2021年10月24日

スジのどちらを切るか 将来のスライドに備える【新ネタ】

さて、久々にこのテーマだ。

スジ切るは過去に連載したが、その後の実戦でサンプルも集まったので取り扱ってみた。


過去記事:スジのどちらを切るか【将来のスライドを考える】

3年ぶりに上の記事を見てみると、こう書いてある。

研究のテーマとしては奥が深く、
掘り下げて考える機会をまた作りたいと思っている。


私は思っているだけじゃなくてやる男なんですよ。

どこかの政治家とは違うんですよー!(謎の熱弁)


今回は簡潔に行きましょう。

将来のスライドに備える際に重要なポイントは一点。

相手の危険スジを把握し、そのスジをスライドできるように前もって動かしておく、ということだ。

手広く受けられるように構えることはもちろんだが、それよりも相手の危険スジをツモった際の想定が大事。

安全なスジをスライドできてもそれは何の意味もなさないからだ。


シャンポン想定など、例外的に難易度の高い局面もあるがそれはレアケースにつき、両面・三面張という基本の危険スジを動かせるように構えることが重要ということ

本記事ではそこに焦点を当ててお送りしたい。

それでは実戦例を、どうぞ。


case1
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東1局1本場の北家。

対面の南家からリーチが入って一発目。

こちらも7700テンパイだが…さて、何を切る?





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現物ではないが1s切りとした。

対面の待ちはどのあたりが危険だと推測できるだろうか?

これを考えておくことで、どのような手構えが最善であるかをざっくり把握できる。

この河でチートイツということもあるめぇ。


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このツモだ。

対面の河は58sが危険で、9sと2sの危険度としては同じワンチャンスだが先切りの4sがある分2sの方がやや安全

さらに、現物の4sが河に現れる(ノーチャンスとなる)可能性があることを考えると、さらに2sのスライドが有利となる。

今回はたまたま2sが現物となっているが、この2sスライドという選択肢を残せることが1s切りのメリットだ。


60858.jpg

結果、二人テンパイで流局。

南家の待ちはズバリ58sで、一発目にブンと8sを押していたらアウトだった。

ソーズの上が危険というのは一目瞭然につき、下にシフトできる構えにすることで、スライドが生きる。

横に連携できる形を重視するのが守備力の高い構えであることがわかる。


case2
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開局の西家。

上家の南家からリーチが入っている。

こちらは手広いイーシャンテンからやっとこテンパイが入ったところ。

さて、どうしよう?





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5s切りとした。こちらの方が間口が広いという判断からだ。

が、実はここでの正解は8s切りなのだ。

なぜ8sが正解なのかわかるだろうか?

これは難問につき、瞬時に分かった方は上級者かもしれない。

答えは次のコマで。


67746.jpg

まず、私の選んだ5s切りは9sツモでのスライドが可能だが、9sは上家リーチの現物

36sは危険につき、9sツモからはスライドのメリットがない。

逆に147sはいずれも危険につき、これはスライドの余地がある。

上家の河には赤5sが光っているものの、23sがダブルワンチャンスにつき単純牌理からは14sより47sの方が危険となる

すなわち、7sツモ時にスライドの選択肢が生まれる分、147sを流動的にする8s切りが正解となるわけだ。

上家の待ちはまんまと47sにつき、これはわかりやすい。


なんとなく受けを広くするという意識だけだと5sに手がかかってしまいがちだが、リーチ者の危険スジに照準を絞ることで、147sを動かす打牌選択が有効と分かる。

このように、スライドの考慮はマーク者の危険スジをスライドできるように構えるのが有効となる

待ち読みと牌理の複合した分野が絡んでくるゆえ、難易度が高くなるのも頷ける。


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結果、二人テンパイで流局となった。

1sが通っているだけに私のツモ筋に7sがあったならこれは手痛いミスとなるところだった。

また、下家が8sをチーしていないのも興味深い。

これをチーして現物のドラ切りとすれば私にドスンだが、スジの2s切りとすらしていないところに腰の重さを感じる(しかもノーテン!)。

このへんからも黎明期とのフーロ率の変化を感じることができる。


case3
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南3局3本場の南家。(他家視点、対面が私)

熾烈なラス争いで、3着目の西家とは2400点差という状況。

その3着目下家からリーチが入っている。

6mが浮いていてテンパイ取りもやや厳しいというところ。

6sをツモってきたが、さてどうしよう?





