2019年10月06日

ツモを放棄する鳴き【海底間際のリスク回避】

今回は、自身のツモを放棄する鳴きについて。

麻雀は、トランプの大富豪のように「パス」をすることができない。

必ず自分の番になったらツモ牌を持ってきて、手の内から1枚切らなければならない。

相手リーチの一発目に「パス」ができたら、どんなに楽だろうと思ったことはないだろうか?


そんなあなたに覚えていただきたい技術が、自身のツモを放棄する鳴きだ。

上家の切った牌を仕掛けてしまえば、不確定なツモをめくることなく、下家にツモ番を回すことができる。

これは特に、自身のテンパイが確定している海底間際で効果を発揮する。

手段としては、一般的に言うところの「食い替え」や、役なしアガリ形から仕掛けての安全牌切りがあり、後者の方がやや多いイメージだ。

これは相手リーチの一発消しにも応用することができる(これについては後日)。


麻雀において点棒の収入を得る方法は、自身がアガること、そして流局時にテンパイ料を得ること、この2つしかない

逆に言えばアガらずに点棒を得るという手段が麻雀にはあるということであり、この技術によって大きく成績に差がつく。

一人テンパイで得られる収入は1000点オール。3000点の収入というと、子方でリーチドラ1をアガるよりも多い。

必死こいてリスクを負って愚形リーチをアガったものの、裏ドラ乗らずに2600で、イマイチ割に合わないと思ったことはないだろうか?

このように考えていくと、流局時のテンパイ料というのは、リスクをあまり取らずに、リターンを得ることができる、重要な機会であることがわかるだろう。


微差が重要な天鳳では言わずもがな、テンパイ取りの上手さが成績にそのまま直結すると言っても過言ではない。

いかにリスクを負わずにリターンを得るか、ということで放銃を徹底的に避けつつ、仕掛けを多用する打ち手も多い。

しかし誤ったやり方を用いると、リーチ者のツモを増やしていたずらにアガらせてしまうなどといった弊害も出やすい。

リスクを負わずに勝とうなどという虫のいいは話は麻雀においては存在しない。

しかし、リスクを負わずにラスだけを回避するという方法論は天鳳界には存在する可能性もあり、これは麻雀とは別のゲームという捉え方が必要となってくる。


前置きが長くなってしまったが、ツモ放棄の鳴き。

今回は純粋にどのような場面でそれが成立するのか、あなたなら仕掛けるのかどうか、を考えていただきたい。

次回は少し踏み込んで、他家に与える影響も考慮しながら、考察を深めていきたい。

それではどうぞ。



case1
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開局の南家。

上家の親からリーチが入っている。

無理やりテンパイを入れていたところ、海底2個前で親から4mが切られた。

さて、どうしよう?





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チーして、1m切りとした。

ご存知、スライドの食い替えだ。

影響は小さいが、この場合、タンヤオが付加され出アガリも可能となる。

親リーチは通っているスジがあまり多くなく、相対的にツモ牌が危険牌となる可能性が高いため、効果的なツモ放棄であると言えるだろう。


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下家以外の3人テンパイで流局となった。

たまたま4sは親リーチの当たり牌だった。



case2
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東3局、19800点持ちラス目の北家。

西家に手役不明のドラポン仕掛けが入っている。

こちらもテンパイが入って、6m切り。ドラポンにはトイトイがあるので、少し怖いが。


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海底2個前、上家から8pが出た。

さて、どうしよう?





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チーして4p切りとした。

全体にピンズは安全度が高く、特にドラポンには現物となっている。

私の36pは7枚見えでアガリ率も打点も低く、仕掛けてもアガリ目は消えていない。

変な牌で上家に打ち込むリスクの方が遥かに嫌だ。


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結果、3人テンパイで流局となった。

上家はバック崩れの形テンだったが、仮に最後の発を持ってきたらオリざるをえない状況につき、この仕掛けは妥当だろう



case3 追記あり
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東3局、トップ目の南家。

上家リーチ一発目に何を切るか?





