2020年10月04日

鳳凰卓の戦略的大ミンカン

「大ミンカン」というワードに対してあなたはどのような印象を持つだろうか?


ドラが増えて場が荒れるので嫌だという人がいるだろう。

場が荒れて流れが変わるので好きだという人もいるだろう。

ネット麻雀ならピカピカ光って止まるので選びやすいだろう。

リアル麻雀なら止まってくれないので発声しづらいだろう。


余談だが、私は以前天鳳でポンするところを間違ってカンしたことがある。

可能な選択肢が全て表示されるためで、リアルならありえない誤カンが発生しやすいのもネット麻雀の特徴と言える。


ひとつ言えることは、大ミンカンは麻雀の選択の中でも最も個人の裁量に委ねられる部分が大きく、その選択に個人差が見られやすいチョイスであるということだ。

大ミンカンが確実に有効だと言える場面はオーラスなどの限られた場面に過ぎず、それゆえに道中の戦術として大ミンカンをどう用いるかというのは選択の幅が大きい。

現に、大ミンカンの有用性を体系化している戦術書やコラムというのはあまり世に出回っていない気がする。

大ミンカンは仕掛けに絡む戦術なのに、ドラが増えることでメンゼン者を有利にしてしまう、そういう側面が局収支・順位期待値の面から数値化して戦略として用いるのが困難なのだろう。

そういう観点から、自身の成績を向上させるカギ、攻略の余地が残っている分野とも言える。


私自身は大ミンカンの頻度はかなり低い方だが、天鳳でも数々の大ミンカンチャレンジを敢行してきた。

それについてのトピックは後回しにするとして、今回は鳳凰卓でどのように大ミンカンが用いられているのか、その一例を紹介したいと思う。

一見意図がわからないような仕掛けでも、フーロ者にはれっきとした策略が存在していたりするものだ。

そのへんを感じていただけたら幸いである。

それではどうぞ。



case1
30233.jpg

南3局1本場、33800点持ち2着目の西家。

トップ目とはごく僅差のラス前。

トイトイの8000テンパイを果たしているところ、4900点持ちダンラス目からリーチが入って一発目

8pという強烈な無スジを掴んでしまった。

さて、どうしよう?





30234.jpg

押した。

4pの裏スジは心底切りづらいところだが、2m南発いずれも通る保証がない。

こちらもトップを賭けた手につき、勝負に値すると踏んだ。

仮に一発で8000を放銃したとしても、オーラスはギリギリ2着で迎えられる。

ドラが見えているのもやや押しやすい要素か。


30235.jpg

どぎつい3sも気合いの押し。

さすがにこれはロンと言われてもおかしくなかったが、意外なところから声がかかる。

上家の大ミンカンだ。

そもそも、4sも通ってない牌ですやん…


30236.jpg

この局は意外な結末で幕を閉じることになる。

唐突に対面が切った7pに下家のロンの声、5200。

まさかこの巡目にリーチの出アガリがあろうとは。

残り1回のツモにテンパイの可能性を見たということだろう(直前に私から6pのポンが入っている)。


30237.jpg

上家のカンはここから。このカンの意図はなんだろうか?


おそらくは確実にテンパイしている私への牽制だ。

ドラを増やしつつ私のツモを1つ増やすことであるいはオリを誘発できるかもしれない、と。

私は明らかに押していて、浮いている発が完全に切れないため、上家はノーテンの可能性が高く、それならラス目と闘わせることで横移動の可能性を増やしたいという意図だろう。

カンすることでラス目に海底ツモが回ってしまうが、その分親のツモが減ると同時に親がチーできるチャンスが減るというのもあるだろう。

親連荘がトップ目にとっては好ましくないためだが、そこまで瞬時に計算できたかどうかは不明で、あくまで私への牽制という意味合いが強いものと思われる。

残りツモが7なので、ラス目リーチのツモ数に変化はないが、これが5〜6の場合はラス目リーチのツモを1つ減らすことができるため、より効果的となる。

結果、策が実って上家はトップ終了。私は2着だった。


この時の上家(当時七段)は、後に十段へと登りつめるSeriaさんである。

大器の片鱗はこういった発想力に潜んでいるといっても過言ではないだろう。



case2
42404.jpg

オーラス、27700点持ち2着目の親番。

トップ対面とは12200点差で、トップ捲りに望みをつないでいる。

3着目が17200点、ラス目が15200点という僅差。

私が発を切ったところ…


42405.jpg

上家にカンの声。

オーラスにつきこの意図はなんとなく読みやすい。


42406.jpg

あっという間に上家がツモアガって、700・1300。

上家は狙い通りにラス回避に成功した。


42407.jpg

上家の大ミンカンはここから。

ポイントは点差と座順だ。

上家は現状出アガリ2000の手だが、仮に脇から出アガっても同点座順でラスのままとなってしまう

この発をカンすることで点パネにより40符以上が確定、どこからでも出アガリが可能となる。

オーソドックスな大ミンカンによる点差戦略だ。


42408.jpg

カンによるツモの増加によって、即テンパイを果たしている。

ライバルよりもいち早くテンパイを果たすことの重要性は語るまでもないだろう。

カンによるツモの増加はこのように機能することがある。

しかも3着目のツモを1回邪魔しながらにつき、このテンパイは効果が大きかったと言える。


42409.jpg

さらに新ドラをご覧いただきたい。

これにより下家の満貫以上が確定となり、極めて私は前に出づらい状況となった。

下位者は積極的に場を荒らすことにより、上位者の抑止効果をもたらすことがある。

できるだけ直対に持ち込みたいラス者にとって、時にこれは有効な戦略となることがわかるだろう。



case3
51074.jpg

オーラス、17400点持ち3着目の南家。

ラス目の親とは1900点差とかなり微差となっている。

自風の南を切ったところ、前代未聞の事態に遭遇する。

親からメンゼンをぶっ壊す大ミンカンが入ったのだ。


51075.jpg

直後にこの牌姿となった。

あなたなら親の牌姿をどう読んで、何を切るだろうか?