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ツモ切りとした。

9sは生牌につき、これはまあ妥当というところ。


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が、次巡持ってきたのは相当に厳しい5s。

これでテンパイは厳しくなった、かに思われたが…


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最終的にテンパイが入り5sを切る羽目に。

これが三色のド高目に当たりで、12000。

気合いの押しではあったが、完全なる致命傷を負ってしまった。


68625.jpg

ターニングポイントはもちろんここ。

下家の危険スジとして当然25sは視野に入っているわけだが、6mが切れない状況で生牌の9sを押す価値があるかどうかは難しい

が、全力で回し打ちすることを考えるのであれば、5sツモに備えるという視野は持っておいてもいい。

14sが通っていないとかならまだしも、ソーズの危険スジがあまりにも鮮明だからだ。

結果論という見方もあるが、このへんの捌きに大きな実力差が生まれてくることもまた確かだろう。


このテーマに非常にマッチした失敗例だと思い、僭越ながら匿名で採用させていただいた。


case study
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東4局、17800点持ち微差3着目の西家。

絶好の4sが埋まり、タンピン赤ドラのダマテンに構える。


73598.jpg

次巡8sをツモってきた。

さて、何を切る?





73599.jpg

2s切りとした。

他家の危険スジに注目すると、14sは安全度が高く、69sは危険度が高い。

そこで、69sを受け入れられる形を重視する。

逆に14sが危険な場合は7sとのスライドに備えて、8sを切るのが正解となる。

裏目の1sがキズにならないというところがポイント。

複合形からは他家の危険牌によって切る牌が変わってくることがわかる。


73600.jpg

親リーチの現物をGETして、7700。

親リーチの待ちはまんまと69sが含まれていた。


caseゲス男
71603.jpg

オーラス1本場供託1本、17400点持ち3着目の南家。

2着目の親と2200点差、ラス目の下家と10000点強の差となっている。

テンパイしたが、さてどうしよう?





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5p切りとした。

アガリ2着につき、イーペーコーはいらない。

こうしておけば25pツモ時と14pツモ時に選択の余地が残る。

例えば、2p切りとした場合、次回5pツモ時に下家や対面の58pに刺さる可能性がある。


71605.jpg

即下家から出て、終了。


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スライド?上家を100点差で捲る精神攻撃でゲスよ。ゲヘ、ゲヘ、ゲヘ。



(小っせえ…なんてちっさい男なんだ…)



ラベル:天鳳 スジ
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2021年08月15日

両面の片割れ4枚見えは変化量を重視する

自身の持っている両面ターツの片側がポンされて、ちょっと嫌な気分になる

割とよくある光景ではないだろうか。

このように、両面ターツの片側が場に4枚見えてしまうというのは別段珍しいことではない。


この際にどういった捌きをすればいいのかは案外難しい。

この誰も触れたことのないテーマに、今回はメスを入れていきたいと思う。

ポイントは以下のとおりだ。


@基本は枯れた方の逆側に手を伸ばしていく

二萬三萬九萬九萬三筒四筒四筒六索七索八索中中中ツモ五萬ドラ北

1mが枯れているとする。

この場合の基本は、2mを切って上方向に手牌を伸ばしていく。

言うまでもなく、6mツモの両面変化を見込んでのもの。

カンチャンの変化によって符ハネの恩恵も得られやすい

メンツ手なら物理的にない受けに固執するメリットはないからだ。


Aピンフに意味がある手なら両面を残す

二萬三萬九萬九萬三筒四筒七筒八筒九筒六索七索八索西ツモ五萬ドラ北

1mが枯れていて、アガリトップとする。

この場合においそれと2mを切ってしまうと最終形がカンチャンになってしまい、リーチが必要となってしまう。

いったん西を切っておいて、ピンフを保留するような構えにしておくのが望ましい。

なぜピンフ限定かというと、両面が前提となっている手役はピンフ以外にないからだ。

つまりダマテンが必要だとか、ピンフの手役による打点が必要だとかそういったケースでは両面の形を重視する必要がある。


この法則を理解しておけば、メンゼンではピンフの可能性があるかどうかについてのみ気をつければよく、
仕掛けでは両面形のメリットがないため、すべてのケースで変化量を重視すべきということになる。