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4mのノーチャンスにつき、2m切りとした。

58mを切れば147m待ちとなるが、58mは通っていないので。

終盤につき安全度を重視。これでも7mが出ればアガることができる。


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海底1コ手前で、上家から6mが出た。

さて、これを鳴く?鳴くならどう鳴く?





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678でチーして、3m切りとした。

4mノーチャンスの3mは安全度がかなり高いので、海底で7mが出た時にアガれる構えとした。

パッと思い浮かぶのは456でチーして9m切りのタンヤオカン4m受けの方だろう。

ただ、この場合は4mが無くてアガリ目がゼロ。意味はほぼ同じだが、カン4mが場枯れでない場合、その方がいいだろう。


仮にスルーした場合、海底に7mがいれば私のアガリではあるが、打点があるわけでもなく、見た目にも残り枚数は1枚。

親リーチの危険牌を掴む確率の方が高いので、ツモの放棄は妥当だろう。



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結果は3人テンパイで流局となった。


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下家が海底で掴んだ牌は、何とリーチの当たり牌の8pだった。

さすがに特上七段レベルだとこれがしっかり止まる。

何はともあれ、掴んでいたはずの当たり牌を流すことに成功した

河底で打っていると11600からで、オリたとしても3000点の支出。これはなかなかに大きい。

結果に正の影響を与えることができた仕掛けとなった。


【追記】
コメントで、カン6mで鳴いて9mを切るのがいいのではないか、という指摘を頂きました。

確かにカン7mでタンヤオの出アガリが効くのでこれがベストですね。

このように、複合形からの鳴きは場況込みで難易度が高いことが多いです。


case4
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南1局、19600点持ち3着目の北家。

6pを仕掛けて、タンヤオ赤1のテンパイに取る。


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残り2枚という状況で、上家から5mが出た。

さて、どうしよう?





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これをポンして…


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親の現物の2m切りとした。

微差2着目の上家が西の暗刻落としでオリ気味なので、この状況では自身のアガリよりも放銃回避の価値が高いと判断した。

上家がノーテンならばノーテン罰符で順位が入れ替わるからだ。

さらに、ラス目の親の海底ツモをずらす効果もある。この場合の親は手役不明のため、なおさら。


45550.jpg

結果は親と私の2人テンパイで流局となった。

親は発暗刻の赤1だった。

仮に海底牌に7pが寝ていたら最悪だし、仕掛けて7pをツモられたとしても自身の放銃よりはマシだと考えられるため、仕掛けは妥当だろう。

この場合ツモアガリの価値が高い場合に限り、仕掛けないということはある。

自身のアガリ牌を親に流してアガられた場合は最悪だが、親に流れてもそのまま切られる可能性も高く、その場合はアガリ逃しにならない。

自身のアガリ目が消えていないツモ放棄の場合、そのデメリットは小さいと言えるだろう。



case5
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南1局、26100点持ち2着目の親番。

対面が合わせ打った7pをポンしてドラ切りのテンパイに取ったところ。


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上家から当たり牌の5mが出た…が、これはフリテンで当たれない。

さて、どうしよう?





47998.jpg

これをチーして、もういっちょドラ切りとした。

この場合、特に上家の南カンに対して危険牌を切りたくなかったので。

この5mがツモ切られた以上、私のアガリはないと考えるのが普通だろう。

ただ、少し仕掛けがうるさく、上家に海底ツモを回してしまうという意味もあり、ガチャ鳴きという感も否めない。

誰かにツモアガリが発生すると後悔する仕掛けとなりそう。


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結果は3人テンパイで無事流局となった。

上家は生牌の中が切りきれない恰好だった。


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チーを入れていなければ、次の私のツモはその中だった。

止めると親が流れるし、ツモ切ると上家に3200の放銃となっているところ。

打っている最中の感触はイマイチだったが、結果的には当たり牌を流すことに成功していた。

最終的にはこの半荘は3着だった。



case6
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南1局、27600点持ち2着目の北家。

終盤にさしかかったところ、役なしだがこちらもテンパイとなった。

さて、どうするか?





