2018年12月09日

トイツ落としの狙い撃ち【ラグ編】

少し前に記事にした、トイツ落としの狙い撃ち
これは、前後関係からトイツ落としを狙い撃つ汎用性のあるものだった。

今回は、ネット麻雀に特有のラグ、いわゆる「ポンラグ」からトイツで持っている情報を読み取り、それを狙い撃つ戦略を紹介しようと思う。


天鳳ユーザーなら、例え高段者でなくても、ラグ情報は多少なりとも有効活用しようと考えるだろう。

ポンラグを把握することはそれほど難しいことではなく、
誰かの手にラグ牌がトイツであるということは比較的容易に得られる情報である。

例えば、自分が「鳴き無し」にしている場合は、

(1)上家が切った牌にかかったラグ

(2)上家がリーチしている場合に対面が切った牌にかかったラグ

(3)字牌にかかったラグ

これらはすべてポンラグであり、打牌した人と自分以外の他家にその牌がトイツで持たれていることを意味する。

また、自分が「鳴き無し」にしていない場合でも、

(4)自分のチーラグの解除よりも他家のポンラグの解除が遅い場合、タイムラグでポンラグを認識することが可能となる。


しかし、天鳳の場合は、偽ラグと呼ばれるフェイクラグが一定の割合で起こるため、
ポンラグを完璧に把握する、ということは不可能ではあるが、
それでも自身が鳴き無しにすることで得られる情報はかなりのものであることは間違いない。


これらのことが何を意味するかというと、
リアルに比べてネット麻雀の方が圧倒的に相手の牌姿を推測する情報量が多く、
河の前後関係などを注視することなくトイツ落としを狙いやすい、ということだ。


相手をミスリードさせるために、あえてテンパイでもラグをかける、みたいな高等戦術はあるにせよ、
基本的にラグをかけるということは、相手に自分の手牌を多少なりとも教えることになる、という前提を踏まえる必要がある。


例えば、ラグによって安全牌を導き出すというような作業も天鳳高段者は当たり前のようにやっている。

ラグ情報はネット麻雀特有の攻略要素であり、精緻に読めるかどうかで成績にも影響を与えてくる部分だろう。

これらについても着々と実戦例を積み重ねているので、場合分けしていずれ記事にしたいと思う。


さて、ラグによるトイツ落としの狙い撃ち。

実際にどのようなケースがあるのかを、実戦例から見ていきたいと思う。



case1
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南1局、トップ目の西家。

上家の8sにラグがかかる。

この場合、下家も8sを切っているので対面が8sをトイツで持っている可能性がかなり高い。

情報がわかるのはありがたいが、自分の有効牌が一気に減ってげっと思う瞬間でもある。


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南カンツからテンパイが入った。

さて、どうするか?





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我カンせず、と静観の構え。

8sが山にないことがわかっていて、実質ペン5sみたいなもの。

ラス目の親が仕掛けているので場を荒立てる必要はなく、この局はかわせれば十分という判断だ。

さらに、このダマテンには狙いがある。


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上家、下家からリーチが入った場合だ。

この場合、8sが現物で親はおそらくトイツ持ち。

親が危険牌を掴んだ際に、どういう行動が想定できるだろうか?


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そう、回し打ちの際にトイツ落としを狙いやすいのだ。

1300でかわすことに成功。

南をカンせずに大人しくしていたのはこういう狙いがあった。

ただし、親が本手の場合はオリてくれないので、トイツ落としを狙い撃つような仕掛けは、すぐオリてくれるようなふにゃふにゃしたものであるのが望ましい。


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8sポンラグ時。

9sポンから親は一通狙いから形テンにシフトしていた。

ラグが長いと印象に残りやすいので、解除はスムースな方がいい。

このケースでは、長めのラグだった。



case2
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東3局、トップ目の南家。

下家の1sにラグがかかる。


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絶好の8sツモで高目一通のテンパイとなった。

さて、どうしよう?