また、トイツ系の手役に関しては場枯れの周辺の方が利用価値が高いため、これは例外となる。


テキストにまとめると、要点が限定的で捌きは難しくないように見えるが、実際に実戦で遭遇すると思いの外捌きの難易度が高いことが多い

なぜかというと、ピンフ以外の手役が確定している状況は決して多いわけではなく、4枚見えを見落とさずに把握するなど、適切な状況判断力が必要となるからだ


例えば、ありがちなのは、カンチャンから両面に変化した、と思ったら実は片割れが枯れていて両面に取る物理的なメリットがなかった、といったケース

この場合、変化量という意味では両面変化の着手自体が実は悪手だったということになる。

こういう総合的な微差を問われるケースが多いため、難易度が高いという印象を私は持っている。


それでは、実戦例から見ていこう。



case1
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開局の親番。

ドラの発がトイツとチャンス手をもらっている。

7pを引いてイーシャンテンとなったが、さて何を切る?





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2m切りとした。

1mが4枚見えているので。

この手はピンフになる可能性がゼロにつき、両面を残すメリットは皆無に等しい。

ピンフを基準に考えると、方針が明確になるのがわかるだろう。


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ここで自然に1s切りとした。

重なりの部分では差が生まれていないが、6mツモを想定するとやはり2m切りは優秀であったとわかる。


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テンパイが入り、即リーチ。

待ちは当然…


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シャンポンに受け、ドラをいただいて6000オール。

幸先のいいスタートを切った。

1mが早々に枯れる=3mがやや強いのと縦の匂いがしたので。


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他家の手牌を見ると、マンズはあまり上に伸びなさそうな感じ。

それでも、ここで25mのどちらを切るかは十分に差を生む着手だろう。

ピンフがないので2m切り有利が際立っている。



case2
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東3局1本場、21800点持ち3着目の西家。

タンヤオドラ3のテンパイが入っている。

河が不可解なのは、3mのシャンポンをミスっているというわけ。

6mを持ってきたが、さてどうしよう?





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3m切りとした。

よく見ると2mが4枚見えている。

6mを残しておけば、8mツモでカン7m変化があるし、7pツモでも出アガリできる単騎待ちになる。

情報量の多い終盤だからこそ、わずかな差が大きな差となってくる。


39866.jpg

最後に下家から5mがツモ切られ、8000ゲット。

5mは拾えそうとはいえ、これはラッキーだった。



case3
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南2局、29300点持ち3着目の親番。

こちらはタンヤオ赤3という大チャンス手のイーシャンテン。

ここで両面変化となる4pを持ってきたが、出ていく7pはドラ。

さて、何を切る?





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ここで私はドラ切りとした。

345の三色があるため、手拍子で切ったドラだったが、実は3pの4枚枯れを瞬間的に見落としていた

とにかく47pのスジを早く処理したいという感情がドラ切りを急かした格好だ。

幸いなことにこの7pに声はかからず。

そうなるとそれほどデメリットはないようにも見えるが…


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ひどいことに、次巡持ってきたのはドラそのもの。

丁寧に4pを切っていれば赤5p7p7pという美味しい形が残っていたことになる。

ポンテンにも取れる変化を逃したのは痛い。


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6sをカンしたところ、リンシャンからひょっこりとドラをツモる。

ドラ5のテンパイを逃した…。


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さらにアツいことに、当たり牌が出やがった。

顔を真っ赤にした私がそこにいたのは言うまでもない。


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結果、上家と私の二人テンパイで流局となった。

きっちり打っていれば、下家に赤5pをチーされていたとしてもハネ満のアガリがあったわけで、痛恨の一局となった。

最終的にテンパイ料の収入があったというのはミスした中での幸運であり、これ、下手すると被った7pが当たり牌となっての放銃まであった

そういう意味ではアガリ逃しで済んだぐらいでまだ良かったと言えるかもしれない。

わずかな牌効率の差がこれだけの差を生むという恐ろしさをまざまざと理解できる例であり、皆様には反面教師としていただきたい。

この半荘は幸運にもトップで終了した。



case4
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東2局1本場、23700点持ち3着目の南家。

親が迫力のある3フーロを入れている。

トップ目の下家からリーチが入って一発目。

こちらも赤1ドラ3のイーシャンテンで一歩も引けない。

さて、何を切る?





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親の切った6sを頼りに3s切りとした。

3sはポン材として優秀だが、背に腹は代えられぬ。


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6sを持ってきたところ。

この6sは親がリーチに通しているが、さて何を切る?





