2020年11月22日

カウンターの仕掛け方

今回は麻雀におけるカウンターのタイミングについて。


カウンターという言葉を聞いてあなたは何を思い浮かべるだろうか?


多くの人はまず第一に、格闘技やボクシングのカウンターを思い浮かべるかもしれない。

私は幼いころからプロレスが好きでよく観戦しているのだが、格闘王の前田日明さんが最近youtubeでカウンターについてこのようなことを語っていた。

(日本の格闘家が今一つ伸びない理由について)
『カウンターを解説するのに、本職のプロボクサーの世界チャンピオンまで「当て勘がいいんですよね」って、当て勘当て勘言うじゃん。
俺らはもう仕掛けだってわかってるじゃん。それがわかってないんだよね。

出典:朝倉未来 https://www.youtube.com/watch?v=_U-tFGDViV4 「前田日明と対談してみた」


一見、カウンターの上手い下手は天賦の才のような印象を持たれがちだが、前田さんは他の動画でカウンターとは才能というよりも戦略であるとはっきりと言い切っている

つまり、相手との間合い・距離感の中にある様々な選択肢の中から、相手に攻撃させることが得だと思わせる駆け引きをすることで生まれる戦略的攻撃の手段が「カウンター」ということである。

これは前田さんさえも現役を引退してから気づいたことで、理解するためには相当な造詣が必要とのことであった。


これを麻雀に応用すると?

私の陳腐な言葉でイメージを固めるよりも、皆さん自身で膨らませた方が実になるかもしれない。


この対談の相手、総合格闘技でカウンターの名手である朝倉未来さんが以前このようなことを動画で語っていた。

僕は格闘技中に対戦相手を見ているというより、背景をぼんやりと見ている、と。

細部を見ていると不意の攻撃に対応できないので、相手の全体像を捉えるイメージだ。

なので、仮に脇から障害物が飛んできたとしても、格闘技をしながらでも対応できる、という旨のことを言っていた。

このカウンター技術を評して前田日明いわく、「未来は間合いの誤魔化し方が上手い」と。

少なくとも、これぐらいの視野がないとかわしながら当てるなどという芸当、いわゆる戦略的準備ができないわけである。


大局観、俯瞰、鳥瞰という一言で表すのは簡単だが、
なるほど麻雀においても集中して打てている時は手牌よりも目線が卓の中心に向いている気がする。

自分の手牌でいっぱいいっぱいの時ほど、対応に苦慮して長考しがち、思い当たる節があるのではなかろうか?


前田日明というと私のイメージは、危険でエロいおっさん、ぐらいだったが、youtubeチャンネルの動画を見て、そのスケールの大きさ、プロモーターとしての能力の高さ、様々なことに精通している博識さに心酔した

格闘技好きなら誰もが唸る内容が確実に含まれているはずなので、ぜひチラ見していただきたい。

前田日明チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCdr9GSa8Mm_2W039apA_1sw


男なら誰でも憧れる格闘技という世界、その舞台を麻雀の卓上になぞらえて我々は闘っているのだ。

そんな風に想像すると、無味乾燥していた世界にまた新たなエッセンスが加わるかもしれない。


話を戻して、今回はカウンターのタイミングについて。

麻雀ではどのように間合いを計るのが正解なのか。

それを実戦例から見ていきたいと思う。



case1
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東4局、21400点持ちラス目の西家。

下は2000点以内に3人が競っているかなりの僅差。

局面は早くも煮詰まり、上家に3つ目の仕掛けが入ってここから手出し6p

白中ポンと仕掛けていて、かなり迫力がある。


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私もかなりのチャンス手となっているが、ここで持ってきたのはまさかの発。

発は場に1枚切れているので大三元の可能性は高くはない。

ここから何を切る?





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さすがに切りきれず、6m切りとした。

3フーロ二人に対して6m自体の危険度もかなり高く、直ちにロンと言われる可能性もある。

放銃率だけで見るならむしろ発の方が低いが、上家に打ってしまうと満貫からとなってしまう。

三色テンパイになるなら発を勝負する価値は十分にあるだろう。


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対面の親リーチが入って一発目。

上家の手出しを凝視していると、むむっ、手出しで北が出てきた。


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この瞬間にこちらにもテンパイが入った。

さて、どうしよう?





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ここで発を切って追っかけとした。

親リーチへの対応として出てきたということは、北は待ちだった可能性がそこそこ高い。

テンパイでなければ北よりも6pを引っ張る方が普通だからだ。

つまり、手出しがなかった時と比較して、現在発が通る確率は高まっていると考えることができる。

最悪なのはたった今、発単騎に変わったという可能性だが、総合的には今切る方がマシだろう。


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発は無事に通り、これが一発ツモ。

安目で裏も乗らないが、1300・2600はありがたい。

オリもありえただけに、会心のアガリとなった。

この半荘はこのアガリが効いてトップ奪取に成功。


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上家は親リーチを受けて回った形だった。

リーチへの相手の対応を見ることで、危険牌が通りやすくなる瞬間があることがわかる。

発を保留するのは間合いを見極めながら相手についていく感覚、俯瞰して待つことで、相手の攻撃の真贋を見極める感覚に近い。

発を先に切るのは不用意に相手の懐に飛び込む感覚で、これはややリスクが高い着手であると評される。

カウンターを当てるためには、相手の次の着手を見極めるための、しっかりとした準備が必要ということ。

結果が正しいか、実際に見極められるかどうかも大事だが、それよりも前もって準備をすること、これがカウンターをする上で最も重要だと言えるだろう。



case2
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東4局1本場、14900点持ちラス目の北家。

対面の南家が3フーロ目を入れたところ。

こちらの手はやや間に合っていないか。


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こちらの手は進まずに3pツモ。

対面のチー出し3mをどう読むか。

ここから何を切る?