tenhou.22712.jpg

ダマにした。

私の目から2sが3枚見えており、下家の1sラグは、対面のポンラグの可能性があると考えた。

たまたま対面から1sが1枚出てきたので、トイツ落としの可能性を考えてのダマだ。


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狙い通りに出てきて、3900。

仮に1sが出てこなくても、この1巡だけ様子を見てツモ切りリーチに行くというのは全然ありだと思う。

逆に言うとツモ切りリーチにはトイツ落としを狙っていた、というパターンもそこそこ多く、だからこそ前回手出し後の河変化を注視する必要があると言える。


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ラグがなければ、トイツ落としを想定することなく、単なる合わせ打ちかな?と思うだろう。

無駄なラグはできるだけかけない方がいいという例だ。



case3
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南1局、2着目の南家。

対面の1pにラグがかかる。

ドラが3pなので親のチーラグでもおかしくはないが、2p3枚見えにつき、下家のポンラグの可能性も考慮したいところ。


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下家がおもむろに1pを合わせてきた、これは…。


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この瞬間にテンパイしたら、1000%1p単騎にするところ。

チートイツの場合はこういう狙い撃ちがしやすいため、ポンラグのチェックは欠かせない。


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やっぱりトイツ落としだったか〜。しかもリーチと来た。

この瞬間にテンパイしなければ1pに利用価値はないので、さっさと切り飛ばした。


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結局、親が地獄単騎を一発でツモって3900オール。

ってマジか…



case4
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東3局、2着目の西家。

上家の9pにラグがかかる。これを覚えておく。


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親リーチ一発目にこちらもテンパイ。

さて、追っかける?





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とりあえずダマにした。

こちらの手はドラも何もないのみ手で、何より69pの残りに不安がある。


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1巡たって、何かが変わった気がする。

さて、どうしよう?





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ツモ切り追っかけとした。

親の切りから9pトイツは下家のポンラグ濃厚であったところ、おもむろに切り出された9p。

下家は9pトイツ落としの最中であると読み、ツモ切り追っかけに踏み切った。


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一発目とはいかなかったが、これを捕らえての1300。

鮮やかに決まって、親リーチをかわすことに成功した。

完全に狙い撃ちされた下家は気分は良くないだろうが、1300で済んでまあ良かったといったところか。


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下家はアガれない方をツモったがゆえの9pトイツ落としだった。

3mは切るに切れないドラにつき、9pトイツ落としはやむを得ないだろう。

2フーロしている状況から2件リーチに完璧な対応をすることは難しく、一旦落とし始めたトイツを止め切るのは難しいことがわかる。



case5
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南3局、ラス目の親と800点差という超僅差の3着目西家。

親リーチが入って一発目、上家の9pにラグがかかる。


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ほどなくして、こちらもピンフのテンパイ。

切り出すのはかなり危険なドラだが、さてどうしよう?





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ここはドラ勝負とした。

ドラ切りはあまりに目立つが、この親リーチをかわさないことには未来はない。

下家が現物の9pを切ってくれることを切に願う。


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少考の末、下家から出てきたのは9pだった。値千金の1000点。

下家もベタオリするかどうか考えつつ、打点的に打ってもいいと判断したのだろう。

結果的にはwinwinで、下家2着私は3着で終了した。

ポンラグがはっきりしているこの場面では、間違ってもリーチを打ってはいけない。

下家が9pを金庫にしまったら、私の勝算は劇的に下がり、その分親のアガリ確率が高まってしまう。

こういう場面でダマ判断を間違わないことは鳳凰卓では必須のスキルだ。


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下家ノーテンの状況ではポンラグノイズが入ってしまうのは仕方ないこと。

対面リーチにつき、本ラグなら下家の9pトイツが確定する。

こういう場面で親流しの意識を共有する、そのためのダマである。



case6
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東4局、トップ目の西家。

3着目の南家から2巡目の超速リーチが入る。

ここからは丁寧に対応するしかない。7p切り。


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ドラの発を掴まされて、一歩引いていたところ、上家の7mにラグがかかる。


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苦しい7mを引き込んで、イーペーコーのテンパイとなったが、さてどうしよう?