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対面の3sチーにより、2sが都合4枚場に見えた。

これによりソーズを伸ばす3s切りが正着とわかる。


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1pがポンできて待望のテンパイ。

2p勝負とな。


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そして、好形変化となる7sツモ。

これは狙い通りと言えばそうだが、4sはいかにもきついところ。

さて、どうしよう?





74585.jpg

これを押した、がアウト。

幸いにも裏は乗らずに8000。

手順で待ちが広くなって押し出される4s、これは基本的に私の中では押しのサインだ。

8sはいかにも拾えそうなところだし。

結果は放銃となってしまったが、冷静に変化量を重視して待ちを広げられた例だと言える。


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先に当たり牌を掴まされたが、牌を開けてみると四者紙一重だった。

自身はオリ切るのも難しく、この放銃に悔いはない。

case3のアガリ逃しより悪くはなく、この半荘は3着で凌ぐことができた。

仕掛けにおいては両面という形にこだわることに意味はなく、このスキルを無条件で活用することができる。

メンゼンにおいてはピンフの価値が高いかどうかで柔軟に判断する必要がある。

いずれにせよ、わかりにくいミスが頻出しやすい形であるので、注意深く見ていく必要があるだろう。



ラベル:天鳳 牌理
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2021年08月08日

離れトイツ落としのまたぎ待ち

トイツ落としリーチにまたぎ待ちが少ないことは以前の記事でも述べた。


またぎが待ちになるならそもそもアガってるでしょ、という理屈で賢明なる読者のみなさんはご存知のことと思う。

今回は、その読みが通用しないパターンを集めてみた。

確実にレアケースなのは間違いないが、言われてみれば回避できなくもない、という特徴のあるケースが多い印象だ。


説明するよりも見てもらうのが手っ取り早いので、早速実戦例の方に行きたいと思う。

それでは、Here we go!!



case1
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南2局、39100点持ちトップ目の親番。

上家が8pをチーして…


59962.jpg

3m手出し。

これは上家がすでに切っている牌だ。


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直後に持ってきたのは1m。

さて、どうしよう?





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こんなもんは大通しやろ、とノータイムで切るとこれがアウト

ドラドラは3900と予想以上に高い。

役はあるとしてもタンヤオだと思い込んでいたため、端牌の1mは盲点だった。


59965.jpg

上家の3mは西のトイツ落としの後に持ってきたもの。

対面の仕掛けにケアしながら8sを合わせる過程で手牌に残ったものだった。

残せば牌効率上有利になりそうだが、3m5mは場にすべて見えているため、効率上残すメリットはない。


59966.jpg

前回の3mがツモ切りということも考えれば、この3mは西切りから回る過程で持ってきたことがわかる

その上で最後に出てきた理由は、他家に対して危険度が高いから、という理由がしっくりくる(こちら側から見て)。

つまり、冷静に見れば牌理には関係のない3m切りであると読める。

しかし、逆に関係ないからこそ盲点となってしまった

タンヤオという先入観に、ダブルワンチャンスという安全度の高さもあいまった。


このケースのように、引き戻し牌を相手への対応で残す際、離れトイツ落としのまたぎ待ちが見られる。

離れトイツ落としの間に、トイツ落としやターツ落としを挟んでいる(対応の跡が見られる)ケースではよりその傾向がある。

それらを加味すると、終盤に出てきた離れトイツ落としはまたぎ待ちもケアするべきだと言えるだろう。

この半荘は、ポカが響いて2着転落で終了した。



case2
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開局の北家。

対面から7s離れトイツ落としのリーチが入った。

ドラのターツ落としがやや目立つ河。


68519.jpg

親がノータイムで切った8sにロンの声がかかる。

むう、と唸ってしまったが、対面はどのような形が想定できるだろうか?


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この形だった。

一発がついて3900。

ちなみに下家はASAPIN兄で守備力に定評のあるゆーせいさんだ。

十段クラスとなると一発放銃も稀で、そのぐらい鋭い待ちだったことがわかる。


68521.jpg

対面はここから7sを切って58s待ちに取り、ダマテンに。

親に対して58sは切りづらいのでこれは妥当にみえる。


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ここで躊躇なく空切りリーチを入れてきたというわけだ。

つまるところ受け間違いでアガリを逃しているわけだが、それを逆用しての空切りだった。

凡人はミスった感からうろたえるところだが、強者は二手先三手先を読んでいる。

ここで迷ってしまうと匂いが出てしまうわけで、ノータイムで打ってくるところが素晴らしい。

まさに相手を嵌めるための効果的な空切りリーチだと言える。


一方で、このリーチには若干だが違和感もある。

なんかへんだな、と思えた人は嗅覚がある。

ポイントは、宣言牌の前に切られた完全安牌の東だ。

完全安牌より7sを引っ張るということは、7sは手牌に関連している可能性が高い。

しかし、対面はドラの9sを先切りしている。

つまり7s関連の待ちはカン4sとか5sシャンポンなどが考えられるわけだが、この場況はカン8sがドラ表示牌とはいえ良く見えないだろうか?

