その牌が誰から切られるかを注意深く見ておく必要がある。
なぜかというと、
ポンラグのスルーによりその牌はコーツとしての機能が低下しており、
遅かれ早かれ1枚はいずれ切られる可能性がそれなりにあるからだ。
ポンラグ牌が1枚だけ切られた場合、
その周辺は確実に手牌に関連しており、
読みの大きな材料となる。
メンゼンの場合は、コーツになる受け入れが1枚減っているため、
早い巡目であっても合わせ打ちのような形で出てくることも少なくない。
この場合、早切り牌のまたぎかつ、ワンチャンスになっているようなケースも多く、
一見安全にも見えるが、
1枚手の内にあるということがわかれば、そのまたぎはむしろ危険と認識できる。
これは、上家の切った牌に対するポンラグを明確に認識できる自分だけの情報であり、
ポンラグをかけた本人以外の2人にとっては自分ほどの読み材料を得られていない。
もちろん、自分が知りえない情報を他家が持っていることで相殺されるわけだが、
ポンラグを認識できる頻度が多ければ多いほど、他家より相対的に得をするということになり、
自分がより得をし、他家により得をさせないという意味で、
こういうところにも無駄にラグをかけない、鳴き無しのメリットがあるのである。
それでは、実戦例を見ていこう。

南2局、40000点越えトップ目の西家。
上家から出たこの2pにラグがかかる。

その直後、親から2p切りリーチが入る。
2pのラグが本ラグである場合、
親は2pをもう1枚持っており、確実に手牌に関連していることがわかる。
基本的に2p手出しリーチにおける1pの危険度は高いが、
このケースではなおさら14pが切りにくいと認識できる。
実際には、親の手の内にはすでに123pのメンツが完成しており、
親はドラと何かのシャンポン待ち、
結局はドラをツモられ6000オールとなった。(画像消失しましたすいません)

別の半荘。
東4局、35900点持ちトップ目の西家。
赤5sをツモってチートイツに方針決定。
実は、上家の8sにラグがあり、チートイツなら躊躇なく8sを嫌える。
ここで切った8sにもラグがかかり、下家か対面のポンラグの可能性はより高まった。
(偽ラグでない可能性が高まったということ)

数巡後、下家から8s手出しリーチが入る。
下家の捨て牌は5s手出し→8s手出しのゴールデンコンボである上、
8sポンラグによって8sをもう1枚持っていることがわかっているため、
69sの危険度的には考えうるMAXに近いと読める。
受けられる手構えにしている自分の手だが、
ポツンと浮いた9sとだけは心中せざるをえない。

ラス牌のドラを引いて、こちらもテンパイ。
心中牌の9s待ちではあがりがまるで期待できない。
さて、どこまで押そうかなという感じ。

ところが、ラス目の上家が6sをしれっと切ってきた。
ポンラグの情報があろうがなかろうが、
69sは危険であるのは一目瞭然。
さすがに上家にもテンパイが入った可能性が高い。

それによって、対面から9sが出て、棚からぼた餅的8000。
6sが出た以上、9sも出やすくはなるが、
8s手出しリーチには9sのシャンポンもあるため、
こんなにあっさりあがれるとは思っていなかった。
結局、8s上家のラグ&8s俺のラグによって、
ポンラグでもチーラグでも8s周りが下家にあれば、
9sシャンポンの可能性は若干下がると、
そういう読みを対面は入れていた可能性がある。
ご覧のように、上家は6s切り時23m待ちでテンパイ。
たった今7mを掴んで見事にオナテンに持ち込んでいた。

下家のテンパイ時。
やっぱりか!と叫びたくなる入り目の6s。
この場合はポンラグがあってもなくても、危険牌の認識には変わりないわけだが、
8sを1枚持っているかどうかという情報は、
その精度をより高めるのに有効となる。

別の半荘。
南2局1本場、20400点持ちでギリギリ2着目。
上家が独走し、対面の親が僅差の3着目だ。
マンズが複雑な形で、678の三色を意識しているが、
鳴き無しでいたところ、上家から出た7mにラグがかかる。

ほどなくして、親から7mが出てきた。
こういうケースでは、7mのまたぎは後々危険になりやすい。
自分の58m69mの持ち方から言っても、
早目に対応策を考えておく必要がある。

