フーロ時の晒し方には大抵の場合正解がある。
そして、これらはパターン化できるものであり、体系的に学習できる分野でもある。
相手リーチに対して攻め返すかどうかという問いよりも正解が導きやすい分、結果に与える影響もそれほど大きくはないかもしれない。
しかし、微差を積み重ねることの重要性は研鑽しているみなさんが一番ご存知だろう。
私はこの記事を書いていて何かに似ているな、と思った。
それは「スジのどちらを切るか」という私の過去記事と非常にテーマが似通っていると感じたのだ。
現在の危険度と将来の変化を天秤にかけた選択、しかし結果に劇的な影響を与えるわけではない、という地味さがまさに共通項ではないだろうか。
当時反響はあまりなかったが、誰も触れていないテーマであり、画期的な内容だったのではないかと個人的には思っている。
「スジのどちらを切るか」は、毎週毎週やり続けてみなさんに飽きられた感もあったので(笑)、今回の晒しスキルは小出しにしていこうと思う。
実戦例については玉石混淆だが、今見ても参考になると私自身思うものもまだまだたくさんあるし、みなさんの実力に応じて感じ方は様々だと思うので、自分なりの「気づき」を少しでも得ていただければ、と思っている。
晒し方を決める際に重要となる判断基準は以下の通りだ。
@基本:相手に対する危険牌を晒す















上記の手牌で上家から7pが出た。どう晒すか?














両面で晒す。
ドラを晒すことで、次にドラをツモってきた際にスライドができる。
基本的には危険牌を晒すことで、次に持ってきた際のスライドも可能になる。
どうするか迷った際は現状の危険牌を晒しておけば間違いが少ない。
A応用:将来のスライドを考慮する















先ほどとはドラが変わっている。上家から7pが出てどう晒すか?














カンチャンで晒す。
言うまでもなく、ドラツモでスライドできるようにするため。
この場合、手牌を内に寄せているため手牌の危険度自体は上がっている。
例えば、赤5pを持ってきた際に8pではなく二筋にまたがる5pを切らなければならない。
しかし、そのデメリットよりもドラをスライドできるメリットが大きいと考えるわけだ。
このケースのように損得が明らかな場合は迷わないが、差異が不明瞭でどちらが正解か悩ましいケースはごまんとある。
そのような難易度の高い局面も今後紹介していきたいと思う。
以前の記事で「赤は基本晒して鳴く」というのを紹介したが、ドラは4枚あるためなおさらだと言える。
相手への受けに加えて、自身の打点UPに繋がるわけだから、差し引きのプラスが大きいということだ。
そういう意味で、基本的にはドラに寄せて晒していくのが間違いないだろう。
それでは、実戦例から見ていこう。
case1

東4局、25500点持ち2着目の親番。
親でドラドラのチャンス手だが、25pが薄くなってきた。
と、思っていたら3フーロの上家から5pが切られた。
これを鳴こうと思うが、さてどう晒す?

両面でチーした。
ピンズを連結させておけば、ドラツモの際にスライドできる。
できるだけ連続形を残すように晒すことがスライドのコツだ。

上家との競り合いを制し、無事2000オール。
ドラは残り2枚とも山にあったので、ツモる可能性は十分にあった。
case2

オーラス、31800点持ち2着目の西家。
トップ目の下家とは6400点差となっている。
自風の西をポンして、ピンズの並びもいい。
上家から2pが出たが、これを鳴く?鳴くならどう鳴く?

カンチャンでチーした。
確実な逆転を目論むのであれば、ツモアガリで捲れないこのテンパイはさほど歓迎できない。
69pからの仕掛けであれば、ドラツモや3pツモでのテンパネで捲れるため、この2pはスルーも考えるところ。
ただ、ラス目の上家からドラが出ることはまずなく、この2pをスルーしてしまうと意外とテンパイに苦労しそうということと、この巡目ならタンヤオ仕掛けのトップ目から9pポロリはありそう(直撃なら3900で捲り)ということで、テンパイスピードを重視することにした。
ドラツモに対応できるように、4pを残した。
わりと気づきづらいカンチャンチーではないだろうか。
さらに…

チャンタの含みを残せば、このツモでアガらずの選択も可能となる。
これもカンチャンチーのひとつのメリットだろう。
残り巡目が多いので、4p切りから字牌単騎を目論み、逆転形に持ち込むということも可能だ。
さて、アガる?

アガった。
1000・2000の二確はトップ目を喜ばせることにもなるため微妙だが、親との差もそこそこ近いため天鳳なら妥協するところだろう。
ラス目上家のカンも不気味でzeRoさんだけに雰囲気がある。
アガらないことももちろん考えたが、ここでアガらずを選択するぐらいなら、2pを鳴かずにスルーした方がトップには近い気がする。

牌山はこうなっていた。
アガらずに南単騎の変化はアガリ目がない。
2pをスルーしてこの9pを上家からチーできたとしても、リーチ棒つき2pツモではギリギリ捲れない。
親の手も早いが、驚いたことに上家が打点の伴ったテンパイを入れている。
アガらないなどという悠長なことを言っている場合ではなかったことがわかる。
case3

東3局、20700点持ちラス目の南家。
場風の東はまだ場に出ていない。
都合5枚目の47pが上家から打ち出されたところ。
これを鳴こうと思うが、さてどう晒す?

カンチャンでチーした。
ピンズの下が安いので、6pを晒した方が手牌の安全度は高い。
ただ、それだとドラ表示牌ならびにドラに対応できなくなるため、6pを残した。
上家の仕掛けはペン7p待ちも十分に考えられるため、これに対応できるようにしたい。

結果、親の2600オールツモとなった。

ご覧のように対面にはペン7pの受けがあった。
これに対応できる構えを前もって考えておくことは重要だとわかるだろう。
見てきたように、複合形の仕掛けはドラやドラそばをケアできるように晒せば間違いが少ない。
一見単純だが、case2のように死角(仕掛け方が見えづらい牌姿)が存在することもあるため、注意深く見ていく必要がある。