
八段復帰した。
先週の降段記事からわずか1週間での昇段。
昇降段の記事を2週連続で書いた記憶がないので、おそらく自身最短の昇段ではないかと思う。
この半荘が不調の底になる。今の私はなんとなくそんな予感がしている。
前回記事を締めたこの予感が、ズバリ的中した形となったが、まさかここまでの跳ねっ返りになるとは思いもよらなかった。

↑降段時のこの成績が、

↑昇段時にはこうなった。
降段後の成績は、57戦19−15−16−7、平均順位2.19。
あの惨憺たる成績から、数十戦程度でここまできれいに収束するとは誰が予想できただろうか?
一番驚いているのがかくいう私なのだから、それも無理はない。
麻雀を打つことに恐怖心すら感じていたのがつい先週の私だったのだから。
逆に言うと、絶不調で打つ気がなくなって放置していると、直後に訪れていたはずの確変状態を逃したままになってしまうかもしれない。
メンタルバランスを崩したまま打つのは良くないが、諦めたり投げ出したりするのもまた良くないのである。
ある程度継続的に打ち続けることでこういう意外な結果が得られることもあるという、いいサンプルではないだろうか。
メンタルブレイクしかけた私が、なんとかメンタルバランスを取り戻したのは、前回ブログで自身の打ち筋をあらためて反省し、見直したことが大きかったと思う。
正直、降段記事というのはみなさんが思っている以上に精神的苦痛を伴うもので、降段を機にブログの更新が滞るなんて人も過去に何人も見てきた。
ただ、やってみて実感するのが、現状をきちんと理解できるというメリットがあって、自身の何が悪かったのかを客観的に分析することができる。
最近は負け慣れてしまって、気力が足りなかったので、たとえ正しくない判断だったとしてもしっかり最後まで戦おう、ということをテーマに打ったことがこの結果に結びついたと思う。
また、変化を求めてポーカーのメンタル本を読んだ。
『賭けの考え方』勝ち組ポーカープレイヤーの思考習慣という本だが、人間だからこそ陥りやすい誤った思考習慣について、丁寧に説明してくれている。
私はポーカーのルールはほとんど知らないが、この本はそれを知らなくても、スイスイと頭に入ってくる。
生きていく中で重要なことは何かというのを思い知らされる本でもあるので、ビジネスマンや経営者にもオススメできる良書だ。
この本を読んで、「自身のノイズを減らして正しい判断を下すことを優先させる」ということを特に意識したことで、逆境にもブレずに打つことができたような気がする。
感情がないAIとは違って我々は人間だから、不調が訪れたら何か気分転換をすることも重要だと今回感じた。
さて、昇段に当たってどのような巡り合わせがあったのだろうか?
実戦例から見ていきたいと思う。
case1

南3局、20900点持ちラス目の西家。
全員が30000点未満と拮抗しているが、このままずるずるとラスは避けたい。
好配牌からテンパイが入ったが、現状の待ちは厳しい。
さて、どうしよう?

ドラ単騎でリーチとした。
赤ドラの5mを使い切ってアガるためにはこれが手っ取り早いだろう。
確実にアガりたいと考えすぎると迷いそうな手牌だが、ここは躊躇なくいけた。

ほどなくツモって、3000・6000。
何が好調かって、これがアガりきれることだ。
大抵は流局がいいところで、他家にかわされたりすることも全然ありそう。
こういった積極策がハマり始めたのが今回の好調の要因だ。
case2

東1局1本場の南家。
いやあ、いい配牌だねえ。
さて、どうしよう?

7s切って変化待ちとした。
さすがにこれなら好形変化を待つ猶予が十分にある。
一段目ぐらいに好形リーチを打てれば、ダブリーより期待値が高いまであるんじゃないの?

最強の4sをツモって即リーチ。
変化待ちして良かったと思える瞬間だ。

高めツモって裏が1枚。なんと倍満まで行った。
ダブリーでもアガれてる6sなのがミソ。それだとハネ満だが。
このラストの6sをいともあっさりツモってるあたりに好調のカケラが見える。
case3

同半荘東2局。親番で2000オールアガって1本場。
えっと、テンパってますが。
当然リーチで!

対面から高目のダブ東があっさり出た。

無駄に(と言っちゃ失礼だが)裏3で対面は虹の彼方まで吹っ飛んでしまった。
2局前のダブリー配牌から延々と自分一人が攻めている感じ。
やはり好調時は配牌に恵まれている、というのはある。この短いタームでダブリーも何度もあった。
case4

東3局、23700点持ち2着目の南家。
好配牌から4巡目にしてこのテンパイ。
リーチも全然ありだが、2mツモでの変化もあるので一旦ダマにする。

親が仕掛けたので、おもむろにツモ切りリーチ!

これが見事に一発ツモ。
か〜〜裏乗らんか〜、の3000・6000。
こういう何気ないリーチのタイミングもハマる。悪い時は唯一アガれない手順を踏んだりするからね。
case5

南4局1本場、34100点持ち2着目の親番。
前局4000オールをアガって一気にトップ戦線に浮上。
トップ目との差は3700点。
ドラドラで条件は満たしているが、待ちが悪い。
さて、どうしよう?

ダマにした。
リーチ棒を出してしまうと流局でトップが変わらなくなるため、抑え込みよりも変化待ちに期待することにした。
巡目はたっぷりあるし、変化枚数もそこそこ多い。

ところが、3着目の下家から予想外の早いリーチ。しかも、宣言牌が当たれない5s。

いやあこれは参ったぞ。
さて、どうするか?