7mが薄いことにより、8mの先処理をしたわけだが、
直後に件の親リーチが飛んできた。
さて、何を切るか?
非常に困った状況だが、
親は7mを1枚持っている可能性が高いことから、
58mと69mのスジだけは切りたくない。
6mをできるだけ切らない最終形を想定すると、
マンズの受け入れがかなり狭く、
自分のあがり目はかなり厳しいように見える。
その上、マンズの上を上手く使い切ったとしても、
暗刻スジの2mが切りやすいわけでは決してない。
ここから突っ込むには、牌理的にも点棒状況的にも少し厳しいとみて、
ここでは6pを抜いて忍耐を選んだ。

しかし、次巡3mを持ってきて、完全手詰まり。
どうせ69mは切りたくないのでド裏目というわけでもないが、
6pを抜いている以上、何が何でもオリ切らなければならない。
さて、何を切る?

ワンチャンスの3m切りと迷ったが、ここでは3sを切った。
攻撃や復活を見ているわけではなく、
3mを切っても次が続かないという意味での3s切り。
3sが通れば、中スジの6sも比較的切りやすいからだ。
この3sもかなりの危険スジであるのは間違いないが、なんとかセーフ。

次巡、生牌の北を持ってきて、4mも中スジになったが、
2枚切れの6sが最も安全だろうと切ったところ、これにロンの声。
対面は、いったいどういう最終形なのか?

これがあったかあ(>_<)
2〜3枚切れの中スジはたまにこういう形で放銃することがある。
裏ドラ5sがモロ乗りで、痛恨の親満放銃。
本来出ないはずの牌を自ら選択しての放銃で、大体こういう時は裏も乗る。
感触的には最悪の放銃で、この半荘はラスとなった。

対面の7m手出し時。
ご覧のように対面の入り目は58mだった。
7mを1枚持っていることから、
たとえワンチャンスとなっても58m69mの危険度は高いことがわかる。
ラグ読みは、本人の雀風や意図といった、意思とは無関係の部分であって、
純粋に牌理のみで危険度を推測できるので、
その点において遍く活用できるものであり、
確実にわかる部分を読んでいくという意味で、
長い目で見れば有利な選択をするための材料となるだろう。
補足的に読みを足すとすれば、
7mのポンラグはクイタンの可能性を視野に入れていることも考慮すると、
最終的に69mより58m待ちの可能性の方が高くなりやすいと考えられる。
しかしこの部分は、ラグのかけ方含めて、その人の打ち方次第でなんとでもなるため、
読みの材料としては曖昧な部分が大きいということだ。

別の半荘。
南3局1本場供託2本、36300点持ちトップ目の西家。
上家の2sにラグがかかる。
3sが使いにくくなるということで、意識できるラグだ。

親が南ポンから、9sチー出しの2s切り。
どうやら親のポンラグであった可能性が高い。

ネックの2sをツモってこちらもテンパイ。
これはおそらくラス2sだろう。
打点に意味がないので安全に6m切りダマに構える。
36pは場況的に絶テンだ。

4sをツモったが、さてどうしよう?

これは危険すぎるが、切るよりほかない。
自分は絶好のテンパイが入っている上、
1sをすでに切っていて回るのが難しい。
ドラも見えているため、打ってもたいしたことはなさそうだ。
これが1500の放銃となって少しもつれたが、結局トップで終えた。

2sラグ時はこんな感じ。
南ポンの前なので、メンゼンの場合同様、最終手出しのまたぎはかなり危険となる。
仕掛けの場合でもポンラグからいくつか手出しが入れば、
法則は同様に成立する。
一方、これが仕掛け後に仕掛け者が合わせ打ちで切ってくるような場合、
逆にそのまたぎ待ちになる可能性は下がる。
223sと持っていたら普通は2sをポンするはずなので、
合わせ打ちする以上は、待ちの関連牌でない可能性が上がるからだ。
仕掛けの場合、合わせ打ちでそのまたぎが待ちになるためには、
その他の形が整っていないなど、何かしらの理由が必要となる。
このように、メンゼンの場合、ポンラグ牌のまたぎは100%危険となるが、
仕掛けの場合はそうとも言えないケースが出てくることに注意が必要だ。