対面は例えば赤5sが絡んでいたり、345の三色だったり、タンヤオだったりという理由以外でソーズの下に寄せる理由がない(けっこうあるな)。

この場況からドラ絡みのカン8sを外しているにもかかわらず、7sがもう1枚手の内から出てくるということに若干の違和感を感じることができる。だったらカン8sを残してもいいんじゃね?と。


このように、離れトイツ落としの間に安全牌が挟まれているか、というのは重要な情報となる。

通常であれば「だからこそ」8sは安全となるわけだが、ドラが9sというところに引っ掛かりを覚えると、このような空切りリーチの可能性を見抜きやすくなる。

とはいえ、かなりのレアケースであり、通常見抜くことは困難だろう。

考えすぎると逆にハマってしまうので、基本を押さえつつ、この攻めパターンの方を参考にすべき事例と言えるかもしれない。



case3
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東2局、5700点持ちラス目の西家。

東2にして飛びのピンチで、3着目の親とは10000点強の差となっている。

自身はドラの9mをポンして西バックのテンパイを入れている。

ところが、上家から7p離れトイツ落としのリーチが入った。


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一発目に持ってきたのは、ソバの8p。

さて、どうしよう?





75759.jpg

ノータイムでツモ切ると、これがまさかのアウト。

無情にも一発放銃は7700、きれいに飛んで終了となった。

なんで最終が7p手出しなの?と誰もが思うだろう。


75760.jpg

上家はまずここから7p切り。


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その後マンズとピンズが伸びて、北をトイツ落とし。

さらに7pを持ってきたところで、なんとフリテンシャンポンのテンパイに取った

タンヤオに寄せて4sのくっつきも照準にしたのだろう。


75762.jpg

狙い通りの最終形となり、手出しは必然的に7pとなったというわけだ。

このぐらい手順できれいに迷彩を打たれてしまうと、引っかかっても仕方ないかなという気になる。


みなさんも経験があると思うが、切っている牌を引き戻して、それが手順で手元に残るということは割と頻繁に起こる

離れトイツ落としの間に手出しが多ければ多いほどその確率は上がる。

このケースでは北のトイツ落としから手牌を再構築している上、安全牌の北よりも後に出てきたのでそれは利用価値があったということにもなる。

こういうケースでは離れトイツ落としのまたぎが安全であると過信してはいけない、ということだ。


また、相手の裏をかく戦略が浸透して、離れトイツ落としのまたぎが待ちになる際は手出しを必ず入れるという上級者が増えた

切っている牌を引っ張ることを意識している人もいるだろう。

これが浸透している以上、一昔前よりは離れトイツ落としのまたぎ待ちは危険度が上がっているという認識を持つべきだろう


それから、離れトイツ落としのまたぎ待ちは、ある状況下で手出しが逆効果となることがある

警戒すべき他家がいる際に、おとなしかった他家が突然無スジの危険牌を切ってきた(かつ自分で1枚切っている)時だ。

このケースではそこそこの確率でその人は手出しまたぎがダマテンの待ちになっている

なぜここでこの牌の手出しなの?という違和感がある時は怪しいので気をつけてみてほしい。

これについてはいずれ実例を紹介したいと思う。

相手の手出し傾向・癖をある程度把握しておくことで、空切りのキズに気づく機会は多くなるはずだ。



ラベル:天鳳 牌理
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2021年05月16日

5667889からの選択

今日は部分牌理について。


五索六索六索七索八索八索九索

この形から何を切るか迷う。

みなさんも一度くらいはあるのではないだろうか?