ツモ切り追っかけとした。
いやいや、ここで追っかけているようでは負け濃厚でしょ。

ところが、リーチが再度5sを掴んでアガリ。7700でトップ捲り。
一度アガリを逃しているのに、まだアガリがある。これは好調時にありがちな巡り合わせ。
通常は3着転落濃厚のパターンだが、僥倖のトップ捲りだった。
case6

開局の南家。
1巡目に出た9p、鳴く?

ポンした。
結構普通の鳴きだが、急所でないと見てスルーすることもある。
以前は鳴かないことの方が多かったかもしれないが、鳴きの積極性も採用した。

出た牌を全部鳴いていったらこうなる。
こんなの出るわけないって思うじゃん?

あっさり出るんだな、これが。8000。
逆に全部仕掛けたことで、鳴き読みが難しい待ちになった、と。
こういう仕掛けがいい結果を生んでこなかった自分にとっては興味深いアガリだった。
これがアガれるんなら、ガチャ鳴きも悪くないな、と。
ただ、見ていただきたいのは親の手。すでに12000のテンパイが入っている。
3pを止められれば私にアガリ目はなく、7sを掴む未来が見える。こちらがデフォルトだろう。
ともかく、こういう仕掛けの積極策が奏功すればメンゼン派にとっては鬼に金棒だ。
case7

南1局2本場、供託リーチ棒3本、34000点持ち2着目の西家。
ラス目の親がファン牌を2つ仕掛けている。
テンパイだが、打点も待ちも悪く、258pのスジは危険。
さて、どうしよう?

供託リーチ棒狙いのリーチとした。
アガれば3600点がおまけでついてくる。こんな美味しいことはない。
今まで供託リーチ棒に釣られない、みたいなキャラで来たが、これからはがめつく狙いますよ!

結果は終盤までもつれた末、親が上家に7700の放銃。

面白いことに、この時点で上家に7pが浮いている。
かなりアガリ辛そうに見えたが、結構なチャンスだったわけだ。
親が三面張へと待ち変えしたがために、上家の中トイツ落としが親のアガリ逃しに。
親は3sさえ引かなければ18000で終了だったわけだから、あまりに痛いチェンジ。
さらに上家は7pを切らずに粘って使い切り、なおかつアガリ切る見事な芸当。
三者三様の思惑が相まっていい闘牌となっている。
つまり、リーチ自体はリスク高めで、親への12000放銃になってもなんらおかしくはなかったということ。
たまたま悪くない結果になっているだけだが、このへんの攻撃にも積極策を講じている。
case8

南3局、6400点持ちラス目の南家。
3着目の親とは2800点差なので、ここで是が非でもアガりたい。
赤5m引き戻しを手元において、難しい牌姿。
ここから何を切るか?

9m切りとした。
発想を転換しないとなかなか切れない9m。
仕掛けるのであればこちらの方が早そう。

早速急所が鳴けた。

8が二つ鳴けてあっという間にテンパイ。

大トップ目の対面が何のためらいもなく8sを切ってくれた。7700。
最後だけは切らないという人も多そうなので、ここまで面倒見てくれたことはラッキーだった。
こういうのは時の運だが、仕掛けが吉と出たということ。この半荘は3着。
case9

南1局1本場、9500点持ちラス目の北家。
やや離されてしまっていて厳しい状況。
こちらも好手だが、親と南家の2件リーチが入る。

何を切るか?

8m切りとした。
8mは親の現物でワンチャンスだが、対面に対しては結構な危険スジだ。
8mだけならいいが、ドラまたぎの8sを切らなければならないことを考えると、少々気合いの要る打牌。

すんなりテンパれば、勝負にいける。
8sはセーフ。

これが何と一発ツモで、3000・6000。
過程よし、結果よし、このどちらもついてくるのが好調時だろう。
4s切りが対面に間に合っているし、親は五面張だった。
この後も色々あったが、なんとか3着で終えられた。
case10

東3局3本場、29400点持ちトップ目の南家。
6pを切ると、ひじょ〜に長いラグを伴って下家が回線落ち。

いざ尋常に!リーチ。

回線落ちの下家が一発で掴んで、裏なしの3900。
下家の手を見ると4pが固まっていて、通常ならかなり止められそうな1pだった。

場面は変わって同半荘オーラス。
私は痛恨のダブロン放銃があって、ラスまで落ちている。
3着目の上家とは3900点差の親番。
好手につき、是が非でもこれをアガりたい。
と、思っていると9sに長いラグがかかって…

上家さんがお逝きになられた。
チャンスとばかりに私はチーテンを取った。

ほどなく7mがツモ切られ、5800の直撃で3着捲り。
手を見てもらえばわかる通り、何と上家にはカン7mの受け入れがあった。
これが放銃に回ってしまう回線落ちというのはいかにも辛すぎる。
一方私は、この半荘神の手ともいわんばかりに重要な場面で2回も回線落ちからアガリを得た結果の3着終了である。
これを好調時の巡り合わせと言わずになんと言うのだろう。
ちなみに、私は回線落ちとの相性が極めて悪くて、恩恵を得られることが少なかった。その分が少し返ってきたのかもしれない。
八段復帰してかなり気持ちは楽になったので、今後も気力を振り絞って試行錯誤を重ねていきたいと思う。