだろう。


北のトイツを生かす手組みとしては、
メンツ手のイーシャンテンというより、ホンイツのリャンシャンテンと見たい。



tenhou.21624.jpg

7sツモの後、これは嬉しい中重なり。

リャンカンを払ったかいがあった。

6m→4mの切り順は単純に危険度の高い方から。


tenhou.21625.jpg

無駄ヅモなく、メンゼンでテンパイ。

ドラツモに備えて3s切りとした。


tenhou.21626.jpg

チャンタまでついて倍満まで育ったが、切り出した5sがアウト。
悔しい1000点の放銃となった。

8sはドラにもかかわらず山に丸生き。
アッと言わせることはできなかったが、
この局の出来がそのままトップ捲りまで結びついた。


打点や仕掛けの効率と、リャンカンの融通性を天秤にかけた際、
ホンイツが見込める手ではこのように字牌残しが有効となるケースも少なくない。

リャンカンという形に捉われず、柔軟な発想を持つことで、
スマートに高打点を実現することも可能となる。



ラベル:天鳳 牌理
posted by はぐりん@ at 00:14 | Comment(8) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
case1:「機能しにくい端牌トイツは早めに払う」の内容にも通じますかね。序盤というのがポイントな気がしますが、つい手拍子で3mを切ってしまいそうです。
case5,case6,case7:リャンカンを全て払ってホンイツに渡るという構想力はとても参考になります。この中ではcase5の8s切りが一番ハードル高いです。case6,7はリャンカン+愚形のシャンテンなら、ホンイツを見てシャンテン戻しすると考えれば理解しやすいですね。
Posted by S at 2016年11月20日 14:55
>>Sさん
case1 そうですね。3m切りも選択肢にはなりうるんですが、ソーズ含めて次の強浮き牌を河に並べるリスクを考えたら、南切りが優っている気がします。
case5 段階を踏んで連荘を考えるのであれば素直に打つ方が普通でしょうね。リャンカンの評価が低いからこその打牌選択と言えそうです。こういう選択ができる時はどちらかというと集中力がある時だと思います。
case6 case7 仕掛けや打点を考えていれば自然に落とせるリャンカンですかね。最悪リャンカンのド裏目を引いても、とりあえずフリテンの両面なら残しやすいですしね。
Posted by はぐりん@ at 2016年11月20日 22:34
一番目の問題は8pもありかなと思えます。
断ヤオが消えるのがあれですけど、なりそうでなりにくいような気もありますね。

Q2、9pですかね。
中ブクレは重視しませんし、平場なら4s切りますが。
点棒的に。あと赤5pなど。ピンフも付けたい気がします。

Q3、
安定性だけ考えると7m切っちゃいそうですが、暗刻が出来てるだけに3sが良いんでしょうね。

Q4、9pですね。
赤5pを絡めた七対子ですかね。
赤5mがでる形で、速度的に微妙なので白はふかすと思います。

Q5、6p

Q6、3pか7p
5p切っても良いかも知れません。
それだけソーズが強い場だし、手牌も染めてくれって感じがします。
カン8sが良いだけに向聴キープがよさげですけど。

Q7、2m
これもQ6と似たような考えですね。
ただ、ソーズがそこまで有利とは思えないという所だけかな。
Posted by spacemj at 2016年11月21日 06:09
>>spacemjさん
Q1、8p切りはイーシャンテンに取りつつの折衷案ですね。即テンパイにドラが絡まないので個人的には選びにくいです。

Q2、確かに内に寄せる9pの方が打点は見込めますね。ドラが意外と使いにくいかなと考え、即リーチ含みの選択にしました。

Q3、これは案外意見が割れるかもしれませんね。デジタル派は7m切るんだろうか?昔の私は7m切ったような気がします。

Q4、2pトイツなので5pは残すか迷いましたが、メンツ手の構想ではなかったので外寄せにしました。赤5mが浮いている状態なら白はスルーします。

Q5、普通は6pでしょうね。

Q6、ですよね。

Q7、ボーッと打ってる時は中切ってしまいそうです。
Posted by はぐりん@ at 2016年11月21日 17:28
case2は打9pの方がいいように思います。
この記事の通りソウズと萬子で2面子が本線ですし、点数状況的にピンフや赤5pでの頭振り替えを見るのが常道な気がします。
それに他家も遅そうなので、十分内に寄せる条件がそろっているかなぁと。

あとリャンカンの捌きといえば、三色手のイメージがあります。
先に決めるのか、保険に残しておくのか・・・この辺も取り上げてみると面白いかもしれないですね。
とかいってるけど、既にあったりして(苦笑
Posted by ちゃんた at 2016年11月27日 11:53
>>ちゃんたさん
case2は点棒状況的にリーチのみがつまらないと考えると、内に寄せる9p切りの方が自然ですかね。ドラ1あるならより先切りが生きやすいと言えそうです。

先に決める手というと、三色もありますけど、真っ先に思い浮かぶのはチャンタですかね。打点的に意味のないケースが多いですからね。
安心して下さい、書いてませんよ!
そのうち取り上げます(笑)
Posted by はぐりん@ at 2016年11月27日 16:41
確かに、ドラ1あるとか点数状況が違えば、即リーチでうまみのある5p切りがベターに思います。

ふむふむ、チャンタとかいう役があるんですね。。。知りませんでした(すっとぼけ

チャンタはどうしても河に出るし字牌も貴重なんで、リャンカンであろうがリャンメンであろうが先に断ち切って、真っ直ぐが基本ですね。

ところで、他家のチャンタのあがりを見ると嬉しくなるのは私だけでしょうか?w
Posted by ちゃんた at 2016年11月27日 18:00
>>ちゃんたさん
チャンタってあんたの名前だろうが!(突っ込み風)

リクエストにお応えして、手役狙いの決め打ちについて記事にしてみました。

ちゃんたさん大好きなあの役がいっぱい出てきますから、きっと楽しめますよ〜。
Posted by はぐりん@ at 2016年11月27日 22:10
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