この形は、近代麻雀2021年4月号か5月号の「漫画でわかるコバゴー麻雀」でも触れられていたので、見覚えがあるという人もいるかもしれない。

それぞれ形ごとにメリットデメリットを簡潔にまとめてみた。


(1)九索切り

五索六索六索七索八索八索

最も基本的かつ攻撃的なのがこの9s切り。

メリット
・7sツモでイーペーコーになる
・入り目不問でタンヤオになる
・8sのポン材が残る

デメリット
・6sか8sが最終的に出ていきやすく、守備力に不安がある


(2)八索切り

五索六索六索七索八索九索

8s切りは攻撃と防御の折衷案

メリット
・安全度の高い9sを残すことができる
・雀頭不在なら4sツモで三面張ができる
・タンピンの可能性を保留できる

デメリット
・イーペーコーが消える
・タンヤオが消えやすくなる


(3)六索切り

五索六索七索八索八索九索

6s切りは守備寄り

メリット
・最も危険度の高い6sを先処理できる
・8sのポン材が残る

デメリット
・イーペーコーが消える
・47sチーができないのでクイタンには向かない
手牌の伸びを殺す可能性がある(5sツモなど)


現状の選択ではメリットデメリットがわかりやすくそこまでの差にはならないが、将来変化まで含めると、

・できていたはずのタンヤオを逃してしまったり、
・有利なスライドができない形にしてしまっていたり、
・手牌の伸びを殺して大幅に打点を下げてしまったり、


ということが案外多い。


中でも、タンヤオが見える手牌では安易に守備重視を選択すると最終的にリーチが必要になってあれ?となることが多い印象だ。

このへんは、様々な手牌変化をあらかじめイメージした上で、攻守のバランスを踏まえてどれが最善かという3択となるため、
見た目以上に経験やバランス力が求められる選択となる


特に、6s切りはタンヤオの可能性が下がる上に、手牌の伸びを殺してしまう可能性もあるため、軽率に選んでしまうとミスに結びつきやすいということは覚えておいて損はないだろう。

それでは、実戦例から見ていこう。



case1
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開局の西家。

何を切るか?





44464.jpg

9m切りとした。

東1局につき、伸び伸びと構えた。

イーペーコーになればリーチで5200となり打点効率がいい。

制約がなければこの形からは9m切りが基本となる。


44465.jpg

ところが、次巡に親と南家から2件リーチが飛んできた。

いずれも一発目だが、さてどうしよう?





44466.jpg

困った時の必殺暗刻落とし。

南家に対して怖すぎるが、2件に通ってないドラまたぎよりはマシと考えた。

幸いにもセーフ。


44467.jpg

終盤だがテンパイ取りに望みがつながった。

仮に9m切り以外だとこのマンズの好形を逃すことになる。

内に寄せることのメリットはこういう場面で実感することができる。


44468.jpg

結果、親が南家から7700をロン。

私が赤5sを持っているだけに割合安全そうに見える6s(カン8s待ちを優先しそうだから)は実は当たりで、中スジを追っていたら危なかった

攻守ともにバランス良く打てた一局。



case2
44955.jpg

オーラス、17400点持ち3着目の南家。

上家の親がラス目で、その差7800点。

脇に8000だけは打てないということで、やや繊細なオーラス。

風通しよくペンチャンターツを払ったところ、ド裏目をツモってしまいこれを残す。

7pは親の現物でもあるため、利用価値はあるだろう。


44956.jpg

おっと、どこかで見た形が。

さて、ここから何を切る?





44957.jpg

6sツモ切りとした。

親の現物につき残すのもアリだが、さすがにド急所のドラまたぎ

ここで打ってしまうと8000の放銃はあると考え、守備重視のシフトにした。

下家に6sを鳴いてもらってもいい。


44958.jpg

フリテンを引き戻し、意外にも役ありテンパイに。

8sがたった今2枚切れたところにつき、自然と47s待ちに取った。


44959.jpg

ここで持ってきたのはまさかのドラ。

さて、どうしよう?





44960.jpg

さすがにドラは切りきれずに9s切りとした。

親の最終手出し3sも嫌だし、何より47sが見た目にも残り4枚とアガリやすさに大差なしと見えたからだ。


44961.jpg

が、直後に下家から切られる4枚目の7s…

この巡り合わせは嫌な予感がプンプンする。

贅沢は言わんから、下家さん、アガってくれ。


44962.jpg

嫌な予感は当たるもので、バックの南を掴んで親に2900の放銃となってしまった

5m5sは全山につき選択が間違いというわけではなかったが、8枚目の47sを先に打たれた因果がこの放銃を呼び込んだ。

この直撃により上家と肉薄、最終的には捲られて私はラスで終了した。


フリテンの一手遅れも痛かったが、本局ではそれよりも重要なポイントがあった

それは一体なんだろうか?これに気づけたならあなたはスペシャリティーである。





44963.jpg

ポイントはここでの選択だ。

仮にここで9sを切っていたならばどのような手牌変化が想定できるだろうか?