51076.jpg

私はこの瞬間がチャンスとばかりにドラの発を切り出した。

親の大ミンカンは手牌を読む上で大きなヒントになる。

まず、こういうケースでは仕掛け者はテンパイからやや遠く、仕掛け前提かつ打点のない手形になっていることが多い。

メンゼンイーシャンテンならわざわざ大ミンカンなどしないだろう。

さらにドラを持っているなら自ら目立った仕掛けをしないだろう。

打点が伴っていないから、カンでドラと符を補い、仕掛けで匍匐前進を目指していく、こう考えるのが一般的だ。

手形がバラバラなので脅しを兼ねてブラフのカンから入る、こういった可能性も少なくない。

最もなさそうなのは、リーチの可能性を放棄する、十分形イーシャンテンからのカンではないだろうか。


51077.jpg

鳳凰卓を舐めてはいけない、策には必ず裏の裏がある。

待ってましたとばかりにドラの発をポンされ、まんまと嵌められた私の顔が苦悶に歪む。

マジかよ…と誰もが思う瞬間だろう。


しかし、気を取り直してここで読みを修正しなければならない。

最もありそうなのは、リンシャン牌で発を持ってきて重なったというケース。

遠い仕掛けなら発を1枚浮かせていたという可能性も十分につき。

しかし仮にそうであったとしても、この瞬間にテンパイしているという可能性は低いだろう。

このへんでテンパイしているぐらいの形なら、メンゼンの利を放棄する必然性に欠けるからだ。

オーソドックスな読みを継承しつつ、今後の親の手出しをしっかりと見て速度を推し量っていく。


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親にターツ落としが入った後、この6p勝負。

実戦心理としてはこの6pですらかなり怖い。

こちらの手はアガリが現実的ではないようにも見えるからだ。

ただ、遠い仕掛けであるという前提を踏まえると、繋がりに欠ける手であることが想定できるため、テンパイでなければ切り出したターツ周辺は現状通りやすいと推測することができる。


51079.jpg

粘った甲斐があり、テンパイが入る。

親は2つ目のターツ落とし後に3フーロ目の仕掛けが入っていて、テンパイの可能性は高い。

2mはかなり切りづらいスジだが、ここは勝負所と踏んでリーチに踏み切った。


51081.jpg

これが意外にも2着目の対面から出て、裏裏の8000。

まさかの直撃で2着捲りに成功した。

微かな手がかりを頼りに踏み込んだ結果、最良の結果を得ることができた。


51082.jpg

南カンの時点で、なんと親の発はトイツだった。

しかし、ご覧のように他の部分はバラバラ。

脇を牽制しつつ、匍匐前進を目指すという読みはある程度合致していた。

オーソドックスな読みは鳳凰卓においても汎用性があることがわかる。

この場合、親はネックのカンチャンが多く、仕掛け前提であってもテンパイまでに時間を要した。

目立たない方が上家から仕掛けやすくなる可能性もあり、この南カンは是非が別れるところだろう。


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この発ポンにより、親は最後まで雀頭に苦しむこととなった。

仕掛けていなければどうなっていたかは非常に興味深いところだが、これぐらいの手形でもめくり勝負に持ち込んでいるあたり、仕掛けの利点は存分に生かせていたと言えるだろう。

こういう仕掛けはサンプル自体が少ないため、損得の判定は難しいが、発想力を養う仕掛け・読みの教材としてとてもいい実例ではないだろうか



case4
54803.jpg

オーラス、31300点持ち2着目の西家。

トップ目の下家とは1000点差でアガればトップという状況。

上家が大物手狙いの仕掛けを入れているため、中張牌は鳴きやすいと考え、やや早めに仕掛け始めた。


54804.jpg

狙い通りに4pが上家から出る。

急所中の急所、いただきま〜す。


54805.jpg

えええええ?

一寸先は闇、とはこのことか。

対面の大ミンカンにより4pがこの世から消え、一転絶望の淵に立たされる。


54807.jpg

3sを引き戻して、なんとかテンパイまで漕ぎつけた。

たのむ、8m通してちょ。


54808.jpg

が、ダメ・・・

新ドラが乗って12000、3着落ちで終局となった。


54809.jpg

対面のカンはなんとテンパイからだった。

トップ捲りの条件を満たしているところからのカンは準備していないとなかなか難しい。

ラス目に新ドラが乗ってしまうというリスクも孕んでいるため、おいそれとは行けない。

いわゆる邪魔カンというやつだが、こうしたカンは全体を見通す状況判断力に優れていないと的確にはできないもの。

ズバリ決まると痛快だが、明後日のカンをしてこいつは何をやっているんだと思われることにもなりかねない。


大ミンカンはいたずらに用いると身を滅ぼすため、用法には注意が必要だが、発想力を広げることで、思いもよらない使い方を編み出すことができるかもしれない。

少なくとも、他よりも裁量が広い、開拓の可能性がある分野であることは間違いない。

あなたの麻雀の幅を広げるという意味で、試行錯誤してみてはいかがだろうか。



ラベル:鳴き 槓子 戦略 天鳳
posted by はぐりん@ at 18:51 | Comment(0) | 鳳凰卓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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