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ドラ勝負とした。

下家の7mはおそらくトイツ落とし。

それはわかっていても、切り出す牌が牌だけに、対応されると単なる押し損になってしまう。

それゆえに、このドラ切りはなるべく自然な感じでスッと切りたいところ。


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狙い通りに7mを捕らえて、1300。リーチをかわすことに成功した。

1300なら下家もむしろ御の字だろうが、これが5200ぐらいだと一気にミスった感が漂うのが難しいところ。

鳳凰卓は固すぎて、それゆえにリーチに有利に働くということも往々にある。


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下家はこの7mにラグをかけたが、私ならおそらく鳴き無しにしているだろう。

このへんは人によって違う。

しかし、このラグにより私は狙い撃ちが可能となり、下家とwinwinの関係を築けたので、鳴き無しが常にいいとは限らない、ということは言える。


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ちなみに、これをかわし損ねると、上家の高目ハネ満ツモが炸裂する。

リスクを負ってかわし手を成就させることの価値が、この絵からわかる。



case7
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東1局、連荘中の親番。

上家の中にラグがかかる。


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チートイツのイーシャンテンとなったが、何を切るか?





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中を残した。

中をトイツで持っている他家がいるはずなので、それをしめしめと狙い撃つ算段だ。


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さあきたで!オリ打ち狙いリーチ発動!


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うほっ、中切ってる本人から追っかけがきた。

これはダメ押しとなるか…


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対面が北ポン…だと?

ラス目が攻め返している、これはちょっとまずいことになってきた。

なぜかというと、攻めてるやつはファン牌のトイツ落としをしてこないからだ。


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結果は攻めの対面が上家に7700の放銃となった。

対面は予想通りに中トイツだったが、手牌に組み込まれて出て来ない牌だった。


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牌譜を見返して驚いたことに、なんと中は偽ラグだった(!)。

直後に対面が中を重ねていた。

天鳳はこれがあるから、狙い撃ちがとんでもなく的外れになることも少なくない。


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それでも対面には分岐があり、ここで中をトイツ落とししていてもおかしくはなかった。

つまり対面は、私に裏裏の12000を打つか、上家に7700を打つかの狭間で悩んでいたのだ。

うーん、どっちも嫌だ(笑)



case8
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東4局、3着目の西家。

上家からリーチが入っていて、対面の6mにラグがかかる。

これすなわち、本ラグなら下家の6mトイツ以上が確定ということだ。


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上家からタイミングよく6pが出たので…


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チーして7s切りとした。

後は下家次第だが、果たしてどうか。


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高目が出て、開けてびっくり12000となった。

こういう場合、仕掛けはできるだけ安く見せるのがよく、赤は晒さない方がいい。


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発ポンテンに備えていたということもあり、下家のラグは仕方ないだろう。

親がダブ東仕掛けだったのも、私にとって有利に働いた。


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下家がギリギリ耐えていれば、親が1000オールのツモアガリだった。

やはりアガリ番は順番に回ってくる。



case9
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開局の西家。

テンパイが入ったが、ドラも何もないのみ手。

さて、どうするか?





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カン3pに取って、ダマにした。

3pは場況から悪くない感じもあるが、リーチに踏み切るほどではないと考えた。

5p引きの変化を待ってリーチと行きたい。


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北家の先制リーチに親の仕掛けが入り、その後南家のツモ切りリーチが入った。

一気に場は沸騰といったところだが、このツモ切り宣言牌の3pにラグが入る。

やや長めのラグだ。


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3pに仕掛けは入らず、安全牌の発をツモったところ。

ダマにしていたためアガリ逃しという型もあるが、さてどうしよう?





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ツモ切り追っかけとした。

3pをトイツ以上で持っているのは対面の親で間違いない。

突然降ってわいたような3件リーチ攻勢を受けて、親に受けゴマは果たしてあるだろうか?