本局13巡目
赤五萬五萬二筒三筒四筒六筒七筒八筒五索六索七索八索九索ツモ五索

私はこの手牌からドラが切れずに9s切りを選択せざるをえなかった。

しかし、ここで9sの代わりに6sが手牌にあったなら…?


赤五萬五萬二筒三筒四筒六筒七筒八筒五索六索六索七索八索ツモ五索

そう、8s切りのスライドによってドラを切らずに47s待ちを選択できたのである。

8sは親に対して通っている牌につき、自然に8sを選んだはず。

すると、直後に下家が7sをツモ切り、タンピンイーペーコー赤ドラドラというハネ満が仕上がり、ラスどころか2着捲りでフィニッシュできていたというわけだ


委縮した選択により手牌の伸びを殺してしまい、最終的にアガリを逃したばかりか放銃してしまう。

ここでの選択がいかに重要だったか、この一例からおわかりいただけるだろう。

1メンツをミスっている以上、受け気味になるのは自然ではあるが、このような失敗が起こりやすい形であること、これを認識しておけばいざという時に役立つかもしれない。



case3
70344.jpg

南3局、37200点持ちトップ目の親番。

対面が早い仕掛けで、ソーズがゴツゴツしてきた。

さて、何を切る?





70345.jpg

8sツモ切りとした。

7sのイーペーコーもあるが、直ちに裏目になるわけではない。

それより一通があるため、ここでは9sは選びにくい。

対面がピンズを持ってなさそうなのでピンズの伸びは期待できそう。


70346.jpg

さらにソーズが伸びてきた。

対面がマンズ模様であることも踏まえ、ここで自然に4m切りとした。


70347.jpg

ビシッといいところを引いてきて、テンパイ。

47sもカン2sも枚数的には変わらないが、ダマが効くならと1s切りでピンフに取った


70348.jpg

これが意外にもあっさり拾えて、5800。

2着目からデバサイの加点で、この半荘トップを取ることができた。


賢明な読者諸兄はもうお気づきだろうが、

四萬五筒六筒七筒九筒一索三索赤五索六索六索七索八索九索ツモ八索

ここで仮に6s切りを選択したなら、

四萬五筒六筒七筒九筒一索三索赤五索六索七索八索八索九索ツモ五索

この5sツモから完全に迷路にハマり込むことになる。

内に寄せた6sが潤滑油となって、手牌を活性化させていたというのはなかなか気づきづらい事実ではないだろうか。


このように、一見単純な牌理ではあるが、将来変化によって様相が玉虫色に変わる可能性を孕んでいるのがこの形だ。

内に寄せることが麻雀の基本である、という大前提を今一度噛みしめることができる。

守備が極端に重視されがちな天鳳においても重要な示唆を含んでいるだろう。



ラベル:天鳳 牌理
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2021年04月04日

見落としやすいリャンカンの形

今日はリャンカンの牌理について。


単純形では間違いようのない形であっても、1メンツがくっつくなど複合形になった途端に難しくなる牌姿というのは麻雀において珍しくない

例えば、

二萬五萬六萬六萬七萬二筒三筒四筒七筒七筒六索七索西ツモ四萬

これなどは何切るで頻出する代表的な形。

形が決まったからと2mを切ってしまうと、カン3mの受けを逃してしまう。

いわゆる両面カンチャンと呼ばれる形だが、これが面白いのは、


二萬四萬五萬六萬七萬二筒三筒四筒七筒七筒六索七索西ツモ六萬

カン3mを意識しているところから6mをツモった場合、これを見逃すことは少ないという点だ。

いっぺんにたくさんの受けができるからこそ間違いやすい。

つまり、その時の形とツモによって錯覚のしやすさが変わってくるということになる。


これは私自身打っていてもよく感じる部分であり、わかっているつもりでも実戦ではうっかりということもままある。

これについては数をこなして実戦で覚えていくのが一番ではないかと思う。

ただし、リアルではミスに気づかないままということもありえるため、牌譜で確認できるネット麻雀などで鍛錬を積むのがいいと思う。


両面カンチャン形については以前の記事で触れているので、参照していただきたい。

両面カンチャン形を見落とさない



単なるリャンカンであっても、その時の入り目や形によって非常に見えにくくなることがある。

それでは、実戦例からいくつか確認していこう。



case1
45876.jpg

東3局、19800点持ちラス目の親番。

この親番で少し挽回しておきたいところ。

ピンズの形からリャンペーコーまで想定していたところ、望外の5pをツモった。

さて、何を切る?