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ピンズは高くて怖いが、ここは6p切りでテンパイに取った。

47pのスジだけは使い切るという意図。


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ところが、ラス目の対面がしれっと47pを切ってきた。

残りツモは2枚のところ、7pが出たが、さてどうしよう?





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ポンして西切りとした。

これは海底ツモ回避のポンだ。

自身の手の価値は低く、海底でツモってもたかが知れている。

それよりも海底で変な牌を引いて放銃した時がひどい、もしくは変な牌を引いてオリたくない。

親にツモを回してしまうので微妙は微妙だが、影響はさほど大きくはないだろう。

直対の親と対面にツモを回せば、対面がアガって親が流れるかもしれない。


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結果は3人テンパイで流局となった。

残り2枚のツモにより大勢に影響はなかった。

親は形テンにつき、海底のみアガリの権利があった。つまり、海底を回避したのは一定の効果があったと言えよう。

終盤は形式テンパイの仕掛けも多く、それゆえ海底ツモ者のリスクが高くなりやすい。天鳳では間違いなくそういう傾向があるだろう。



case7
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南2局、3000点持ちダンラス目の西家。

2着目の上家からリーチが入ったところ。

ポンテンに取れるが、さてこれを鳴く?





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スルーした。

これは迷ったが、放銃が即飛び終了に結びつきやすい状況につき、安易なテンパイ取りは命取りになると判断した。

宣言牌3sにつき、ワンチャンスとはいえ2sは出にくく、5mも同様。

ゼンツできない待ちならば、取らずに安全牌として機能させようという肚。

早速持ってきたのはドラで、これにて迂回が確定。


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回りながらも、終盤にどうにかこうにかテンパイが入る。

やったぜ、父ちゃん。


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残りツモ2枚というところで、上家から切られたのは4p。

5200のロンですといいたいところだが、無情にもフリテン。

さて、どうしよう?





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フリテンならば当然のチーだ。

残り1枚の4pツモに賭けるよりも、上家リーチへの放銃リスクを回避する。


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2人テンパイで流局となった。

なんとかこの局を無傷で乗り切ることに成功した。


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仕掛けなくとも無風だった。

上家の待ちは強烈な四面張。下手に仕掛けていたらツモアガリが発生していた可能性も十分にある。

上手く凌げたと感じられた一局。



case8
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オーラス2本場、16400点持ち微差の3着目。

上家との差は僅か500点で、トップ目が親なので実質1局勝負。

上家にアガられずに流局テンパイを果たさなければならないという難しい一局。

天鳳において一番痺れる局面ではないだろうか。

決していいとは言えない配牌、これをどう捌いていくか。


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上家が手役不明の仕掛けを入れる。

明らかにファン牌のアシストを狙っている仕掛け。

親や南家がすぐにアシストしてくる場合もあるが、これは打ち手のタイプにもよる。

私のことが嫌いでラスらせたい、というのであれば上家に有利に打たせるということもあろうが、とにかく私はアシストがないことを願うのみ。


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冷や汗をかきながら、なんとかギリギリでテンパイが入る。

よかった、間に合った。

ここで勇んでリーチ!と言ったらリーチ棒で負けてしまうので要注意。


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リーチしてたら一発だったやん!

冗談はさておき、この8m、さてどうしよう?





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チーして1p切りとした。

これはつまり、放銃リスク回避のツモ放棄だ。

自身のアガリにまったく意味がなく、上家への放銃だけを避ければいい状況なので。

上家はファン牌バックとなれば、片アガリが河底に突き刺さるということだってあるのだ。

ここは36mなど、マンズで鳴ける牌は何でも鳴いて、海底ツモを回避したいところ。


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2人テンパイで終局となった。

まるで万里の長城のように長く感じられた18巡だった。

発を止めてくれた親と対面に感謝。

本人同士の直対に任せてもらえるというのは、勝負の格調が高くなる気がする。



このように、終盤のツモ放棄の恩恵は意外と大きかったりもする。

一発消しにいそしむくらいなら、このツモ放棄を極めた方が効果は大きいかもしれない。

次回は、失敗例も交えて考察を深めたいと思う。



posted by はぐりん@ at 23:58 | Comment(6) | 鳴き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
case2の45567pのような連続形は、36pチーだけでなく、58pチーや5pポンもあるから少し盲点になりやすい。45678ならカン5やカン7で鳴いてもツモ番拒否できますしね。連続形はケイテン維持を強くサポートしてくれます。
Posted by S(スターマイン) at 2019年10月07日 12:39
>>S(スターマイン)さん
その通りですね。
連続形だと盲点になりやすい食い替えが割とありそうですよね。