これは賭けだが、私のツモ切りリーチを親がちゃんと見ているなら…


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こういうことは十分に考えられる。

一発で出て裏なしの2600。

対面は私のツモ切りリーチをしっかり見ていたからこそ、3pに手がかかったのだ。

ツモ切りリーチを認識していない場合は、1sあたりに手がかかってもまったくおかしくない。

このへんは鳳凰卓らしいレベルの高い攻防だと言える。


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3pラグ時、対面はこの形で、鳴いてタンヤオに向かうかをわずかに考えたようだ。

そして上家のリーチは、先にも触れた1巡だけ現物を待つツモ切りリーチだった。

下家の宣言牌6mが合わせ打たれることを期待して、出なかったからリーチ、というわけ。

このへんの意図を読み解くのはなかなか難しいが、パターンとして頭に入れておいて損はない。

さらに、私のツモ切りリーチが入って親の混乱も相当のものだっただろう。


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このギャンブルが未遂に終わった場合、逆に私が下家の当たり牌を掴んで5200の放銃となっていた。

こういう攻防を制する、というのは点棒以上の勢いを得られるのが通例で、
私は気分よく攻め続けてトップをGET、気落ちした対面は浮上できずにラスに沈んだ。


このぐらい鮮やかに狙い撃ちが決まることはなかなかないが、
ひとつのラグがきっかけでこのような戦略を取ることも可能、ということであり、
ネット麻雀の奥の深さが垣間見えるシーンではないだろうか。




ラベル:天鳳 戦術 対子
posted by はぐりん@ at 23:54 | Comment(5) | 天鳳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本題と少しずれますが、偽ラグが結構厄介ですよね。

凄く長いラグは本ラグ濃厚ですが、鳳凰卓ではダラダララグらせる人は少なそうですね。

一緒ラグらせてすぐに解除した場合は少し引っかかる感じになり、これは本ラグを疑いますが、偽ラグがこれに近い場合もありますか?。

四枚目の字牌など明らかな偽ラグを見ていると割と長めなイメージが強いので(0.5秒〜1秒くらい)、偽ラグでも短い場合があるかどうかは興味のあるところです。
Posted by S at 2018年12月12日 16:49
一緒ラグ→一瞬ラグ の誤りです
Posted by S at 2018年12月12日 16:51
>>Sさん
偽ラグは短いのもありますよ。
経験上、ほんのわずかなラグが偽ラグということもあると思っています。

偽ラグは、打牌の一定の割合で起こると考えられますが、その長さもある一定の間隔からランダムで選ばれると私は考えています。

ただ、考慮時間いっぱいまでの長さの偽ラグはさすがにないので、長すぎるラグは本ラグ確定ですね。
それを考えると下限も設定されているはずなので、それがどの程度なのかは確かに気になるところです。

あとはラグの被りですね。チーラグ解除が早いとポンラグがわかる、というやつですが、それも偽ラグが適用されていると同様にラグが長くなるはずです。

個人的にラグ読みは、人読みに通じる部分があると思っていて、ラグ解除の長さというのは人によって大体一定になりやすいので、そのへんで本ラグを見極めるのがコツだと思っています。
Posted by はぐりん@ at 2018年12月13日 11:47
なるほどです。

長すぎるラグと、2回目のラグは本ラグとして信用できるとして

短めの偽ラグは厄介ですね。早く解除したのと区別は難しそうです。偽ラグを見極めるのが難しい以上は、結局は本ラグとして対処せざるを得ないケースが多くなってしまうのが現状でしょうか。
Posted by S at 2018年12月13日 16:41
>>Sさん
いかにも本ラグっぽい長さの偽ラグは惑わされることも多くて厄介ですね。

ターツ選択などの際にはどうしてもその情報を活用せざるをえないのが現状です。

なので、打ち手のラグタイプを把握する、もしくは鵜呑みにしすぎない、などの工夫が必要でしょうね。


Posted by はぐりん@ at 2018年12月13日 21:01
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