45877.jpg

9s切りとした。

巡目が早いなら24s落としからピンズの好形変化を見るところだが、テンパイスピード並びに即リーチできる形を重視した

雀頭を5pに移行させることで、二索四索六索六索七索というリャンカン両面形が瞬時に見えるか、という問いとなる。


この場合、ピンズが動かしづらく、イーペーコーが流動的となるため、感覚的には選びにくいのではないだろうか?

ただし、カン3sの受けが残るため瞬間のテンパイチャンスとしてはこれが最大となる。

また、何をツモっても即リーチするという意志を持った選択でもある。


45878.jpg

このように、最速で好形テンパイになりやすいという魅力がある。

また、5sツモ時にピンフに取れる利点があるため、カンチャン落としなら2sから切るべきということもわかる。

仮に4sから切った場合、中膨れ5pと9sのシャンポンとなり、これだと即リーチはかなり打ちづらいはずだ。

単純形なら迷わない形でも、複合形だと随分難しく感じないだろうか?


タンヤオの9s切りもあるが、枚数重視のピンフに受けて即リーチとした。


45880.jpg

結果、流局一人テンパイとなった。

狙い通りに先制の利を生かせたのでまあ良しとするところ。


45881.jpg

3s5sは合計山に5枚で、速度を重視するなら十分な枚数が残っていた。

ピンズの有効牌も山には多く、選択としての難易度は高い局面だったことがわかる。



case2
48132.jpg

南3局、33500点持ち2着目の北家。

下家の親と熾烈なトップ争いをしている。

ソーズの複合形から有効牌となる8sを引き入れたところ。

さて、何を切る?





48133.jpg

7p切りとした。

69sがやや薄いので、7pくっつきの保険も兼ねて3s切りも考えるかもしれない。

しかし、それだとカン4sの受け入れがなくなってしまう。

この形から345sのメンツを抜いてみると、三索五索六索七索七索八索という両面カンチャン形が見事に浮き彫りとなる。

また、ソーズホンイツへの移行もある。


48134.jpg

おまけに4sはイーペーコーまでつく超絶嬉しいツモ。

複合形にはこうしたイーペーコー絡みの受け入れ増加もしばしば見られる。

五索五索六索七索七索八索八索八索九索九索

例えばこんな形だ(6sでも7sでもイーペーコー)。


48136.jpg

即リーチから首尾よくツモアガって、1300・2600。

ライバルを親っかぶりに沈めて、このゲームのトップを奪取することに成功した。



case3
52200.jpg

東2局1本場、32500点持ちトップ目の西家。

絶好の入り目を得てイーシャンテンになった。

一気にチャンス手になったが、ここから何を切る?





52201.jpg

親と南家に対する危険度を重視して9s切りとした。

が、これはうっかりミスでカン8sの受け入れを放棄してしまう

これぐらいのチャンス手なら手牌に真っすぐでいいだろう。

つまり正解は1s切りだ。これだとカン3s、カン8sいずれの受け入れも残すことができる。


52202.jpg

入り目がこちらなら最終形は狙い通り3s待ちに。

入り目が8sでもイーペーコーがついて打点は変わらないため、8sの受けは残したい。

ここでは変化を重視して1s切り。

例えば6sツモなどが嬉しい変化となる。


52203.jpg

ダマテンから赤5pを引き込み、無事に8000をGET。

ミスったが結果に影響なくホッと一息。


52204.jpg

3sも8sも山に2枚ずつ。

69sが危険に見える親や南家の河だが、どちらも69sの受けはなく読みは当てにならない。

真っすぐ自分の手牌に忠実に構えることが最善だとわかる。


このように、複合形からのリャンカンは形によって見えにくいことがある。

前もって考えおくこと、そして実戦後は復習すること。

この作業を地道に行うことが、形に慣れ、形に強くなるための一番の近道だろう。



ラベル:天鳳 牌理
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