私の場合は副露率が低くて形テン仕掛けも比較的少ないので、よく鳴くタイプから見れば当たり前の仕掛けかもしれませんね。
Posted by はぐりん@ at 2019年10月07日 16:45
case3で上家から6mが出た場面は、567でチーの9m切りで、カン7mのタンヤオ受けはどうでしょうか?

4mは枯れていますし、9mは対面が3巡目に778から7m切って固定したケースしか当たりませんし、海底じゃなくても7mでアガれます。
Posted by shirome at 2019年10月08日 01:12
>>shiromeさん
あ、そういう鳴き方がありましたか。うっかりしてました。

ご指摘ありがとうございます。
shiromeさん、正解です!
Posted by はぐりん@ at 2019年10月08日 15:35
こんばんは。
case2の3sと4sの選択で1sチー打??の打牌次第では3sが通りそうに見えました。


1sチー打4mなら3−6sは危険。

2345899s34m南南中中 1sチー打4m



それ以外、例えば1sチー打3mなら3−6sは当たりにくくなる。

2345899s34m南南中中 ツモ西 打4m or 打西

2345899s3m西南南中中 1sチー打3mがあるかないか?

人にもよりますが、西を打つ可能性が出てくるのと2345sの変化が豊富で他の字牌から仕掛ける場合が出てくるのでチー1s打3mより打4mの方が危険度が上がる。



8sが4枚見え、これは68sか678sでツモ5s打8s。668s打8s、899s打8sのどれかで

完全安牌の西がでてきて、ここでテンパイであれば、完全イーシャンテンがない形。つまり両面+両面か両面+字牌シャンポンであることを意味しており、最終形は南ポンなため両面待ちになる。

もし仮に打8sでテンパイであるならば、456668sからの打8sの3-6s待ちあるので3-6sは危険であることにかわりはない。

つまり何が言いたいかというと、
1sチー打??の??にターツ落とし1枚目が入れば、鳴いた牌に関連したターツが残る可能性が大きくなる。

2334からの1sチー打4m
2345sからの1sチー打4m


??が2枚目以降であれば、1枚目の時にターツができたため、食い延ばしなどがなくなり、ただ純粋にターツを処理した可能性も浮上してわからなくなる。

結論
1sチー打??の??が4m以外であれば、2345+αの牌があるため、2345の形からターツを2つ作らない場合が出てくるため、3-6sの危険度が下がる。
また打8s→打西により打8sの形が668sツモ6s打8s
899sツモ9s打8s 68sツモ5sのどれかで4-7sの危険度が跳ね上がる。 (678sツモ5s打8sは最終形が両面であるため除外。)

以上、3-6sは100%通せるとまではいかないが通しやすいという仮説を立ててみましたが、どうでしょうか?


Posted by 国家最終戦力 at 2019年10月14日 19:38
>>国家最終戦力さん
1sチーが食い延ばしでないと読めれば3sは通しやすい、確かにその通りですね。

仮に親の仕掛けが単純なバックであれば、その仮説は成立するでしょう。

ただこの場合、牌図の親の手役はなんでしょうか?誰が見ても明らかにソーズのホンイツですよね。

親はアガリやすさよりも打点を追求しているわけですから、「1sは食い延ばしでないかもしれない」という仮定自体に甘さがあると私は思います。

ましてや最終手出しが安全牌ですから、親は形の決まったイーシャンテン。ソーズの無スジを切るのはギャンブルのような気がします。

だからこそ、食い替えして凌ぐべき局面ではありましたね。
Posted by はぐりん@ at 2019年10月15日 01:59
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