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東切りで回った。

3p自体は現状切りやすいが、一通絡みの3sが切りにくく、ここを使い切る可能性を見た。

生牌の発も切れないため、迂回のルートをどうするかというところ。


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トップ目の親が赤切りリーチと来た。

これで基本的にはギブアップか。


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粘っていると、残りツモ1回というところで上家から9sが出た。

これを鳴けばテンパイとなるが、余っている発は完全なる生牌。

さて、どうしよう?





70661.jpg

チーテンに取って、発勝負とした。

ポイントは対面の2s手出し→1sトイツ落としだ。

対面は明らかに回った感があるので、発でロンと言われることはないだろう。

発を勝負する対象が親リーチのみならば、テンパイ取りは十分にペイする。


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結果、二人テンパイで流局。

きわどくテンパイに滑り込み、3着目との差を縮めた。

最終的には3着で終了。ここでのカウンターが地味に効いた。


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対面の3mはフェイク気味の引っ張りだった。

一応のドラくっつきに備えたという感じだが、形上ホンイツが本命。

この手出しにより読みが難解となった。ドラトイツなら先に固定していても不思議ではないからだ。

こちらが3pを先に切っても結果は変わらなかったかもしれないが、ここでの東切りは切れない3sと発を中心に据えた粘り強い着手

ストレートに3pを切るよりも間口が広くて受けやすい意味がある。

何気ないが、回し打ちの構想はカウンター狙いにおいて重要だ。

終盤は他家の対応の様子が顕著に出るため、その出方をうかがいつつ、ということである。



case3
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東3局2本場、14600点持ちラス目の北家。

トップ目の親と南家が仕掛けていて、河は煮詰まっている。

こちらは雀頭のないターツばかりのリャンシャンテン。

6mか8mかで悩むところだが、見た目より速度が微妙なので穏やかに8m切りとした。


75104.jpg

手が進まないまま、7pをツモってきた。

上家が4pを通したばかりだが、さてどうしよう?





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4pを合わせた。

ドラが見えて脅威が小さくはなったが、7pは対面に対して放銃リスクがある。

8p9p落としもあるが、9pが対面に切りづらい。

こちらの手が進まないのでここは丁寧に対応。


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ドラ引きにより一歩手牌が前進。

ここで何を切る?





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唐突に6mを勝負した。

ポイントは親の動向だ。

トップ目の親の仕掛けということで赤赤の5800クラスの放銃を特に警戒すべき局面だが、ここにきて2sのトイツ落としというのは悪くない受けだけに違和感がある。

積極的にアガリを見るというより、対面の仕掛けに対応しつつという側面が強そう。

それならば強く押していけると判断した。

もちろんこの瞬間に対面に当たってしまう可能性はあるが、ドラが固まっていないためそこまでの脅威ではない。


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6mに声はかからず、親は2sを河に3枚並べる。

そこに来てこのテンパイとなれば、これはもうカウンタームーブ到来。


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これを引きアガって、やっぱりなムーブ

生かした8pが裏ドラで2000・4000となれば鼻息も荒い。

一躍2着浮上で、最終的にも2着だった。


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下家の謎の2s連打は、片アガリテンパイからやはり回ったものだった。

仕掛けというよりドラ切りから7m手出しの西家に対応という意味合いが強かったかもしれない。


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直前の対面の入り目は4mでこの6m切りは紙一重だった。

紙一重という言葉はカウンターの特徴をよく表しているのではないだろうか。

親の脅威が薄れたこの一瞬を利用して切り込み、ギリギリのところで成果を上げる。

踏み込みが浅いと駆け引きの部分で甘さが生じて、それが隙になってしまう。



麻雀の場合は対応が一人ではなく三人であるため、自身以外の攻撃者に対する反応を具に観察することができる。

そしてその対応により一人の手が偽物と判断した瞬間が、相手の懐に飛び込むチャンスだ

虎視眈々と脱落する相手を見極め、間合いをジリジリと詰めていく。

危険牌を1牌切るタイミングを計るだけで、グッとカウンターの精度が高まることが見てとれるだろう。

そのタイミングを計るための準備を怠らないこと、この準備が言ってみればカウンターの極意であり、場を俯瞰して見る、ということである。


カウンタームーブとやっぱりなムーブ(←2021年の流行語にどうでしょう?笑)


ラベル:天鳳 攻撃
posted by はぐりん@ at 23:52 | Comment(0) | 攻撃力UP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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